【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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前話は誤字報告して頂きありがとうございます。
一応全てのお話は1度書き終えた時点で見直して修正をしてはいるんですがやはり全部は無くせないですね……
お手数お掛けしてしまい申し訳ないです。
これからもちょくちょく見かけると思いますが暖かい目で見ていただけたら。




6話

「「「うわぁ〜……」」」

 

 感嘆。

 ため息。

 感動。

 圧巻。

 

 色々な言葉が浮かんでは消えるけど最後に思うのはやっぱり『でかい』。これに尽きる。

 

 集いの空き地に到着し、列車を降りて駅を出て目の前の景色を見て思ったことだ。一面広がる緑の草原に少し遠くには大きな湖が見える。空を飛ぶポケモン。大地を走るポケモン。湖を泳ぐポケモン。みんながこの大自然をその身で感じ、楽しそうに、幸せそうに、伸び伸びと生きていた。

 

 サファリゾーンを大きくした感じ。そんな風に思っていたけどとんでもない。サファリゾーンとは比べ物にならない、比べるのも烏滸がましい程の大自然。さっき見えた湖と草原もここから見える範囲を明らかに超えて続いている。

 

「これがワイルドエリア……やっば……」

「いつ見てもここからの景色は凄いぞ」

「うん……でも今日は自分の足で踏み入れてもいいんだよね?」

「今までは眺めるだけだったの?」

「私は手持ちいなかったからお母さん同伴じゃないとダメだったし、入れてもここから少しだけ中に入ったところまでだから自分の足でしっかりと歩くのは初めてなんだ」

「オレも自由に歩き回るのは初めてだぞ!!」

 

 ボクはもちろん、ホップもユウリもワクワクしている。早く1歩目を歩きだそう。3人揃っていざ1歩目を……

 

ダダダダダダダダッ!!

 

「「「えっ?」」」

 

 踏み出そうとした瞬間目の前を何かが駆け抜けて行く。

 

 オレンジ色の影だった気がするけどあまりにも速すぎて走って行ったであろう先を見てももう何も見えなかった。唯一視界に入ったのは電気の残滓くらいで少し肌がビリビリ痺れる感覚がある。あとはその何かが走り抜けた跡であろう場所が少し焦げているくらい……

 

「い、今のは……?」

「速すぎて……影しか見えなかった……」

「なんか、雷が落ちたかのような爆音だったぞ」

 

 一瞬という言葉がここまで似合う出来事もないだろうと言わんばかりの体験に呆然。せっかくの一歩が全く動かせない。というか一歩踏み出すタイミングを完全に逃してしまった。ホップとユウリも同じようで少しオロオロしてしまい……

 

「あれ、あんたたちまだここにいたの?」

 

 後ろからかけられた声に振り向くとそこにはソニアさんがいた。

 

「ソニアさん?」

「ソニアこそなんでこんなところにいるんだ?」

「お話は終わったんですか?」

 

 思い出すのはマグノリア博士と神妙な顔で話していた姿。どこか思い詰めているようなその姿は傍から見ても不安を感じてしまうくらいには悩んでいた。

 

「ええ。あんたたちのバトルとか姿勢を見てたらさ。わたしも頑張らないとなって思っちゃってね……それにおばあさまにあそこまで言われたらなんか、こんなところで燻ってられないなって。だからさ、ちょっと頑張って見ようかなって」

 

 ただ、今目の前にいるソニアさんの表情はあの時のような顔なんかじゃなくてどこか垢抜けたというか、吹っ切れたというか、憑き物が取れた清々しい顔をしていた。

 

「というわけで!ずっとってわけじゃないけどわたしもちょくちょくあんた達について行くからよろしくね!ジムチャレンジの先輩として色々アドバイスできることもあると思うしそういうところは任せなさい。ただわたしもあんたたちがまどろみの森で見たって言うポケモンの事は気になるし、わたしの研究の手助けになるかもだからその時は手伝いなさいよね!!」

 

 トンと胸を叩きながら自慢げに喋るソニアさん。無茶して喋ってるようにも見えないし大丈夫そうかな?

