【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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キルクスタウン編
87話


「うう、さっぶい……」

「ずびび……う、うちのハートもこおっちゃうゥ……」

「こ、これは……フリアの言う通り夜に進まなくてよかったと……」

 

 テントで一晩明けて朝に準備を行い、昼に近づくことによってそれなりに温度があがっているあいだに出発をしたボクたちは、キルクスタウンへ向けて、湯けむり小路の間へ足を運んでいた。

 

 先ほどまで遺跡や岩壁に囲まれていたために、周りが茶色だらけでごつごつしたイメージだったのに対して、今ボクたちの周りを覆っているのは一面白銀の世界。シンオウ地方のキッサキ方面程の吹雪ではないんだけど、それでもしんしんと降りそそぐ雪は着実に周りの気温を下げていく。かじかむ手と痛む耳に冷たい気温。手と手を擦り合わせ、白い息を吐きかけながら身体を震わせる女性陣は、昨日とは全然違うこの寒さにかなり体力を持っていかれているようで。やっぱり昨日テントを貼って野宿した判断は正解だったみたいだ。

 

 確かに自然環境の中ではかなり厳しい方だろう。もう夏に足を踏み入れているぐらいなはずなのにこれだけの雪が降るのはなかなかあることではない。けど、どこかこの景色を懐かしいと感じている自分がいる。キッサキシティや、テンガンざんを思い出すせいだろうか。

 

「一面白銀……なんだかとても綺麗な景色だぞ!!」

「ワイルドエリアの時と違って、久しぶりの穏やかな雪景色……うん、とても懐かしいし、何故か安心感を覚えちゃうかも。別にボクの故郷、そんなに雪が降る訳では無いけど」

「この寒さ……このあられ……この空気を感じると、帰ってきたんだなと感じますね」

 

 そんな感傷に浸っていると、どうもホップとマクワさんもそれぞれ何か感じることがあるみたいで、各々がプラスの感情を漏らしていた。

 

「あ、あんたたち寒くないん?」

「私は今すぐにホテルに駆け込みたい……」

「うちも……これならもっとカイロ持ってくればよかったよォ……」

 

 そんな男性陣の反応が信じられないのか、ジト目でこちらを見ながら口々にいろいろ言ってくる女性陣。

 

「そんなこと言われても……」

 

 実際、シンオウ地方の気温も低い所はとにかく低いし、普段からマフラーなどの防寒具をつけている身としては、こういった寒い所はむしろ得意な方だったりする。それに、ワイルドエリアで遭遇したあの吹雪に比べると、割とましなような気がするしね。マクワさんに関しても、この街が故郷ならこのあたりの寒さには当然慣れているだろうし、この発言はむしろ普通だと思ってしまった。

 

 むしろ、ユウリと同じ町に住んでいるホップからこの発言が飛んでくるのが一番おかしい気がする。なんでこの子はまるで平気そうなんだろう?そんな疑問の視線を皆でホップに向けていると、ホップが物凄く明るい笑顔を浮かべながら返事を返してくれた。

 

「だって初めて行くところなんだぞ!!寒いとか、緊張とか、そんな硬いことよりも、どんなところなんだろうってワクワクする気持ちの方が強くならないか?」

「……タフですね、あなた」

 

 この返答にはさすがのマクワさんも若干引き気味に反応を見せる。ボクも続いて乾いた笑みを見せるものの、実際問題、このくらいタフな方がいろいろな冒険を楽しめそうでうらやましいなとも思ってしまうわけで。

 

(やっぱりジュンと物凄く気が合いそう)

 

 いつか会わせてみたいし、このメンバーならシンオウ地方もきっと楽しそうに周ってくれそうだ。

 

「ほらみんな!あと少しだし頑張ろう?」

 

 そんなありえそうな未来のことを考えると少しだけ元気が出てきてしまった。ボクもホップ程じゃないけど、どうやらテンションがおかしくなってきているらしい。それに、ボクの言っていることはあながち間違いでもない。

 

「もうすぐでキルクスタウンの入り口が見えてくるはずです……というより、もう見えてきていますね」

「「本当に!?」」

 

 マクワさんの言葉に先ほどまでのローテンションが嘘かのように食いつきを見せるユウリとマリィ。指で差し示された方向を確認すれば、あられのせいで視界が悪く、少し確認しづらいけど、確かにレンガ作られた建物が見え始める。恐らくキルクスタウンの住宅街の建物だろう。

 

「やっと着いたァ……速く温まりたいィ……」

「もう少しの辛抱ですよ。キルクスタウンには、ステーキで有名な『おいしんボブ』や、『キルクス温泉 英雄の湯』などもあります。ここまで歩いて、冷えた体を温めるのに訪れるといいでしょう」

