【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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86話

「お疲れ様、ユウリ」

「お疲れ様フリア」

 

 沈んだイワパレスを確認しながら拳を合わせるボクとユウリ。何とか暴走するイワパレスを止めることに成功したボクたちは、エルレイドとタイレーツを迎えに行き、インテレオンとミロカロスを連れてイワパレスやイシズマイたちの手当てをしようと考え、近づいて行く。敵だったとはいえ、原因はダイマックスエネルギーによる暴走だったわけだし、マクワさん曰く、本来なら温厚なポケモンらしいので、ここで手当てしても体が治った瞬間襲われるなんてことはないだろうと言う判断からの行動だ。

 

「フリアさん、ユウリさん、ご無事ですか!」

「凄い破壊音とか、ユウリが落ちかけているところとか、とにかく気になるところが多かったけど、どうだったんだ!?」

「大丈夫と!?」

「ぜぇ……ぜぇ……思ったよりハードなんですけどォ……」

 

 そんなことをしているうちに、マクワさんたちのほうもイシズマイたちが戦意喪失したため、戦闘を終えてそのままこちらに駆けつけていた。みな一様にユウリの心配を……いや、約一名体力の限界なのか、肩で息をしてそれどころじゃない人がいるけど……とにかく、皆ユウリの容態が気になっていたみたいで、急いで駆けつけてくれた。

 

「マホ~……」

「リィ……」

 

「っとと、マホイップもお疲れ様」

「ストリンダー。ありがとうね?」

 

 と同時に、後ろから迫ってくるイシズマイの軍勢を抑えていた、影の功労者である2匹も無事に帰還。2匹とも体中に傷は見えるものの、大きなけがなどは見つからず、ボクたちの持つ道具で十分治療可能な範囲だったからとりあえずは安心だ。

 

「本当にありがとうね。よく耐えてくれたよ」

「ゆっくり休んでね?テントを建てた後で、ご飯とか一杯上げるから」

 

 ひとまず2匹をモンスターボールに戻して、マクワさんたちの方へ視線を向ける。

 

「心配ありがとうございます。私の方はこの通り!元気いっぱいの健康体ですよ!」

 

 力こぶを作る形を取りながら元気よく返事することで、自分は大丈夫だということをアピールする。作り笑いにも見えないし、パッと体を見渡しても確かに傷は一つもないのでマクワさんたちもほっと一安心。

 

「フリアさんが崖に必死に手を伸ばしているところを見た時は生きた心地がしませんでしたよ……」

「全くだぞ。大怪我でもしたらどうするんだ……」

「……ユウリ、今はこんな元気なんだけど、ボクが手をつないでいるときに、『私のことはいいから……』とか言ってたんだよ?」

「ちょ、フリア!?」

「「……ユウリ?」」

「じょ、冗談だよ!だ、だからホップもマリィもそんな怖い顔しないで……ね?ね?」

 

 ボクのあの時聞いた発言をそのままみんなに伝えると、みんなの視線が一気にユウリの方に突き刺さる。その中でもホップとマリィ、それにミロカロスからの視線が特に冷たく、はたから見ても『お前何言ってんの?』と言っているようにしか見えない。ちなみに僕もジト目で見ている。残念だけど、こればかりは真っすぐ受け止めてもらおう。

 

「自己犠牲ダメ。ゼッタイ」

「フリアにだけは言われたくない」

「「間違いない」」

「なんで!?」

「あなたたち、無事なのはわかりましたから今はイワパレスの治療を手伝ってください」

「お腹すいたァ~……」

 

 あれだけの戦闘を行っていたとは思えないほどの緩み切った空気感。ボクたちらしいと言えばらしいけど、それでも相変わらず緊張感に欠ける空気漂うこの現状に、唯一の常識人であるマクワさんだけは『はぁ』とため息を吐きながら、イワパレスの治療を続けていく。

 

 一度バトルが終わればいつも通り。

 

 どんなことが起きても平常運転。

 

 今この場では、あんなことが起きたからこそ、みんなで落ち着けるいい空気が流れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう大丈夫ですよ。次は暴れないように気を付けてくださいね」

「ズスィッ!!」

 

 バトルが終わってから小一時間。無事イワパレスの治療も完了し、イシズマイたちも全員手当を終えて、嬉しそうに集まりながら自分たちの住処へと帰っていく団体様。からをやぶるで耐久が下がっているところをかくとうタイプ2匹がかりでインファイトを行ったので、もしかしたら大きなけがとかを負っているかもしれないという危惧は合ったものの、特にそういったこともなく元気になっていたのでほっと一安心だ。

