【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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定期更新がワクチンによる休みを抜いてまだ続いていることに若干驚いてます。
正直明言もしてないのでいつやぶってもおかしくないものなんですけどね()
できる限りまもりたい理由は、私が今好んで読んでいる二次小説が週一の定期更新がされているため安心感がすごいからですかね。

いい作品も多いんですけど、同時に未完成も多いこの界隈。
定期更新されている作品ってものすごく安心感があるんですよね。
この作品もそうあればいいなぁなんて思いから頑張ってたりします。

完結まで走り抜けたいなぁ……。












66話

「ヤバチャたちが……どんどん進化していく……」

 

 体を青白い光で包み込まれ、次々とその姿をカップからポットへと変えていくヤバチャ……否、ポットデスの群れは、進化し終わった個体から順番に空中へと飛び出し、再び机や椅子などの家具を空中へと浮かばせながら大はしゃぎ。

 

(やっぱり進化っていうのは、誰でも嬉しいものなのかな?)

 

 はしゃぎ回るポットデスの姿を見るに、本当に嬉しいという感情を体全体で表しているのがよく分かる。このテンションの上がりようは、このままお茶会が開き直されてもおかしくないほど。それほどまでに舞い上がっているように思う。

 

「あ、そういえばポットデスの色違いってどんな感じなんだろう?」

「そういえば……あいつはどうなったのか気になるぞ」

 

 そんな幻想的かつ、奇跡的な光景を目にしている時にふとユウリが口を開き、ホップがそれに続く。確かにどんな色かは気になる。ヤバチャの違いが、カップの水色の模様がピンク色に変わっていたことから、ポットデスも水色の模様があること自体は変わっていないのでヤバチャの時と同じく、この水色の部分がピンク色に変わるのかな?なんて予想を立てながらも、まぁ、あの子を見ていればすぐに答えなんてわかるかな?なんて思いつつ、例の色違いのヤバチャを探す。いくらどんな色かなのかわからないとはいえ、さすがに色が違えばさっきと同じようにすぐに視界に入るだろうと思いなが見渡していく。

 

 しかし空中のどこへ視線を向けても色の違うポットデスは見つからない。

 

「いない……?」

「もしかしたら色違いがわかり辛い個体になるのかな……?」

「そんなのがいると?」

「うん……有名なのだとガブリアスとか、結構わかりづらいよってシロナさんが言ってた気が……」

 

 色違いと言ってもその変わり方は千差万別で、ヤバチャのようにひと目でわかる物もいれば、わかりづらい子だっている。個体によって色違いの色が決まっているのもなんだか変な話しではあるんだけど、とにかくそういう種類もいるというのは割と広まっている話ではあったりする。

 

 そこから考えるに、これだけ探して色違いのポットデスが見つからないといことは、ポットデスの色違いはひと目ではわかりづらいのかもしれない。なんて思い始め、その事にちょっと残念に思いながら、そういえば進化に使われたかけらはどうなったんだろう?と思いながら視線を下に向ける。

 

(……あれ?)

 

 するとそこにあった状況は、割れたポットを目の前に寂しそうな顔をしてツンツンといじっていた色違いのヤバチャ。周りのみんながポットデスへと姿を変えていく中、一匹だけ姿が変わらないその様子に、寂しさ以上に疑問が頭に浮かんでくる。

 

(自然に成長していく進化のほかにも、進化の石や特別な道具によって進化するポケモンっていうのは確かに沢山いる……けど、同じ個体で同じ道具を使っているのに進化しないなんてそんなこと……いや、性別進化があったっけ?)

 

 ユキワラシや、それこそボクが今手持ちにしているキルリアがそれに該当している。性別がとある一方である状態かつ、特定の石を使う事によって進化を果たすポケモン。勿論その数はかなり少ないけど、確かに存在する以上考察の余地がある……んだけど……

 

(図鑑を見る限り、ヤバチャに性別ってないみたいなんだよねぇ……)

 

 となってしまうと、キルリアたちのような線もなくなってしまうため、いよいよわからなくなってくる。一体あの割れたポットを使う以外の進化条件とは何なのか……

 

 黙り込んで考えている間に、ホップたちも色違いのヤバチャが実は未だに進化すらできていない状態であることに気づき始め、一緒に考え始める。

 

