投稿予定日最終まで伸びる結果になってしまいましたね。申し訳ありませんでした。
ではどうぞ。
ホップも無事にビートに勝利し、晴れて全員でジムミッションをクリアしただけでなく、ホップがスランプまでも切り抜けたのを確認した次の日。ホップを待つために少しだけ伸ばしたジムへの挑戦当日である今日。ボクは時間のある午前中に少しだけアラベスクタウンの散歩をしていた。特に何か目的があると言う訳では無いんだけど、最近は町でも道中でも激しい戦いが多かったし、これからアラベスクスタジアムでも油断できないバトルがあることを考えて、ちょっとくらい落ち着ける時間をとってもいいのかもしれないと思った次第だ。特に暗い森の中でひかるキノコたちに囲まれたこの幻想的な町では、ただの散歩でも感傷に浸ることができる。残念ながらガラル地方全体で見るとここは秘境みたいな場所にあるため、施設や娯楽等々揃っていないものが多く、また特に特産地などもある訳では無いので本当に目的がないと来ないのでは?と思ってしまうような場所故、恐らくアラベスクスタジアムでやることを終えてしまうと、まずここに来ることはなくなってしまう。ならば、せめて今のうちにだけでもこの景色をしっかりと目に焼き付けておきたい。そう思っての行動という側面も実はあったりなかったり……
「そうだ、どうせなら呼び出そうか」
そう思い腰のホルダーに目を向けると、3つほど揺れているボールを確認。外に出たがっているその3匹を手に取り放り投げる。
「ブラッ!!」
「ハミュッ!!」
「キルッ!!」
「よしよし、じゃあみんなで少しだけ歩こうか」
出てきたのはブラッキー、ユキハミ、キルリアの3匹。全員の頭を軽く撫でてあげ、嬉しそうに目を細めるみんなを確認すると、キルリアはボクの左側へ。ブラッキーは頭の上にユキハミを乗せた状態で反対側へ位置取る。みんなの配置が決まったところで改めて散歩を再開。「今日のジム戦頑張ろうね」だとか、「こういう時はこう動けたらいいね」とか、「次はどんなポフィンを食べたい?」とか、ジム戦に関わることからなんでもない日常会話まで、のんびりとおしゃべりしながら歩いていく。
他にも、アラベスクスタジアムでのジム戦を楽しみにわざわざほかの町から来た人たちや、元々ここに住んでいる人たちに声掛けられそれに応えたりもする。5つ目のジムまで残っている人は本当に少ないらしく、ここまで勝ち残ればファンでなくても名前を覚えている人の数もかなり多くなってくる。そうなれば、ファンではないけど有名選手らしいからという理由だけで声をかけてくる人も少なくないので、それなりに対応しなくてはいけない数の人たちが集まってくる。ボクの場合、ポケモンを横に出して一緒に歩いていることも声をかけやすい一因になってるかもしれない。ブラッキー、ユキハミ、キルリアと、パッとみ可愛いポケモンが多いからね。
そんなこんなで思ったよりも長い時間散歩して充分時間を潰し、気持ちもだいぶリラックスできたのでそろそろ帰ろうと足をスボミーインへと向け始める。帰る途中にアラベスクスタジアムの様子だけでもちらりと見ようかなと思い、少しだけ遠回りのルートを選んで帰っていたところ、やはりもうジム戦が待ちどうしいのかアラベスクスタジアムの前には長蛇の列ができていた。その中には、先程までボクに声をかけてくれた人たちの姿もちらほら確認でき、みんな本当に楽しみで仕方がないという気持ちが見て取れる。少しうれしいね。
これだけ人数がいれば、ちょっとしたパニックや、いざこざがあってもおかしくないのでは?と思ったりもしたけど、そこはそばにいるサーナイトがエスパーの力でしっかりと管理して問題が起きる前に対処しており、今この瞬間でも、後方の列の整理をしながらも、先頭で人混みに押され転けそうになった子供をサイコキネシスで拾い上げて助けたりと、見事な手際を見せていた。その見事な手際はジム戦で戦うかは分からないけど、もしポプラさんがサーナイトを繰り出してきたら間違いなく苦戦するだろうなぁなんて、少しワクワクしながら考えてしまう。
(サーナイトかぁ……)
と、そこまで考えて頭に浮かんでくるのは今ボクの横にいるキルリア。この子の未来の姿と言うだけあってどうしても意識してしまうところはある。いつかキルリアがこの姿になるのかな?なんて考えると、頼もしさと期待をどうしても抱いてしまう。