 

「さすがいわタイプの専門家。得意タイプの治療はお手の物ですね」

「よしてください。そんな褒めても何も出てきませんよ。あなた方が手加減していたからです。急所も狙っていなかったみたいですしね」

「それでもです。アフターケアもポケリフレもしっかりしていましたし、何よりもイワパレスたちが嬉しそうでしたから」

 

 こちらにハサミを振りながら帰っていくイワパレスの表情はとても明るく、それだけでマクワさんの腕がよく分かる。タイプによっては手当の方法や、スキンシップの方法が全然違うなんてざらなので、今度マクワさんにそのあたりを色々聞いてみるのもいいかもしれない。

 

 ……ボクの手持ちにいわタイプは、シンオウを含めてもいないけどね。

 

「そちらの方はどうですか?」

「こっちもテントの準備と鍋の準備はできてますから、すぐにご飯もできますよ」

「それは良かったです。皆さん絶賛のシェフの味、じっくり楽しませていただきますね」

「か、からかわないでくださいよ……」

「先程のお返しですよ」

 

 マクワさんからのまさかのカウンターパンチに少しモヤモヤしながらテントの位置まで戻る。既に茜色に染っており、遠くの空に至っては紫色にも見え始めた。アクシデントこそあったもの、とりあえず予定通りに湯けむり小路の手前まで到着することが出来たので、今日はここで野宿を行い、明日になってから寒冷地帯である湯けむり小路に挑もうという算段だ。

 

 道自体はそこまで長くもないらしいから、数時間もあればキルクスタウンに到着できるだろうけど、シンオウ地方出身で寒さになれているとはいえ、冒険にまだ慣れていないであろうユウリたちを夜の雪道に連れて行くのはさすがに……ね?ガラル地方も気温だけで言えば割とシンオウ地方に近いんだけど、このジムチャレンジ自体がわりと安全に冒険ができるようなシステムになっているせいか、シンオウ地方に比べるとかなり冒険しやすい道になっている。の割には色々襲われたりアクシデントに出会ったりしているように見えるけど、シンオウ地方で起きたアクシデントに比べれば、正直まだマシな方なのではないかと思わなくもない。

 

 とにかく、安全に冒険できるような設計になっている以上、負わなくてもいいリスクは避けるべきだ。そういう意味をこめての野宿である。それに、これを機にみんなの交流の場とするのも悪くないしね。ということで……

 

「さて、ご飯もそんなに時間かからないだろうし……みんなも出ておいで!!」

 

 懐から取り出すのは自慢の仲間たち。ヨノワールだけはボールの中でゆっくりしていたいのか出てきてくれなかったけど、まぁいつものことなので気にすることもないだろう。ボクが手持ちを呼び出したのを確認したみんなも、各々の手持ちを呼び出した。

 

 ルミナスメイズの森でも行った全員パーティ。あの時と違うところと言えば、1部のポケモンが進化したことと、ホップのポケモンがガラリと変わったことだろうか。ゴリランダーとウッウはそのままに、他のメンバーはカビゴン、バチンウニ、アーマーガア、バイウールーとなっている。ビートとのバトルが終わってから変わったパーティであり、今となってはホップにとてもよく合ういいメンバーに見える。ちなみにスナヘビたちは実家に送っているようだ。

 

 ここまではいつものメンバーだけど、こうなってくると気になるのは新しく同行者となったマクワさんとクララさんの手持ちだ。出会ったばかりのクララさんは勿論、マクワさんに関しても話は少し聞いてはいるものの、イシヘンジンとガメノデス、アマルルガしか実際に見たわけではないのでとても楽しみだ。

 

「では僕の手持ちの皆にも出ていただきましょうか」

「うちも、皆出ておいでェ!!」

 

(待ってました!!)

 

 シチューを作る手を思わず止めてしまいそうになるのを何とかこらえ、料理を行いながら横目でマクワさんとクララさんの方向へと視線を向ける。

 

 マクワさんのもとから飛び出てきたのは、イシヘンジンとガメノデス、アマルルガに続いて、ツボツボ、バンギラス、セキタンザン。いわタイプ特有のごつごつ感した子たちを予想していたけど、蓋を開けてみれば、アマルルガと言いツボツボと言い、なんともかわいらしいポケモンもわりと見受けられる。特にツボツボとイシヘンジンなんて、そのちょっと抜けた表情がとてもかわいらしく、いわタイプへのイメージがガラッと変わってしまいそうだ。

 

 シンオウ地方のいわタイプが、ズガイトスと言い、タテトプスと言い、かなりごついポケモンが多いせいでそういうイメージがついてしまっているというのもあるけどね。シンオウ地方にいる他のいわポケモンだって、ゴローニャとかイワークとかだし……どっちかというと、硬いは勿論だけど、ごつかったり、怖いってイメージが先行してしまいがちのポケモンばかりだ。そんなポケモンたちと比べると、イシヘンジンとツボツボのお顔はかなり癒しを与えてくれる。

 

(マクワさんの丁寧で柔らかな物腰とあっていると言えばあっているのかも……?)