「道具と交換が必要って訳でもないけん、余計に分からないね」

「進化したくないって訳でもなさそうだぞ……?」

「凄く寂しそうな顔してるもんね。ってことは自分から進化を拒否している訳でもないし……」

「そもそも、石や道具による進化って、成長によって行われる進化と違って、自分以外のところからの供給があるせいか自分で止めることが出来ないからね。道具に触っている以上、条件を満たしているのなら本来はちゃんと進化する……はず」

「そうなんだ……」

 

 なかなか出てこない答えに頭を悩ませる中、ふと該当しそうな進化方法に思い当たる。

 

「他の条件って考えると……あ、確か特定の技を覚えていたら進化するっていうのもあったよね。それかも……?」

「「「ああ〜!!」」」

 

 ニンフィアや、ガラル地方ではサイトウさんが見せてくれたオトスパスなどが該当するこの条件。特定の技を覚えた状態でさらに別の条件を満たすことによって進化をすることができるというもので、ボクのシンオウの仲間の一匹の条件でもあり、これならみんながポットデスに進化していく中、1匹だけ進化できないのも納得はできる。

 

「おそらく、みんなにできてあの個体だけに出来ない技があって、それが理由で上手く進化が……」

 

「バチャッ!?」

 

「え?」

 

 と、みんなで進化条件の談義に花を咲かせていた時に突如響くヤバチャの悲鳴。何事かとみんなで視線を広場に向けると、そこには色違いヤバチャに対して、シャドーボールで攻撃をしたと思われる数匹のポットデスの姿。どうやら今まではただの色が違う仲間はずれとしか見ていなかっただけだったけど、色違いの子が進化出来なかったことにより、いよいよもって色違いの子を見下し始めてしまったということだろうか。現に、シャドーボールを打ったポットデスたちは、周りのポットデスに止められることなく、むしろそのまわりに集まっていく姿はみんなで色違いの子を糾弾する準備をしているようにしか感じられなくなっていた。

 

「な、なんであんな酷いこと……」

「今まで溜まってた鬱憤が、進化と同時に気が大きくなったせいで一気に爆発したのかも……」

「だとしたらまずいぞ。みんな技の準備に入り始めてる!!」

「こうかばつぐんの技をあんなに受けたらヤバチャ、ちょっとやばいよ」

 

 色違いのヤバチャに対していっせいにシャドーボールを構えるポットデスの群れ。このままではマリィの言う通り、ヤバチャの身が危ない。しかしポットデスたちはそんなことお構い無しと言わんばかりに攻撃を行ない……

 

 

「だめぇぇぇぇぇっ!!」

 

 

 ユウリがその色違いの子を守るように間に割り込んだ。

 

「っ!!イーブイ!!『まねっこ』!!」

「ちょっ!?ユウリ!?ああ、もう!!モルペコ、『オーラぐるま』!!」

「ユウリの気持ちわかるぞ!!バチンキー!!『はっぱカッター』!!」

 

 黒い球が、電気の滑車が、飛び散る木の葉が、縦横無尽に飛びまわり、ポットデスたちが放ったシャドーボールを全て相殺していく。技どうしがぶつかったことによって起きる爆風によって視界が塞がれるものの、それはおそらくポットデス側にも言えること。なら今は態勢を立て直すチャンスだ。

 

「ユウリ!!そのヤバチャを連れてテントまで戻って!!」

「で、でも……」

「ここはあたし達に任せて!!」

「みんなで守るぞ!!」

 

 ヤバチャを胸に抱きかかえて守るように背中を向けるユウリに対して、さらにその前に立ち塞がり構えるボクたち。ラビフットも戦闘態勢を取っているものの、少し眠いのか若干足取りがおぼつかない。そのことを考慮しても、やっぱりユウリはテントまで戻ってもらった方がいいだろう。

 

「……うん。わかった!絶対無事に帰ってきてね!!」

 

 ユウリの言葉に三人で頷き、テントへ走っていくユウリの背中を見送っていく。そのころには土煙も晴れており、後ろを振り向けば、攻撃を防がれたのが頭に来たのか、ボクたちに向かって戦闘態勢をしっかりと取っているポットデスの群れがいた。

 

「さ~て、時間稼ぎと行きますか!!」

「もっと穏便に乗り越える方がよかったとよ……」

「まあまあ、俺はこっちの方が燃えるぞ!!」

 

 

「ティー!!!」

 

 

 お茶会の時に中心にいたポットデスと思われる個体が大きな声を上げた瞬間、周りのポットデスが一斉にシャドーボールの構えを取る。

 