「楽しみだね。キルリア」
「……」
ボクの言葉に特に返事を返さず、サーナイトをじっと見つめるキルリア。未来の自分の可能性のひとつと言うだけあって、当然なにか思うところがあるのだろう。
「さて、戻ってそろそろ準備するよ」
「ブラッ!」
「ハミュミュ〜」
「……」
返事をするブラッキーとユキハミ、そして未だにサーナイトから視線を外さないキルリアを連れてホテルに戻る。
「キル……」
この時キルリアのこぼした鳴き声は、ボクには届かなかった。
☆
(ふぅ……)
目を閉じ、深呼吸。周りから聞こえる歓声はとりあえず聞かないことにして、足の裏から感じるバトルコートの感触を感じながらそっと目を開ける。するとそこには、入場口からゆっくり歩いて、たった今ボクの目の前に到着したポプラさんの姿。
「てっきりミッションを突破してすぐに挑んでくると思ったんだがねぇ」
「流石にホップは待ちたかったので」
「いい友情だねぇ」
傘を杖代わりにした姿は少し休ませてあげたくなってしまうけど、これから行うバトルを考えるととてもじゃないけど気遣う余裕なんてない。
フェアリータイプのジム。
まだまだ数が少ないジムだし、今までのタイプと違ってシンオウ地方にはジムリーダーも四天王もないタイプ統一なので、どこかしらで初見殺しも喰らいかねない。
(マホイップのクリーム戦法も全て筒抜けだろうしなぁ……)
タイプに精通している訳では無いボクでも思いついた戦法だ。その筋のプロである、しかも長年戦い続けていたというキャリアもある相手である以上通用しないと考えるのが普通だと思うし、なんならもっと昇華して使ってくるはず。だからと言って使わないのもそれはそれでちがうのでしっかりとクリーム戦法は使わせてもらうけどね。
(一応対策も考えてはいるんだけど……そこはもうアドリブだなぁ)
予め準備をしてから戦いに望むボクにとってはあまり取りたくない戦法だけど仕方がない。上を目指す以上この道は避けては通れない。
「さて、ずっと立ち話をするのはあまり好きじゃなくてね。さぁ、ひねくれ不足のチャレンジャー。あたしの大切な後継者を押し付けてきたお礼とお返しをしてあげるよ」
「自分で勧誘してましたよね!?」
「ほれ、早く準備をおし」
「うぐぐ……」
いまいちペースの分からないポプラさんに少し頭を抱えながらボールを手に持つ。独特な空気のせいで今にも頭がぐるぐるしそうだけど、そこは頬を叩いて気持ちをしっかりと引き締めていく。と、同時に目の前のポプラさんからも、不思議な空気はそのままに、今までのジムリーダーたちと同じ……いや、それ以上に重いプレッシャーを放ち始める。
「フェアリータイプ……エスパータイプとはまた違った不思議な力……あたしは今までその力を色んな人に魅せてきた。その実70年。今やじじいになって孤島で隠居しているライバルと激しいバトルをした時だってあったさね」
70年。そのあまりにも長い経験に思わず喉がなる。一体、どれだけの戦いを経てここにいるのだろうか。
「けど、さすがにあたしもそろそろ引き時さ。そんな時に見つけたこのジムを継ぐにふさわしい未来の卵……」
杖代わりの傘をとんとんと地面に叩きながら呟くポプラさんは、そっと腰にとめているハイパーボールに手を添える。
「一丁前にピンクを継ぐなんて言ってくれて……なかなかどうして、嬉しいもんさね……だけどね……」
呟きながらそっと剥がされたハイパーボールは、そのままゆっくりと顔の高さまで持ち上げられ、そのボールをポプラさんは横目で確認しながらさらに言葉を続ける。
「あたしにしてみれば、ここを任せるには何もかもがまだ足りない。だから徹底的に教えこんであげるのさ。本当ならジムチャレンジじゃなくてここであんたと戦わせたかったんだけど……あんた達もそんな中途半端な戦いなんか望んじゃいないだろう?だからまぁ……これはあれさね」
その緩やかな、だけど誰よりも重く、貫禄のある姿と声に負けないように気合を入れながらボクもボールを構える。
「あの未熟者が育つまでの穴埋め感覚とでも思っていな。ただし、この戦いであんたがへまをするようなら、ただじゃ置かないから覚悟するんだね!!」
ジムリーダーの ポプラが
勝負を しかけてきた!