「ステーキ!!」

「お、温泉もあるんですか!?」

 

 マクワさんの大まかなキルクスタウンの紹介によりさらにテンションが上がっていくパーティメンバー。ステーキに対してはユウリが激しく反応して、温泉に関しては、お恥ずかしながらボクが一番大きな反応を見せた。

 

 ……こう見えて温泉大好きなんです。はい。

 

 他のみんなも、ボクとユウリほどの反応がないだけで、みんな一様にプラスの感情を見せている。自分の故郷に対して楽しそうに反応するボクたち。その姿が嬉しかったのか、はたまた単純にボクたちの反応が微笑ましかったのか、マクワさんもつられて笑顔になっていく。

 

「さて、あとすこしです。頑張りましょう」

 

 マクワさんの言葉に元気よく返したボクたちは、残りわずかの湯けむり小路を、少し弾む思いとともに歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キルクスタウン。

 

 古い建物が並ぶ温泉街。

 

 ガラル地方北東部に位置しており、湯けむり小路同様、年中雪が降り注ぐ雪国だ。当然雪の影響で周りの景色も白色に染っているため、とても寒い印象を受けてしまいがちだけど、この街の主な建築素材がレンガであるため、暖色が目に入ってくることと、この街のシンボルである『英雄の湯』と呼ばれる温泉の湯けむりと、ほんのり香ってくる硫黄の匂いが、雪によって冷えてしまいそうな心をほんの少しだけ温めてくれる。温泉街と言うだけあり、観光客なども多いためそれなりの賑わいを見せているこの街は、ボクたち外来の旅人に対しても暖かく迎え入れてくれた。ほかの街と比較するのはちょっと失礼かもしれないけど、この街のホテルは、ここが観光の名所というのをしっかりと理解しているのか設備がいつも以上に充実している。他にも飲食店もかなり充実しており、マクワさんが言っていたステーキハウス、『おいしんボブ』を初め、たくさんのレストランが名を連ねており、ラインナップの豊富さは今までの比ではない。他にも、ブティックにヘアサロンと、オシャレのためのお店も充実しており、下手をすればエンジンシティやナックルシティよりも、住むだけなら心地いい場所なのかもしれない。そんなことを思わせるような素敵な街だ。本当に寒さだけが唯一のデメリットと言っても過言ではないだろう。その寒さも、温泉があると考えれば天国になりそうだ。

 

 そんな歴史と風情のある街に到着したボクたちは、まずは体を温めるために、キルクスタウンいちのホテル、イオニアへと訪れていた。明らかにグレードが高いホテルなのに、スボミーINと同じくジムチャレンジャーに対して無料で設備を使わせてくれることに対して驚きと感動を覚えながら予約を終えたボク達は、とりあえず今日はこのまま自由時間にして好きにしようということで解散の流れになった。

 

 久しぶりの一人の時間。

 

 みんなといるのが嫌というわけではないんだけど、たまには欲しいまったりとした時間。その時間をボクは……

 

「はぁ〜……しあわせ〜……」

「レオ〜……」

「エルゥ〜……」

「ぶぅ〜らぁ〜……」

 

 みんなと一緒に温泉に入っていた。

 

 キルクスタウンと言えば先程も言った通り『英雄の湯』だけど、この温泉はポケモンのための温泉であるため、人間は基本的に浸かることは無い。入っても足湯のためくらいだ。そもそも、広場のど真ん中にあるため入れたとしても入る人はいないだろうけど……とにかく、そういった理由で『英雄の湯』はシンボルの温泉ではあるものの、人間が入ることは無い。では人間が入れる温泉がないのかと言うとそういうわけでもなく、当然人間が入れる温泉も充実しており、このホテルイオニアではたくさんの温泉を堪能できるフロアが完備されている。というか、ポケモンしか入れない温泉しか存在しないなら、ここまで温泉街として発展しているはずがない。そして勿論ホテルの温泉もポケモンと一緒に浸かることが可能だ。実際に視線を周りに向けると、ボクと同じように相棒と一緒に温泉を堪能している人もちらほらと見受けられる。人気なのにちらほらしかいないの?と思うかもだけど、そもそも今の時間帯、まだ昼すぎだしね。この時間から繁盛するような商売ではないと思っているからこそ、ボクも手持ちを3体もつれてきているわけだし。

 

「ふわぁ~……気持ちいいねぇ……インテレオン、エルレイド、ブラッキー……」

「レェ~……オ……」

「エルエ……」

「ぶぅら!」

「ぶ、ブラッキー、くすぐったいって~」

 

