【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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ダイパの化石堀が楽しすぎる……


65話

「あのポケモンはいったい……?」

「バッチャ……?」

「わわ!?私に何か用?」

 

 ボクたちに気づかれても、先程のギモーのように取り乱すなんてことは特になく、そのままユウリの周りをぷかぷかと浮かびながら旋回するティーカップのポケモン。何故ユウリの周りにふよふよ浮いているのか本人が理解出来ずに、またこれからどうすればいいのか分からずにわたわたしている所をボクらもどうすればいいのか分からないので対処に困ってしまう。

 

(とりあえず図鑑をかざして情報をっと……)

 

 何をするにしてもまずは情報。ロトム図鑑にお願いをしてこのポケモンの詳細を調べていく。

 

『ヤバチャ。こうちゃポケモン。ゴーストタイプ。

 体の渦巻が弱点。かき混ぜられると形が崩れ、めまいを起こしてしまうのだ』

 

 ボクのロトム図鑑から聞こえる音声に耳を傾けながら、ヤバチャのその他目で見えるデータを軽く流し見していく。身長も体重もボクが知っている中でダントツで小さいポケモンだ。というのも、どうやらカップに目と口と思われるものが描かれておきながら本体は中身の、渦巻き模様の入った紫色の部分らしい。カップの模様は単にゴーストタイプ特有の力とかで動かしているのだろうか?色々と分からない点は多いけどそれ以上に気になる点が1つ。

 

「とりあえずこのポケモンの名前はわかったけど……なぁ……?」

「ホップの言いたいことは分かったと。……確かにこの子、ヤバチャって子みたいだけど……」

「図鑑と色が違うね……」

「まさか……色違いか!?」

 

 それは図鑑に映っているヤバチャの姿と、今目の前にいるこのヤバチャの見た目が違うと言うこと。先程も言った通り、今ユウリの周りをふよふよしているヤバチャは、自分が入っているティーカップの色が鮮やかなピンク色なのに対して、図鑑に載っているヤバチャは水色のティーカップに体を預けている。これが、自分が入るティーカップによって色が違うということでおるのならば、まだ説明はつくんだけど……こればかりは他のヤバチャの個体を見て見ないと判断は出来なさそうだ。ホップの言う通り、この個体が色違いという可能性は全然あるけど、過去の体験談を考えるとちょっと考えてしまう。

 

(カラナクシがテンガン山を分けて西と東で姿が違うこと知らなくて色違いだって騒いでいた黒歴史が……)

 

 と、そこまで思い出して無理やり記憶封印する。そんな記憶はない。うん。封印完了。

 

 色違い。

 

 突然変異なのか、はたまた環境によるものなのか、他の個体と比べて色が違うポケモンたちのことを表す言葉。地方が違うことによって起きる、リージョンフォームとは違い、タイプやポケモン自身の能力は元の個体とは一切変わることはなく、単純に体の色が違うだけ。ただ通常の個体ではないのに変わりは無いためかなり貴重な存在とされており、一部のマニアがこぞって手を伸ばしてしまうほど。勿論中には悪意ある手もあるけどね。預かり屋で出会ったポケモンハンターとか……

 

 話を戻そう。

 

 今ボクたちの目の前には野生の色違いかもしれないヤバチャがいる状態だ。このポケモンがどこからきて、どうしてここに来たのか理由が気になるところだけど、ヤバチャ自身は未だにユウリとじゃれあっているし、ユウリ自身もあたふたしててこちらの様子に全く気付いていない。また、そのじゃれあっている姿がとても楽しそうに見えるからこちらから声をかけるのもちょっとためらってしまうような空気感だ。と、しばらくその風景を見つめていると、ヤバチャの体がゆっくりとユウリの手元にあるティーカップに向かっていく。その中にはまだボクが淹れた紅茶が残っているわけで……

 

「あ、単純に紅茶の匂いにつられてきたんだ」

 

 ふとよそに視線を向ければ、マリィとホップのカップは空になっており、残りはユウリも持っているそれだけとなっている。ヤバチャがユウリに絡んでいるのもそういう事だろう。

 

「欲しいの?」

「バチャバチャ!!」

 

 そんなヤバチャの姿から紅茶をねだっていると感じたユウリが今度はヤバチャに譲ろうとすると、嬉しそうな声を上げながら紅茶に飛び付くヤバチャ。美味しそうな、そして幸せそうな顔を浮かべながら飛び付くヤバチャを見る限り、どうやら本職の方にも満足いただけたようだ。安心安心。ヤバチャが紅茶に夢中になったおかげでようやくユウリが解放され、こちらの会話に混じっていく。となれば議題は次のものへと変わっていく。