 

「さて、そういうわけだから早く行きましょ?ワイルドエリアを見て回るんでしょ?早くしないと受付遅れても知らないわよ〜」

「あ、おいオレたちが先に行くんだぞ!!」

「2人とも待ってよ〜」

 

 ソニアさんが先に行ったことによって先程の出鼻をくじかれた空気が霧散してみんなが走り出していく。

 

「ぐっだぐだだなぁ……」

 

 コウキたちと旅に出た時は一緒に一歩目を踏み出したのにあの時と比べるとなんとも締りのない一歩目だ。けどそれはそれで彼ららしいというかなんというか。

 

「ちょっと、置いていかないでよ〜」

 

 だけどこんな空気さえもどこかたのしい。

 

 先を走る3つの影を追いかける。

 

 自然と頬が上がったのを感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんて楽しんでいた時がボクにもありました。

 

「「「「うわああああああぁぁぁあぁあ!!!???」」」」

 

 4人で叫びながら平原を全力で走る。

 

 場所はワイルドエリアはうららか草原。駅から降りてすぐのエリアで自然が厳しいと言われるワイルドエリアの中でも比較的穏やかな場所で出てくるポケモンも人と触れ合う機会が多いせいか温厚な子が多い。しかし、あくまで多いであって少数ではあるがちゃんと気性が荒いポケモンはちゃんと存在する。そしてそのうちの1匹が。

 

「ワアアアアアアァァァァアグ」

 

 今ボクたちを猛追してくるイワークである。

 

 きっかけは些細なことでワイルドエリアのうららか草原を歩きながら野生のポケモンと触れ合ったり手合わせしたり、時にはワイルドエリアを歩いているトレーナーと戦ったりして色々な経験を積んでいる時だった。

 

 ちょうどいいサイズの岩場があるということでそこで休憩を一旦取る事に。各々が飲み物を飲んだり談笑している時に自分たちがもたれかかったり座ったりしている岩が微かに動いていることに気づく。それにおかしいと思ったボクたちが岩から離れるとその岩はどんどん激しく動き出し、その岩の正体がイワークであることがわかった。

 

 イワーク。いわへびポケモン。いわ、じめんタイプ。

 

 ボクのメッソンとホップのサルノリで4倍弱点をつくことができる相手だ。

 

 休憩所扱いされたことが嫌だったのか動き出して直ぐにボクたちを襲おうと構えてくる。それに対してボクとホップが対応すべくメッソンとサルノリを登板。ユウリのヒバニーとソニアさんのワンパチはイワークに対しての打点が薄いので今回はおやすみだ。出会った時よりも大分成長した姿を見せつけてやろうと2人で覚えたばっかりの新技、『みずのはどう』と『はっぱカッター』をイワークに繰り出した……のだが4倍弱点の技を2つ受けてもびくともしなかった。それどころか返しの体当たりがサルノリにあたり一撃で戦闘不能になってしまう。

 

(いやいや、はっぱカッターは物理技だからまだ納得……できるかぁ!!みずのはどうに至っては特殊なのになんでピンピンしてるの!?……まさか!?)

 

 嫌な予感がした後に図鑑をかざしてイワークの情報を読み取る。

 

『caution!!caution!!このイワーク、高レベル!!キケンロト!!キケンロト!!』

 

 ユウリも同じことをしていたみたいでボクの図鑑とユウリのスマホロトムから警告音が鳴り響く。

 つまりはこのイワークのレベルはとてつもなく高いということ……

 

 それがわかった瞬間のボクたちの動きは早かった。とにかく逃げる。急いで逃げる。メッソンとサルノリをボールに戻し全力疾走。だけど全然距離が縮まらない!それもそのはず、イワーク自体無茶苦茶遅いポケモンという訳でもないからだ。人間のボクたちじゃいくら走っても逃げきれなくて……先の場面に繋がると言うわけである。

 

「くそっ、あんなに強いなんて聞いてないぞ!?」

「はぁ、はぁ、もう、あまり、走れないかもっ…」

「ユウリ頑張って!!ソニアさん何とかする方法ないですか!?」

「先輩だからって無茶ぶりしないで!?」

 

