【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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93話

 ちょうのまいにより素早さと特殊方面が強化されたボクのモスノウと、メロンさんのモスノウが真正面から睨み合う。

 

 戦闘の練度で言えばメロンさんに一日の長があるけど、現在の純粋な火力ならこちらの方が勝っている。ただ、お互いのタイプ一致の技が相手にあまり通らないことと、恐らくメロンさんのモスノウの特性もこおりのりんぷんと思われるため、長期戦になること自体は免れることは出来ない。

 

 こおりのりんぷん。

 

 受ける特殊攻撃の威力を無条件で抑え込むことの出来るこの特性は、本来ならあまり受けに回ることが得意ではないモスノウが、それでも下手なポケモンよりも全然耐えられるようになることが出来るというなかなか強力なもので、この特性と組み合わさることで少なくとも特殊方面によって崩されるということがかなり減る。ただ、あくまでも耐性を持つのは特殊方面の技のみ。物理方面の技は普通に通るし、なんなら先程も言った通りあまり受けるのが得意ではない種族とタイプであるため、特に苦手としているいわ技とほのお技に関しては、下手に受けてしまえば一撃で沈められかねない。と言った弱点もある。もっとも、今この場では残念ながらその突破法を利用することはまだ難しいんだけどね。

 

 こちらが放つ威力のあがったぼうふうが、さっきよりも多くの雪を巻き上げて飛び、メロンさんの視界を奪いながら襲いかかる。これに対してメロンさんのモスノウはむしのさざめきを的確な場所に打ち込んで雪を全部打ち落とし、こおりのりんぷんを撒くことによって威力と勢いを阻害。ちょうのまいで威力の上がったそれを何とか回避していく。

 

 そのまま反撃体制をとるメロンさんは、こごえるかぜを発動しながら同時にぼうふうも放ってくる。せめて素早さだけでも落とそうという考えがみてとれるその攻撃は、しかし苦しまぎれによる有り合わせのものではなく、ぼうふうによって速度が上がり、巻き込まれた雪によって威力も底上げされていた。急に飛んでくるまさかの高火力技。しかし、やはりちょうのまいによって火力をあげているのがかなり大きく、こちらのモスノウがふぶきを放てば一撃にてほぼ相殺可能となる。

 

(モスノウを倒す方法自体は分かってはいるんだけど、そもそもうちにほのおといわの技を得意とする仲間がいないのが辛い。マホイップのマジカルフレイムは特殊だし、ヨノワールもいわなだれがつかえるけど、ヨノワールをここで初解禁するにしろしないにしろ、一体目である今ここで出すタイミングじゃない)

 

 目の前の攻防に対しても頭を回転させて指示を出しながらも、相手の防御を崩す方法を必死に探していく。

 

 今度は接近戦を仕掛けるべく、自分の体にぼうふうの鎧をまとったモスノウが、そのままメロンさんのモスノウへと突撃。至近距離から高威力の技を叩き込むために、自分の体の風で相手の動きを崩しに行く。自分そのものが風の弾丸になって突撃をするなか、メロンさんは冷静にこごえるかぜを指示する。空気を凍らせて相手の素早さを落とすその技は、モスノウに当たることはないものの、モスノウの周りの風を凍らせて鎧を脆くしていく。このままではいずれ凍った風が逆に自分に牙をむくので、これをぼうふうを放って弾くことで、むしろ氷の礫として相手に飛ばしていく。しかし、氷の礫が小さすぎて相手のモスノウのこおりのりんぷんに落とされる。この程度の攻撃では、やはりあの鱗粉を突破できないという事だろう。

 

(かといって簡単に近づかせてくれるわけじゃないよね。あのモスノウに接近しようとすればこごえるかぜで抑えてくる。たぶん、こおりのりんぷんで相殺しながら前に行けば無理やり突破はできそうではある……けど、この先を考えるとせっかくちょうのまいで上がった素早さを落とさせるわけにはいかない。ちょうのまいをもう一回させてくれるような隙も与えてくれないだろうということを考えると余計にだ。かといって物理で突破する案だけど……物理が得意なうちの子はあとはエルレイドだけ。でもエルレイドにはこの先に大きな仕事が待っているからここで戦わせるわけにはいかない。それに、モスノウの意思を尊重するためにも交代はしたくない。なら……!)