 

 次に視線を向けるのはクララさんの手持ち。ドラピオン以外の手持ちをしっかりと確認するために、他の子たちに目を向ける。ドラピオン以外で姿を現したのは、ガラルマタドガス、ペンドラー、ガラルヤドキング、ガラルヤドラン、エンニュート。予想はしていたけど、見事なまでのどく統一だ。ドラピオンのどくびしの練度からわかっていたことではあるけど、やはり毒のエキスパートという予想は当たっていた。特に目を惹いたのは、マタドガス、ヤドラン、ヤドキングといった、リージョンフォーム組。それぞれ元のポケモンをよく知っているだけに、どうしてもその差に目が行ってしまう。マタドガス、とヤドランに関しては、ポプラさんや、セイボリーさんのおかげで初見ではないにしろ、やっぱり目新しさはあるため気になってしまうものだ。さらに言えば、今回はガラルのヤドキングというはじめてお目にかかるポケモンもいる。

 

 試しにロトム図鑑をかざしてみると……

 

 ヤドキング ガラルのすがた じゅじゅつしポケモン どく、エスパータイプ

 

 進化のショックと毒素によって、シェルダーの知能が上がりまくり、ヤドキングを操るようになった。怪しげな呪文を唱えながら食べたものと、体内の毒素を混ぜて怪しい薬を作る。

 

 頭にシェルダーが噛みついている点はボクの知っているヤドキングと変わらないのだけど、ボクの知っている個体とは違い、こちらは目が隠れるまですっぽりとかみつかれており、図鑑の説明を見る限りそれが原因でシェルダーの持つ毒素と、脳からの化学物質、更にガラルヤドン特有のスパイス成分も合わさってどくタイプを手に入れているみたいだ。それに、よくよく図鑑を読み解いていくと、もはや体の制御はシェルダーに奪われている始末。原種は勿論のこと、ガラルのヤドランとも大きく変わっているその生態に思わずびっくりしてまたまたシチューを作る手を止めそうになってしまい、慌ててかきまぜる。ここまで作っておいて流石に焦げて失敗しましたは笑い話にもならないからね。

 

(とりあえず料理に集中しよっと)

 

 一通りみんなのポケモンに目を通し終えたボクは、ひとまず料理を優先して作ることに。ポケモンたちの遊ぶ声や、ホップとマリィの前菜を作る作業音、マクワさんの身支度を整える音、そしてユウリとクララさんのちょっとした歌声。それぞれが特徴的で、だけどうるさすぎず、とても落ち着く範囲で交じり合い、鼓膜を打つその生活音は、自然と料理への集中力を上げてくれた。このままいけば間違いなく美味しいシチューを作れそうだ。

 

(マクワさんにも期待されているし、ここは腕の見せ所だよね!!)

 

 だんだんと完成に近づくこのシチューから立ち上っていく匂いが、先ほどまで周りで遊んだり、騒いだり、各々の行動をとっていた人やポケモンを、鍋の方に集めていく。

 

 徐々に集まってくるポケモンやトレーナーたち。各々が適当に過ごしていたさっきまでとは違い、協力して皿によそい配膳し、ポケモン用のフーズも準備して。準備が完了すればいよいよ晩餐の開始だ。

 

「「「「「「いただきます」」」」」」

 

 手を合わせて食事開始の挨拶。ポケモンたちも同時に声を上げたため、ちょっとした大合唱。その賑やかさが楽しくて、ついつい微笑みながらスプーンでシチューを掬い、口へ入れる。

 

(うん、味も完璧。隠し味の木の実もちゃんと効いてるし、これなら……納得してくれる、よね?)

