今年もどうぞこの作品をよしなにお願いしますね。
マタドガスを被害なくとは言えないものの、少なくとも想像よりは軽微な状態で突破することが出来たボクは、それでいてどこか達観しているというか、特に何も変化を見せないポプラさんの様子が不気味で、どうも素直に喜べないでいた。
(最後にどくびしを選択していたのも解せない……マタドガスはボクの知っている姿と同じなら、確かに物理に関しては硬いけど特殊に対しての耐久はまだ低い方だからあの状況が辛いのは分かる。けど、だからといって切り捨てるのはまだ早計な気がして仕方ない……)
「マホ……」
「っと……ごめんねマホイップ。1回下がろう」
思考をしすぎている間にマホイップが毒でじわじわと体を蝕まれていた。一旦ボールに戻すことで、毒を治すことは出来なくても進行を止めることは可能だ。それに、ちょうはつも受けている以上変化技やクリームの発動も難しいからそれを解く意味でもボールに戻しておく。めいそうであげた能力はちょっと勿体ないけど、まずは地面のどくびしを優先的に消しておきたい。
(あんなに固執してまでどくびしを撒いたということはそれ相応に何かあるってことだよね。ならまだどくびしがクリームに埋まっている間にこの子でどくびしをできる限り無効化する!)
「お願い、ユキハミ!!」
「ハミュッ!!」
天高くボールを放り投げ、空中で姿を現すのはユキハミ。元気な声を上げながら現れるユキハミの姿に思わず頬が緩んでしまうのを何とか気合で我慢して、どくびしを無効化するための指示を出す。
「ユキハミ!地面に向かって『こなゆき』!!」
「ハミュミュ!!」
ユキハミの口から放たれる冷気が地面のクリームをすべて凍らせて、スケートリンクのような状態に作り変えていく。クリームだと足を取られてしまう上、クリームの中に埋まっているもうどくびしにやられてしまうけど、これなら大体のどくびしを無力化できる。残念ながら、もうどくびしとなるまでどくびしを大量に撒かれているためすでに表面に見えるどくびしもそこそこあり、このあたりはどうしようもないので完全に防ぎきることはできないが、それでも猛毒になってしまう程はどくびしに効力はないはずだ。
「ハミュッ!?」
「……やっぱり完全に防ぐことはできないよね」
だけど間違いなくマホイップが受けたものよりはかなり弱い毒だ。これならかなり長い間闘っても毒で倒れる心配はないだろう。ただ、次の問題があるとすれば……
「ユキハミねぇ……それならあたしはこの子だね。行っておいでクチート」
(タイプ相性最悪すぎて笑えないね……)
次のポプラさんのポケモンはビートの時にも戦ったクチート。タイプ相性から考えたら最悪の組み合わせと言っても過言ではないこのカード。今使えるユキハミのことを考えても、こちらにはとてもじゃないけど有効な技なんてまずなくて。
けど、不利な組み合わせなんて今まで何回も戦ってきた。相手が経験豊富なポプラさんというのが凄く怖い所だけどやるしかない。幸い、相手のいかくがこちらにはほぼ意味をなさないところがせめてもの嬉しい所か。
「ユキハミ、『こごえるかぜ』!!」
「クチート、『かみくだく』」
まずは相手の機動力を落とすためにこごえるかぜを放つユキハミ。何もかもが負けている相手だからせめて1つだけでも勝てるものを作るための攻撃。しかし、その冷気は激しく打ち鳴らされるクチートの大きな顎によってかき消される。
(正直に真正面から打つだけだと当然躱されちゃうか……かといって搦め手は……)
現状のユキハミだと打てる技はすべてクチートに半減以下で抑えられてしまう。それはつまり、適当に撹乱するために打ったとしても無視して突っ張ってくるのが可能という事だ。むしろ覚えているかはわからないけど、返しでアイアンヘッドなんてもらった時には致命傷なんて言葉じゃ片づけられないことになる。
(ってなるとやっぱり機動力だけでも勝っておきたい……けど、こごえるかぜを当てる方法が……)
「クチッ……!?」
「ん?」
どうやって動こうかと考えた時にクチートから聞こえる声。そちらに目を向けると、かみくだくを放った後の着地が、床が凍っているために足が滑ってしまいうまくできなかったところが目に入った。確かに今のフィールドはユキハミのせいで床が凍っているから滑りやすい。それに、こんな森の中で育ったクチートなら氷の足場というのは絶対に慣れていないから余計に足を取られるはずだ。