 

「さてと……ユウリ、この子どうすると?」

「う~ん……どうしよう?」

「ん?こんなにも仲いいんだし仲間にしないのか?」

「仲がいい……かなぁ?」

 

 マリィとホップの言葉に首をかしげるユウリ。確かに一見仲がいいように見えるけど、その実単に紅茶に惹かれただけなきがして、ユウリもその気配を感じ取っているからこその生返事。

 

「ヤバチャ~?」

「バチャバチャ~!!」

「……やっぱり私の声聞こえてない」

 

 ヤバチャを呼ぶユウリの声を無視してひたすらに紅茶に飛びつくヤバチャ。その姿にマリィとホップも納得したのか微妙な顔を浮かべる。勿論仲間にするだけならば、バトルをして弱らせてからボールで捕獲をしてしまえばいい。というか最近のボクたちの行動のせいで勘違いされるかもしれないけど、そもそもポケモンの捕獲というのはそうやって行うものだ。ボクたちのように運命的に出会い、自然と仲間になってパートナーとなる事例といのはかなりレアなことだ。そのはずなんだけど……

 

(うちのメンバーで絆ゲットってマホミル、アブリー、ヒンバス、ユキハミ、そして今日ギモー……珍しいとはいったい?)

 

 ボクの手持ちでバトルしたのはキルリアだけという事実に頭を思わず抱える。そのキルリアでさえ、戦いが終わった後に自分からついてきたいと言ったので半分絆ゲットのようなものだ。さらに言えば、実はヨノワールもヨマワルの時に出会い、そのまま絆ゲットとなっている。

 

(あれ?ボクろくに野生とバトルしてない……)

 

 まぁ、そんなこともあるだろうし、このゲット方が多いからと言って悪影響はないしいいだろう。そして話がまたもや脱線してしまったので戻そう。

 

「とりあえず、ユウリにゲットのつもりはないの?」

「う~ん、それがね?今までの子がみんな不思議な出会い方だしバトルしてゲットしたわけじゃないから、なんだか戦って捕まえるってことに抵抗が……」

「ごめん……ごめんよ……」

「なんでフリアが謝るの!?」

 

 前言撤回。どうやら悪影響だったようだ。

 

(ユウリ。このゲットがおかしいんだ。慣れちゃダメなんだ……)

 

 と言いたいけど、ボク自身絆ゲットは大好きだし、現状の手持ちたちのせいで説得力がないため心の中で謝るにとどめることに。おかしい、どこで間違ってしまったのか。

 

「まぁ、捕まえる気がないなら放置でいいんじゃなかと?」

「だな。気が済めば自分の家に帰るさ」

「……うん。そうだね。あ、カップはどうしよっか?」

「明日の朝でいいんじゃない?ボクが洗っておくよ」

 

 ということで満場一致で放置することに。

 

(色違いかもしれない貴重なポケモンを目の前にしてこのような対応を取るなんて、ほかの人からしたら信じられないんだろうなぁ)

 

 ここにいるメンバー皆が、基本的にポケモンの意思を尊重する考えを持っている人たちだからこそ起きた、ある意味奇跡のような状況だ。そうと決まればボクたちの行動は速いもので、携帯を確認すればかなり遅い時間を差していることもあり、ティータイムを切り上げるためにヤバチャがくっついているティーカップ以外の食器を片付けていく。ポケモンたちも手伝ってくれたおかげでスムーズに進み、あっという間に完了。

 

「じゃあ寝よっか」

「うん。みんなお休み~」

「お休みだぞ!」

「お休み~。眠か~……」

 

 手持ちのポケモンたちも皆ボールに戻った。あとは各々のテントに入り、シュラフの中に身を滑り込ませるだけ。そう思っていたその時。

 

 

『ジリリリリリリリリリ!!!』

 

 

「「「「うるさいッ!!??」」」」

「バチャッ!?」

 

 突如響き渡る大音量のベル音。まるで耳元で目覚まし時計が鳴り響いたかのような、不快感を感じる音に思わず耳を塞いでうずくまるボクたち。徐々にたまっていた眠気なんて勿論彼方まで吹っ飛んでしまった。そんな不満感だらけな感情を表すボクたちとは対照的に、どこか焦ったような、それでいておびえたような声を上げているのはカップにくっついていたヤバチャ。

 

 暫く慌てた様子でおろおろしたヤバチャは、慌てて空中へ浮かび上がり森の奥に飛び去ってしまう。

 