 

「モスノウ!!回りながら『ぼうふう』!!」

「フィィィッ!!」

 

 その場でくるくる回りながらぼうふうを放つモスノウ。その行動により、モスノウを中心とした小さな台風が出来上がる。

 

「またちょうのまいかい?悪いけどもう能力はあげさせないよ!『ふぶき』!!」

「フォォォッ!!」

 

 その竜巻を見て、再びちょうのまいを行うと予想したメロンさんがふぶきにてぼうふうを止めようとする。ボクのモスノウを中心に展開されていたぼうふうに向かって一直線に飛んでくるそのふぶきは、ぼうふうを止めるべく次々と竜巻の中に混じっていき、その威力をどんどん弱めていく。

 

「くぅ……無理やり止められそう……なんて火力……これでちょうのまいしてないって本気!?」

「伊達にこおりタイプのジムリーダーをやってないってことさ!さあ、そのまま凍らせてしまいな!!」

 

 ちょうのまいで強化されているはずのぼうふうを無理やり止めてくるふぶきの威力に思わず後ずさってしまいそうになる。確かにぼうふうはタイプ一致の技じゃないからモスノウが得意としている技ではない。けど、それにしたってこの速さで止められるだなんて想像もしてなかった。

 

 ぼうふうによって雪がかなり巻き上げられたせいか、うっすらとバトルコートの模様が見えるようになってきた地面を見つめる。

 

「もうあんたの好きにはさせないよ。まずは一体目!『ふぶき』!!」

 

 完全にぼうふうを停止させられて、その中心にいたモスノウも予想外の力技に驚いてしまい、思わず一瞬体の動きが止まってしまう。そこをめがけて放たれるメロンさんのモスノウのふぶき。防壁のない、完全に無防備の状態で受けるその技は、ちょうのまいで防御面も強化しているのにかなりのダメージを負ってしまう。

 

「とったよ!!」

「フォォォッ!!」

 

 そのままさらに威力を高めてモスノウを完全に仕留めにかかろうとする。これが当たれば、いくら特殊方面に強いモスノウでも致命傷は確実。けど、それはあくまでこのまま直撃すればの話だ。

 

「大丈夫、()()()()!!」

「何!?」

「モスノウ!!上に向かって糸!!」

「フィィィ!!」

 

 ボクの指示を聞いて、氷の混じった糸を上空に向かって放たれ、かなりの速度で打ち込まれたその糸は、ある程度の高さまで進んだところでピタッとその動きを止める。

 

「引っ張って!!」

 

 糸が止まったことを視認したボクは、すぐさまその糸を手繰り寄せるように指示を出す。すると、先ほどモスノウが行ったぼうふうによって地面から巻き上げられた雪たちが、一斉に空中の一点に寄せ集まりだして一つの巨大な雪玉となる。そのサイズは、他と比べるならダイアイスによって降りそそぐ氷塊より一回りは小さいかなくらいで、ダイマックスしていないモスノウにとっては、一種の隕石のようにも見える。

 

 ぼうふうによって竜巻を発生させたとき、気づかれないように少しずつ糸を吐き出していたモスノウは、その糸を竜巻によって巻き上げられた雪の中に隠していた。粘着性のその糸は、雪の中に含まれていくと同時に、周りの雪を集めて少しずつ塊となっていき、空中に漂う。そして最後の糸で空中の雪をすべて手繰り寄せてくっつけることによってその塊たちをすべて一点に集めて合体。巨大雪玉を作り上げた。それがこの現象の正体。

 

 あの時モスノウの周りに発動させたぼうふうは、ちょうのまいをするために行ったのではなく、最初からこの雪玉を作るためのカモフラージュ。

 

(メロンさんのモスノウのふぶきが予想以上の火力だったから、予定より早くぼうふうを止められちゃったけど……むしろそのふぶきの火力を少し雪玉作成に利用できたから結果的にプラマイゼロだ。この大きさなら十分!!)

 

 この雪玉の作成するにあたって、仕上げはモスノウの体から伸びている氷の糸を用いている。それはつまり、モスノウとあの雪玉がくっついているという事で、さらに言えば、この雪玉はモスノウが自由に振り回すことができる。

 

 結論から言えば、この巨大雪玉そのものが、モスノウを潰そうとする武器となる。

 

「ッ!?モスノウ!!今すぐ『ふぶき』を中止してさが━━」

「遅いです!!モスノウ!!振り下ろせ!!」

「フィ、ィィィィッ!!」

 

 モスノウに迫ってきていたふぶきを、巨大雪玉をハンマー投げの要領で回転しながら振り回してかき消していく。そして、遠心力によってどんどん威力を重ねていくその雪玉を、最後は相手のモスノウに叩きつけるために一度大きく上にあげてから振り下ろす。間違いなく致命傷となるその一撃を避けるべく、慌てて下がる指示をするメロンさんだけど、雪玉の速度と大きさが予想以上に大きくて、モスノウがメロンさんの下まで逃げ切る前に雪玉が叩きつけられた。

