ポプラさんが使うトゲキッスの特性ははりきりで間違いはないのですが、覚えている技はすべて特殊なんですよね……
なぜ……?
カジリガメの特性に続き、誠に申し訳ありませんでした。
改めて、指摘してくださった方ありがとうございます。
たぶん違和感ないと思いますので、確認していただけたら幸いです。
ぷるぷると震え出す私の腕。右腕でヘイチョーを抱き、左腕をフリアに掴まれた状態でぶら下がっている現在、後ろから襲われようとしているフリアに対して、私ができることなんて何も無い。それがとても悔しくて、私のせいでこの状況になっているのが許せなくて。
「フリア、私のことは大丈夫だから……」
「大丈夫なわけないでしょ!?この手は絶対に離さないから!!」
「なんで……」
下に視線を向ければ、確かにすごく高いけど、ここから落ちても命を落とすとまではいかない……と思う。それくらいなら、いっそこの手を離して、あのイワパレスをフリアが倒してくれれば、それで丸く収まると思う。なのにフリアは頑なに手を離そうとしなくて。
「大切な人助けるのに理由なんているの!?悪いけど、またボクの傍から人が離れるなんて絶対にさせないから!!」
「っ!?」
フリアの言葉が胸に刺さる。フリアの過去については色々聞かせてもらった。彼がどんな思いでここにきているのかも。元々誰よりも優しくて、けど挫折を味わって、それでも克服をしようとここまで来た彼が、こんな状況で誰かを見捨てるなんて絶対しない事くらいわかりきっているし、そんな彼に見捨てろという方が酷に決まっている。
けど、不謹慎に聞こえるかもしれないけど、それでもやっぱり……
(本当に優しくて、強くて……この人に憧れてよかったなぁ)
そんなことを思ってしまうわけで。
今もフリアの後ろでは何かが砕ける音がして、フリアの後ろから青白い光が差し込んでいて。きっと私が想像もつかないようなことが起きているんだろう。
(それでもきっと……フリアなら乗り越えちゃうんだろうなぁ)
それでも必ず何とかしてくれる。さっき、私の腕をつかみながら叫んだフリアの表情を思い出すと、不思議とそんな感情があふれてくる。
とくん
(……あれ?)
とくん
と同時に、いつかなった覚えのある現象が再びぶり返す。早まる鼓動。上がる体温。けどどこか心地よくて安心する。そんな不思議な感覚。
(ああ、そういう事なんだ……)
この現象はいったいなんなのか。前回起きたときはわからなかったけど、今その正体に気づくことが出来た。
握った手から確かに感じるこの暖かさとときめき。これがそういう事なんだって、気づいてしまった。
(……ほんと、なんてタイミングで気づいているんだろ)
まるで緊張感のない自分に苦笑いが出てしまう。この仄かな思いは、せめてイワパレスとのいざこざが終わるまでは隠しておこう。きっとフリアならこのまま私を引き上げてくれるはずだ。そうなれば、またイワパレスと戦うことになる。その時においては、この感情はちょっとした邪魔になってしまうかもしれないから。けど、この問題が片付いたその時からは……
(少しずつ、そっちの方面にも、進んでみようかな……)
きっとライバルは多いだろう。けど、ちょっと簡単には諦めなさそう。
フリアとつながっているこの手を眺めながら、私は密かに決意をした。
☆
背後から石の破壊音が聞こえたと思ったら、今度は自分の視界の周りが青白く光りだし、明らかに何かが起きたことを教えてくれた。しかし、現在進行形で後ろを振り向くことが出来ないボクに、イワパレスが、戦況が、そしてこの光によって何が起きたのかを確認する術は一切ない。吹き飛ばされたキルリアや、残されているインテレオンたちへの心配がどんどん積もっていく中、徐々に視界から青白い光が消えていき、気づけば周りの風景はいつもの色に戻っていた。
現状唯一、周りの状況を確認できる方法が聴覚だけとなっているため、頑張ってそこからいろいろ探ろうとしてみるけど、青白い光が消えてからというものの、周りの戦闘音も止んでしまったためいよいよもって状況がわからなくなっていた。
(な、なにが起きているの……?イワパレスの足音とか、技の発生音とかが聞こえてこないあたり、接近してきてはいないみたいだけど……もしかして、マクワさんたちがイワパレスを……いや、それならボクたちを引き上げてくれているはずだから……けどイワパレスが皆を倒しているなら、それこそボクたちはとっくに崖下に突き落とされているわけで……本当にどうなっているの?)
