【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

90 / 374
90話

『はいよあたしからの誕生日プレゼントだ。大切にするんだよ?そんでもって、いつか必ずあたしのあとを継いで、このキルクススタジアムをさらに育てておくれ。それがあたしの願いだ』

『うん!!大きくなったら、絶対に母さんのあとを継ぐよ!!』

『ああ、本当に、うちの子は可愛いなぁ〜!!よしよしよしよし!!』

『か、母さん、くすぐったいよ〜』

 

 それは昔の在りし日の思い出。僕が自分の意思を強く持つにはまだまだ幼く、母さんの言葉を愚直に信じていた子供時代の記憶。今でもしっかりと記憶している、僕の原点とも言えるお話。

 

 僕が初めてこの手にポケモンを授かったのは10歳の誕生日でした。

 

『初めまして。これからよろしく!』

『ルゥ……?ルルゥ!!』

 

 僕が差し伸べた右手に嬉しそうに頬ずりするアマルス。初めて手に触れ、そして僕の手持ちとなったそのポケモンに対して、一気に愛着がわいてしまう。

 

 この子は、絶対に大切にしよう。

 

 アマルスが入っていたハイパーボールをぎゅっと抱きしめながら誓ったこの日が、僕とアマルスの出会いだった。

 

 それからの毎日は、まるで世界が180°反転したかと思うほど華やかな生活に感じた。

 

 どこに行くにしても、何をするにしても、僕はアマルスとくっついて行動していたし、アマルス自身が出会って直ぐに懐いてくれたおかげでとても楽しい毎日を過ごすことが出来ました。それはジムや学校での生活にも影響を及ぼしており、今まで辛いだけだと感じていた座学や練習、特訓なども、アマルスと一緒なら全てが楽しかったし、なんだって乗り越えられる気がしていました。

 

 我ながら、なんて単純な思考をしていたんだろうと呆れてしまいそうになるものの、今振り返ってみても、この期間はとても楽しく、充実した日々でした。

 

 順風満帆。

 

 このままいけば僕は間違いなく母さんの跡を継ぐことになっていたであろう。

 

 ではなぜ今の僕がキルクススタジアムを離れていわタイプへの道に走ったのか。それは、僕がアカデミーに通っているときに起きた出来事が原因でした。

 

 ジムの勉強だけでは固定概念にとらわれて、固まった考えになる可能性があるからという理由で、柔軟性を育てるためにアカデミーも通っていた僕なのですが、ちょうどその時にアカデミーで勉強したのがタイプ相性についてでした。

 

 どのタイプがどのタイプに対してばつぐんを取ることが出来るのか。ポケモンバトルの基本にして、最も強さの指標といいやすい項目。その授業を受けていた時のこと。

 

 子供というのは僕も含めてですが、基本的にはとても単純な思考回路をしています。例えば、ドラゴンタイプやはがねタイプは、攻撃を受けるという点においてはいまひとつが多いので強い。逆にくさタイプやこおりタイプは、ばつぐんが多かったり、いまひとつにできるタイプが少ないから弱い。といった感じに。勿論、それぞれのタイプにはタイプ相性だけでは語れない強さや特徴があるため、これが全部というわけではないのですが、先ほども言った通り、子供というのは思考が物凄く単順で、技や天候、フィールドによって強さが変わるなんて考慮としません。そして、アカデミーで勉強をするくらいまで年齢を重ねていると、大体の子が親から一匹ポケモンを授かっているというのがほとんど当たり前のような場所でした。そうなれば、当然話題にあがるのが自分のポケモンがどんなタイプ相性なのかという話で……

 

『オレのサシカマスはばつぐん少ないもんね!』や、『オレのヒメンカでばつぐんつけるし!』だとか、『ボクのギアルは誰よりも硬いよ!!』なんて話で盛り上がり始めます。

 

 当然僕にもその話が回ってくるわけで、比較されるポケモンも当然アマルスです。

 