 ボクとホップはまだまだ余裕がありそうだけどユウリが少し息が上がって来ている。もう少し耐えられるかもしれないけど限界はそう遠くない。

 

(早急になにか手を打たないと……)

 

 走りながら頭を回してとにかく考える。こういう時に絶対に逃げ切れる方法。

 

(なにか相手の気を引く方法があれば……そういえば……)

 

「ソニアさん!ソニアさんが初めてワイルドエリアに来た時に人形とか貰いませんでした?」

「人形?……貰った覚えはあるかも?確か……ピッピだったっけ?いざとなったら使いなさいって言ってたっけ?」

「やっぱり!!」

 

 走りながらリュックの中に手を突っ込み探す。少し走るスピードは落ちてしまうけどまだ距離はあるから大丈夫。焦らないように中身を確認して目当てのものを取り出す。

 

「あった!!」

 

 取り出したのはピッピ人形。ボクのポケモンはもちろん、色んな公園とか見に行くと、よくこの人形と戯れている所を見かけることが多いポケモンの大好きな玩具の一つだ。ワイルドエリアの入口でも何故か配ってる人がいたけど……つまりはこういうことなんだろう。

 

「ピッピ人形?それをどうするんだ?」

「これを……こうするの!!」

 

 一旦上に軽く投げて振り返る。迫り来るイワークをしっかりと見定めて……

 

「ピッピ人形をイワークにシューーーート!!!!」

 

 どこからともなく超エキサイティング!!なんて幻聴が聞こえた気がするけど気にしない。蹴られたピッピ人形は素人の蹴りゆえに変な軌道を描いて飛んでいくけどそれが逆にイワークの気を上手く引き、目線が逸れる。

 

「今だ!!みんな急いで離れよう!!」

 

 そのままピッピ人形に視線を奪われている間に全力で離れる。数十秒程走り続けてようやくイワークの影が見えなくなったあたりの木陰まで来て腰を下ろす。

 

「なん、とか……逃げきれ、た……」

「ユウリ大丈夫?お水飲む?」

「ありがとうございますソニアさん」

「サルノリ、げんきのかけらだぞ。ごめんな、無茶させちゃって」

「キズぐすりとかもあるから使って。大変なようなら手伝うから」

「サンキューフリア」

 

 ひと段落着いたことで各々が体制を整えるために色々作業を行う。野生のポケモンに襲われること自体は初めてではないんだけどこうもレベル差のある子に追いかけられたのは久しぶりだ。以前の手持ちのみんなは大分強くなっていたからそこら辺の野生に遅れをとることなんてなかったしね。それにしても序盤にこんなに強いポケモンに襲われるとは露も思わなかったけど……

 

「過酷過酷って聞いてたけど最初の草原にあんなに強力な子が出てくるとは思わなかったよ……」

「私もすっかり忘れていたわ……そういえばこういうところだったわね、ワイルドエリア」

「でも、あんな奴がこの辺でも出るってことはこの先もっとやばいのがうじゃうじゃいる場所もあるってことだよな!それがわかっただけでもますます楽しみになってきたぞ!!」

「私はもうちょっと安全というか穏やかな旅でもいいかなぁなんて……」

 

 超絶ポジティブなホップに苦笑いを浮かべるユウリ。ボクもどちらかと言うとユウリの意見に賛成だからその気持ちはよく分かる。

 

「まぁ、でも旅にトラブルは付き物よ。わたしもダンデ君と一緒に回った時もあったけどその度に色々巻き込まれたもの。それを楽しめるかどうかはその人次第だけどね」

「オレは楽しいぞ!」

「わたしはもう少し安定してもいいかも……」

「とは言ってもトラブルのない旅なんて実質旅じゃないみたいなものだからね。そういうの含めて旅だと思うし」

「成程……」

「これからもっと大変になるよ〜?」

「うぇ〜……無駄に不安を煽らないでよ〜、嫌だなぁ」

 

 ボクの言葉に嫌と返答いながらもどこか緩んでる顔を見るあたり、ユウリも満更ではなさそう。やっぱりポケモントレーナーたるもの、心の底では楽しんでることの方が多いみたいだ。実際楽しいもんね。仕方ない。