いくら考えても出てこない答えに不安感はさらに加速していく。
これから自分たちはどうなってしまうのか。
せめてユウリにこの不安が伝わらないように表情こそ変えていないものの、内心は穏やかではない。
(ボクはいったいどう動くのが正解なんだろう……)
と、いろいろなことを考えていたところに、突如ボクの思考を強制的に断ち切らざるを得ないことが起きる。
「わわわ!?」
急に背中から誰かにつかまれて、引き上げられる感覚。少しの浮遊感を感じながら持ち上げられた体は、先ほどまでユウリたちを落とさないように込めていた力をも抜けさせていく勢いで引っ張られる。よくよく足元を見れば、浮遊感どころか本当に浮遊しており、それはエスパータイプの超能力によって浮遊させられた感覚と全く一緒で、ボクと手をつないでいることによって同じくエスパー能力の効果範囲となったユウリとタイレーツも一緒に浮き上がっていた。
……タイレーツは苦手なエスパーの力を感じているみたいで、若干嫌そうな顔をしているけど。
何とか危機的状況から切り抜けることはできた。問題はボクたちを助けてくれた存在が誰かという事。ボクの予想では、キルリアが頑張ってくれたんだと思っている。それを確かめるために振り返り……
「……え?」
予想が裏切られたことに驚く。
ボクの後ろにいたのはキルリアから育った姿。スカートのように見えた部分は腰に丸くまとまり、腕は白色から緑色へ。さらに肘を起点に前腕と逆方向に突起が伸びており、まるで刀を逆手持ちしているようにも見える。一方で脚は緑色から白色になっており、その逞しい足の先は足袋のようにもみえ、キルリアの頃のような華奢なものとは打って変わって力強さの感じる、それでいて無駄な部分は感じさせないしっかりとしたスマートなものへと変わっていた。
それは、めざめいしがないと到達することのできない姿。
キルリアが、なりたいと自分から願った姿。
「エルレイド!!」
ボクの仲間は、頼もしい騎士へと進化を遂げていた。
「エルレイド……よかったね。自分の望む進化ができて……!!」
「……?」
しかし当の本人は自分の望む姿に進化したというのにあまり嬉しそうにしていない。むしろ、ボクに対してどこか申し訳なさそうな顔をしていた。
「どうしたのエルレイド。進化が嬉しくないの?」
「…………???」
質問してもどこかまだ状況がよく分かっていないエルレイド。ボクの言葉が理解できていないみたいで、せわしなく首をあちこちへきょろきょろさせながらうろたえている。一体どうしてしまったのか。何がエルレイドを混乱させているのか考えてみて、ふととある答えに辿り着いたので聞いてみる。
「……もしかして、今自分がどうなっているか理解していない?」
「!!」
ボクの言葉にものすごい勢いで頷くエルレイド。ボクにとっても予想外の進化だったけど、それはエルレイドからしてもそうだったみたいだ。
確かに、よくよく考えればかわらずのいしを持っていたし、一方でめざめいしは持っていなかったため、この進化は謎だ。けど、エルレイドになっているのは事実である。そのことを自覚してもらうために、ロトム図鑑にカメラモードを起動してもらい、自分の姿を確認してもらう。
図鑑のカメラ機能にしっかりと映るエルレイドの姿。
「エル……ッ!!」
そこでようやく自覚する自分の進化。と同時にボクに抱きつきながらうっすらと涙を流すその姿は、エルレイドの種族特有の感情共感により、嬉しさと感動と感謝がダイレクトに伝わってくる。いつの間にか後ろに立っているユウリも、その光景にあてられたのか、同じようにうっすらと涙目になっている。なんだかボクもつられて泣いちゃいそうだ。
(でもなんでエルレイドに進化を……あれ?)