 アマルスのタイプはいわとこおりの複合タイプ。タイプの組み合わせというのは現状判明している18タイプ×17タイプの、合計306通りとなっており、まだ確認されていない組み合わせもあれば、割とメジャーな組み合わせのものもあります。

 組み合わせ次第では強いものもあれば、逆にそこまでと言われるものもあり、残念ながらアマルスもタイプだけを見れば決して強いと言われる部類ではありません。弱点の数は、じめん、いわ、みず、くさ、かくとう、はがねの6タイプ。さらにかくとう、はがねに至っては、こおりもいわも苦手なタイプのせいで大ダメージを受けてしまう組み合わせ。数だけでいえば、ナッシーやユキノオーの方が数は多いのですが、それでも特大弱点を二つも含んだうえで弱点が6つというのはとても多く、弱点を習ったばかりの子供たちにとっては格好の的でした。

 

『お前のポケモン弱点ばっかだな』

『俺のもポケモンでも、あいつのポケモンでも弱点つけるぞ!!』

『この中で一番弱いんじゃないか?』

『や~い、弱点ポケモン』

『いわとこおりって弱いのか?』

『いやいや、いわが弱いんだって!だってこおりはあのキバナさんに勝ってるし、メジャーリーグがあるもん!』

 

 習ったばかりのことを言いたくなるのは子供の性。ここから繰り出されている言葉には、悪意は実はそれほどなく、気にせず受け流せば明日にはまた何気ない普通の時間が流れる。しかしそれは大人がする対応であって、当時同じ年代であった僕にはとても難しい事でした。僕の大切なパートナーが、母さんからもらった誰よりも大切な仲間が貶されている。そのことが無性に悔しくて。流石に手を出すなんてことはありませんでしたが、それでも小さくない言い合いには発展してしまいました。それはアカデミーの教師に止められるまで続いてしまい、家に帰って怒られたこともしっかりと覚えています。

 

 そしてこの時見た、アマルスのとても悲しそうな顔も。

 

 その表情がとても頭にこべりつき、どうしても忘れられなくなってしまいました。同時に想ってしまったのです。

 

 もう二度と、このような顔にはさせたくないと。

 

 そこで何を思ったのか、母がこおりタイプで、僕がいわタイプで、それぞれ最強であることを証明すれば、アマルスに文句を言う人がいなくなるのではという結論に辿り着いてしました。

 

 間違いなく、『いやいや、いわが弱いんだって!だってこおりはあのキバナさんに勝ってるし、メジャーリーグがあるもん!』というあの言葉に影響されて……。

 

 一度そう思い込んでしまったら、そこから行動するのはあっという間でした。母さんからの教育でこおりタイプの特訓をする陰でいわタイプについても猛勉強をし、独り立ちできるくらい成長した瞬間に家を出て、いわタイプのジムを目指すべく修行して……

 

 これが僕のいわタイプを極めようと思った理由。

 

 他人にとっては……いえ、今の僕が振り返ってみても、とても馬鹿みたいで、何やっているんだと鼻で笑ってしまいたくなるような小さな理由です。母が僕に怒り心頭になってしまうのも、家を出禁にしたくなる気持ちもよくわかります。僕が母と同じ立場なら同じことをしていたかもしれませんし。

 

 ですが、それでも……

 

(あの時のアマルスの顔だけは……どうしても忘れられないのです)

 

 母さんからもらったこの大切なポケモンを、どうしても優先したいのです。

 

 だからどうか……

 

(この親不孝なボクを許してください。母さん)

 

 腰にぶら下げた、今目の前にいる人からもらった、今でも大事なポケモンのボールに手を添えながら、それでも貫きたい思いを胸に、目の前の越えるべき相手に目を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒヒダルマ戦闘不能!!セキタンザンの勝ち!!」

 

 

 審判から告げられたのはメロンさんの2匹目のポケモンが倒されたこと。その言葉が嘘ではない証拠として、フィールドに視線を向ければガラル地方の気候に適応したこおりタイプのヒヒダルマが地面に伏していた。これでマクワさんもメロンさんも2匹のポケモンを失ったことになる。