(ならそこをつけば!!……問題はユキハミが出来るかどうかだけど……)
個人的にはいつもの作戦は意表をつきこそすれ、無茶をやっている自覚はないんだけど━━それでも周りからは変な顔をされるのが物凄く解せないけど━━今回に限っては結構無茶振りを強いることになりそうだから、ユキハミにしっかりと確認を取らなきゃ行けない。
「ユキハミ。いい考えがあるんだけど……出来そう?」
「……ハミュ!!」
少し考えるような時間があったけど、それでもボクの期待に応えてくれようと元気に返事をする。その言葉に頷き、早速ユキハミに思いついた作戦を実行してもらう。
「ユキハミ!!まずはひっくり返って!!」
「ハミュッ!!」
ボクの指示を聞いてすぐさまひっくり返るユキハミ。
ユキハミというポケモンは自分の体を守るかのように氷の棘が生えた殻を自分の体の表面に作っていて、それは自分が摂取した雪や栄養の量に比例して立派なものに成長していく。当然それはボクのユキハミにもあてはまっており、仲間になってからは雪を食べる機会こそどうしても減ってしまうものの、代わりに色々なポフィンや氷菓子を食べさせるようにしている。実はそういう事もあってかうちの手持ちの中で1番の大食らいなので、何気にポフィンなどの消費量も1番なのだけど……とにかく、うちのメンバー1の健啖家はその旺盛な食欲のかいもあり、その背中に立派な氷の棘が生えている。
つまり、何が言いたいかと言うと現在ひっくりかえったユキハミは、その背中に生えた立派な氷の棘を下に向けて、器用にバランスをとって立っているということ。これだけ見れば一種のショーか何かでしかないけど、もちろんこれで終わりじゃない。
「……次はどんなびっくり作戦が来るのか……この歳になって初めての経験をさせてくれるなんて、やっぱりあんたは面白いねぇ」
「これからもっと面白くなりますよ!!」
最初の対面は勝ちこそすれ、終始流れを取られていた感があった。だけど次はこっちの番だ。
「ユキハミ!『こごえるかぜ』を自分に!!」
「ハミュミュ!!」
ユキハミを取り囲む白色の風はまるでユキハミを守る鎧のようで、同時に風といっしょに逆さまのまま回るユキハミは背中の氷を軸としたコマのようになっていた。
「そういうことかい!クチート、『かみくだく』だよ!」
「そのまま滑って『こなゆき』!!」
こごえるかぜを纏いながら高速回転をするユキハミは、そのままスケートを滑るかのように氷上のステージを滑って行き、勢いを乗せたまま相手を凍らせる雪を浴びせていく。対するクチートは、再び後頭部の大あごを振り回すことでこれを防ごうとするものの、地面を滑りバトルコートを走り回るユキハミのスピードに追い付けず、四方八方から飛んでくる攻撃になかなか手が出せずにいる。
「よし!いいよユキハミ!!」
「成程、確かにこれは厄介……『ドレインキッス』」
かみくだくだけで防ぐのはじり貧と判断したポプラさんが今度は特殊攻撃に切り替える。しかし、自分が受ける特殊攻撃の威力を下げるユキハミの特性こおりのりんぷんと、ユキハミを守るこごえるかぜのバリア。さらにもともとクチートの特殊攻撃力が低いことも相まってユキハミへ全然攻撃が通らない。こちらの攻撃もいまひとつだから決して大きいダメージが通るとは言わないけど、少なくともボクたちが与えているダメージよりは、受けるダメージは少ないように見受けられる。
「また面白い機動力の確保の仕方だねぇ。てっきりラテラルタウンと同じような立体機動による戦い方をしてくると思ったんだが……本当に芸達者な子だよ」
「ボクの考えをしっかりと読み取って実行してくれるこの子たちのおかげです!」
「ハミュミュ!!」
一通り攻撃を終えてボクの下へ帰ってきたユキハミがいったんさかさま状態を戻して前を向く。目を回さないか心配だったけど、そちらも大丈夫なようだ。
「ふむ……地面を凍らせることは読んでいたけど、ここまでの機動力は予想外さね……となるとやっぱりクチートの役目は……」
「……」
やっぱり不気味だ。どこまで行っても有利になっている気がしなくてとても気持ちが悪い。
