【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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69話

「行きますよ、クチート!!」

「お願い、マホイップ!!」

 

 ポプラさんの言葉と同時に投げられる2つのモンスターボール。そこから繰り出されるのはあざむきポケモンのクチートと、クリームポケモンのマホイップ。フェアリータイプのジムだからということで、合わせてフェアリータイプのポケモンを出してみたんだけど……相手はフェアリータイプにはがねタイプを含んだポケモン。タイプ相性で見ると完全にこちらが不利となっている。

 

(うむむ、一対一の一発勝負だからどうしてもこの読み合いは仕方ないなぁ)

 

 いつもなら無茶をせずに交代する場面なのかもしれないけど、今回は交換すらも出来ない戦い。シンプルなミッションだと先程は言ったものの、こういう意味では逆に異端なミッションとも言えるかもしれない。

 

「チィーッ!!」

「マホッ!?」

 

 幸いなのは、クチートの特性が意味をなさないところだろうか。今も、まるでポニーテールのように後頭部から伸びた巨大な顎を使ってマホイップをいかくするものの、いかくによって下げられるのは物理攻撃。特殊攻撃を主体とするマホイップには基本的に効果がない。マホイップの特性も有効な場が限られるため、生かしづらいという点を考えても、不利なのがタイプ相性だけにとどまっているのはまだ希望が見えるということである。と言っても、圧倒的不利かかなり不利の違いでしかないため、正直そんなに差はないかもだけど。

 

「どうやらポケモンのチョイスは外れてしまったようですね……ならその優位を保ったまま押させて行きますよ!!クチート、『ラスターカノン』です!!」

 

 クチートから小手調べと言わんばかりに放たれる銀色の光弾。はがねのエネルギーを凝縮したその攻撃は、早速こうかばつぐんのダメージを刻まんと猛進してくる。

 

「マホイップ!!『マジカルシャイン』!!」

 

 それに対してマホイップは妖精の光を放ちラスターカノンにぶつける。ただし、ただぶつけるだけではなく少し体を横にずらしてからマジカルシャインを放つようにする。

 

「……なるほど」

 

 ビートからボソッとこぼれた言葉。その理由は、ラスターカノンがマジカルシャインの()()()()()()()()()のを確認したため。自分から光を放つ兼ね合い上、マジカルシャインは自分を中心とした球体が攻撃範囲となる。簡単に言えばドーム状の攻撃。その攻撃に少しでも角度がズレてぶつかってしまえば、ぶつかった攻撃はドーム状の攻撃を貫通することなく、表面を滑って明後日の方に逸らされてしまう。止められないのなら無理に止める必要はなく、逸らせばいいだけだ。

 

「走って『アイアンヘッド』!!」

「『とける』!!」

 

 ラスターカノンが効かないと判断するやいなや、今度は走って近接勝負に持ち込むクチート。額を鋼色に固めながら走ってくるその姿は重戦車を想像させる。それに対してマホイップは体を溶かして物理耐性をグンと上げていく。物理方面に対しては少しものたりないマホップの耐久だけど、これでその弱点も補うことができる。さらに……

 

「もういっちょ、クリーム!!」

 

 とけると同時にまき散らされるマホイップのクリームは物理攻撃を吸収して受け止める。クチートの攻撃がぶつかるころには、こうかばつぐんのはずのその攻撃はその威力のほとんどを殺されていた。

 

「ラテラルでも見せた防御術ですか……」

「マホイップ、『マジカルフレイム』!」

 

 お返しに放つは魔法の炎。きらめく火炎はクチートの体を激しく包み燃やしていき、確実にこうかばつぐんのダメージを体に刻んでいく。

 

「くっ!クチート、クリームにとびこみなさい!!」

 

 対するビートの指示はクリームに飛び込んで炎を消化する作戦。水分の多いクリームなら炎を消すことができるという算段で、実際その判断は正しくすぐさま炎は消えていく。しかし、その行動はボクにとっては次の行動に移すための手助けでしかない。

 

「もっとクリームを延ばして!!」

 

 相手が消火活動に励んでいる間にこちらは自分のフィールドを作り上げる。マホイップの体と同じ、水色のクリームがどんどんフィールドを支配していく。

 

「このクリーム、本当に厄介ですね……!」

 