「ホップ!ボクと二人で全部止められる?」

「勿論だぞ!!」

「OK!じゃあ攻撃はマリィにお願いするね!」

「こうかばつぐんを一致でできるし適任……うん。よかとよ!」

「イーブイ!『まねっこ』!!」

「バチンキー!『はっぱカッター』!!」

 

 一斉に飛んでくる黒弾の雨。それに対して先ほど迎撃した時よりもさらにたくさんのシャドーボールとはっぱカッターによって次々と敵の攻撃を打ち落としていく。少しイーブイとバチンキーの負担が大きくなってしまうけど、今までたくさんのバトルを乗り越えたこの子たちならこれくらいまだ平気だ。全ての攻撃を落とし切り、黒い球の雨がなくなった瞬間にかけるのは黒の波動。

 

「モルペコ!『あくのはどう』!!」

 

 全体にひろげられたその波動は確実にポットデスへと大きなダメージを与えていく。

 

「イーブイ、もっと『まねっこ』!!

「バチンキー!俺たちも続くぞ!!『はっぱカッター』!!」

 

 モルペコのあくのはどうによって怯んだすきを逃さずに、今度はモルペコのあくのはどうをまねっこしたイーブイとバチンキーによる追撃。さらなるダメージを受けてどんどん勢いを削られていくポットデスの群れ。

 

「ッティー!!」

「ペコッ!?」

「モルペコ!?」

 

 しかしそれでもただでやられる相手ではなく、こちらが攻撃の手を休めていないからこそおろそかになっている防御の隙をつくように攻撃してくる一部のポットデス。全体に攻撃を広げてしまっているためか威力がいまいち物足りず、また数の利が圧倒的に向こうにあるためどうしてもカバーできない範囲がある。結果としてその隙間を縫うように放たれた緑色の光がモルペコに当たり、モルペコからエネルギーが吸われていく。

 

「『ギガドレイン』!?……モルペコ!!『オーラぐるま』でさらに加速!!」

 

 マリィの指示に従ってさらに走り回るモルペコ。追撃の技をよけながらイーブイとバチンキーの攻撃によって態勢を崩されたポットデスたちを次々と引き倒していく。次第に空中に浮かんでいたポットデスたちが一匹、また一匹と下に下がり始め……

 

「イーブイ!『でんこうせっか』から『かみつく』!!」

「バチンキー!イーブイに続いて『はたきおとす』だぞ!!」

 

 手が届くところまで弱って降りてきたところを順番にイーブイとバチンキーがとどめを刺して戦闘不能へと追いやっていく。

 

 敵の攻撃はシャドーボールが多いため、イーブイのまねっこで落とすことが可能で、バチンキーはそもそも攻撃範囲の広いはっぱカッターで受けられる。受けきったらモルペコでおおざっぱに攻撃し、とどめをバチンキーとイーブイが走って行うという連携がおのずとできていた。

 

「この調子なら時間稼ぎは何とかなりそうとね」

「別にこのまま倒してしまってもいいんだぞ!」

「ホップ、そのセリフはやばい」

 

 順調に感じた流れだけど、ホップの言葉のせいでどこか嫌な予感を感じてしまう。そして同時に戦況が少し変わった。

 

 

「ティティ―!!」

 

 

 仲間の数が減ってきたことに焦ったポットデスが再び大声での号令を放ち、同時に再び大量のシャドーボールが構えられる。

 

「焦って本気を出し始めたところ……?でも!」

「これくらいじゃあ全然平気だぞ!!フリア!止めるぞ!!」

「……うん」

 

 先ほどと同じくまねっことはっぱカッターを構える。けどどこか頭に引っかかる妙な違和感を感じる。しかし、その答えを出し切る前にこちらも攻撃を放ち、相手の攻撃は無事に相殺。再びマリィがおおざっぱに攻撃するために、オーラぐるまによって素早さがかなり上がっているモルペコを突撃させる。長い間の戦いを経て、おなかがすいてしまったのか特性のハラペコスイッチにより、はらぺこもようへと姿を変えたモルペコが、あくタイプの力を纏って猛ダッシュ。さらなる大ダメージが期待された。

 

「ティティティ!!」

「「「ティー!!」」」

「ペコ!?」

「なっ!?」

「モルペコが弾かれたぞ!?」

「あれは『リフレクター』!?」

 