「行きな、マタドガス!!」
「行くよ!!マホイップ!!」
ポプラさんの言葉を合図に両者最初のポケモンを場に繰り出す。ボクが先鋒に選んだのはマホイップ。ブラッキーが圧倒的に不利である以上、今回の戦いで登板させることができないとなると、最初の様子見役としてうちで一番耐久が高いのはこの子だからという理由だ。ポプラさんの切り札もマホイップであるため、最後のマホイップ同士の戦いになると厳しい所があるかもしれないという考えも少し混じっている。対してポプラさんの先手はマタドガス。2つの顔が空中でほっぺをくっつけて浮かんでいるようなその見た目のポケモンはボクがよく知る名前でありながら、姿はかなり違った個体だった。紫がかっていた全身は灰色に変わっており、2つの頭の頂点から延びた煙突のようなものからは白い煙が上がっていて、さながら宙に浮かぶ工場のように見える。また、マタドガス本体から浮かんでいる黄緑色のおそらくガスと思われるものもかなり特徴的で、口の周りにもついたそれは口ひげを蓄えているようにも見受けられる。
(リージョンフォームか。クチートの時と言い、また不利な相性なのかも……)
ボクの知っているマタドガスのタイプと、宙を漂っている黄緑色の煙から感じる嫌な予感からどくタイプがある可能性があり、ここのジムのことと考えるとフェアリー、どくタイプと見るのが自然だろう。またもや複合タイプで弱点を突かれる対面だ。
(だけど、戦い方によってはビートとの戦いみたいにまだ覆せるかもしれない。それに交代している隙を逃すなんてことはしないだろうからひとまずマホイップで突っ張る!!)