「それなら……少しこちらも趣向を凝らしてお返しと行こうじゃないか。クチート、『ほのおのキバ』」
「クッチ!!」
「お返し……気を付けてユキハミ!準備!!」
「ハミュ!!」
ユキハミが再びひっくり返ってさっきの移動法の準備をする。一方クチートは大きな顎に炎を纏い、そのまま
「そういうことか!!ユキハミ!!『こなゆき!!』」
「ハミュ!!」
「クチート、吐き出しな!!」
「クチッ!!」
クチートが何をしようとしているのかわかったため、それを阻止するべく攻撃に映るも、クチートの方が一歩速かった。
クチートが行ったのはほのおのキバで地面を溶かし、クリームを口にたくわえてこちらに向かって吐き出すというもの。勿論、クリームに埋もれているどくびしも一緒に。本来ならどくびしごと口にくわえるクチートも毒になってしかるべきだけど、はがねタイプを含むクチートに毒は通用しない。さらに炎によって熱を保ったままこちらに吐き出されているためこなゆきだと止めきれない。
「くっ、ユキハミ!糸!!」
今から滑って避けるだけだと躱し切れなさそうだったので離れた地面に糸を張り付けて巻き取るいつもの移動法で何とか避けきる。どくびしごとクリームを飛ばしてくるその戦法は、まるでさっきマジカルシャインでどくびしを飛ばしたボクの戦い方と酷似していた。お返しというのはそういう事だろう。
(それにとけたクリームをまき散らしているせいでせっかく凍らせた地面が溶け始めてる。これからまた冷やすってなるとかなりの時間がかかるだろうし、クリームの熱が冷めたうえで追加で凍らせるなんてそんな時間をポプラさんが待ってくれるとも思えない)
かといってこのままクチートの好きにさせてしまうとほのおのキバがいつか必ずユキハミを捉えてしまう。こおりのりんぷんで受けることのできない物理攻撃なうえ、ユキハミが最も苦手とするタイプの攻撃。掠るだけでも間違いなく致命傷となる。軽微とはいえ毒もまわっている今、そんな攻撃は絶対に受けてはならない。となれば……
(速攻で倒すしかない!!)
「ユキハミ!!」
「ハミュ!!」
速く倒さないと間違いなく負ける。そのことをユキハミもしっかり理解しているため、さっきよりも鋭く、速く回り始める。
「クチート、まき散らしな!!」
「ユキハミ!!糸も使って速く動いて!!」
熱を帯びたクリームの塊が次々と飛ばされてくる。一つ目を下をくぐることで避け、続いて飛んでくる二つ目、三つ目を右、左と滑ることで回避。このままでは捕まえられないと判断したクチートが、足を奪うために今度はユキハミの足元へ向かって放つ。これをかろうじて避けるものの、足場の氷が溶け始めてバランスを崩してしまう。そこに追撃をするべくドレインキッスをこちらに向けて放ってくる。熱によってこごえるかぜの壁も消えかかっている今、この攻撃を受けたくないこちらはクチートの体に氷の糸を張り付けてまきとり、クチートとすれ違うようにして飛ぶ。この際振り返り際にせめて少しだけでもダメージを当てるためにむしのていこうをあて、距離を取る。
とりあえずいったん仕切り直し。けど、いまだに不利な状況は変わらない。
(やっぱりほのおのキバの存在がでかい……この技を対策しなきゃだめだ!……いちかばちか……これで勝負!!)
「ユキハミ!回転しながら糸!!」
「『がんせきふうじ』だよ」
(ほのおのキバだけじゃないのか!!)
回転しながらやたらめったら糸を飛ばしまくるユキハミに対して、今度は岩の塊を投げつけてくるクチート。いわタイプの技もまたユキハミにとってほのおタイプに匹敵する喰らってはいけない技の一つ。こちらの足を壊しつつ、素早さを奪うために放ってくるその技はこちらの糸を切断しながらどんどんユキハミが移動できる範囲を塞いでくる。
攻撃面においてはかなり優秀と言われるこおりタイプだけど、こと防御に回った瞬間その脆さが浮きだってしまう弱点を的確についてくる。しかも、あまり障害物を増やしすぎるとユキハミの立体軌道によって逆に機動力が上がることを避けるために、がんせきふうじの大きさも最小限に止められている。逆にクチートは、この落ちたがんせきふうじの岩を足場にして動くことによって、氷に足を取られることなく走り回ることを可能としていた。
(このあたりの細かい調整が本当にうますぎる!!)