 

「よし、大分回復したしそろそろワイルドエリア探索を再開するか!」

「そうね。あまり遅くなるとエンジンシティに着くのも遅れちゃうし適度なスピードをもって回りましょ。せっかくのダイマックスも体験したいでしょ?」

 

 ホップとソニアさんの言葉に頷きながら立ち上がるボクとユウリ。軽く伸びをして体を解しながら次の散策場所を見定めようと周りを見渡して……

 

「あれ、こんなに霧かかってたっけ?」

「ううん、イワークから逃げてた時はまだ晴れてたと思うけど……」

 

 天候変化。

 

 ワイルドエリアの特徴のひとつだろうそれを今目の前で体験した。さっきまで晴れ渡ってて気持ちの良かった草原は一転して少しピンクかかった霧に覆われ始めていた。

 

「しかもこれただの霧じゃない。ミストフィールドだ」

「天候どころかフィールドまで変わるんだ……ワイルドエリアすっご……」

 

 ホップの言葉にさらに驚く。雨とか砂嵐ならまだしもミストフィールドなんて自然に起きるものなのか怪しいところだけど起きてるということはそういうことなんだろう。俗に言う、なっとるやろがいと言うやつだ。

 

「自然にミストフィールド展開ってドラゴンタイプ涙目な状態だね……」

「霧は結構珍しい天候なんだ。そしてミストフィールドがはられる以上フェアリータイプのポケモンが多く見られるようになる。もしかしたら珍しいポケモンがいるかも……」

 

 ホップが説明しながらあたりを見渡す。それにつられてボクも見渡してみると紫に光る柱のようなものが目に入る。

 

「ねぇホップ。あの光はなに……?」

「光?……あれは!?」

 

 光の方に走り出すホップとそれに続くソニアさんとユウリ。その3人に置いていかれないように追いかけてたどり着くと光の根元にぽっかりと空いていた大きな穴をみつめていた。

 

「これは巣穴って言われるものでね。こうやって光の柱がたっている時はダイマックスエネルギーが充満している証拠だ」

「しかもこれだけの強くて太い光となるとかなりのエネルギーね」

「ちなみにエネルギーが充満してるとどんなことが……?」

「試してみる?」

 

 イタズラな顔を浮かべるソニアさんに返事をする前に手を掴まれてその穴の中へと体を滑り込ませていく。後ろからホップとユウリも着いてくる気配を感じながらどんどん穴の奥へ。程なくしてたどり着いた場所はとても開けた空間で天井がかなり高く、奥行きもそこそこにある巨大な空間だった。そしてその空間の真ん中に赤黒い雲におおわれた何かが。

 

「さぁフリア、準備して。ここはあなたに任せるわ」

「オレたちがバックアップするから派手に決めるんだ!!」

「初めてのレイドバトル……ワクワクするね!!」

「え?え?」

 

 何がなんだか分からないまま混乱しているボクをよそにワンパチ、サルノリ、ヒバニーをそれぞれ繰り出す3人。元気よく飛び出してきた3人が戦闘準備を構えたと同時に雲が晴れていく。その雲の中には……

 

「うそ……でっか……これが……」

 

『ラァァァァァァァァ!!』

 

 通常の何十倍も大きな体を見せつけながら吠えるのは『きもちポケモン』ラルトス。それがダイマックスした状態でボクたちを待ち構えていた。

 

「これが、ダイマックス……」

 

 想像以上にでかいその姿に呆気に取られていたその時。ボクの腕が赤く光り出す。光につられて目線を落とすとそこにはマグノリア博士から貰ったダイマックスバンドが。

 

「フリア!!そのバンドをつけている手でモンスターボールをもって強く願うんだ!!」

 

 ホップの言葉に頷き、モンスターボールを1つ手に取って目を閉じ、胸に当て強く願う。

 

(皆と一緒にあのラルトスと戦うために……お願い!!)