 親玉の号令により三匹のポットデスが前に出てリフレクターを展開。1枚だけならおそらく突破できたと思うけど、流石に3枚の壁は大きく、モルペコが大きく弾かれてしまう。初めてこちらにできた大きな隙。そこを狙い撃つようにポットデスが一斉に攻撃しようとシャドーボールを放ってきた。対してこちらはモルペコを守るため、ホップのとっさの判断によりはっぱカッターですべてを打ち落とすことに成功。壁を張る方に何匹か割いたため、数が少なかったのが幸いした。それでも攻撃しようとしてくる個体もいたので、そちらに対してはイーブイがまねっこで迎撃。イーブイの方が速く技を出せたため、このままいけば直撃……

 

「ポルーティ!!」

「「「ティティ!!」」」

「こんどは『ひかりのかべ』!?」

「凄い統率とよ!」

 

 かと思われたのに、先ほどリフレクターを張ってきた個体が、今度はひかりのかべも張ってきた。野生とは思えないその知性と統率の取れた動きは、ボクたちの連携を少しずつ崩していく。そして相手はボクたちを崩し切る最後の手札を切る。

 

 

「ポルティー!!」

 

 

「「「「ティッ!!」」」」

 

「あれは……何してるんだ?」

「ポットデスの体が……崩れていく?」

「崩れる……まさか!?」

 

 ポットデスたちの動きが、ポットが崩れていくたびに俊敏になっていく。これは特性、くだけるよろいという、物理を受けるたびに素早さが上がる効果によるもの。とどめをさされた個体はともかく、耐えきっていた個体はその体をどんどん軽くしていき、目で追うのも大変な程素早くなっていく。さらにダメ押しとばかりに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「なんか……どんどん速くなるぞ!?」

「すっごく嫌な予感」

「まずい……2人とも構えて!!」

 

 自分の体を崩すことによって防御は低くなったように見受けられる。しかし、それは楽観視できる状況なんかでは決してない。なぜなら、自らの体を脆くする代わりに自身の攻撃、特攻、素早さを格段に上昇させるという、とんでもない技があることボクは知っているから。その技の正体は……

 

「『からをやぶる』だ!!ここからまずい攻撃が来る!!」

「「ッ!?」」

 

 ボクの言葉に相手がどういう状況なのか理解し切った2人が、すぐに反応して防御の構を取る。流石、ここまでジムを乗り越えてきた猛者というだけあってその反応速度は素晴らしいものがあった。しかし、それを軽くつぶしてしまう程の、先ほどよりも圧倒的に速さと威力が上がったシャドーボールがバチンキーたちを襲う。

 

「キィーッ!?」

「ペコッ!?」

「バチンキー!!」

「モルペコ!!」

「なんて威力……!」

 

 防御の準備をしっかりとしていたはずの、しかもモルペコに至っては耐性すらあるのに、そんなのお構いなしとばかりに吹き飛ばされていくバチンキーたち。目で追うのがやっとの速さで放たれた黒の嵐は、タイプ上ダメージを負わないイーブイを残してすべてを吹き飛ばす。後ろを見れば、何とか受け身を取って軽減はできたものの、それでも少なくないダメージを受けてしまった2匹が、体のあちこちに傷を負いながら立ち上がっていた。すぐに2匹を回復させるためにホップとマリィが駆け寄っているところを見るあたり、戦線復帰に時間がかかりそうだ。けど……

 

(この状態のポットデスの群れに時間稼ぎなんてできないよ!?)

 

 相手が速すぎて2体目を呼び出したとしても指示が間に合わないからイーブイだけで耐える必要がある。けど現状どうやっても相手が強化されすぎて耐えられる気がしない。

 

(どうすれば……っ!!)

 

「ってまず!?」

 

 シャドーボールがイーブイに効かないとわかった瞬間、今度はサイコショックを構えるポットデスの群れ。このままタイプのことに気づかずシャドーボールを打ち続けてくれればかなり楽だったのに、頭の回転も速いみたいだ。

 

「『でんこうせっか』でよけて!!」

「ブ、ブイッ!!」

 

 ギリギリ掠るくらいで何とか避けるイーブイ。だけど今まで3匹に分散されていた攻撃が全てイーブイに集中しているのと、からをやぶるによって威力、スピード共に強化されているせいでいつ被弾してもおかしくない状況。オニオンさんとの戦いみたいにスピードスターを足場にすればまだ余裕をもって避けられただろうけど、そもそもスピードスターを打つ余裕すらない。今もまたサイコショックがイーブイの前足を掠った。

 

「ブイッ!?」

「イーブイ!?ごめん、もう少しだけ耐えて!!木の幹も足場にするんだ!!」

 

(何か打開策を考えないと!!)