 

 不思議なやり取りから始まった、どこか空気の違う2人の試合は白熱していた。

 

 まず最初のガメノデス対モスノウは、初手のこごえるかぜとがんせきふうじの相殺から始まり、がんせきふうじがモスノウの視界を封じている間にガメノデスがステルスロックを展開。一歩出遅れる形となったモスノウが、ステルスロックを確認してすぐにふぶきを放つ。がんせきふうじを超えて飛んでくる冷気に、ガメノデスは思わず苦しそうな声を上げるものの、それを耐えきったのちに行ったからをやぶるによって手に入れたスピードと火力で仕返しを行っていく。モスノウもこごえるかぜで機動力だけでも何とか削っていたものの、元々いわタイプにとても弱いモスノウがそのまま火力で押される形でダウン。

 

 続いて現れたメロンさんの二体目はヒヒダルマ。ガラル地方に適応したリージョンフォームのヒヒダルマだったんだけど、これがとにかくすごいポケモンだった。モスノウの仇を打つべく現れたヒヒダルマが使った技はつららおとしのみ。しかしそのつららおとしの威力がとにかくやばい。本来なら効果はいまひとつのはずなのに、からをやぶるで耐久が落ちているとはいえ、それでも物理耐久には自信があるガメノデスが一撃で地面に伏した姿を見た時は自分の目を疑ってしまった。

 

 ガメノデスを戻したマクワさんが出した二匹目はイシヘンジン。特殊にはめっぽう弱い反面、物理面に関しては攻撃も防御も一級品。その硬さと火力はガメノデスをも上回っており、つららおとしをメインとしているということは、ボクの知っているほのおタイプのヒヒダルマと同じく物理が得意であろうガラルヒヒダルマとの熱い殴り合いが見れる。そう思っていた。しかし結果はガラルヒヒダルマが圧倒的な火力で押し切る形になった。勿論使った技はつららおとしのみ。

 

 いくら何でも高すぎるその威力に、みているこっちが混乱している中、それでも焦らずマクワさんが繰り出したのがセキタンザン。

 

 ほのお、いわ、どちらでもこおりに有利が取れるマクワさんのエースが早くも登板となり、ヒヒダルマの猛攻を止めんと奮起。それでもなかなか止まらなかったヒヒダルマに、この後自分も戦うのかと思うと既に参ってきそうになる気持ちを抱きながら見守ること数分。連戦による疲れからようやくガス欠となったヒヒダルマがセキタンザンの前に沈むこととなって今の状況だ。

 

(当然だけどレベルが高い……とくにあのヒヒダルマが本当に訳が分からない……どうやったらあんな火力になるのさ)

 

 マクワさんを応援している気持ちはあるけど、それと一緒に自分があそこに立っていたらの想像も欠かさない。もしボクが挑むとなるなら、あのヒヒダルマはかなりの脅威となるはずだ。なぜかジムリーダーたちがボクと戦う時に手持ちを少し強くすることも考えると本当に気が抜けない。そんな目が離せない二人の戦いを見守っている中、メロンさんの三体目が姿を現す。

 

「行きなさい、コオリッポ!」

 

 出来たのは頭を四角い氷に覆われた、フォルムだけ見ればエンペルトに似ているポケモン。これまた初めて見るポケモンに目を奪われるなか、お互い三体目同士のポケモンのバトルが始まる。

 

(頑張って……マクワさん!!)