エルレイドに進化した理由がいまだにわからず、あたりを見渡していると、砕けてはいるものの、もともとは一つの大きな石だったと思われる残骸が散らばっていた。
(この石……もしかしてボクのリュックに眠ってた……サイさんとクツさんに貰ったあの石……)
遠くからやってきたウルガモスと、ウルガモスを撃退するために対抗していたモスノウたちの群れが原因で起きたあの事件のさなかに、採掘コンビからいただいた、ただの石だと思っていたもの。貰った時は、いらないものだと言ってボク以外の皆が捨てて、ボクもそれに倣って捨てようと思っていたけど、そこから事件がいろいろ起きてしまったため、捨てるタイミングを失ってリュックに眠っていたそれ。
あの時は、『それはなんかの石だ!なんか見ていて妙に惹き付けられたし、採っても大丈夫そうだから採ってきたぞ!』と、物凄く胡散臭い言葉とともに送られたものだけど、その中にめざめいしが入っていたという事だろう。
灯台下暗しとはまさにこのことだ。
「おめてとう。そしてあらためてよろしくね。エルレイド」
「エル……!」
胸に手を当てながら恭しく頭を下げ、膝をつくその姿はまさしく騎士そのもので、そこからボクの手を取る姿はなんだかボクが童話の登場人物になった気がして。
「……なんだか、フリアがお姫様になったみたい」
「なっ!?」
「エル?」
ユウリの発言によって一気に空気が壊される。
「フリアって中性的だし、女の子の格好をすれば完璧だと思うよ?」
「や、やめて……古傷が……」
「古傷……?」
ヒカリのせいで嫌な記憶があるので本当にやめてほしい……。
「って、ユウリは大丈夫?ヘイチョーは?」
「私たちはフリアとエルレイドのおかげでなんともないよ。本当にありがと」
「ヘイ!!」
ボクの言葉に元気に返してくれるヘイチョーとユウリの姿に嘘を言っているようには見えないので、とりあえず山場は乗り越えたとみていいだろう。
「レオッ!!」
「ルオォッ!!」
「「「「「ヘイッ!!」」」」」
そして落ち着いたボクたちのところに帰ってくるインテレオンとミロカロスとヘイたち。よく見ればイシズマイたちもかなりの量が倒れており、ボクたちがいない間にしっかりと戦ってくれていたことがわかる。指示がない戦闘は2匹とも初めてだから、間違いなく戦い辛かっただろう。それでもしっかりとヘイたちを守り切ったことに本当に感謝だ。
この広場の入り口の方を見れば、マクワさんたちもイシズマイたちを的確に倒しており、マホイップとストリンダ―も押され気味ではあるけど、押し切られる前に逆方向から攻めているマクワさんたちが押しつぶし切ってくれるだろう。
ボクたちは前を見るだけでいい。
「イワパレスも『からをやぶる』で強化されているとはいえ、かなりダメージを受けているはず。イシズマイの数もかなり少ないはずだし、ここまでくれば問題なく勝てそうだ!」
「うん、次は油断しないよ!!」
「「「「「「……ヘイ!!」」」」」」
改めて気合を入れなおすユウリの足元で、タイレーツが軽く突きながらユウリを呼んでいた。
「あなたたちも、最後まで頑張ろうね!!」
「「「「「「へヘイ!!」」」」」」
それに対してユウリも返事をするものの、どうもタイレーツたちの言いたいことがちゃんと伝わってなかったようで、まだユウリの足元に群がってくっついていた。
「え、えっと……」
「ユウリの指示を聞きたいんだって」
「え?」
タイレーツたちの動きに困惑してしまったユウリに対して、タイレーツたちが言いたいことを何となく察したボクがアドバイスをする。ボクの言葉を聞いて驚いたユウリがタイレーツの方へ視線を向けると、どうやらボクの予想が当たっていたみたいで、ユウリが「そうなの?」と聞き返すと、元気よく頷くタイレーツたち。その視線は助けてもらったことによる感謝も交じっており、ユウリの手伝いをしたいという気持ちが強く感じ取れた。
それともう一つ、トレーナーの指示を受けて想像以上のパフォーマンスを見せているミロカロスにちょっとした羨望の気持ちも感じるあたり、感謝とは別にタイレーツ本人が、何かしらの目的をもって強くなりたそうに見えなくもないけど……そこは彼らにしかわからない事情があるのだろう。今は知るすべもないし、この戦闘に関係はなさそうだから置いておく。
「……うん。わかった。タイレーツ!!」
「「「「「「ヘイ!!」」」」」」
タイレーツからの熱烈な視線に対して、ユウリもその思いをしっかりと受け止めて、空のモンスターボールをタイレーツに向ける。向けられたボールの中心部分に突撃したタイレーツは、6匹まとめて赤色の光とともにモンスターボールに吸い込まれていく。
