【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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95話

「凄い……これがフリアのポケモンバトル……」

「いや、フリアのバトルを見たことは勿論あるんだけどさ……」

「こうして生で見ると……迫力というか、空気というか……全然違うと……」

 

 目の前で繰り広げられている私の親友とメロンさんとのジム戦。モスノウ同士の戦いから始まり、現在はインテレオンとヒヒダルマのバトルが終わったところで、フリアとメロンさんが何かの会話を交わしているところだった。

 

 フリアの戦っている相手が私たちと戦っている個体と比べて、毎回フリア専用に強化されている個体になっていることは知っていた。というか、そもそもフリアのバトル自体はアーカイブで何回も見たし、そのたびにフリアのバトルに対する見聞の深さに驚かされていた。

 

 王道な戦い方は勿論のこと、そこからの応用力が高くてどんな強敵相手にも出てくる突飛な行動の数々は、いつも私たちの目を惹きつけてやまなかった。

 

 一目見ただけではなんでこんなことが出来るのかわからなかったけど、隣にフリアがいれば一つ一つ解説しながら見せてくれた戦法は、どれも尊敬やあこがれがついてきたし、いつかこのような動きができるようになりたいとも思った。

 

 そして同時に、いつかこの目で直接見てみたいとも。

 

 ただ、私だってジムチャレンジャーの身だったし、ジムに挑む順番が固定化され始めていたから、特に困ることでもないしいつか見られたらいいな。なんて軽い気持ちでしかなかった。けど今回、フリアのユキハミ……ううん、モスノウに進化したあの子のおかげで出会ったこの機会。

 

 下手したらメロンさんに勝ったことよりも嬉しいと思ってしまったフリアの生試合。

 

 それはホップもマリィも一緒で、3人そろってやっと見たかったものが見れると意気揚々と観客席に赴き、楽しみにしていた試合をついに目にすることが出来た。

 

 感想は、一言で言えば『異次元』。

 

 フリア相手なら多少本気を出しても許されると、リミッターを少し外しているジムリーダーと、それに追いつくどころか、むしろ優位を取って見せるフリアの立ち回りは、アーカイブで画面越しに見るのとはまるで違って……

 

 リアルタイムで肌に感じるこのやり取りは、みているだけでも肌をピリピリ焼いていく。

 

「これが……シンオウ地方準優勝者……」

「ずっと一緒にいると忘れちゃうけど……実は凄い人なんよね……」

「改めて、フリアのすごさを再認識するぞ……」

 

 インテレオンとヒヒダルマによる、とても同じ人とポケモンによって起こっているとは思えないようなそのハイレベルな戦いは、とても熱く、みているだけで燃えてきて、そして何よりも……

 

(フリア……凄く楽しそう……)

 

 今も笑顔でバトルをしているフリアを見ると、こちらまで楽しくなってきてしまう。

 

(……いいなぁ)

 

 それと同時に湧き上がる羨望。

 

 きっと、今の私が闘ってもフリアにこんな表情をさせてあげることはできないだろう。けど、いつか……

 

(私も、こんな表情をさせられるように強くなりたいな)

 

 フリアと、こんな熱くて楽しいバトルができるような強いトレーナーに。

 

「ホップきゅ~ん!!マリィせんぱ~い!ユウリン~!!」

「クララ~!こっちこっち~!!」

 

 遠くから聞こえるクララさんの声に返事をするマリィとのやりとりにもあまり耳を傾けられないほどバトルの観戦に集中しながら、先ほどの思いを胸に秘め、次のコオリッポ対インテレオンの場を見つめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「次はコオリッポ……」

 

 ボクとインテレオンの前に体をゆらゆらさせながら立っている可愛らしいポケモンが一体。パッと見マスコットキャラクターみたいで、失礼な言い方をしてしまえばとても強そうには見えないそのポケモン。しかし、この世界では見た目と強さが一致しないなんて当たり前で、トレーナーとの絆が強ければとことん強くなれるのがポケモンだ。このコオリッポだって、ひと目見ただけでメロンさんとしっかり信頼しあっているのがよく分かる。