 伸びをするインテレオンと、目を閉じ、静かに体を休めながら温泉を満喫するエルレイド。そして頬ずりをしながらボクの腕の中に納まってこようとくっついてくるブラッキー。3匹が3匹とも好きなように過ごしているものの、皆から感じるのはいずれも気持ちいいや、心地いい、癒されるといったプラスの感情ばかりだ。

 

 ボクもボクで、湯けむり小路を歩いたことによってたまった疲れと、冷えた体を奥から温めてくれて癒してくれているこの温泉にもうくびったけだ。もしかしたらガラルで一番好きな街になりえるかもしれないね。

 

 ちなみに今ここにいないメンバーについて触れておくと、ユキハミとマホイップは温泉に入っちゃうと溶けてしまうのでお部屋でお留守番。その2匹の御守をヨノワールが引き受けてくれているといったところだ。珍しくボールから出て、まったり休んでいるヨノワールを見れたので、そのままお願いしたという感じだね。

 

(今度来るときはヨノワールと一緒に浸かろうかな?)

 

「湯加減はいかがですか?」

 

 夢見心地になりながら温泉を楽しんでいると、横から掛けられる声。そちらに視線を向ければマクワさんとガメノデスの姿。

 

「もう最高です~……やっぱりいいですね~温泉……」

「それはよかったです。英雄も使っていたと言われるお湯ですからね」

「英雄……」

 

 マクワさんの言葉で思い出されるのはこの街のシンボルである『英雄の温泉』だ。伝承では悪しき存在を打ち破った英雄が、戦いの傷を癒すために使ったと伝えられており、英雄という単語からガラルの伝承とも深くかかわっているとされるもので……

 

(ってことは、もしかしたらソニアさんも来てたりするのかな?もしそうならまた挨拶しておきたいなぁ)

 

 歴史あるところにソニアさんあり。ってわけじゃないけど、いてもおかしくなさそうなので見かけたら声をかけておこう。もしかしたら進展があるかもしれないしね。

 

 ま、今はそんなことよりもマクワさんとの会話を楽しもう。1人の時間は終わったけど、温泉に浸かりながら誰かとお話もよきものです。……最近マクワさんとばかり話している気がしなくもないけどね。

 

「マクワさんはよく温泉に来られるんですか?」

「いえ、実は僕はあまり訪れないんですよ。なんせ……」

「……ガメ?」

「ああ~……納得です」

「そういう事です」

 

 マクワさんの専門はいわタイプだ。そしていわタイプの弱点の一つにみずタイプがある。つまりいわタイプは、そのほとんどがみずに弱いわけで。

 

「温泉はマクワさんにはあまり合わないんですね……」

「僕自身は普通に温泉大好きなんですがね」

「ガメ!」

 

 隣で嬉しそうにするガメノデスを撫でながら呟くマクワさん。確かにとても楽しそうで、みているこちらもほっこりしてしまう。

 

「っと、そうでした。あなたに言いたいことが。あのお香に関して、もう少し待ってもらっても?」

「全然構いませんよ。どうなるのか楽しみですし、この街にはまだまだ滞在することになりそうなのでゆっくりで大丈夫です」

「そう言っていただけると」

 

 マクワさんが話しているのは、ボクがバウタウンでユウリからプレゼントしてもらったさざなみのおこうについての話だ。

 

 ボクが熱で倒れている間に準備してくれたプレゼントで、ボクの密かな宝物の一つなんだけど、先のイワパレス事件の時にリュックを投げた反動で割れてしまっていた。湯けむり小路を発つとき、カバンの中身を確認した時に発覚したんだけど、それはそれはショックを受けてしまって……

 

 さざなみのおこうの香りを気に入っていたのは勿論なんだけど、何よりもユウリに申し訳なさが沢山ある。壊れたことがわかってすぐにユウリには謝罪を入れたし、本人からも、『私を助けようとしてなっちゃったことだから気にしなくていいよ!何ならまた買ってあげるし!!』と言ってくれはした。けど、明らかにユウリの顔色もちょっと悪くなっており、その表情からは残念さと、自分のせいでという自責の念がこもっていた。その表情を見るのが少しつらくて、どうしようかと思っていた時に声をかけてくれたのがマクワさんで……

 

『もしよろしければ少しの間、そのおこうのかけらを預からせていただけませんか?直すことはできませんが……少なくとも現状よりはいい方向へ持っていけるかと』

 