 

 自分的には完璧な味付けだ。けど周りの人にとってこの味がいいかどうかわからなくて。特にマクワさんとクララさんの反応が気になり、ちょっと不安に感じながらそっと視線を横に向ける。

 

「やっぱ美味しい~!!」

「相変わらずフリアの腕は素晴らしいぞ」

「ほんと、見事やんね……」

 

 まず耳に入る感想はいつものメンバーのものから。まだまだ両の手で足りる回数しか作ってあげていないとはいえ、それでもこうやって毎回美味しそうに食べてくれるのを見ると、作った側も嬉しくなるよね。

 

「あれ、なんだかいつもよりも香りがよくない?」

「言われるとそうかも……なにかアレンジとかあると?」

「あ、気づいた?にんにくとオリーブオイルを少し加えてて、それで香ばしさを上げてみたんだよ。あとはチーズを増やしてまろやかさを上げたりとか……ちょっと細かいところの分量をいじってみたんだ。あとはオボンのみもちょっと加えてみたり。オボン自体がまろやかな味わいだから上手くマッチするかなって」

「「ナイス采配ですシェフ!!」」

「お気に召したみたいで恐悦至極にございます」

 

 ボクが色々としこんでいることにしっかりと気づいてくれたのはユウリとマリィ。沢山食べるのが好きなユウリはともかくとして、まだまだあまり料理を振舞った経験のないマリィまでしっかりと感じ取ってくれているあたり、やっぱりこういったものに関して女性の感覚って鋭いんだなぁと思ったり。それこそマリィなんかは、この辺りの作り方を教えてあげればボクが作るよりもずっと美味しいものを直ぐにつくりあげてしまいそうだ。ユウリだって、料理経験がないからあのような奇行に走っているだけなので、然るべき人にちゃんとした手順、方法を教えてもらえば、割と直ぐに順応しちゃいそうだしね。

 

 勿論その時教えるのは基本のレシピからだけどね。料理を失敗する人の大半は勝手に変なアレンジをするからなので、教える時はユウリが間違った覚え方しないようにしないと……っと、話が少し逸れてしまった。

 

 いつものメンバーからの評価はしっかり頂いたけど、大事なのはこれからだ。次に視線を向けるのは、今日初めてボクの手料理を食べるマクワさんとクララさん。ユウリたちがお世辞で絶賛しているとは思わないけど、それでも身内贔屓というものは少なくないはずだ。そういった贔屓が全く入らないであろう2人からの純粋な意見。気にならないわけが無い。ある意味貴重となったその意見をしっかりと聞くために、耳をマクワさんとクララさんの方へと向けて……

 

 

「フリアっち!!オカワリィ!!」

 

 

「にゃっ!?」

 

 耳元で響くクララさんのばくおんぱ。こうかはばつぐん、急所にも直撃。結果。

 

「鼓膜ないなった……あーあー……みんなの声聞こえないー……」

「「「フリアぁっ!?」」」

 

 みんながなんか慌てているけど何も聞こえない。そんな状態のボクを見て、エルレイドが慌てて駆けつけてきて、耳に両手を当ててすぐさま治療してくれる。まああんなことを言ったけど、実際のところはちょっと耳がキーンとしただけなので体に異常はないんだけどね。エルレイドもそれを理解してくれたのか、程なくして手を離してくれた。

 

 うん、なんかごめん。でもお約束だと思って……ね?

 

 ホップたちもあれが演技だとわかった瞬間ほっと一息付きながら食事を再開する。それを確認したボクは再びクララさんの方へと視線を戻し……

 

「そんなに美味しかったですか?」

「もう最っ高ゥ!!こんな美味しいものを作ってくれるなら毎日食べたいくらい!!」

「あはは、それは嬉しいですね。おかわりは沢山あるのでいっぱい食べてくださいね」

「モチのロン!!」

 

 ボクからおかわりのシチューを受け取りながら、ホクホク顔で席につき、物凄い勢いで2杯目を食べていく。この調子だと3杯目も直ぐにつぐことになりそうだ。

 

 ……なぜかユウリからムッとした目を向けられたけど気のせいだろう。

 

「僕も頂いても?」

「え?」

 

 もりもり食べ進めるクララさんに清々しさすら感じていた時に横から差し出される空の器。持ち主を確認すれば、そこにはサングラスを指で持ち上げながら、満足そうな笑顔を浮かべているマクワさんの姿。

 

「シェフのお得意をもっと頂きたく。頼めますよね?」

「勿論です!……って、マクワさんまで変なノリについてこないでも……」

「いいではないですか。それとも、僕だけ仲間はずれですか?」

「その言い方はズルくないですか?」

 

 フッと口角を少しだけあげるような笑みを見せるマクワさんに、同じくおかわりをついで差し出す。クララさんみたいにがっつく訳では無いけど、上品ながらもそこそこの勢いで食べ進めている当たり、マクワさんからも好評だったと考えてもいいのだろう。お口にあったみたいで本当に良かった。

 