「マホイップ!まずは━━」
「さて、ひねくれ不足のチャレンジャー!まずはあたしからのプレゼントだ!!」
「━━え?」
早速マホイップに対して指示を出そうとした瞬間ポプラさんの声に呼び止められる。いきなり発言を遮られたことにびっくりしながらも、なんとかポプラさんの方へ視線を向けると、どこか怪しい笑顔を浮かべながらポプラさんが再び口を開く。
「第1問。あたしはガラル地方ではとあるあだ名で呼ばれているんだが……さてそれは『魔法使い』、『魔術師』、どっちだかわかるかい?」
「……は?」
告げられた言葉はまさかの2択クイズ。ポケモンバトルはもう始まっているのに、いきなり投げかけられたバトルとは全く関係ないその会話の内容に思わず素っ頓狂な声が出てしまう。しかし、ここで呆然としたままでは隙をさらしてしまうという本能が何とかボクの口を動かし、無意識のうちに頭の中にある記憶と照合して答えを口に出す。
「確か、『魔術師』ですよね?パンフレットやジムリーダーの紹介pvとかで見かけた覚えがあります」
「……ピンポーン。正解だよ。まぁ、このくらいはさすがに知っているようだね。じゃあ、正解者にはちょっとしたご褒美さ」
「ご褒美……?」
「マホッ!?」
「マホイップ!?」
そういいながらまた傘で地面をコンコン、と2度たたき出すポプラさん。その行動と言葉の意味が全く分からないボクが首をかしげていると、突如マホイップから声が上がる。慌ててそちらに視線を向けると、そこにはいつもよりも機敏な動きで走り回るマホイップがいた。そのあまりも急に上がる自分の機動力に、マホイップ自身も若干の混乱の色を浮かべている。慣れない速さのせいで若干動きに支障が出そうに感じはするものの、これくらいなら十分に慣れることのできる速さで、むしろ本来動きの遅いマホイップからしてみれば、戦いの幅が広がるメリットしかない状態だ。だからこそポプラさんがこんなことをしてきた理由がわからない。
「……これは、いったい?」
「びっくりしたかい?あたしはフェアリータイプのジムリーダーであると同時にあんたが言った通り『魔術師』でもあるんだよ。これくらい朝飯前さ」
「真面目に答える気はないって解釈でいいですね?」
「ほう、少しはわかっているじゃないか」
何か種はあるんだろうけど教えてくれるとは考えない方がいいだろう。むしろ、そのあたりを見抜けるかどうかも試してきている部分の一環なのかもしれない。兎にも角にも、今は気にするだけ無駄なのでいつも通りの自分の立ち回りをすることに専念だ。
「マホイップ!クリーム!!」
まずはいつもの場づくり。辺り一面に広がる水色のクリームは彼女の独壇場となるフィールドだ。残念ながら、ボクの知っているマタドガスとタイプが違うだけで他に違いがなさそうに見えるところから、おそらく戦闘スタイルは特殊寄りだと思われるので、ボクのマホイップが得意とする物理相手ではないことから完封とはいかないだろうけど、特殊なら特殊で違う戦い方をすればいいだけだ。
「ふむ……マタドガス、毒をまきな」
「マホイップ!クリームに飛び込んで『めいそう』!!」
ガラルマタドガスから飛んでくる紫色のガス(おそらく、『どくガス』と思われる)をよけてクリームに飛び込むマホイップ。素早さを上げてもらっているためかその動きはかなり俊敏で、マホイップと同じく決して速い方ではないマタドガスはその速さに追いつくことができない。そのままクリームに潜り込んでめいそうを行うマホイップは順調に自分の能力を底上げしていく。
「『マジカルフレイム』!!」
続いて相手の火力を落とすべく、クリームを泳いでマタドガスの後ろに回り込んだマホイップはすぐさま攻撃態勢へ移行。後ろから迫りくる煌めく焔はマタドガスに直撃する経路をたどって……
「『ワンダースチーム』だよ」
ガラルマタドガスから噴出されるピンク色の煙が全てを遮る。
(うっ……ここまではなれているのになんか独特なにおいがする……)
防がれたことよりも、そのあとの二次災害の方がこちらの頭を狂わそうとしてくる。ボクでこれだけなら当事者であるマホイップはもっとだろう。今はクリームの中にいるから確認はできないけど、不愉快の表情を浮かべているのは想像に難くない。
(それ以上にこの頭がくらくらしそうになる感覚……直撃したら混乱とかひるみとかの追加効果があってもおかしくなさそうだ。注意しなきゃ……)
威力も高く、追加効果もありそうとなるとますます注意しないといけない技だ。となるとまず自分たちがやらないといけないのは相手の攻撃を上回る火力を手に入れるか、受けても平気な状態にするか。
「結局やることは変わらないか……『めいそう』!!」
めいそうで特攻と特防を上げて打ち勝つ。それが最善と判断し再び自分磨きへ。しかし当然ポプラさんがそれを許すはずもない。