 なんてことを言ってくれたので、お願いしておこうのかけらを渡したという経緯があった。先ほど言っていた、『もう少し待ってもらっても?』というのはこのことを指している。

 

 元々壊れてしまってどうしようもなかったものだ。そこから何かに変わるというのであれば、こちらとしても願ったりかなったりだ。むしろ、ここからどう変化するかが楽しみだったりする。

 

「本当にありがとうございます」

「いえいえ」

 

 どんな変化を遂げるのだろうか。未だに頬ずりをしてくるブラッキーに、同じように頬ずりを返しながらおこうの違う姿に思いをはせる。そんなまったりした温泉の時間が流れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んん~……夜はさすがに冷えるけど、その分空がきれいだね~」

 

 あれからお風呂の時間を満喫し終わったボクは、お風呂上りに皆と集合してステーキハウスへと直行。ユウリとクララさんの食べっぷりを眺めながらボクも美味しくいただき、そのまま談笑と観光を終えて今。寝る前の温泉を再び堪能して、ポカポカした体を少し冷ますためにちょっとだけ夜のキルクスタウンを散歩していた。散歩と言っても、この雪国の街を夜に歩き回るのはさすがに自殺行為なので、歩く場所は温泉の温度を感じることが出来る英雄の湯周りだけだけどね。流石に寒すぎる。けどその分、空がとても澄んでいるせいか星がきれいに映っている。

 

「ほんとに綺麗……」

「ハミュミュ!!」

「ユキハミもそう思う?」

「ハミュ!!」

 

 元気よく返事を返してくれる頭の上のユキハミと談笑しながら空を見上げる。

 

 遠くを見れば、夜空を飛ぶモスノウの姿。

 

 氷の鱗粉を散らしながら空を漂うその姿は、月の光を反射しているせいか、夜空の星たちと同じように煌めいていて。

 

「こっちも負けず劣らず綺麗だね」

「ハミュ!!」

 

 自分の未来そのものであるその姿に、ユキハミも羨望のまなざしを向けていた。いつかこの子も、あんなふうに綺麗になるのかなと思うと、ちょっと楽しみだ。

 

「おや、こんなところに話題の人。とうとうここまで来たんだね」

 

 空を見上げて未来を馳せていると、横からかけられるのは女性の声。視線を向ければそこには白を基調とした服に白の襟巻と帽子にイヤリング。とにかく白に身を包んだ少しふくよかな女性が立っていた。

 

「こんばんは、メロンさん。次のジム、よろしくお願いします」

「ええ、よろしくね」

 

 キルクススタジアムのジムリーダー、メロンさん。

 ボクが次に挑む人が来ていた。

 

「ところで、ボクが言うのもなんですけどこんな時間になんでこんなところに……?」

「あたしのモスノウに見とれている影が見えたから、ちょいと声をかけたらあんたたちがいたってだけよ」

「あのモスノウ、メロンさんの手持ちだったんですね」

 

 こおりタイプのジムリーダーなのだから手持ちにいてもおかしくはないけど、まさかあんなに遠くを舞っている子がメロンさんの手持ちだなんて全然想像してなかった。言われてみれば動きは洗練しているように見え、時たま放つ吹雪も、遠目から見てもかなり強力そうで。

 

(分かっていたけど、次も強敵そうだ……)

 

 そう思うと、湯上りで少しさがっている体温が戻ってきた気がした。

 

「そういうあんたたちこそ、こんな時間に外歩きだなんて、地元民じゃなきゃあまり褒められたものじゃないけど……何か気になることでもあったのかい?」

「えっと、温泉上がりに少し散歩と、この子が外を見たそうだったので……」

「ハミミュ!!」

「おや、可愛らしいじゃないか」

 

 ボクの言葉に返事をするユキハミと、その姿に微笑ましさを感じているメロンさん。

 

「よかったねぇ。あんたのトレーナーがすごく優しくて。あたしの息子にも見習わせてやりたいよ」

「息子さんがいらっしゃるんですか?」

 

 メロンさんがボクの頭上のユキハミと戯れている時に、気になる単語が聞こえてきたので思わず聞き返してしまう。すると、急にメロンさんの顔色が変わる。

 

(あ、地雷だった……?)