だんだんと地面に岩が増えていき、いよいよ独楽とスケートによるこうそくいどうが厳しくなっていく。代わりに伸ばしている氷の糸も、がんせきふうじのサイズが最小限に抑えられているせいでうまく立体軌道に役立てることができない。
「『こごえるかぜ』!!」
「『ほのおのキバ』」
相手のがんせきふうじに対抗するべく、こちらもこごえるかぜをするものの、相手がほのおのキバを憶えていることに加え、クリームが溶けて熱を持ち始めたことにより、気温がどんどん上がっているためこなゆき、およびこごえるかぜの威力がどんどん落とされている。
「『ドレインキッス』だよ」
「後ろに飛んで!!」
ほのおのキバでこごえるかぜを噛み切り、すぐさまドレインキッス。ユキハミはこれを避けるために後ろに糸を伸ばして、いつもの動きでよけようとし……
「そう避けると思ったさね」
「なっ!?」
地面に当たったドレインキッスが、クリームの中に埋まっていたどくびしを飛ばし、後ろに飛んで逃げるために伸ばした糸に向かって飛んでいく。ただのどくびしなら決して切られることの無い氷の糸は、今回に限って言えばほのおのキバによって熱せられていたせいで簡単に氷の糸を切ってしまう。体を支えていた糸を切られてしまうことによってバランスを崩したユキハミは地面を転がってしまう。
「ハミュミュ!?」
「ユキハミ!!」
すぐさま体を起こそうと頑張るものの、その姿は致命的なまでの隙となる。
「今だよクチート。『ほのおのキバ』」
そこをポプラさんが逃すなんてことは当然しない。炎を纏った大きな顎をしっかりと構え、とうとうユキハミの懐に入り込んだクチートがユキハミにとどめをさすべくこうかばつぐんの致命打を与えんとくらいついてくる。防御姿勢もとることが不可能な今のユキハミが受ければ当然戦闘不能になってしまう。
「かかった!!ユキハミ!!今!!」
「ハミュ!!」
「クチッ!?」
「……」
クチートがユキハミの眼前に迫った瞬間、ユキハミが地面に残されていた氷の糸を思いっきり引っ張る。すると、さっきまでいたるところにちりばめられていた氷の糸がクチートの顎を無理やり閉じるように収束していく。
「ロープマジック……これもラテラルジムで見せた技だけど、通じてよかったです」
「あんた、曲芸師になったらきっと大儲けできると思うよ」
「魅力的ですけど、目指す場所があるのでお断りします」
ほのおのエネルギーを纏ったそのアギトは無理やり閉じられたことによってそのエネルギーの行き先が封じられてしまい、クチートの顎の中で爆発を起こす。クチート自身の技であるものの、はがねタイプであるクチートにほのおタイプはこうかばつぐんだ。その爆発はそのままクチートへ大ダメージとなって跳ね返る。間近で起こったその爆発にユキハミも少し巻き込まれて無傷ではないけど、ここを逃すわけにはいかない。
「ユキハミ!!『こなゆき』!!」
「ハー、ミュゥ!!」
全身全霊のこなゆきをもってクチートにとどめを刺す。最後の一撃を受けたクチートはそのままポプラさんの方へと飛ばされて……
「クチート、『ほのおのキバ』」
「ク……チ……ッ!」
地面にほのおのキバを放って倒れた。
『クチート戦闘不能!!勝者、ユキハミ!!』
(まただ……最後に謎の技選択……)
クチートの技によって地面の氷は完全に溶けきる。再び凍らせるとなるとかなりの時間がかかってしまう事だろう。確かにユキハミにとってその行動はかなり嫌だ。だけど……
(最後のあがきとして行うのならがんせきふうじでみちづれを狙ったりした方が効果的だとおもう。というかボクならそうする。マタドガスと言いクチートと言い、技によって起こされることについては分かるけど、どうしてそれを狙ったのかが全く分からない……)
戦況はどんどん有利になっているし、観客から聞こえる声からしてももうこのバトルはボクが勝つのではという話題で盛り上がり始めている。しかし、当の本人であるボクの心は全然休まらない。
上手くいきすぎている。それが逆に不安でたまらない。
(初めての感覚だ……差は確実に開いているのに全然安心できない!!)
見た目は着実においつめているのにその実相手の罠にゆっくりと浸かって行ってしまってるのではないかと……例えるのなら、オセロで自分の色で埋まっているのに後半になるにつれて自分の色を置く場所がなくなって逆転をされるのではという引っ掛かりが常に頭に残る。
(……いや、それでも前に進むしかない。ポプラさんがなにか準備しているのならそれを乗り越える。もしくはその策を実行される前に叩き潰す!!)