 

 いきなり叩き落された圧倒的不利状況。森の中という、立体機動を行うのに優れた地形だからこそ、まだ何とか避けることが出来ているものの、既に何回も技が掠っていて生きた心地がしない。けど、正直いって打開策が本当にどこにも見当たらない。当たりを見回しても使えそうなものなんてどこにもないし、今から身を隠せそうな場所も少し遠い。

 

(何か……何か……っ!!)

 

 そうやって当たりを見回していたせいだろうか。

 

 

 

 

 イーブイが避けた技の流れ弾が、ボクに飛んでくるのに反応が遅れてしまった。

 

 

 

 

「「フリア!!」」

「しまっ!?」

 

 マリィとホップの声のおかげで気づきはしたものの、避けるのは無理。せめて頭だけでもと思い、咄嗟に腕で覆い隠すボク。そして程なくしてボクの体を叩く、()()()()()

 

「……え?」

 

 思わず間抜けな声をあげてしまうボク。だって、今のサイコショックの軌道は間違いなくボクに直撃するはずのコースだったのに、ボクに届いたのが攻撃の余波だけだったから。ボクに当たるはずの攻撃の着弾音なんて本来は前から聞こえないはずだ。だけど……

 

「もしかして……」

 

 こうなる原因が思い浮かばないわけじゃない。一つだけ、こんなことをしそうな子がいる。それはもちろん……

 

「ブ、ブイ……」

「イーブイ!!」

 

 イーブイが身を呈してボクを守った以外にありえない。

 

「大丈夫!?」

「ブイッ!!」

「っ!!」

 

 慌てて駆け寄ろうとするものの、イーブイから聞こえた声は、まるで「来るな!!」とでも言いたいかのような叱咤の叫び。その声に思わず足を止めてしまう。

 

(今行ったら……巻き込まれるだけだ)

 

 同時に頭の中が急に冷静になり、自分が飛び出したあとの未来を想起する。今のボクに出来ることは、安全圏からイーブイに指示を出すだけ。だけど……

 

(もう限界が近いじゃないか!!)

 

 からをやぶるによって威力が上がったサイコショックをもろに受けてしまったイーブイは、先程までの元気な機動力が見る影もなく、ただでさえ危なっかしかった状況がさらに悪くなってしまう。今すぐボールに戻して休ませたいのに、それでもでんこうせっかを止めないせいでリターンレーザーを当てるのが難しい。

 

(頼む……耐えて……っ!!)

 

 まるで心臓を掴まれたような圧迫感のなか、ただひたすら祈り続けるボク。しかし、先に訪れたのはやはりイーブイの限界だった。

 

「ッブイ!?」

「イーブイ!!」

 

 極度の疲労から、ついに足がもつれてしまいコケてしまうイーブイ。体中土で汚れてしまい、地面に倒れているその姿は、敵から見たら絶好の的。

 

「間に合って!!」

 

 すぐにボールに戻すためのリターンレーザーをイーブイに伸ばす。せめてボールの中に戻すことが出来ればイーブイの安全は確保されるから。けど、リターンレーザーがイーブイに届くよりも早く、ポットデスたちのサイコショックがイーブイを襲っていく。

 

「ぐっ……イーブイ!!」

 

 サイコショックが当たる余波でリターンレーザーを吹き飛ばされてしまいイーブイを戻すことが出来なかった。巻き上がる土煙のせいで様子もうかがえないし、イーブイの声も爆音でかき消されて聞こえない。

 

(……イーブイ。お願いだから……無事でいて……っ!!)

 

 願うことしか出来ない自分に焦燥感を募らせながら、ただただ土煙の先を見つめ続ける。ポットデスたちも、今の攻撃で倒せたと確信をしているのか、追撃をするのではなく周りと笑いあっていた。

 

(もし無事なら今のうちに助けて逃げられるかもしれない)

 

 何時でも動け出せるように足に力を入れておく。この視界が晴れた瞬間、すぐに動けるようにするために。

 

 数秒後、徐々に晴れていく土煙が視界の外へ避け始め、ついに戦場の様子が明らかになる。その光景を見たボクは……

 

「……え?」

 

 あまりの出来事に、力を貯めていたはずの足が一気に脱力してしまった。

 

 だってこんな光景を見たら誰だって驚きで動けなくなるに決まっている。

 