 

「あたしとマクワの戦いを見たのなら、この子がどう言った戦いをするのかはよくわかっているだろう?」

 

 はらだいこからのこうそくいどう。

 

 かなりの体力を犠牲にする代わりに最大まで攻撃力を強化するはらだいこと、自身の素早さをぐんぐん伸ばしていくこうそくいどう。マクワさんとのバトルの時と手持ちの技が変わっていないのなら、この2つを組み合わせて戦うのがこのコオリッポの戦闘スタイル。

 

 火力と素早さを兼ね備えたこの戦い方は、ちょっとでもミスをすれば一瞬でこちらが倒されてしまう程の即効性と破壊力を兼ね備えている。その推定火力はヒヒダルマを軽く超えるだろう。耐久の低く、かつヒヒダルマによってかなり削られているインテレオンでは一撃で倒されること間違いなしである。となれば、対策はこの2つを行われる前に倒すというものになる。んだけど……

 

(それが出来れば苦労しないって話しよね)

 

 相手に技を使わせないというのは当然ながらほぼ不可能だ。ヒヒダルマのように、ひとつの技が突出していて、当たったらやばいと相手に怯えさせられるほどの圧倒的な力があれば、その方法を使ってみる価値ありだ。ただし、それでも止めることができるのはせいぜい自分の能力を強化できるものくらい。

 

 さっきの戦いでちょうのまいをする暇がなかったモスノウを思い出して貰えればわかりやすいだろう。

 

 となると、今回のインテレオンの最後の仕事はコオリッポに積み技を何もさせないということ。

 

(……できる気がしないなぁ)

 

 けど、やらない訳には行かない。

 

「インテレオン!!『ねらいうち』!!相手に何もさせちゃダメだよ!!」

「まぁ、そうなるわよね。コオリッポ、『たきのぼり』!!」

 

 足元から水しぶきをあげながら走り出すコオリッポ。地面を滑っているように見えるその姿はアクアジェットのようにも見えるけど、ルリナさんの時に見たその技よりも激しく水しぶきが舞っていたため威力が違う技だとわかる。それに、アクアジェットと比べて速さが足りない。ただ、だからといって遅いという訳ではなく、飛んでくるねらいうちに対して体を器用に動かしながら避けていく。地面を滑りながら避けていく様は、メロンさんの専門としているタイプも相まってスケートを滑っているかのように見えた。

 

 ねらいうちの隙間を縫いながらこちらに接近してくるその姿に、しかしインテレオンは焦ることなく、回避先に向かって先打ちすることによって、すこしずつダメージを与えていく。どうやらコオリッポはヒヒダルマよりかは遅い方であるらしい。だからといって油断していると……

 

「やっぱりインテレオンについて行くにはこれしかないねぇ。コオリッポ、『こうそくいどう』!!」

「インテレオン!!」

 

 コオリッポの動きを止めるべく、ねらいうちの量を増やしていくインテレオン。しかし、元々連射することを考えられていないねらいうちではコオリッポの動きを阻害するには弾幕量が足りない。その隙にどんどんたきのぼりのスピードを上げていくコオリッポ。

 

(やっぱり相手の行動を完璧に阻害するのはきつい!!)