 

 さらに強く光り出すダイマックスバンド。溢れ出した光はバンドから開放されるかのように外に溢れ出し、その光はそのままボクの胸に当ててあるモンスターボールへと収束していく。光が完全にボールに吸収された瞬間、今度はボールが赤く光だし、同時にどんどんとサイズが膨れ上がっていく。

 

(重たい。それに力強い熱さを感じる……)

 

 両手にずっしりと感じる重み。肌を焼くような、それでいてどこか暖かくて優しい熱。その2つをじっくりと感じていくうちにいつの間にか精神が集中されていく。

 

「フリア!!」

 

 ユウリの声に弾かれたように反応し大きくなったボールを天高く放り投げる。高々と飛んだボールが開き、中から現れるのは……

 

『メソォォォォォォォ!!』

 

 巨大化し、ラルトスに負けじと大声を張り上げるボクのパートナー。頭上に赤黒い雲を浮かせながら佇むダイマックスメッソン。

 

「さあ行くよ!メッソン!!」

 

『メソッ!』

 

 呼びかけながらポケモン図鑑でメッソンの技を調べ直す。すると使える技の欄がいつもの技から『ダイアタック』『ダイストリーム』『ダイウォール』へと変わっていた。

 

 恐らくそれぞれのタイプに応じた技、ここで言えばみずタイプの技がダイストリームへと変わりノーマルタイプの技がダイアタックへと変わり、変化技はダイウォール、要はダイマックス版の守るに変わる。ということだろう。しめつけるとはたくが両方ともダイアタック表記に変わっているので間違いは無いはずだ。今のところ2つのダイアタックの違いは分からないけど恐らく元の技の威力を参照したダイマックス技に変わるのではと予想しておく。

 

 さて、兎にも角にも初ダイマックスである。

 

「まずは……メッソン、ダイアタック!!」

 

『メソォッ!!』

 

 メッソンが四股を踏むように地面に足を叩きつけるとラルトスの足元から衝撃波が立ち上り直撃する。後ろにたたらを踏みながら何とか耐えるラルトスは先程よりも少しゆっくりした動きで構えをとる。

 

(やっぱり素早さが下がっている。ダイマックス技にはそれぞれ追加効果がついてくるって博士やホップたちに教えてもらったけど……これは強力だね)

 

 この先ジム戦でも使われることを考えたらちゃんと対策しないとヤバそうだ。そんなことを考えている間にラルトスが動く。

 

 天から円状のエネルギーが何発も降り注いでくる。狙いはメッソン。ダイアタックを受けたのが気に食わなかったのかやり返しとばかりに打ってくる。

 

 避けてと指示したくなるが体が大きくなったから避けることが難しい。その分体力は増えているけどだからといって攻撃が痛くないわけじゃない。そのままメッソンに当たると恐らくエスパー技のエネルギーと思われるそれが地面をつたって広がっていく。

 

「サイコフィールド……こうも戦況がコロコロ変わると判断狂わされそうだね」

「感想言ってる場合じゃないぞ!!サルノリ、『はっぱカッター』!!」

「ヒバニー、『ひのこ』!!」

「ワンパチ、『スパーク』!!」

 

 3匹がそれぞれの自慢の技を次々と叩き込む。さすがに三体同時は少し痛いらしくぐらつくがそれまで。ダイマックスによって耐久が上がったラルトスを止めるには至らず再び技を構える。直ぐにメッソンに指示を出して止めたいけど……

 

(ダイストリームを打つと雨が降る。そうなるとヒバニーの火力が……)

「フリア!!私とヒバニーは大丈夫!!気にせず打って!!」

「っ!!メッソン、『ダイストリーム』!!」

 

 ユウリの声を聞いてヒバニーとユウリを信じてダイストリーム。勢いよく放たれる大量の水がラルトスを襲うと同時にしとしとと雨が降り出す。同時にヒバニーが少し顔を顰めた。

 

(ごめん。後でオレンのみあげるね)

 

 ヒバニーに心の中で謝りながら追撃準備。しかしダイストリームによって巻あがった水しぶきから衝撃波が飛び出してきてワンパチにあたる。そしてワンパチから飛び出たエネルギーがラルトスの方へ行き、ラルトスが少し元気になったように見える。