 オニオンさんの時はサニゴーンが相手だったためこのクリームの厄介なところを十全に発揮できなかったが、このクリームの本領は相手の体に張り付くところにある。相手にくっついてなかなか落ちないそのクリームは、相手の体を重くすることによってその機動力を大きく削ぐことができる。また攻撃に使う手足や頭部に張り付けば、それだけで攻撃も妨害できるという厄介ぶり。クリームと一体化して足の遅いマホイップのサポートをするというのも確かに強いけど、このクリームの使い方で一番強いのは間違いなくこれだ。

 

 では振りほどけばいいのでは?と思うかも知れないけど、それもまた悪手である。

 

「地面に向かって『アイアンヘッド』でクリームを吹き飛ばしてください!」

「『マジカルフレイム』」

 

 振り払うために行動するということはそのために一手必要になるということ。それも自分を強化する変化技と違ってただ自分の態勢を立て直すだけのその行動は、こちらにとってはチャンス以外の何物でもない。アイアンヘッドを振っているところに再び直撃するマジカルフレイム。魔法の炎が再びクチートを包もうとするものの、先ほどと同じようにまたクリームで素早く消火。しかし……

 

「本当に普段の性格とは想像がつかないくらいにはやらしい戦い方をする人ですね!」

「これがボクのスタイルだからね!!」

 

 そんなことをすれば再び体にクリームが付着する。物理攻撃をするならクリームが邪魔となり、クリームを払うならその行動をしている間に炎で燃やすと言う無限ループ。これが物理を封殺するマホイップの戦い方。勿論この状況を打破する方法はたくさんあるとは思う。けど少なくともクチートにはかなりつらい状況のはず!

 

「なら……『ラスターカノン』です!」

「そらして!」

 

 近距離が無理ならということで再びラスターカノン。しかしクチートはもともと特殊攻撃を得意としているわけではない。先ほどと同じようにマジカルシャインでそらすことは造作もない。さらにクリームの中心でマジカルシャインを放ったことによってマホイップ付近のクリームが飛び散り、クチートの視界が一瞬防がれる。

 

「やっぱり特殊は通じませんか……っ!?マホイップはどこに!?」

 

 その一瞬の隙をついてマホイップは姿を隠した。場所は言わずもがなクリームの中だけど、問題はその範囲の広さ。攻撃がぶつかり合うたびにクリームが弾けているものだから広がっている量が多すぎてどこに隠れているのかビートから見れば見当もつかないだろう。次の攻撃は避けられない。

 

「『マジカルシャイン』!!」

「真下ッ!?」

 

 突如クチートの足元が光で弾け、真上に弾き飛ばれてそのまま地面に落下する。クリームを潜航していたマホイップのふいうちの一発。クリームの中にいるためマジカルフレイムこそ使えなかったものの、マジカルシャインはマホイップの得意技だ。こうやって工夫をして、こうかいまひとつの相手にさえ大ダメージを与えることだってわけない。

 

「いいよマホイップ!!」

「マホッ!!」

 

 思い通りに戦いが展開できていることに嬉しそうにはしゃぐマホイップ。その姿にほっこりはするものの、少し頭に引っかかることがある。

 

(ビートの戦い方、なんか窮屈だね……)

 

 なれないポケモンを使っている以上、戦法が上手く噛み合わないのは分からないでもない。けど、それを差し引いてもなにかぎこちないというか、らしくない気がしてしまう。

 

(……ポプラさんは、何を考えているんだろう?)

 

 少し横目でここのジムリーダーの姿を確認しながらも、今はジムミッションに集中しなくてはと、戦場に目を向けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ふむ、やっぱりフリアはいいトレーナーだねぇ)

 

 フリア対ビートのポケモンバトル。それを特等席から見るあたしの感想は、やっぱりシンオウリーグ2位の名は伊達ではない。と言ったところだね。自分のポケモンが何を得意としていてどんなことが出来るのか。それを深く理解しているからこそ、こんなにも手札の多い戦い方を行うことが出来る。

 

(本当に、惜しいトレーナーだよあんたは。戦い方は文句無しにピンクで満たされている。けど……トレーナー本人の性格がやっぱりあたしには合わないねぇ)

 

 もう少し本人の性格がひねくれてないと、あたしとしては教えがいがない。しかし、世間一般から見れば間違いなく逸材であることに間違いはない。これは未来が楽しみなトレーナーだ。問題は……

 

(やっぱり、まだあたしの教えを理解しきってないみたいだねぇ)

 