幸いにもこのバトル、ユキハミは毒のせいでそこそこ削れているとはいえ戦えない状態ではない。マホイップと比べるとまだまだ体力には余裕がある。このまま続投で大丈夫だろう。熱を持ったクリームが少し厄介だけど、こればかりは仕方ないと割り切っておく。
「ふむふむ、クチートの口を縛り暴発させる……なかなかいい作戦だよ。今までその戦法を取ってきたやつは多くはないけど確かにいたし、実際効果的だからねぇ。もっとも、ユキハミにやられたのは人生初だけどね」
「……光栄です」
70年もジムリーダーを務めた人からのその発言は素直に嬉しいので受け取っておく。けど、拳に込める力は緩めない。
「さて、それじゃあ次の子の出番と行こうか……トゲキッス。行っておいで」
「キ〜」
(トゲキッスか……)
ポプラさんの3体目はしゅくふくポケモンのトゲキッス。全翼機のようなフォルムが特徴の空を飛ぶポケモン。そのポケモンの登場にクチートで地面を溶かした理由が余計わからなくなったけど、もはや考えても仕方がないと割り切る。
(タイプ上は五分。可能なら厄介なことをされる前にどうにかしたいけど……)
「さぁ順風満帆なチャレンジャー。第2問だよ」
「うぐっ……そういえば、忘れてた……」
第1問と言われたからには当然次の問題はある。この未だに種が分からないものを既に混乱されているところに思い出させてくるあたり本当に意地悪な人だ。
(いや待て、さっきクイズに正解したら素早さをあげて貰えた。つまりここでも正解すれば能力を上げてもらえる可能性があるということだ。もういっその事これはチャンスと割り切って……)
「人間誰しもお気に入りの色というものがある。次の問題はそんな趣味の問題さ。あたしの好きな色は『ピンク』、『パープル』、どっちか分かるかい?」
「分かるかぁ!!」
いけない、つい怒鳴ってしまった。
しかし、調べてさえおけば100%答えることが可能な第1問と違って、完全にポプラさんのさじ加減で答えが変わってしまうような問題。さすがにこれはボクが正しいと思いたい。
「ほれ、早く答えな」
「くぅ……」
しかしここではポプラさんが絶対のルール。それに、もしかしたらここまでのポプラさんとの会話の中に実は答えがあるのかもしれない。そう思い少し考えた結果、すぐに答えは出た。
「……『ピンク』です」
普段からピンクが足りないだとか、フェアリーらしさをピンクと表現するあたり、ピンクが好きなのではと予想を立てる。たとえ違う色が好きだったとしても、フェアリータイプのジムの試練であることを考えたらこの答えで間違いはないはず……
「ブッブー。周りに求めるものはそうだけど、あたしの好きな色は『パープル』だよ」
「理不尽なんだけど!?」
思わず敬語が外れたけどこれは許されるはずだ。いくらなんでもこれは理不尽だと思うのですよ……。
「さて、正解者にご褒美があるということは不正解者には……」
(当然罰がある……)
ポプラさんの言葉に気を引き締める。何をしてくるのか。種があるということは避けることができるはず。相手が何をしてくるのかしっかりと目を離さないように確認していこう。
(ここで見極める!)
「それ相応の物を見せてやらないとね」
そういいながら傘をゆらゆら動かすポプラさんの動きに合わせて、トゲキッスも体をゆっくりと動かし始める。ゆらゆら動くトゲキッスから何をされるのか、その動きを見逃さないようにじっと見続けていると……
(あ、あれ……?)
特に何もされていなはずなのに自分の体が少し揺れた気がした。そしてそれ以上に驚くことは……
「ハミュミュ……」
「ユキハミ!?」
明らかにユキハミから感じる気迫が小さくなっていること。
「トゲキッス。『ドレインキッス』」
「ユキハミ!!糸で防御!!」
今なぜか不調になっているユキハミには避けることは不可能と判断し、せめてダメージを減らすためにとトゲキッスの攻撃を蜘蛛の巣状に放つ氷の糸で弱めて受ける。
これなら大分威力を抑えられると判断して。
しかし……
「ハミュ!?」
「ユキハミ!?」
明らかに想像以上のダメージを受けて吹き飛ぶユキハミ。まだまだ戦えるだろうけど、少なくないダメージが入ったはずだ。そして同時にここで確信する。
(ユキハミの特防が下げられている!!)
相手が何をするのかを注意したうえで、ポプラさんの術中にはまってしまったことを。
ユキハミ
氷上を独楽のように滑りながら走るのは、アニポケのウルップさんが扱うカチコールの、かくばる、こうそくスピンのコンボから。
ロープマジックに関しては完全に某冒険に影響されてますね。糸となるとどうしても頭に浮かんじゃう……
独楽と言いロープマジックといい、なんだかうちのユキハミちゃんが凄く多芸になってますね。
ポプラ
さて理不尽な第2問。
ちなみに私は間違えました。
また、表記は特防ダウンしか書いてませんが、実機でもこの作品でも防御も一緒に下がっていますよ。