 

「ドレインキッス!?普通の技も使えるの!?」

「野生のポケモンがダイマックスした場合は何故か普通の技も使ってくるのよね……これを火力が落ちたと捉えるか幅が広がって厄介と捉えるかは人次第だけど……っ!?」

 

 傷ついたワンパチを気遣いながら説明するソニアさんの言葉を遮るように攻撃がくる。

 

『ラァァァァァァァ!!』

 

「メッソン!!受け止めて!!」

 

 ねんりきを発動させてサルノリとヒバニーが吹きとばされた所をメッソンが両手を広げて受け止める。何とか体勢を立て直そうとするけどその前にさらにラルトスが追撃をしてくる。

 

「上か!!」

 

 上からの嫌な予感を感じて見上げると遠くに3つの星が見える。

 

(今から迎え撃つには時間が足りない。なら!!)

 

「メッソン!!あの星を受け止めて!!ユウリ!ホップ!ソニアさん!その間にラルトスの体勢を崩して!!」

「「「了解!!」」」

 

 言葉と同時にヒバニー、サルノリ、ワンパチがかけ出し、3匹と入れ替わるように星が落ちてくる。

 

「メッソン頑張って!!」

 

 その3つの星を受け止めるメッソン。もう体力はギリギリだけど確かに耐えてくれた。そして広がるフェアリーの空間、ミストフィールド。状態異常を弾くその空間で3つの影がラルトスの足元へたどり着き……

 

「サルノリ!!右足に全力で『えだつき』!!」

「ヒバニー!!こっちは左足に『にどげり』!!」

「グルゥキィァ!!」

「バニーッ!!」

 

 両足に衝撃を受けて前につんのめるラルトス。そのまま前かがみになるように落ちてくる頭。

 

「ワンパチ!!頭に向かって『スパーク』!!」

 

 その頭に向かって下からアッパーを打つような軌道で駆け抜けるワンパチ。直撃を受けて今度は体が上に伸びていく。絶好の攻撃チャンス。

 

「「「フリア!!」」」

「メッソン!!『ダイストリーム』!!」

 

『メェェェソォォォォォォォッ!!』

 

 ホップ、ユウリ、ソニアさんの言葉に答えるように大声で指示を出す。そしてその指示に答えるように体を水色に淡く光らせながら全力のダイストリームを放つメッソン。淡く水色に光る体は体力の減ったメッソンの特性『げきりゅう』が発動した証。さらに先程のダイストリームによって起きた雨で強化された水技。今のメッソンが出せる最高火力。先程よりも明らかに激しくなった水流がラルトスを撃ち抜き大爆発。力尽きたのかラルトスのダイマックス化が解けていき小さくなっていった。

 

 レイドバトルで、ボクたちが勝利した瞬間だった

 

 メッソンもダイマックスの時間切れなのか元の大きさに戻って行く。

 

「メ、メソ〜…」

「お疲れ様メッソン」

 

 直ぐに頭の上に乗って伸びるメッソンを撫でて労う。

 

「お疲れフリア!!ナイスダイマックスだったぞ!!」

「凄かったよ!!私も早くやってみたいなぁ」

「初めてなのに凄い上手かったわね」

「ありがと!みんなのアシストのおかげだよ!!」

 

 戦い終わりにみんなでハイタッチ。

 最後の体勢崩しはほんとにナイスだった。

 レイドバトル。癖になるかもしれない……。

 

 そんなこんなで激闘を終えてボク以外の3人がそれぞれの相棒を癒したりポケリフレを行っていく。

 

(さて、ボクはっと)

 

「大丈夫?」

 

 先程倒したラルトスの元へ急いで駆けていた。成り行きとはいえ実際のところラルトスは何も悪いことはしていない。ササッと治療をしてあげて元に戻してあげるんだけど……

 

「ラ、ラル……?」

「ん?どしたの?」

 

 傷が治ってひんしから立ち直ったラルトスが左右を見渡して頭を傾げている。

 