 

 ぐっと拳を握りながら、祈るボクの声が届いたのか、少しだけマクワさんの肩が動いた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……届いてますよ。あなたの声援」

 

 後ろからかすかに聞こえてきた声に反応しながら目の前の相手に集中する。現れたのはコオリッポ。物理攻撃を一度だけ無効にする特性『アイスフェイス』が厄介なポケモン。ですが、物理だけ防がれるというのがわかれば対策は簡単です。幸いセキタンザンは物理も特殊もどちらも扱えるポケモン。コオリッポ対策はちゃんとしています。

 

「セキタンザン、『かえんほうしゃ』です!!」

 

 セキタンザンから放たれる炎がコオリッポを焼かんと邁進する。

 

「コオリッポ、『こうそくいどう』」

 

 よけづらいように拡散して放ったつもりですが、それすらもこうそくいどうによって回避したコオリッポ。

 

「続いて『はらだいこ』」

「ッ!?本当に容赦ないですね……『えんまく』!!」

 

 せめて攻撃を避けるためのえんまくを周りに貼って緊急回避。しかし……

 

「そんな煙で避けられるほど、あまい教育をしたつもりはないわよ?『たきのぼり』」

 

 こうそくいどうによって素早さが上がったコオリッポの目を欺けるには頼りない。一瞬で煙を突き抜けてセキタンザンの懐に潜り込んだコオリッポが、腹太鼓によって自分の体力を犠牲に手に入れた火力を存分に発揮してセキタンザンを大弱点のみずで押し流してくる。

 

「一撃で沈めば、あなたお得意の『じょうききかん』も関係ないわよね?」

「ぐっ……!!」

 

 流石にこちらにやりたいことはばれてしまっている。一撃でも耐えることが出来れば、特性の効果によって素早さを一気に極限までもっていくことが可能な特性じょうききかん。

 決まればかなり強力な特性なのですが、当然ながら耐えることが前提のこの能力。一撃で倒されると当然ながら意味がない。それを理解しているからこそのコオリッポのはらだいこ。いわタイプの特徴である物理への耐久力の高さも、はらだいこによるバフと大弱点となるみず技の組み合わせにはなすすべもない。

 

 

「セキタンザン戦闘不能!!コオリッポの勝ち!!」

 

 

「……お疲れ様です。セキタンザン」

 

 僕のエースと言えるポケモンの退場。ヒヒダルマを倒してくれただけでも十分ではありますが、対母さんの一番の要であるセキタンザンの退場は僕の中でかなり多きものとなっている。

 

「さあ、もうあんたのエースはいない。そしてこの場には『こうそくいどう』と『はらだいこ』を行ったコオリッポ……あんたにこれを覆せるの?」

 

 母さんの言葉は間違いない。これを覆す手段は限りなく少ないうえ、まだ母さんの切り札が後ろに控えている。

 

 絶望的状況。ですが……

 

「……まだよ!まだ僕の岩は崩れ去っていない。砂になっていない!!僕の戦う理由は、戦う意思は、まだ消え去っていない!!」

 

 あの頃の思いが、誓いが、意思が。あきらめるなと僕の背中を押してくれる。

 

「この子のためにここまで来たのです!!行きなさい!!」

 

 この不利な状況を覆さんと、僕の最後のポケモンが姿を現す。

 

「そのポケモンに、そこまで……」

「行きますよ……アマルルガ!!」

「ルルゥ!!」

 

 淡い光を背中のヒレから発しながら吠えるアマルルガが、僕の思いを受けて足を踏み鳴らす。その姿に母さんがなにか小さくつぶやいたような気がしたけど、それを無視して前を向く。

 

「アマルルガ!『ラスターカノン』!!」

「っ!?避けなさい!!」

 

 アマルルガに見とれていたのか一瞬反応が遅れていたような気がしたが、それでも飛んでくる鋼の弾を避ける指示を行い、コオリッポが何とかその球をよけ……()()()()()()()()()()()()()()()()()被弾する。

 

「コポッ!?」

「なっ!?」

「アマルルガ、『でんじは』!!」

 

 予想外からの攻撃にたたらを踏んでしまったコオリッポを麻痺に陥れ、機動力を落とす。

 

「コオリッポ、『ハイドロポンプ』!!」

「コォ……コポッ!?」

 

 コオリッポもすぐさま反撃しようと準備をするものの、麻痺のせいで技がうまく発動できず、痺れて固まってしまう。その姿を確認した僕は、コオリッポにとどめを刺すべくでたらめな指示を出す。