「させると思うかい?『ちょうはつ』だよ」
「……ちょうはつ?」
と思ったのに行ってきた技はちょうはつ。ボクのマホイップの特性はアロマベール。メンタルに作用する技は通用しない。そのことをポプラさんが知らないはずがない。
(という事は……)
「ドガドガ~」
「マホッ!?」
マタドガスのちょうはつにのってしまったマホイップがクリームから顔を出し、攻撃態勢へと移行を始める。
「そういう特性持ちか!!」
「特性『かがくへんかガス』。この子がいる限りマホイップの特性は意味をなさないよ」
相手の特性を打ち消す特性。それによりこちらの手が一つつぶされる。こうなってしまうとこちらとしては一刻も早くマジカルフレイムを当てて相手の火力をそぐことを考えた方が利口だろう。
「攻めるしかない!!マホイップ!!クリーム!!」
マホイップに指示を出して攪乱目的のクリームを出してもらおうと考えるものの、クリームに潜って走るという指示と勘違いしたマホイップがクリームに潜行する。
(いや違う。たぶんちょうはつの効果で直接攻撃する技じゃないクリーム出しも変化技と一緒に出せなくなっているんだ……こんなクリームの対策もあるのか)
変化技を封じる技ならこうやって未然に防ぐことができるというのは大きな情報かもしれない。もしかしたら他にも使えそうな技があるかもと思いながらも、今はその検証を後回しにして頭を切り替える。攻撃しかできないのならば攻撃技の範囲で考える。
「『マジカルシャイン』!」
「『ワンダースチーム』」
あげられたすばやさを利用してマタドガスの足元に潜ったマホイップが、地雷を爆発させるようにマジカルシャインを放つ。それに対してワンダースチームで相殺するマタドガスによって大きな爆発が起きる。
「『マジカルフレイム』!」
その影響で飛び散るクリームのかげに隠れながらまたすばやく移動。クリームによって生まれた死角からマジカルフレイムを当ててすぐさま退却。マタドガスも慌ててワンダースチームで反撃に出るも、すでにそこにはマホイップはいないので空振りに終わる。マホイップの上がっているすばやさをこれでもかというくらい生かせている。
「いいよマホイップ!」
「……マホッ!?」
「え!?」
自分の近くまで帰ってきたマホイップを激励しているとマホイップが突如苦しみだす。何事かと様子を見ると明らかに顔色が悪くなっており、ときたまマホイップの頭から紫色の泡が浮かんでいた。
(毒!?いつの間に!?)
どくガスは完璧によけたので状態異常になる隙なんてなかったはずだ。何かほかに原因はないかと周りを見回してみると、その元凶は割とあっさりと見つけることができた。クリームの中に浮かぶ紫色のとげ。間違いない。
(どくびしか!!)
どくびし。
相手のバトルフィールドに撒くことによって、次から場に出されるポケモンに踏ませて登場と同時に毒にするという技。本来なら交代や死に出しした時に発動する技なんだけど、ポプラさんはこれをマホイップのクリームの中に仕込むことによって、その中を泳いで移動するマホイップに毒を入れたというわけだ。
(どくびしを撒いたタイミングはおそらく最初のどくガスを撒いたとき。『毒をまきな』の一言でどくガスとどくびしを同時に捲いたんだ。これで仕込めるから最初のクリームに対してちょうはつをしなくて、そのあとにした。初手の時点でどくびしをこんな形で仕込めるなら確かにクリームを止める必要はないもんね……)
ちょうはつだけではなくさらにその先に対しても対策を練っているポプラさんに舌を巻くしかない。けどこれで相手の技構成はわかった。攻撃技がワンダースチームの一つしかないというなんとも偏った構成だけど、攻撃するどく技がないならマホイップで突破するのはまだ可能だ。ただ、問題を上げるとするのなら……
(どくびしがやばい……)
クリームの中に埋まっているせいでどこに仕掛けてあるのかわからない。ワンダースチームとマジカルシャインのぶつかり合いの爆発によって飛び地たことも相まって余計にだ。どくびしをクリームで洗い流そうとしてもちょうはつでクリームを追加できないから消すこともできない。
「あんたが使っている戦法はあたしもよくやるからねぇ。対策はいくらでも考えているよ」
わかってはいたけどやっぱりそのあたりの知識に関しては向こうが一枚上だ。
(毒覚悟で戦うしかないか……)
「走りながら『マジカルフレイム』!!」
どくびしで体を傷つけながら走り回るマホイップはマタドガスの周りをぐるぐる走りながらマジカルフレイムを打ちまくる。それに対して何とか避けるものの、想像以上に速くなっているマホイップの動きになかなか苦戦しているように見えるマタドガスは、それでもワンダースチームで何とか耐えている。
(あと一手何か……なら!!)