「もしかして……覚えてない?」

「もしかしたらダイマックス化して暴走してた子かもね。たまにいるのよ、制御出来なくなった子が」

「そういう場合もあるんですね……その時はどうするんですか?」

「手に負えなくなったらジムリーダーやチャンピオンが対処するわ。でも基本はトレーナーや野生の子たちに任せてあるの。巣穴からダイマックスポケモンが出てくることはないからね」

「成程……」

 

 ソニアさんからダイマックス事情を聴きながらもポケリフレとアフターケアは欠かさない。勿論メッソンもちゃんと治療して上げてて今は頭の上でぐでーっとしてる。すごく可愛い。

 

「はい。これでOK」

「相変わらず見事な手際ね〜」

「これでも一地方旅してきた身ですし、周りにやんちゃものが多かったので……さぁ、これでもう大丈夫だよ」

 

 ラルトスの頭を撫でて治療の終了を伝える。そのタイミングでホップとユウリも終わったらしくこちらに来ていた。

 

「さて、じゃあ次はどうする?ユウリとホップもダイマックスしたことないなら経験するためにも他の巣穴に行ってみる?」

「だな。オレも早くやってみたいぞ!!」

「私も!ジムチャレンジの開会式前には1度経験してみたいかも」

「じゃあ決まりね。次の巣穴行って試してみましょうか」

 

 ソニアさんの言葉に頷いて皆で一歩を踏み出そうとしたその時。

 

 グイッ

 

「ん?」

 

 裾を引っ張られる。後ろを振り返ると足元にラルトスが。

 

「どうしたの?」

「ラル!ラル!!」

「気に入られたとか?」

「え!?ボク何もしてないんだけど……?」

 

 でも足元のラルトスを見るとボクの方をじっと見つめていた。

 

「ポケリフレ熱心にしてたし、そこで気に入られたんじゃない?少なくともこの子はあなたに惹かれてるみたいよ?」

 

 ソニアさんの言葉を聞いている間も見続ける。ラルトスもボクから目をそらさない。

 

「ラルトス。ボクについてきたい?」

「ラル!!」

 

 足にぎゅっと捕まってくるラルトス。ラルトスがこういっているなら……。リュックから空きのモンスターボールを取りだしラルトスにコツンと当てる。ラルトスが光に包まれてボール乗ってに入り、数回揺れたあとポンという音を立てながら揺れが収まる。ボールをひとなでして解放。

 

「ラルラル!!」

「おっとと」

 

 ボールから出した瞬間抱きついてきたラルトスをまた撫でてあげる。正直なんでこんなにも懐いてきたのかボクには分からないけど……でもここまで懐いてくれてるならちゃんと応えてあげよう。

 

「これからよろしくね。ラルトス」

「ラル!!」

 

 ボクの服を握りしめて答えるラルトス。メッソンに続いて2匹目のガラルでの仲間。ボクに新しく、そして頼もしい仲間がまた増えた瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ワイルドエリア

やっと到着です。
文字数多いですかね?
あれも描写しなきゃ、これも描写しなきゃ、でもこれも書きたいとなると自然とこんな感じに……
展開遅くない?と言われたら頭を下げます。

イワーク

私もやりました。
サルノリを選んだ私はまあ勝てるでしょと意気揚々と挑んであまりのレベル差に唖然してピッピ人形を即投げしました。
それからというもののワイルドエリアを走る足が少し慎重になってました()

ラルトス

天候が霧の時、うららか草原のIの巣穴で出てきます。
そしてフリア君の二匹目の仲間ですね。
ガラルのポケモンで統一も考えましたけどそうするよかちゃんと他の地方の子たちも捕まえてた方が自然だし、偏りもないかなと。
幸いにも手持ちを自分なりにできるキャラはもう1人いますからね。

ダイマックス

実は描写が難しい。
ゲームとしては読み合いがあって楽しいかもですがアニメとかだと巨大化しちゃうので機動力が落ちてしまいサトシお得意の戦法が使えないという描写の意外な難しさが出てきます。
この先も上手くかけるかどうか……

そういえばアニメのサルノリの鳴き声。
あれって英語名の「Grookey」(ぐるーきー)からとってるんですよね。
相変わらず発想が凄い。
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