3回だけ揺れて、ポンという景気のいい音が鳴った瞬間すぐにボールを空中に投げるユウリ。再び姿を現すタイレーツは、6匹そろって雄たけびを上げながらユウリの前でしっかりと陣形を組み、イワパレスへと視線を向ける。
図鑑をタイレーツに向けて、今タイレーツが使える技を確認しながら、とある一つの技を宣言する。
「タイレーツ!『はいすいのじん』!!」
「「「「「「へヘーーーイッ!!」」」」」」
大きな声を上げながら、ヘイチョーを頂点としたVの字をヘイチョー含め5匹で並んで作り、残りの1匹のヘイはヘイチョーの後ろに回った陣形を取る。タイレーツの後ろに大きな波と、横に篝火を幻視したと思った次の瞬間には、タイレーツの体からは赤いオーラが立ち上っており、タイレーツから感じる重圧が一気に上がる。
はいすいのじん。
自身が交替することが出来なくなるかわりに、自身の攻撃、特攻、防御、特防、素早さ全てが強化されるという、じんけいポケモンならではの強力な自己強化技。下がることを一切考えないその姿勢はいっそすがすがしく、少年心がくすぐられるような気がした。
ボクのエルレイドとともに、先頭に立って戦う気満々に相手をにらみつけるその姿は、小さい背中なのにとても大きく見える。
先頭に立つかくとう組を援護するために後ろで準備をするみずタイプ組。
対するイワパレスは、数少ないイシズマイたちを再び集めて何とか迎撃しようと構え始める。
両者最後の激突準備。
「「走って!!」」
「スススィッ!!!」
ボクとユウリの掛け声と同時にエルレイドとタイレーツが駆け出す。一方でイワパレスも指示を出し、その声にイシズマイが反応して、密度は少ないながらも必死なのか、先ほどよりも明らかに威力の上がってるいわなだれを放ってくる。更に、後ろに控えているイワパレスもがんせきほうを構えており、からをやぶるでさらに強化されたそれを放ってきた。
このままいけば必ずかくとう組に攻撃が直撃するだろう。しかし、かくとう組はその攻撃に対して一切の目を向けない。
「インテレオン!!」
「ミロカロス!!」
なぜならすべての攻撃が撃ち落とされると信じてくれているから。ボクたちなら、この攻撃を自分たちに当たらないようにすることなんて簡単だとわかってくれているから。ならその期待に応えるべきだろう。
ねらいうちとみずのはどうによってそのすべてを打ち落としていき、水と岩の破片が飛び散る中を、まるで何事もなかったかのように走り抜けるかくとう組。その進撃を何としてでも止めようと、イシズマイたちが特攻を仕掛けてくる。しかし、それすらもインテレオンとミロカロスが許さない。
正確無比な水技がイシズマイたちを射抜いて、かくとう組の邪魔を決してさせない完璧なアシストを決めていく。しかし、そんなみずタイプ組も、からをやぶるにて強化されたがんせきほうまでは止められない。
イシズマイのいわなだれとは比較にならないくらい大きな岩の塊。
圧倒的な質量がとんでもない勢いで飛んでくる。けど、かくとうタイプにとって、いわタイプは打ち砕ける相手。
「「かわらわり!!」」
タイレーツのヘイチョーが角を。エルレイドが肘から伸びる刃を。それぞれが自分の獲物を鋭く伸ばしながら白く光らせ、勢いよく振り下ろす。鋭く放たれる洗練された技は、まるで業物にて豆腐を切ったかのごとく、スッと岩を通り抜けて、いとも簡単に両断してしまう。左右に綺麗に別れ、エルレイドとタイレーツの横を通り抜けて激しい音を鳴らしながら落ちていくがんせきほう。そちらに視線なんてひとつも向けずにさらに前に走っていく。焦ったイワパレスが、もう残り少ないイシズマイを投げて、何とか反撃してこようとするものの、苦し紛れのその攻撃も、エルレイドが肘を伸ばして、そこに実体化させた心の刃を具現化させる攻撃、サイコカッターを構えてイシズマイたちを弾き飛ばしていく。
エルレイドがタイレーツより1歩前に出る。
大きく踏み込みながら、イシズマイたちを弾き飛ばしたエルレイドは、ついにイワパレスの前に到着する。がんせきほうの反動が未だ抜けきっていないイワパレスは、からをやぶるで素早さが上がっていても動くことが出来ない。せめてもの抵抗と、両ハサミを緑色に光らせ、シザークロスを放ってくる。同じくからをやぶるで強化された強力な攻撃。しかし、それすらも両腕の刃をしならせ、操り、巧みにシザークロスを受け流してそらしていく。右上から振られたものを右腕で下にたたき落とし、左下から迫ってくるものを下からかちあげて上にそらしたことで明確な隙が生まれる。