 

「アマルルガ、『ラスターカノン』を四方八方にばらまきなさい!!」

「ルルゥォ!!」

「はぁ!?」

 

 僕の指示をしっかりと実行するアマルルガ。アマルルガを中心として飛び散っていく鋼の弾はあらぬ方向へどんどん飛んでいく。しかし、ある程度直進したところで飛び散った鋼の弾は、急にその進路をコオリッポの方へ変更する。

 

「これは……『ステルスロック』!!」

「さすがに気づきますか……ですがもう遅いです!!」

 

 この現象のタネは空中に浮かぶステルスロックにラスターカノンが反射したことによって起きている。宙漂う数多の岩は、鋼の弾を乱反射してコオリッポを目指す。母さんもそのことに何とか気づきますが、その時にはもうすでに遅く、コオリッポの周りすべてがラスターカノンに囲まれていた。

 

 弱点の攻撃による集中砲火。

 

 追加効果による特防の低下も相まって、その攻撃を耐えきることが出来ずにコオリッポが地に沈む。

 

 

「コオリッポ戦闘不能!!アマルルガの勝ち!!」

 

 

(フリアさん。あなたのおかげです。感謝しますよ)

 

 この作戦を思いついたのも、いつも奇想天外な戦い方をする彼のおかげ。感謝につきません。

 

 これでお互い最後の一匹。

 

「あんたの思い。確かに伝わってくる。けど……」

 

 最後のボールに手をかけ、ダイマックスバンドからエネルギーを送り、最終ラウンドへの準備を行う母さん。

 

「あたしだって、あんたに親として込めた思いがある。それでも自分を貫き通したいなら!」

 

 大きくなったボールを天高く投げ、そのボールから母さんの切り札が姿を現す。

 

 

「あたしを踏み越えて、見せてみな!!」

 

 

「フラァァアアッ!!」

 

 

 キョダイマックスラプラス。

 

 母さんがジムリーダーたる所以のポケモン。勿論、ジムチャレンジ用に調整されている個体ではあると思いますが、それでも決して割れないこおりとして立ちはだかる、キルクススタジアム最後の砦。

 

「ラプラス!『キョダイセンリツ』!!」

 

 

「フラァァアアッ!!」

 

 

 そんなラプラスから放たれる巨大な氷の塊、

 

 

 その圧力に一瞬押されそうになる。しかし……

 

「ええ、貫かせていただきます!!アマルルガ!!『メテオビーム』!!」

「そんな技までッ!?」

 

 僕にも譲れないものがある。その意地を一緒に担ってくれたアマルルガに宇宙の力が集中していき、アマルルガの特攻が引き上げられる。迫りくる巨大な氷塊に対しても臆することなく力をため込んだアマルルガは、その力を思いっきり解き放つ。隕石の力を内包したそのレーザーは、ラプラスのキョダイセンリツを粉々に打ち砕きながら直進し、ラプラスの顔を打ち抜く。

 

「アマルルガ!!」

「ルルゥ!!」

 

 顔にこうかばつぐんの技が当たったことによって、ラプラスが怯んだのを確認した僕はすぐさまアマルルガをボールに戻し、ダイマックスエネルギーを送り込む。

 

 

「山のような岩となれ!!アマルルガ、ダイマックス!!」

 

 

「ルルゥォッ!!」

 

 

 大地を踏みしめるアマルルガが天高く咆哮する。

 

「くっ、ラプラス、『ダイストリーム』!!」

「『ダイロック』で防壁を!!」

 

 アマルルガに対して弱点で攻めようとダイストリームを放つラプラスに対して、ダイロックの壁を地面から突き出させて防ぎ、その壁をそのままラプラスの方へと倒して攻撃を行う。そしてダイロックがラプラスに当たると同時に捲きおこる砂嵐。

 