 今もアイアンヘッドとラスターカノンという、マホイップに対してこうかばつぐんを取れるはがね技で何とか打開をしようとするものの、とける、めいそう、マジカルシャイン、マジカルフレイムと、現状扱える全ての技に加えて、クリームも使った多彩な行動でいなして、逸らして、そして反撃をするフリア。

 

(こうかばつぐんで攻撃する。確かにポケモンバトルにおいてタイプ相性は大事。だけどねぇ……)

 

 やっぱりこいつは、一見ひねくれている癖にバトルの内容をよく見ればとても素直。本人の性格もねじれてはいるが根本は認めてもらいたいという実に子供っぽい真っ直ぐな動機。周りが見たら面倒臭いと思うかもしれないが、あたしから見れば可愛いもんだ。そして何よりも、こういう自分に正直なやつの方が後々大きくなる。このハングリーさが何よりもあたしがこいつを気に入った理由。

 

 あたしの勘が告げている。こいつは間違いなく大物になると。

 

 だからこそあたしはこいつを育てたい。

 

(……そのためにも、ちょいと道を指し示してあげるとするかねぇ)

 

 このガラルの未来を担う子にするために。あたしはゆっくりと口を開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(強い。それはわかってたことですが……ポケモンを変えられるだけでここまで変わるものですか?)

 

 相手にぶつける。相手の避けた先を読んで攻撃する。地面に当てて相手の視界を奪ってみる。色々な行動をするものの、その全てを上回れて返されてしまうクチートの姿に、思わず歯を食いしばってしまう。ラテラルタウンでフリアのヨノワールと戦った時、その圧倒的なパワーで押されたのは記憶に新しい。けど、それでもここまで試合内容は酷くなかったと記憶している。あの時と比べて今の戦況は最悪だ。何をしても全て返され、こちらのやりたいことがまるで通らない。

 

(凄く窮屈だ……)

 

 ここまでバトルコートが狭く感じたことは今までにない。それほどまでに場を支配されている。

 

(タイプ相性的には絶対的に有利なはずなのに何故こんなにも……)

 

 タイプが有利だからと言って押されないわけではないことはぼく自身がラテラルタウンで証明している。けどそれにしたって覆しすぎている。

 

(これがクチートではなくブリムオンなら……)

 

「ビート」

「っ!?」

 

 ふと頭を変な考えがよぎった瞬間、ばあさんから掛けられる低く重い一言。まさか自分が頭の中に浮かべてしまった思いがばれてしまったのかと思い冷や汗が流れ始める。と同時に脳内で自分に叱咤する。

 

(ぼくは何を言っているんだ!この結果は認めたくないですがぼくの実力不足のせいです。ここでクチートを責めるのは恥ずべき行為……)

 

 なぜかよくわからないけどあのばあさんはぼくの気持ちを読んで先に動いてくる。きっと今ぼくの頭の中で浮かんだ言葉も読み取っているだろうから次の言葉はまた叱りの言葉。そう思い、ゆっくりと視線をばあさんの方に向けてみる。

 

「あんたはいま、どこのトレーナーなんだい?」

「……は?」

 

 しかしばあさんから告げられた言葉はまったくもって意味の分からないものだった。ぼくが一体なんのトレーナーか。そんなものは誰が見るまでもなく明らかになっているはずだ。

 

「誰がぼくをスカウトしたんですか。もしかしてもうボケが回りましたか?」

「うるさいやつだね。あたしは心はまだ18だよ」

「限度があるでしょう!!……まったく、ばあさんのために改めて口に出してあげますよ。そんなのフェアリータイプのジムトレーナーに決まって……ッ!?」

 

 そこまで口にしてようやく頭に電撃が走ったかのような感覚に襲われる。

 

 そう、今のぼくはフェアリータイプのジムトレーナーだ。そこまで考えて今日、今までの自分の動きを思い出してみる。果たして自分はどのような攻撃をしていたのか。

 

(今日のぼくは、まだアイアンヘッドとラスターカノン()()()()()()()()()……)

 