「レイッ!!」
「「「「「「ヘイッ」」」」」」
同時に叫ぶエルレイド。その声に反応したタイレーツが、エルレイドの股下をくぐり抜けてイワパレスの懐に入り込む。そのまましたから突き上げるようにメガホーンを放つことにより、イワパレスの体が浮き上がった。
さっきもあった決定的チャンス。
あの時は仕留めきれなかったけど、今回は逃さない。
1人でダメなら2人で、最後まで叩き込むだけだ。
「エルレイド!!」
「タイレーツ!!」
エルレイドが、タイレーツが、イワパレスの隙だらけの体を見据えて拳を構える。イワパレスはこれを防ぐことは出来ない。
その姿を見て、ユウリと顔を見合せながら頷き、トドメとなる技を宣言する。
「「『インファイト』!!」」
総勢7名、計14個の拳による乱打。からをやぶるによるデコイさえも許さないその暴力の嵐は、この8番道路全体に響き渡っているのではないかと思う程の強烈な破壊音を奏でた。10秒か。20秒か。はたまたそれ以上か。からをやぶるで耐久が減っているとはいえ、イワパレス自体がもともとの耐久がかなり高いうえ、ダイマックスエネルギーを吸って耐久が上がっていると見えるため、その分を含めての徹底的な攻撃。現にまだイワパレスのハサミは上がっており、力を振り絞って耐えているように見えたから。
((まだ……!!))
「エルエル……ッ!!」
「へ、ヘイ……ッ!!」
イワパレスが落ち切っていないことはエルレイドもタイレーツも理解いているからこそまだラッシュはやめていない。しかし、流石に殴り続けているため息切れを起こし、少しずつ手が緩んでいく。
たとえここで耐えきられたとしても、ここからボクたち全体の勝負としては負けることはないだろう。けど、インファイトの効果により、耐久が下がってしまうエルレイドとタイレーツは返しの技で間違いなく落とされる。進化したばかりかつ、主を守ることに重きを置いている種族であるエルレイドと、なぜか分からないけど強さを求めているタイレーツにとって、ここでの敗北は自身のプライドが許さない。
ここまでくればもはや勝負なんて関係ない、意地を通せるかどうかだ。
「頑張れ……エルレイド……!!」
「お願い……タイレーツ……!!」
ユウリもそれを理解しているからこそ、手を合わせてタイレーツを祈る。
更に10秒。
いよいよ息切れを起こしてしまい、エルレイドとタイレーツの拳がさらに遅くなる。たった1秒が何分にも何十分にも感じる。
苦しそうなエルレイドとタイレーツの表情がよく見える。
苦しい時間。辛い時間。長い時間。
しかし、ここまで耐えたご褒美がついに来た。
イワパレスのハサミから力が抜け、下にさがり始める。
「「いけぇえッ!!」」
「エルッ!!」
「ヘイッ!!」
エルレイドが右手に、タイレーツのヘイチョーが左手に、最後の力を込めて、力が抜けて完全に無防備となったなったイワパレスに同時に叩き込む。
「ス……スィ……」
完璧な角度で叩き込まれたその拳はイワパレスの意識を断ち切り、ノックアウトする。と、同時に赤い煙が抜けていく。これでダイマックスエネルギーによる暴走ももうないだろう。
イシズマイたちも、トップが倒れたことによって勢いがなくなり、完全に降参の流れだ。もう大丈夫だろう。
「……エル」
「……ヘイ!」
決着のついた静まり返った戦場で、エルレイドの拳と、タイレーツの角が、こつんと当たる音だけが響き渡った。
ユウリ
何かに気づきましたね。
この気持ちの名前は何でしょうか。
めざめいし
吹雪編で貰ったあの石に含まれていました。
あの時点でこの展開は考えていたので、ようやく回収できましたね。
書きたいことが書けるとちょっと嬉しいです。
エルレイド
ということでエルレイドです。
本当に騎士みたいでかっこいいですよね。
タイレーツ
ユウリさんの6匹目。
これでついにそろったことになりますね。
エルレイドもなんですが、このタイミングでかくとうタイプが加入するのは、この先のジムを考えるとかなり強いですよね。
ソードでもシールドでも、マクワさん、メロンさん、ネズさんに有利取れますし、キバナさんの切り札にもばつぐんとれますからね。
もしかしてそれを考慮してタイレーをここに……?
インファイト
凄い書きやすい。
物語的にも盛り上がると思ってます。
正直エルレイドに、エルエルってラッシュさせようかと血迷った時もありました(流石にやめた)