 

 その表情の変化に、もしかしたら聞いたらダメな事だったのかもなんて感じてしまい、少し萎縮してしまう。そんなボクの感情の変化など露知らず、なにかの臨界点を超えたメロンさんが、ガバッと顔を上げながら声を荒らげる。

 

「そうなのよぉ!!せっっっっっかく人がこおりタイプのジムリーダーになるための指導を沢山沢山してあげているって言うのに!!あのおバカはいわタイプの道に走っちゃって〜っ!!自分の道を走る姿はたしかにかっこいいんだけど、やっぱりあたしは着いてきて欲しかったの!!」

 

 心の底から悔しそうに地団駄をふむメロンさんにどう反応したらいいのかわからず、思わずフリーズしてしまう。しかし、ボクが固まっている間もメロンさんの興奮は止まらず……

 

「大体、なんでよりにもよっていわタイプなのよ!!こおりの弱点を着くタイプに走っちゃって〜っ!!あたしがプレゼントしたポケモンのせいなのかしら!?あ、でもあたしがあげたポケモンがきっかけで自分の進む道を決めたのならそれはそれで嬉しいかも……いやでもやっぱりあたしの後を継いで欲しいのよぉ〜っ!!」

「え、えーっと……」

 

 さらに暴走を続けて喋り倒し、そして表情を無限に変えていくメロンさんを見ていると、まるで感情のジェットコースターに振り回されている気分になってしまう。そしてここまでお話を聞いてわかったことがる。

 

(これはあれだ、この人、息子のことを溺愛しているんだ)

 

 話の内容は主に、自分のジムを継いでくれないことによる不満だけど、言葉の節々から感じるのは間違いなく息子への愛情だ。そうだとわかってしまえば、パッと見荒れ狂っているように見えるメロンさんの発言もどこか微笑ましく受け取ることが出来る。

 

「きっと息子さんにも考えがあるんですよ……多分」

「だとしても!!せっかく母親がジムリーダーなのよ!?母親を追いかけてくれてもいいじゃない!!ああ、でもいわタイプを使うあの子も確かにかっこいい……はぁ、それでもモスノウを華麗に使いこなすあの子も見たかったわ……ねぇ、あんたの力でどうにか息子にこおりタイプの魅力を伝えて説得を……」

「さ、さすがに無茶言わないでください」

 

 ユキハミを頭に乗せていたせいか、こおりタイプにも精通していると思われたみたいで、無茶振りをされてしまうが、勿論丁重にお断りする。確かに今はユキハミがいるけど、ボクにとってこおりタイプはユキハミがお初である。シンオウ時代の手持ちにはこおりタイプはいなかったので、まだまだ人に教えられるほどのものを修めているつもりは無い。ましてや、こおりタイプの専門家であるメロンさんに頼まれるなんて恐れ多すぎる。そもそもメロンさんの息子さんのこと、ボクは知らないし……

 

(けど、どこかで見たことがあるような気がするんだよね……)

 

「はぁ、まあいいわ。ねぇシンオウチャレンジャー。ちょっとあたしの暇つぶしに付き合いなさいよ」

「あ、はい。ボクなんかでよければ……」

「よし、それじゃああたしの自慢の息子話を……」

 

(あかん、これ長いやつや……)

 

 どこか感じる既視感にハテナを浮かべながらも、メロンさんの言葉によって思考をさえぎられたのでとりあえず放棄。これから続くであろう長い長い自慢話に、また温泉に浸からないとなぁと、すっかり湯冷めすら超えて冷え始めた体を擦りながら、ため息をひとつこぼすのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




温泉

英雄の湯意外に温泉があるかは知らないですけど、温泉街と言われている以上あるでしょうということで。
温泉、いいですよね。作者も大好きです。
ただ、マホイップと一緒に入れないのは残念ですね……入ると大変なことになりそう。

いわタイプ

いわタイプと温泉の組み合わせだと、ルカリオの映画でウソハチを温泉に淹れようとして逃げられたシーンを思い出しますね。
そこからいわタイプは温泉も苦手なのではないかと。
まぁ、普通に考えたらそうなりますよね。
ガメノデスはみずタイプありますし、カメノテですし。
……カメノテ美味しいですよね。
……でもワカシャモは温泉に入っていたような……あれ?

さざなみのおこう

憶えてますか?

メロン

マクワさんとは切っても切れない関係のお方。
専門タイプを巡って対立し、それ以降顔を合わせていないというのが公式設定で、親子関係は冷え切っているのかと思いきや、マクワさんのファンクラブ会員の第一号がまさかのメロンさんという、仲が悪いのかいいのかよくわからない状態です。
実際のところはどうなんですかね?
そしてこの作品ではどのような関係なのか……




第9世代発表されましたね。
いつも通りどちらも買う予定ですが、メインはバイオレットに、御三家はニャオハにしたいなと思っています。
作者は基本的にくさタイプを選ぶ傾向にあります故。
それにしても今年冬って速いですよね。
いつ作っていたんだ……アルセウスを作っていたのでは……?
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