 嵐のように過ぎ去って行った一瞬の出来事。しばらく顔を向き合わせるボクたちは、少し固まってしまい動き出しが遅れてしまうものの、みんなの考えはひとつの方向に固まっていた。

 

「なんか、ヤバチャの様子おかしくなかったか?」

「物凄く怯えてたと」

「向かったのはあのベルの音がなった方向だから……あっちかな?どうするユウリ?」

「……」

 

 正直聞かなくてもわかる質問。だけど、今回に関してはユウリの意見を聞いてから動きたい。確かに信頼関係とか絆とかはまだ特にないけど、この中であのヤバチャを1番気にかけているのは間違いなくユウリだ。彼女の口からどうしたいのかを聞いてから動きたい。

 

「行こう。眠気も無くなっちゃったし、なんだか心配だから」

 

 もちろんユウリからの言葉はヤバチャを追いかけること。みんなで頷きあって、ベルの音が聞こえ、ヤバチャが飛んで行った方向に走り出す。テントをそのままにしているのが少し気がかりではあるけど、音の聞こえ方からしてそんなに遠くはないとは思うので大丈夫だろう。暗くて見づらい足元は、ユウリのとラビフットとマリィのモルペコが照らしてくれている。夜遅い時間のせいと、夕食とティータイム後の満腹感のせいで眠気に襲われている2匹だけど、そこは主の願いを聞き届けるために一生懸命頑張ってくれている。モンスターボールの中にいたから、ベルの音も少しは聞いているにせよ、だいぶ軽減されているはずだしね。

 

 兎にも角にも、あまり距離がないということがわかっている以上、そこまで急がなくてもたぶん追いつけると信じている。あまり全力で走っちゃうとおなかを痛める可能性もあるし、最悪の場合戻してしまう可能性も出てきちゃうからね。

 

 そんなボクの予想もばっちり当たっていたみたいで、ほんの数分程、ヤバチャが飛んで行った方向へ走っていると、ほどなくして少し開けた地が視界に入ってきた。その開けた地には、遠目から見ても何かが浮いているのが確認できたため、ボクたちはその開けた地の手前にある太い木の幹に体を隠しながら広場の様子をうかがってみる。

 

「これは……」

「凄いぞ。魔法みたいだ」

 

 木の幹から隠れながら伺った広場には、ホップの言う通り魔法のような光景が広がっていた。空中を飛び回るヤバチャの群れは、まるで目に見えない存在がカップを片手に踊り、乾杯をしているように見え、おそらくヤバチャたちが行っているのであろうカップ以外の空を飛ぶ物たち……机や椅子、時計、皿、ナイフ、フォーク等々……がヤバチャたちと縦横無尽に飛び回る姿は、ここが現実の場所ではないように錯覚させるほど目を見張る光景だった。

 

「あの飛び回っている時計からあの爆音が聞こえたのかな……」

「だとしたら、この集会を指示しているのは……あの子?」

 

 ユウリとマリィの言葉を聞きながら向けられた視線は、この魔法のような状況の中心にいる一匹のポケモン。ヤバチャがティーカップのような見た目をしているのに対して、こちらはまるでティーポットのようなもの……というか、ティーポットそのものに体が入り込んでいるように見えるその姿は、全くあのポケモンのことを知らないボクでも、おそらく進化か何かしらでヤバチャと関係があるポケモンなんだろうなというのがわかるくらい、あからさまな見た目をしていた。試しにロトム図鑑を構えてみる。

 

『ポットデス。こうちゃポケモン。ヤバチャの進化系。ゴーストタイプ。

 とても独特な味と香りをしている。信頼しているトレーナーには少しだけ味見を許してくれる』

 

「やっぱりヤバチャの進化系みたいだね」

「ティーカップとティーポットのポケモン……なんかおしゃれだね」

「それには同意……けど通常の個体はどちらも水色なんね?ってことはあの子、やっぱり色違いだったんね」

 

 マリィに言われて改めて広場に集まるヤバチャたちを観察すると、確かに全員もれなく水色の模様の入ったティーカップの姿をしている。つまりは、先ほどまでボクたちが見ていたあの子は正真正銘色違いのヤバチャだったという事だ。

 