「マホイップ!地面に向かって『マジカルシャイン』!!」
「来たね……」
地面にマジカルシャインを撃ったことによって打ち上げられるクリームとどくびし。それらを確認してさらに指示を出す。
「もう一回『マジカルシャイン』!!」
「そうくるかい!『ワンダースチーム』だよ!!」
打ち上げられたクリームの付いたどくびしは、2回目のマジカルシャインによって、ショットガンの散弾のようにマタドガスに向かって飛び散っていく。慌ててワンダースチームの壁を作って守ろうとするものの、どくびしのとげが煙を突き抜けて進み、毒の追加効果こそはいらないものの、どくびしの針が確実にマタドガスを襲っていく。マジカルフレイムのとくこうダウンが効いている証拠だ。
「もう一回追加で『マジカルシャイン』!!」
どくびしで怯んでいるところでダメ押しにマジカルシャイン。ワンダースチームを打った後隙ということもあって直撃をしっかりさせる。これでもう相手はあと少しで倒せるところまで追い詰めた。
「マホイップ!!」
「マホ!!」
ボクの言葉に頷いて攻撃の構えを取るマホイップ。ふらついているマタドガスを確実に仕留める。
「『マジカルフレイム』!!」
当たれば間違いなく倒れる攻撃。勿論そのまま受けるとは思えないポプラさんがどう行動するのか気になるのでしっかりと
「マタドガス。『どくびし』を頼むよ」
「ドガッ!」
「……え?」
選ばれた技はどくびし。既にどくびしのある場所へさらにまかれることによって、もうどくびしへと変わった場は確かにこちらとしてつらいはつらい状況だ。しかし、当然どくびしではマジカルフレイムを受けることはできないのでマタドガスは倒れる。
『マタドガス戦闘不能!!勝者、マホイップ!!』
「……ありがとうねマタドガス。いい仕事をしてくれたよ。ゆっくりお休み」
倒れたマタドガスを労わりながら戻すポプラさん。その姿がとても落ち着いていて……
(まるで予定通りって感じだ……不気味だね……)
初手はこちらの勝ち。しかし、けっして気持ちのいいとは言えない嫌な予感がボクの体にまとわりついていた。
不気味な空気が漂う中、アラベスクスタジアムのバトルが進んでいく。
キルリア
サーナイトを見て何か思うところがありそうですね。
ポプラ
実機でも印象が強いポプラさんによるクイズ。
この作品でもしっかりとその本領を発揮してもらいますよ。
ちょうはつ
クリーム出しを変化技扱いにしてみました。ちょっとしたご都合展開かもしれないですね。でも攻撃技ではないのでこういう解釈でもいいかなと思っています。逆に言えば攻撃技なら自由に使えるという解釈でいます。地面に向けてのマジカルシャインがそうですね。
前書きにある通り今年最後の投稿です。
この調子だと次の投稿予定日は1月4日になりそうですね。
来年もこの作品をどうぞよしなにお願いします。
では皆々様、よいお年を。また来年お会いしましょう。