 相手の弱点を突くためにサブウェポンを使い、不利な相手にも反撃をするという行動自体は確かに大事だ。だけど、そればかりを考えて今一緒に戦っているポケモンの得意な攻撃をないがしろにしていい理由にはならない。それは今までのジムリーダーやフリアを見ればよく分かる。ヤローさんはほのおタイプには草技を一切打っていなかったか?ルリナさんはくさタイプには一切水タイプを使っていなかった?フリアはこの戦い、相手に効きづらいタイプだからとフェアリータイプの技を一切使っていなかったか?……そんなことは断じてないはずだ。勿論はがねタイプを複合で持つクチートははがね技もある程度得意だろう。けど、このクチートはアラベスクスタジアムで育てられた子だ。ならこの子が一番得意としているのはフェアリータイプの技であるじゃれつくのはず。なのにぼくはこうかばつぐんに目を奪われてはがね技しか使っていなかった。

 

(視野が狭まっていた……)

 

 フェアリータイプの壁である以上、その道には精通しておかなければならない。

 

 ぼくが今までエスパーに特化していたこともあり、まだまだフェアリータイプの扱いに関しては甘い所がある。現にたった今、そのフェアリー同士の戦いでフリアに上をいかれているのがその証拠。これでは今までばあさんにされていたいじめ……もとい、特訓の意味がなくなってしまう。

 

(もし今のぼくがフリアにブリムオンを出せていたとしても、エスパー技主体の固まった動きになっていたでしょうね……ああ、そういう事ですか……)

 

 ここまで発言してまたさらに新しいことに気づく。

 

 それはブリムオンのタイプに関すること。

 

 ブリムオンはテブリムから進化したことによって新たにフェアリータイプが追加されている。更にはポニータや最近仲間になったキルリアも、エスパーとともにフェアリーが付属している。なのにぼくの戦い方は基本的にエスパータイプばかりを見た戦い方だった。それはこの前のヨノワールとの戦い方の時でも明白で、マジカルシャインではろくにヨノワールを攻撃できていなかった。もしあの時、ぼくがマジカルシャインの効果的な使い方を理解していたのなら、今回のフリアのように幅広い戦い方ができていたはずなのだ。

 

(ぼくはいつの間にか、相棒たちの強い戦い方について教わっていたんですね)

 

 点と点がつながり、ようやくばあさんがぼくにピンクの何たるかを教えてくれている理由が少しわかった気がする。ローズ委員長の下にいた時とは全然違う、師としての厳しくもぼくの未来を見据えた的確で優しいその言葉と態度。

 

(……まぁ、少しくらいは感謝してあげますよ)

 

 フェアリーの戦い方の師事。フリアとの戦いのための場を提供。そしてぼく自身の身を寄せる場所の提供。何から何まで、昔以上に充実したこの環境。

 

(失格にさせられた後に作られるというのが最高に皮肉が効いてますが……まぁ、いいでしょう)

 

 もしフリアとの再戦をするにあたって、スタジアムという大きな場所を選ぶのであれば、ぼくのしたことによって間違いなく反発が起きる。それを黙らせる口実まで用意してくれたばあさん。

 

(少しくらいは感謝をしてやらないこともないです。そして……)

 

 初めは他地方のやつに負けるなんてありえないという慢心からだった。けど、今はいちトレーナーとして彼と戦いたい。そのための協力をこんなにもしてくれたばあさんへ、ちょっとくらい恩返しをしても、やぶさかではないのかもしれない。

 

(ばあさんの座。仕方がないから、継いであげますよ)

 

 スっと心が軽くなった気がした。そして……

 

 今見える景色が、さらに明るくなった気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『かみくだく』です」

 

 ポプラさんの一言から顔を少し下げていたビートからぽつりと溢れるのは、このバトルが始まって初めて指示された技。その技にしたがって、クチートは後頭部にある大きな顎を使い、体のクリームを払いながら周りのクリームに喰らい付いていく。

 

(何かが……変わった?けど、手を休める訳にはいかないね)

 

「マホイップ、『マジカルフレイム』!!」

 

 その行動に疑問を持ちながらも、クリームの対処に使う隙だらけの一手に対してこちらも攻撃を選択する。煌めく炎がまたクチートを包こもうと猛進を始める。が……

 

「クチート!!今かみくだいているクリームを吐き出しなさい!!」

「なっ!?」

 

 かみくだくによって顎の中に蓄えていたクリームの塊をマジカルフレイムに向かって吐き出すことで消火を行うクチート。いきなりの対応にびっくりしてしまい、こちらの動きが一瞬止まってしまう。それを好機と見たクチートが一気に間合いを詰め寄って懐に入ろうとする。

 

(さすがにアイアンヘッドを直撃させる訳にはいかない!!)