 

 まだインテレオンの方が速いため、ねらいうちで攻撃こそできるものの掠ったり受け止めきられたりと、なかなか決定打にならない。

 

「素早さがヒヒダルマより低い分、耐久力が高いのか……」

「そんな小さな攻撃じゃあ、残念だけどあたしのコオリッポは止められないよ!さらに『こうそくいどう』!!」

 

 ぐんぐん上がっていくたきのぼりの速度。その速度に乗りに乗ったコオリッポが、ヒヒダルマののこしたつららの跡の間を駆け抜けていく。インテレオンの射線を切るように陰から陰へと滑っていくコオリッポの姿は、さながらインテレオン顔負けのスパイの動きのようで。

 

(徐々にだけどインテレオンが追い付けなくなり始めている……)

 

 この際こうそくいどうは最大まで行われると考えていい。相手が早くなる分には火力が大きく上がるわけではないので構わない。となってくると、次のインテレオンの目標は、コオリッポにはらだいこをさせないということになる。

 

 はらだいこは自身の体力を削るかわりに、自身の攻撃を最大まで引き上げるという効果を持っている。話を聞いていると、多少の不利を被ることになるとはいえ、得られる恩恵がとても大きいので、とんでもない技に聞こえるだろう。なんせ、このはらだいこによる攻撃上昇は、なきごえ等で下げられた攻撃力を加味したうえで最大まで引き上げられる。

 

 あらかじめ攻撃を落とすことに意味はないし、一度積まれてしまえばその圧倒的な攻撃力でつぶされてしまう。

 

 けど、そんなはらだいこにも止める方法が存在する。

 

 それは、あらかじめ相手の体力を削るという事。

 

 さっきも言った通り、はらだいこは自身の体力を犠牲にする必要がある。逆に言えば、代償として払う体力がなかった場合は技そのものが不発する。そうなれば、もう二度とはらだいこをされることはなく、素の火力ではヒヒダルマよりもかなり劣っているコオリッポでは立ち回るのはほぼ不可能。こうそくいどうによる素早さ強化は確かに厄介だけど、それだけならどうとでもなる。だから……

 

「なんとしてでも体力を削るよ!!インテレオン、『ねらいうち』!」

「さらに『こうそくいどう』で加速しな!!」

 

 既にインテレオンよりも数段速くなってしまっているコオリッポ。普通に追いかけっこしていては当然追い付くことができないので、インテレオンのねらいうちを避けるだけでなく、インテレオンそのものにぶつかって体制を崩して、その隙にはらだいこを行おうとしてくる。

 

「みぎのつらら!!」

 

 たきのぼりを受けてしまい、態勢が崩れたためすぐに真正面に指先を向けられないインテレオンに、すぐさま右にねらいうちを打つように指示をする。右手から放たれたねらいうちは、右に落ちていたつららを反射してコオリッポの下へたどり着き、はらだいこをされるのを阻止しようと進んでいく。

 

「かかったね?コオリッポ、前!!」

「ッ!?」

 

 そのインテレオンの行動を確認した瞬間に、はらだいこをやめて前に走り出す。その先には、ここまでのダメ―ジと疲労によって、いまだに態勢を立て直すのに難儀しているインテレオン。

 

(はらだいこを意識しすぎているのを相手に利用されたッ!!)

 

「『たきのぼり』!!」

「……『アクアブレイク』!」

 

 コオリッポをアクアブレイクで殴ることはしたくない。しかし、ねらいうちではコオリッポの攻撃を止めることが出来ない。苦渋の決断の末、仕方なくアクアブレイクを指示したボク。インテレオンも、無理な体制ながらも持ち前の身体能力をもって無理やり立て直し、コオリッポに真正面から立ち向かっていく。

 

 たきのぼりとアクアブレイクのぶつかり合い。

 

 素の攻撃力であれば、実はインテレオンの方が強いため、普通に打ち合えばインテレオンが力で押し切ることが出来る。が、それはあくまで技と技をぶつけ合った時の話。

 

「コオリッポ、()()()()()()()

「やっぱりッ!」

 

 インテレオンのアクアブレイクを、たきのぼりで相殺することなくわざと受けるコオリッポ。本来であれば有利な状況なのに自分からダメージを受けに行く意味の分からない行為。しかし、これがコオリッポだった場合はその意味が大きく変わってしまう。

 