 

「ッ……人になんて力って言っておいて、あんたの方が力技じゃないか」

「自分でも無理やりな作戦かなって思いましたけど……上手くいってよかったです」

 

 派手な破壊音を奏でながら崩れていく雪玉を眺めながらお互いに思い思いの感想を呟いていく。雪玉が盛大に崩れたせいでまた雪が撒き上がり、視界がかなり制限されているためとりあえず口から出てしまったという発言だったんだけど、その間もお互いが気を抜くことはなく、じっとバトルコートを見つめている。程なくして雪が晴れ、視界が開け始めていき、ようやく見えるようになってきたバトルコートには、ふぶきの猛攻を受けたとはいえ、特性も相まって未だに健在のボクのモスノウと、雪玉による打撃をもろに受けてしまいフラフラしているメロンさんのモスノウの姿。

 

 今が絶好のチャンス。

 

 あの雪玉を耐えることには驚いたけど、予想外ではなかった。

 

 メロンさんの手持ちならこれくらいのことはしてくる。何となくそんな確信があったから。それはボクのモスノウも同じらしく、メロンさんのモスノウの姿が確認で来た瞬間突撃準備を終えていた。対するメロンさんのモスノウは、フラフラしながらもまだ倒れる訳には行かないと力を振り絞っており、必死に羽ばたいていた。その意地は遠目から見てもハッキリと伝わっており、今視線を送られたメロンさんは特にその思いを強く受けとっているだろう。

 

(なにかされる前に落としきる!!)

 

「モスノウ!!」

「フィィィッ!!」

 

 ボクの声を合図に突撃を始めるモスノウ。翅を羽ばたかせ猛進するモスノウは、自分の軌跡に雪を巻き上げながら一直線に突撃を始める。

 

「踏ん張りどころさ、モスノウ!!準備しな!!ここを耐えて反撃さ!!」

「フォォォッ!!」

 

 メロンさんのモスノウは、フラフラの体にムチを打ち、無理やり空中で体を起こしているため攻撃に移るのに少し時間が必要だった。そのため、いつもよりも大量にこおりのりんぷんを周りに散らして、完全に受けの態勢を整えていた。いくら手負いとはいえ、ここまで完全に対策をされていたら攻撃を通すのはかなりつらい。全力で吹雪を打ったところで、こおおりのりんぷんでうけとめられ、ぼうふうなどで返されて終わるだろう。

 

 こちらのモスノウも特性は同じくこおりのりんぷんだけど、空を高速で飛んでいるため、りんぷんがあまりモスノウの周りに展開されておらず、この状態だとメロンさんのモスノウと比べて防御力がかなり落ちている状態になる。

 

 このまま特殊技で攻めたら返り討ちに合うのは確実だろう。そう、()()()()()()()……。

 

「切るならここ!!モスノウ!!『()()()()()()』!!」

「アクロバットですって!?」

「フィッ!!」

 

 ボクの指示を聞いたモスノウの体が薄く白色に光だし、空中を泳ぐように猛進していく。

 

 アクロバット。

 

 ひこうタイプの()()()

 

 空中を華麗に舞いながら相手に突撃を行う技で、何かしらのアイテムを持っていない状態だと、より軽やかに攻撃できる兼ね合いでより鋭く強烈な一撃になるという一癖ある技。

 

 本来ならモスノウが覚えている技ではない。それはモスノウという種族が覚えられないという意味ではなく、モスノウというポケモンがそもそも物理技を得意としていないからだ。普通に攻撃するのであれば、さっきから行っているぼうふうで行った方が何倍もダメージが通る。わざわざアクロバットを選ぶ人なんているわけがないし、ボクもいつもなら決して覚えさせることはないだろう。けど、相手が特殊攻撃に完全に対策を取っているというこの状況下では、むしろアクロバットの方が有効となる。なぜなら、こおりのりんぷんは特殊は防ぐことはできても、物理には何の意味もないから。特殊に対して強力な特性も、アクロバットの前では無力でしかない。

 

 これが対メロンさんのモスノウ用の最後の技。

 

 進化した瞬間にモスノウ自身が教えてくれた隠し技。その隠し技を最適なタイミングで切ることが出来た。

 

 メロンさんが驚いている間に懐まで潜り込んだボクのモスノウは、そのままメロンさんのモスノウを中心に縦横無尽に駆け回りながら、翅を何度も何度も叩きつけて連続攻撃を行っていく。むしタイプも持っているモスノウにとってこの技はかなりの痛手となり、さらにボクのモスノウにはアイテムを持たせてはいないので元の威力よりもさらに底上げされた状態となっている。ちょうのまいによって攻撃の速度も上がっているので、本来の威力と比べるとかなり強力な技になっているはずだ。