 なぜなら……

 

 

()()()()()()()()!!」

 

 

「……()()()()()?」

 

 イーブイがブラッキーに進化していたから。

 

 ただ無事だっただけ以上の出来事にいよいよ立つ力も抜けてしまい、思わず地面に腰を落としてしまう。ポットデスたちも、まさか進化して耐え切られるなんて思っていなかったらしくしばらく放心状態となっていた。

 

 そんな中、ゆっくりとボクに近づいてくるブラッキーは、傷が少し見える体に痛みを感じていながらも堂々と歩いてくる。

 

 程なくしてボクのすぐ近くまで帰ってきたブラッキーは、天に向かって軽く吠える。すると、ボクらの頭上をおおっていた森の木の葉たちが不自然に移動し、ボクやホップ、マリィ、バチンキー、モルペコ、そしてブラッキーに向かってひかりの道が出来上がる。そしてその光に照らされたバチンキー、モルペコ、ブラッキーは、ひかりから癒しのエネルギーを受け取り傷を癒していく。

 

「これは……『つきのひかり』……」

「ブラ……」

 

 チロっと、ボクのほっぺをひとなめするブラッキー。

 

「……よかった!そしておめでとう!ありがとう!ブラッキー!!」

「ブラッ!!」

 

 色々な思いを込めて抱きしめるボクと、その思いにこたえるように頬ずりを返してくれるブラッキー。その行動がとてもいとおしくて、ついついじゃれあい続けてしまう。その間につきのひかりのおかげで回復を完了させたホップとマリィも戦線復帰できた。

 

「助かったぞフリア!そしてブラッキー!」

「ほんと、ありがとね」

 

 これで立て直しは完了した。けど……

 

(いくら立て直しができたと言っても、相手の火力が下がったわけじゃない。どうすれば……)

 

 何て考えているうちに再びポットデスたちがシャドーボールの雨の準備をする。何かをしなければと思っていると、ブラッキーが吠えて前に出る。

 

「ブラッキー?」

「キーッ!」

 

 まるで任せろと言わんばかりにこちらを向くブラッキー。その数秒後にブラッキーがシャドーボールの雨にさらされる。

 

「ブラッキー!!」

 

 まさか無抵抗で受けるとは思わず、驚きの声を上げてしまう。しかし、その視線の先には先ほどの攻撃を全くものともせず、そして受けたダメージもすぐにつきのひかりで回復し切ってしまったブラッキーの姿があった。

 

 ブラッキーは防御面において強力なポケモンである。そのことは知ってはいたけど……

 

「まさかここまでだなんて……」

「凄いぞブラッキー!」

 

 マリィもホップも驚きの声を上げている。

 

「……ブラッキー。君の力を、もっと見せて!!」

「ブラッ!!」

 

 ボクの声に、守りは任せろと答えるブラッキー。さぁ、ここから反撃開始だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




色違い

いろんな色違いがいますけど皆さんはどの色が好きですか?
私は王道ならギルガルド。個人的なものならブルンゲルの♂の色違いが大好きです。
アニメや作品によっては色違いって別の色もありますよね。アニポケのバタフリーしかり、ポケダンのカクレオンしかり……
この様子なら違う形の色違いもいそうですよね。

進化条件

こう見てみるとたくさんありますよね。進化条件。
個人的には、新無印アニメの0話で、サトシのピカチュウがピチューから進化するときのシーンがすごい好きです。
ガルーラからの旅立ちと同時になつき進化というのがとても涙腺にきてしまった……。

進化

おかしい。なぜ色違いのヤバチャは進化しなかったのか……
道具が間違っているんですかね?(さらなるすっとぼけ)

からをやぶる

冷静に考えたらチート技。
こんなの野生で群れ全員にされたら流石に走って逃げたい。

ブラッキー

というわけでフリアさんのイーブイはブラッキーへと進化しました。
皆さんのイーブイ予想は当たりましたか?
ブラッキーの理由は、単純に手持ちタイプをかぶらせない進化を選んだことと、フリアさんの性格上、なつき進化のどれかが絶対に合うと考えた結果こうなりました。
ゲームでも屈指の耐久ポケモン。その耐久力の強さ、存分に生かしていただきましょう。




次でルミナスメイズは終わるかも……?
実機では短い場所だけど、こういうところではしっかり書きたいですよね。
アニメでもガラルギャロップの話を見る限りかなり広そうでしたしね。
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