「いやはや、見事なものですね。ラテラルタウンでホップさんたちが絶賛していた理由。確かに感じさせていただきましたよ」

「これでも、料理の師匠にはまだまだ及ばないんですけどね」

「これ以上のものを作る人ですか……そちらも頂きたいものですね」

「度肝抜かれると思うので覚悟しててくださいね」

 

 ヒカリの手料理、本当に美味しいからね。なんだか話していたら久しぶりに食べたくなってきた。

 

「そういえばフリアさん、6体目は呼ばないのですか?」

「ああ……どうもこの子は1人で静かなところでまったりするのが好きみたいで……今回も中から皆を見守るだけで十分だと……」

「それは残念。注目選手の切り札を見られるチャンスと思ったのですが……」

「なんかすいません、マクワさんの手持ちはみんな見させてもらっているのに……」

「気にしないでください。ポケモンの気持ちを優先させているところは、あなたの大きな利点だと思っているので。エルレイドが証明してますしね」

「そう言っていただけると助かります」

 

 

「フリアっち!!オカワリィ!!」

 

 

「おうふ……はいはい、待っててくださいねね」

 

 またもや鼓膜にダイレクトアタックしてきたクララさんの声にくらくらしながらシチューをまた注いであげる。この食いっぷりはユウリに次いで凄いかもしれないね。いっぱい食べる人は見ていて気持ちがいいから、作る側としてはとてもうれしいからいいんだけど。

 

「ありがとォ~」

「いえいえ」

 

 笑顔でまたお皿を持って帰るクララさんに微笑ましさを感じながら、また見送っていく。

 

「……主夫ですね。女性に疎まれたりすることありません?」

「地味に気になっているところなんですけど!?」

 

 マクワさんの言葉に思わず突っ込み。家事ができることを女子力という言葉でまとめてほしくないんだけど……最近は男性だって家事するし、料理は女性がするものって考えは偏見だし硬いと思うよボクは。

 

「ま、いいですけど」

「あなたをほめているんですよ。ネガティブに受け止めずに素直に受け取ってほしいです」

 

 隣でシチューを食べ進めるマクワさんに倣って、ボクもスプーンを進めていく。

 

 クララさんとユウリが大食い対決しているところや、ホップとマリィが次のジムについて考察しながら食事しているところを横目に見ながら食べ進める自分のシチューは、寒冷地が近いために若干冷えてきた体を、内側からじんわりと温めてくれている。

 

 さらに視線を横に動かせば、見えてくるのはボクの仲間たち。進化したばかりのエルレイドを中心に集まって談笑する皆の姿はとても楽しそうで、同時にここまでの旅路を想起させてくれる。

 

(なかなか遠いところまで来たねぇ……)

 

 明日湯けむり小路を抜ければ、待っているのは6番目のジム。

 

 タイプはこおり。

 

 なぜだろう、こおりタイプのジムリーダーと聞くと、ジム挑戦も佳境になり始めたんだなと感じるのは。

 

(スズナさんのことを思い出すせいなのか、はたまた、他の地方でこおりタイプのエキスパートが四天王につくことが多いからか……どちらにせよ……)

 

「苦しい戦いになりそうですね……お互い頑張りましょう」

「はい」

 

 マクワさんの言葉に頷きながら、残ったシチューを味わっていく。

 

(キルクスタウンに辿り着いても色々大変そうだ)

 

 ふと横に視線を向けた時、アマルルガに対して、何か強い思いを抱いているような視線をしていることに疑問を思いながら、ボクは最後の一口を口に含んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いわタイプ

マクワさんの手持ち凄く可愛いですよね。
個人的にギャップが凄いなぁと思っています。

どくタイプ

どうでもいいんですけど、パソコンでクララさんの手持ちの所を見直したときにドラが四連続で左端に来てて変な気分。
麻雀なら強そうです。

クララ

第二の大食いキャラ(になってしまった)
実際かなり健啖家な気がする……作者の個人的なイメージです。

エルレイド

前回書きたいことを書き忘れていたのでここで。

ラルトスの初戦闘を見た瞬間にほとんどのかたが予想したとおもいますが、エルレイドに進化するための布石ですね。
特殊主体のポケモンがいきなり近接主体になった時に絶対に混乱するし、たちまわりがおかしくなりそうだなと思ったので、ならば最初から近接で戦わせてみようと思いこうなりました。
エルレイドにするのは確定でしたね。マホイップを仲間にする兼ね合いで、タイプかぶりは減らしたいなぁと思ってしまったので。




2/27、どんな情報が公式が出るのか楽しみですね。
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