 

 相手のこおりのりんぷんを切り裂きながら放たれるボクのモスノウの全力の突撃。それは、残り体力の少なく、別の技に対して警戒を行っていたメロンさんのモスノウの体力を削りきるには十分な攻撃だった。連続攻撃の最後を叩き込んだボクのモスノウは、そのままボクの下へと戻ってき翅を羽ばたかせる。

 

 そんなボクたちの視線の先では……

 

 

「ジムリーダー、メロンさんのモスノウ、戦闘不能!!フリア選手のモスノウの勝ち!!」

 

 

 メロンさんのモスノウの体力がつき、地面に伏せていた。

 

「っし!」

「フィィッ!!」

 

 湧き上がる歓声にも反応を返せないくらい興奮した気持ちを表すかのように、思わずガッツポーズを取るボクと、天に向かって吠えるモスノウ。

 

 まずは一本。相手の意表を突く形で何とかリードを取り切った。

 

 せっかく進化して最初の戦闘なのに、勝ち星を挙げられないなんてかわいそうだからいつも以上に手に汗握りながら色々考えて戦った気がする。

 

 その分野において専門家であるジムリーダーに対して一手速く戦いを運べた。

 

 ポプラさんのところではかなわなかったことが出来ていつもよりもどこか嬉しいという気持ちがあふれてくる。

 

「まさかあたしが一時的にとは言え、こおりタイプの扱いで後手に回らされるとは思わなかったよ……評判通り、強いトレーナーだね」

「……ありがとうございます!」

 

 このことに関してはメロンさんも素直に驚いてくれている様子で、思わず右手を頬に添えながら感嘆の声をあげていた。そのことがさらに嬉しくてついつい声が弾んでしまう。けど、まだまだジム戦は始まったばかりだし、本当に大変なのはこれからだ。

 

「けど、あたしだってガラルジムリーダーとしてのメンツってものがあるからね。まだまだあたしのこおりは砕けちゃいないのさ!いきな!ヒヒダルマ!!」

 

(……来た。問題のポケモン)

 

 メロンさんの手元から繰り出されるにはガラルの姿のヒヒダルマ。

 

 簡単に言ってしまえば、顔が下側に来ている雪だるまのような見た目をしているそのポケモンは、昨日のバトルを見学した限りでは間違いなく物理で殴ってくるタイプのポケモンだ。それも色々な技で戦うのではなく、たった一つの技のみで押してくるゴリ押しスタイル。相手が自分の技をタイプ相性で受け止めようとしてもお構い無しにひとつの技を叩き続けていたそのスタイルは、しかしマクワさん以外のトレーナーにはしていなかったみたいで、残念ながら今ボクの目の前にいるゴリ押し側の個体であろうこのヒヒダルマの情報はあまり得られなかった。

 

 それでもマクワさんのおかげでこの高火力の正体には気づくことが出来た。

 

「ヒヒダルマ!『つららおとし』!!」

「来るよ!!避けて!!」

 

 ヒヒダルマの周りに現れる氷の槍たち。それらを両手に持ったヒヒダルマが、思いっきり腕を振りかぶって、こちらに向けて投げてきた。右方向にローリングしながら回避するモスノウだけど、その回避先を読むかのように2つ目の氷の槍。これにも何とか反応して、翅を素早く動かすことで軽く浮き上がって回避。そこに飛んでくる3つ目の槍を、地面に吹雪を叩きつけて雪をまきあげ、目に前に簡易的な雪の防壁を作り出して防ごうとする。しかし、その壁をあっさりと貫通した氷の槍は、雪に壁を壊されたことにびっくりしながらギリギリ回避行動を取る事ができたモスノウの翅を掠めて、爆発音を奏でながらボクの後ろに着弾する。大きな音に思わず耳に手を当てながら、それでもヒヒダルマから目を離さない。

 

(相変わらずなんて威力……これが特性、ごりむちゅう……ッ!!)

 

 ごりむちゅう。

 

 1度選んだ技を使い続けることしか出来なくなってしまう代わりに、その技の威力をかなり上昇させるという極端な特性だ。デメリットは確かに大きいけど、それ以上に火力の上がり幅がとてつもない。モスノウの翅に掠っただけなのに、バランスを崩してもう少しで落ちそうになっていたのがその証明になるだろう。同じような効果を持つ道具として、こだわりハチマキとこだわりメガネ、こだわりスカーフが存在するけど、つららおとしを選択しているあたり、こだわりハチマキをそのまま特性にしたようなものと言えばわかりやすいだろうか。

 

(マクワさんからのヒントがなかったらカラクリすら分からなかった……とは言え、これ、どうしようもなくない?)