 広場に集まったヤバチャたちは、中心にいるポットデスの指示の下、その飛び回っていただけの動きをだんだんと正していき、最後には全員がきれいに並んで待機した状態になった。それも、先ほどまで好き勝手飛ばしまわっていた机や椅子たちを綺麗に並べたうえで、その机の上に置かれるようにしてだ。机の上にきれいに整列したヤバチャたちの目の前にはおいしそうな木の実が並べられていき、その様子は先ほどまでボクたちが行っていたお茶会のようなものにも見えた。ヤバチャ、ポットデスから香る紅茶の匂いと、木の実の甘い匂いが合わさり、先ほどの魔法のような雰囲気と相まって童話の中の物語を見ているような、そんな感傷に浸ってしまうこの状況。ボクたちが招かれざる客だということを忘れて見入ってしまっていた。

 

「凄い……夢見てるみたい……」

「うぅ……こんなにもおいしそうな匂い……またお腹が……」

「ちょ、ユウリ!?その発言はやばか!」

「でも、ユウリの言いたいこと……ちょっとわかるぞ」

 

 今見ているこの譲許をにわかに信じられずに見入っているボクたち。どこから見ても幻想的なその景色は、しかし遠目にみているからこその違和感が少しあった。

 

「あの空席なんだろう……?」

「やっぱりフリアも気になったと?あたしも違和感感じてて……」

 

 ボクとマリィも気づいていた違和感は綺麗に並んでいるヤバチャの列の間にひとつだけぽっかりと開いている隙間。あれだけ綺麗に整列しているのならあんな隙間をわざわざ作るとは思えない。何かしらの理由があるとみていいと思うんだけど……ここまで考えておいて、ボクたちが追いかけていた存在を思い出す。ボクたちがここにこれたのは、当初はわからなかったけど、今となっては確定された色違いヤバチャを追いかけていたからだ。とすれば、あの空席には色違いのヤバチャが座ると考えていいんじゃないかな?

 

「あ、あそこ!!」

 

 突如、控えめに叫ぶというなんだか無駄に器用なことをしたユウリが差す指の先には、ボクたちが追いかけてきた色違いのヤバチャおり、そのヤバチャがふわふわ飛んできてゆっくりと着地する。

 

(こうしてみると水色の中にポツンとピンク色がいるのはすごく浮いて見えるなぁ……)

 

 恐らく今からあのピンク色を見逃したとしてもすぐに視界にとらえることができるくらいには目立っている。

 

 そして、それはヤバチャたちの中でもそうみたいだ。

 

「なんだか、あの色違いの子がきた瞬間空気が少し悪くなったね」

「やっぱりそうだよな。俺もちょっと嫌な空気を感じたぞ」

「というより、現在進行形でどんどんギスギスし始めてるね」

「「「え?」」」

 

 ボクの発言に一斉に疑問の声を上げる3人。その視線を横目にヤバチャたちのお茶会に指を差すと、ちょうど差されていた付近のヤバチャたちが 遠目から見てもわかるほど白い眼を色違いの個体へとむけている。その様は明らかに腫物を扱うかのような反応で、この集会の中でのあのヤバチャの立ち位置がよくわかってしまった。

 

「どうしてあんな扱いなの?あの色、とても綺麗なのに……」

「物凄く単純な理由な気がするけどね」

「え?」

 

 ユウリがどうしてと思っているけど、何となくヤバチャたちがあの色違いの子をないがしろにしているのかがわかったような気がする。

 

「一体どういう理由なんだ?」

「たぶんだけど……()()()()()()。じゃない?」

「色違いだから……どうして?」

「自分達と見た目が違うからだよ。人間にしたって話はよく聞くでしょ?周りと違う孤立した人の扱いを悪くするって話」

「……いわゆるいじめっ子の発想と?」

「まぁ、そんなところ」

 

 マリィの言葉に頷きながら答える。一方でいまだに納得いった顔をしていないユウリとホップ。ユウリもホップもいじめなんかとは縁遠そうな優しい子だから想像しずらいかもしれなね。かく言うボクも、スクールとかに通っていたわけではないから、詳しくは知らないんだけど……例えば四十人子供がいるとして、そのうちの一人が髪の色が違ったりすると、その子は周りと違う特徴を持っているため、周りからいじられやすい。これが大人の集団なら、それも個性の一種としてとらえる事ができるんだけど、子供の集団なら話が違う。まだまだ心が未成熟な子供にとって、自分と違う異物は恐怖、ないし拒絶するものになりやすい。先ほど挙げたいじられやすいという言葉も、いじりで済めばいいんだけど、子供という良くも悪くも正直な心はそういうのを関係なしに真っすぐと意見を言ってしまう。

 