 いわタイプの特殊能力。砂嵐の中ではいわタイプの特防は強化される。この力は、特殊攻撃を主力としているラプラスへのダメ出しとなるだろう。そのことを母さんもしっかりと理解しているはず。だからこそ、天候を上書きするために再びダイストリームを打って雨に替えようと考えるが……

 

「……ダメね、天候を奪えない」

「フィールドはこちらの物です。何をしてもこの有利は揺らぎません」

 

 ダイストリームを打ってきてもダイウォール、ダイロックで防げば大丈夫。フリアさんのように天にダイストリームを打って雨に替えても、こちらはまだダイマックス行動に余裕があるので上書きしなおせる。ではこちらが攻撃するまで待てばいいのかと言われると、天候砂嵐はじめん、いわ、はがね以外のタイプのポケモンに対して少しずつダメージを与える。つまり何もしなくてもラプラスへのダメージは入り続ける。つまり、ラプラスから動かざるを得ない状況。

 

「ラプラス、『ダイストリーム』!」

 

 待ってもしかたないということを理解したラプラスがダイストリームを発射。これを技で防げば天候が変わることはないし、たとえ変わっても自分の技で上書きできます。なら……

 

「アマルルガ、耐えなさい!」

「……本当、変なところに頭回るようになったね」

 

 砂嵐の効果で強くなった特防でラプラスのダイストリームを受け止める。こうかばつぐんのその技は砂嵐の効果で軽減されたため、元々特防に対してある程度の耐久をもつアマルルガならダイマックスの効果もあって十分耐えることが出来る。

 

 耐えきったアマルルガに降り注ぐ雨。

 

 これで砂嵐は消え、みずタイプの技が強くなる。しかし、ここからがダイストリームをわざと受けた理由。

 

 ダイマックスの効果が切れたラプラスが元のサイズに戻っていく。それはつまり、ダイマックスの耐久が消え、体力が減少したという事。なら……

 

「これでとどめです。アマルルガ……『ダイロック』!!」

 

 メテオビームで強化されたこのダイロックを防ぎ、耐えきることは不可能。たとえ耐えたとしても、アマルルガはあと一回ダイマックス技を打てるので、もう一度ダイロックを打てばいい。

 

 ラプラスの上空から倒れこむ岩の塊は、ラプラスの残り体力全てを押しつぶす。そして……

 

 

『ラプラス戦闘不能!!勝者、アマルルガ!!よってこの戦い、マクワ選手の勝利!!』

 

 

「ルルゥォォォォオオオッ!!」

 

 

 アマルルガの雄たけびによってこのバトルの幕が下りる。

 

「僕は……いわタイプのトップとして、あなたからもらったこの子が最強のポケモンであると証明して見せます!!」

 

 それは、僕の意地への道が、ようやく始まったのだと宣言しているようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




過去

正直本人が言っている通り、理由自体はそんなに大きなものにはしていません。
引っ張った割には、というやつですね。けど、本人の立場になって考えてみると、こだわりはあるのではないかなと。
この小説では、実は母親このと大好きなマクワさんという設定ですね。

ヒヒダルマ

マクさんとの戦いでも手持ちが微……いえ、かなり強化されていますね。
実機では勿論この特性ではありません。というか、この特性なら泣く子が出そうな……
勿論フリアさんとの戦いでもこちらが来ますよ。

メテオビーム

いわ特殊界の必殺技のようなもの。
いわタイプに特殊が追加されたのは、パワージェム以来10年ぶりらしいですよ。
私もサニゴーンに搭載して楽しんでいました。




3月12日をもちまして、この小説が一周年を迎えましたね。
かといって、何か特別な小話を挟むわけでもないのですが、一年かけて90話も出しているのかと思うと、なかなかの速さと誇ってもいいのではないでしょうか?
正直、定期更新は明言しているわけではないのでこのリズムがいつ崩れたところで構いはしないのですが……現状つらいわけではないので維持できればなぁとは思っています。ここに関してはあまり期待せずに楽しんでいただけたらと思います。

一歳を迎えたこの作品ですが、これからもよしなにしていただけたらと思います。









  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。