 

 火力が上がる理由はわかったけど、肝心の火力を抑える方法というのが現状ボクの手元にあるかと言われたらかなり怪しい。

 

 予測可能回避不可能。

 

 それほどまでにこの単語が似合うポケモンがいていいのかと言いたくなるほど。この間にも次々ととんでもない速さで打ち出される氷の槍は着実にモスノウを追い詰めていく。ぼうふうでそらし、ふぶきで壁を作るけどそれでもさばききれない氷の槍の雨。もういっかいちょうのまいを挟めばさばけるかもしれないけど、そもそも舞う時間が存在しない。

 

(どっちにしろこのままだとじり貧だ。今度は意表を突くためじゃなくて打開するために!)

 

「モスノウ!『アクロバット』で跳ねて!!」

 

 飛んできた氷柱の側面にアクロバットを行って、弾かれるように飛ぶ。当然飛んだ先にも氷柱があるものの、体を少しひねって再び側面を殴り弾かれて。この動きをひたすらに繰り返して氷柱の嵐を駆けぬけるその姿は、まるでピンボールのように縦横無尽かつ高速で、ヒヒダルマが途中途中狙いをつけられなくなっているのか、攻撃の手が少しずつ緩んでいく。氷柱に体を叩きつけている兼ね合いで、決して小さくないダメージを負ってはいるものの、それでもヒヒダルマへの距離は縮まっていき、ついにヒヒダルマの前までたどり着いた。

 

「『ぼうふう』!!」

「フィィッ!!」

 

 氷柱の嵐を切り抜けたモスノウのぼうふうにより、ヒヒダルマの足元から竜巻が現れて打ち上げられる。ここを好機ととらえ、再びアクロバットで空中で無防備をさらしたヒヒダルマに対して追撃をするために突撃を行う、が、向こうもただではやられない。

 

「ヒヒダルマ、落ち着きな。これくらいの攻撃、あんたにとっては痛くないだろう?」

「ルマァッ!!」

 

 すぐさま両手に氷柱を装備したヒヒダルマが、氷柱をクロスさせて防御する。

 

(判断が早い……)

 

 やはり物理攻撃が低いモスノウでは直接攻撃は効果が薄い。とりあえず今は少し弾かれたモスノウに追撃が来ないようにモスノウを一回下げるしかない。

 

「モスノウ、『ぼうふう』をして反動で帰って━━」

「お返しだよ」

「え?」

 

 態勢を立て直すためにも一度下がってもらおうとしたときにかけられた声は、してやったりという感じのメロンさんの声。しかし気づいたときにはもう遅く、モスノウの体が()()()()()()()()()()()()()()()

 

「モスノウ!?」

「『つららおとし』!!」

 

 予想外の方向からの攻撃に動きが止まってしまったモスノウを逃さないとどめの攻撃。何とか逃げようと動き始めたモスノウの体に5つもの氷柱が撃ち込まれる。

 

 

「モスノウ、戦闘不能!!ヒヒダルマの勝ち!!」

 

 

「ありがとう、モスノウ……」

 

 ここまで頑張ってくれたモスノウに礼を言いながら戻していく。

 

(ぼうふうで打ち上げられたときに持ってた氷柱を上に投げたんだ。その氷柱がモスノウが下がるタイミングで当たるように……)

 

「あまりこういった頭脳戦はしない方なんだがね……できないわけじゃないんだよ?」

 

 片目をつむりながら得意そうに言うメロンさん。それはまるで、先ほどのこおり対決で負けたお返しに、ボクの得意な意表を突く攻撃で倒すという意趣返しに見えた。

 

 やられたらやり返す。メロンさんも相当な負けず嫌いなようで。

 

(……本当に、楽しくなってきた!!)

 

「さあ、早く次を出しな!!」

「言われなくてもです!!」

 

 2匹目のポケモンを構えるボク。まだまだバトルは終わらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




こおりのりんぷん

りんぷんを出せば出すほど防御力が上がるのでは?という勝手な妄想ですね。

アクロバット

持ち物をもともと持っていない状態でもちゃんと威力は上がります。これは特性「かるわざ」とは似ているようで違う性質ですね。

ごりむちゅう

私はよくゴリラむちゅうと呼んでいます。
翻弄はスカーフも持たせようかなと思ったのですがさすがにガチすぎたのでやめました()




今日はカービィのはつば(ry
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