 恐らく、今あのお茶会でも起きていることもこれに似ていることなのだろう。色違いの生き物というのは、確かにボクたち人間にとってはとてつもなく珍しいものだ。しかし、同じポケモンたちにとってもそうかと言われたらたぶん違うというのがボクの考え。ボクたちの立場で言えば、髪の色や目の色が他人と違うという感じだ。となれば、ヘイトが向かってしまうのも、こうやって白い目を向けられるのも納得できる。勿論、全部ボクの妄想の可能性だってあるけど……

 

(だとしたら、ベルの音を聞いたあの時の焦ったような、それでいてどこかおびえているような表情に説明ができないんだよね)

 

 色違いの子を追いかけたのに、お茶会に姿を現したのが色違いの子の方が遅かったこともそう思う理由の一つでもある。少しでもゆっくり行ってここにいる時間を短くしたかったのかもしれない。

 

 と、ここまで説明を終えて、再び視線をお茶会へとむける。ユウリとホップの寂しそうな顔が少し胸に刺さるけど、こればかりはどうしようもないのでボクも黙って見守ることにする。

 

 そうして進んでいくお茶会は、若干のぎこちなさを抱えてはいたものの、とりあえずはたのしそうに、そして和やかに進んでいった。机の上にあった沢山の木の実たちはその数を順調に減らしていき、すでに数えられるくらいしか残っていない。このままいけばそう遠くないうちにお茶会は終わることとなるだろう。

 

「ちょと心配だったけど、特に何も起こらなさそうだね」

「色違いの子も見れて、こんな面白いお茶会も見れて……うん。かなり貴重な体験をしたと」

「あの木の実も美味しそうだったなぁ……またポフィン食べたくなっちゃった」

「俺も、小腹すいてきたかもだぞ」

 

 お茶会の終わりを感じ取り始めたせいか、ボクたちもいそいそとテントに戻る準備をする。そこそこ長い時間いたことと、甘い匂いの中に体を置き続けたせいか、小腹がすき始めているみんなのために、まだ残っているポフィンを少し取り出そうかななんて考えていると、お茶会の方に動きが出始めて視線がそちらに吸い寄せられる。ユウリ達も同じみたいで、4人で同じように視線を向けると、机の真ん中に何かのかけらのようなものが集められていた。

 

「陶磁器の……かけら?」

「なにかが割れたもののようだぞ?」

 

 ホップの言う通り、机の真ん中に積まれたものは何かがバラバラに割れたもののように見えるそれは、ヤバチャたちの姿も相まっててか、割れたティーポットの残骸っぽくも見えてくる。しかもそれが現在進行形でどんどん積まれており、その高さは先ほどの木の実の山に匹敵するくらいだ。

 

「あんなものを積んで何する気なんだろう?」

「さぁ……でも、何かありそうだよね」

 

 ユウリと言葉を交わしながら、帰ろうと思っていた足を止めて再び広場をじっと見つめる。すると、集まっていたヤバチャのうちの一匹が、そっと割れた何かの残骸に手を触れた。すると……

 

「ヤバチャが光った!?」

「あの光は……進化!?」

 

 ホップとマリィの驚きの声とともにヤバチャが激しく青白い光を放つ。それはポケモンが新たな姿に変身を遂げるための神秘の光。時間にして数秒。されど、体感にするとかなりの時間がったっように感じるその時間が過ぎ、青白い光が弾けたとき、ヤバチャがいた場所には……

 

「ポルティー!!」

 

 元気よく飛び回るポットデスの姿があった。

 

 そしてそのポットデスの姿を確認したほかのヤバチャたちが、皆こぞってかけらを触り始める。それはつまり……

 

「まさか、これから始まるのって……ヤバチャの群れの……一斉進化!?」

 

 ここにいるヤバチャ全員が、その姿を変えるという物凄く神秘的な場面に立ち会うという事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ヤバチャ

というわけで色違いヤバチャです。
とてもいい色をしてますよね。綺麗で大好きです。

お茶会

本来は場に出ているポケモン全員が強制的に木の実を食べるという、ポットデス専用技。
今回は単純なパーティーとして使わせてもらいました。

ポットデス

鳴き声は英語表記のポルティーガイストから。
この英語名のセンスが物凄く良くて大好きです。

進化

割れたポットによる進化祭り。
こうなったからには当然色違いも進化させないといけませんよね?




前回書き忘れた事。
口づけに関してですが、フリアさんはこれまたジュンやヒカリのせいでこの辺の感覚は物凄く鈍いです。

ルミナスメイズの森のお話はもうちょっとだけ続くのです。
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