 

「マホイップ!!クリーム!!」

「マホッ!!」

 

 守るためのクリームを展開し、クチートの攻撃に備える。これなら一撃くらいは全然耐え切ることができる。しかし、ビートはまたもやボクの想定を超えて動く。

 

「クチート、『じゃれつく』です!!」

「クチッ!!」

 

 あえてクリームの波に突っ込んで、体中をクリームだらけにしながらもマホイップの懐に潜り込むクチート。そのままマホイップとの距離を0にしたまま、じゃれつく特有の四方八方からポカポカと体を叩きつける連続攻撃にマホイップが晒される。

 

「マホイップ!?」

「マ、マホッ!!」

 

(じゃれつくの動きでクリームを吹きとばしながら攻撃してきた!?……急に技の使い方が変わった!!)

 

 じゃれつくは相手の四方八方から何回も攻撃をする兼ね合い上、細かく走り回る動きを取る事となる。もちろん、この動きだけでは完全にクリームを払うことはできないものの、その時にクチートは余分に大きく動くことによってクリームを払う量を増やしていた。当然余分な動きを必要とするため、クチートのスタミナも大きく使うし、何より普段よりも大振りな、相手に対処されやすい技となってしまう。しかし、その点に関してはマホイップの遅さがその判断をしづらくさせていた。すばやさがあまり高くないマホイップでは、少し動きが大きくなった程度では避けきれない。その弱点を突いた的確な攻撃。

 

「ぼくは、自分の生き方は自分で決めます」

 

 ビートの言葉が響く。

 その言葉と同時に、ゆっくりとビートの顔が上がっていく。

 

「だから今、決めました」

「っ!?」

 

 空気が変わる。

 

「今はまだ、届かないかもしれませんが……あなたに勝ち、ばあさんもこえて」

 

 顔を上げたビートと目が合う。

 

「ガラル最強のフェアリー使いとして、皆さんに最高のピンクをお見せして差し上げますよ」

 

(目にハイライトが……)

 

 その目の中に、今まで見ることが出来なかった確かな光が宿った。

 

 たったそれだけ、されど、ビートのことを考えれば明らかに大きなその変化。不思議とその瞬間から彼の着るユニフォームが物凄く華やかなものへと変わったような気がした。それほどまでに、今の彼はフェアリータイプの使い手としてふさわしいトレーナーへと成長をしていた。

 

(全くもう、本当に……君とスタジアムでぶつかるときが楽しみでしょうがないよ)

 

 クチートに手痛い反撃をもらい仕切り直しにはなったものの、ここまでの戦いから考えてクチートの限界はもう目の前だ。よって、このバトルの結果はボクもビートも、そして恐らくポプラさんにもわかっていることだろう。

 

 ボクの勝ちはもう揺るがない。

 

 だからこそ、ボクは次のバトルを楽しみにする。

 

 最初から本気のビートと戦える、スタジアムでのバトルを。

 

「ラテラルでも言ったけど改めて言うよ。()()()()!!」

「ええ!ばあさんと鍛えて、あなたを超える!!」

 

 ボクたちの熱に押されて、マホイップとクチートが激しくぶつかる。

 

 程なくして告げられるのはボクの勝利の宣言。しかしこのバトルコートには勝った喜びも負けた悔しさも存在せず、あるのはただボクたちの視線のぶつかる、音のない激しい炎の揺らめきだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最高にピンク色のバトルだったねぇ……ガラルの未来は、まだまだ安泰だろうさね」

 

 そんな中で呟かれるポプラさんのつぶやきは、ボクたちに届くことなく、密かに消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




クリーム

アニメでもピカチュウの尻尾にくっつくことによってアイアンテールの威力を抑えていましたね。
対物理にとても有効な技だと思います。

ビート

目ハイライトがともりましたね。めでたくピンク堕ち()です。
テブリムが進化とともにフェアリーを手に入れるのはビートさんとともに成長している感じがしてとても好きです。
この小説ではブリムオンへの進化が先ですが、実機で出会う順番は逆なのでフェアリーに拾われたビートについて行っている感じがしますよね。




何気に初めての真っ当なジムミッションクリアですね。




BDSPの厳選環境を整えようかなと思って調べた瞬間、そのめんどくささにテンションが……
でもフリアさんのパーティは厳選したいんですよねぇ……うむむ。
ホーム解禁待ってもいい気がしてきました。




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