 インテレオンのアクアブレイクを頭に乗せた氷のキューブで受け止めたコオリッポ。アクアブレイクを受けた氷は罅が入り、粉々に砕け散っていくものの、その中から現れたのはとても小さく、少し頼りなく、そして()()()()()()()()コオリッポの顔が現れる。

 

「今だよ!!再び『たきのぼり』!!」

「ッポ!!」

「レオッ!?」

 

 頭の氷を砕かれたのにダメージを受けているように見えないコオリッポによるたきのぼりを零距離で受けてしまうインテレオン。まだはらだいこをしていないたきのぼりのため何とか耐えるものの、片膝をついてしまい、はたから見ても限界が近い姿となっている。

 

(アイスフェイス……やっぱり厄介すぎる……)

 

 コオリッポの特性、アイスフェイス。

 

 コオリッポの頭に乗っている氷のキューブは、一度だけ自身への物理攻撃を引き受けてくれる。それがたとえ自分の苦手なほのおタイプであろうと、かくとうタイプであろうと、コオリッポの頭に氷のキューブが存在する限り適応され、無効化される。似たような特性を持つミミッキュの化けの皮と違って、特殊攻撃までは防ぐことが出来ないため、汎用性は劣ってしまうものの、ミミッキュと違って氷を砕かれても本人に一切のダメージがないということが特徴だ。その証拠に、今もアクアブレイクを受けたはずのコオリッポには一切のダメージがなく、余裕の……いや、氷がないせいでちょっと悲しそうな表情だけど……とにかく、まだまだ戦えそうなコオリッポの姿が目に入ってくる。そして……

 

「これで安心してできるねぇ……コオリッポ、『はらだいこ』」

 

 ダメージが大きく、すぐに動けないインテレオンを確認して行われる、コオリッポの強さを裏付ける最強の強化技。

 

 自身のおなかを叩き、そのたびに空気が震えるのを感じる。

 

 そしてコオリッポを包む、淡いオレンジ色の光。

 

 攻撃力が最大まで引き上げられた証。

 

「体力を削ってパワー全開!」

「……ッ!!」

「そして……まだインテレオンがつらそうにしている間にしておこうかね……コオリッポ、『あられ』」

「なッ!?」

 

 続いてメロンさんが指示するのはあられ。

 

 天候をあられに変更する、言ってしまえばそれだけの技。

 

 この天候になるとこおりタイプ以外のポケモンがスリップダメージを受けてしまうため、厄介と言えば厄介だけど、そこまで気にする必用のないものだ。

 

 ただし、それは相手がコオリッポでなければ。

 

 先ほど説明したコオリッポの特性、アイスフェイスには、実はもう一つ能力がある。それは、頭の氷が壊れているときに天候があられに変わると、()()()()()()()()()()()()()。ぱらぱらとあられがコオリッポの顔に降り注ぎ、コオリッポの小さく、少し頼りない顔がどんどん氷に覆われていく。

 

 数秒後現れるのは、インテレオンによって氷を壊される前の姿。

 

 これでこのコオリッポに対しての物理攻撃は、再びダメージゼロで受け止められることになる。

 

「……きっつ」

「はらだいこをするための体力を無理やり削ろうとしていたみたいだが……残念だったね。こうなったコオリッポは簡単には止められないよ?」

 

 実際のところ、このコオリッポを止める方法はあるにはある。アイスフェイスは特殊攻撃を受けることが出来ないので、そっち方面で落とせばいい。だが……

 

(ボクの残りの手持ちでコオリッポを落とし切るほどの特殊が流石に乏しすぎる……)

 

 マホイップでもブラッキーでも火力は足りず、素早さもないため、相手を倒すよりも、そして本来なら耐久が優秀な2匹が準備するよりもさらに速く落とされてしまう。

 

 耐えきるのは当然不可能。殴り合うにしても物理で殴る必要はどうしても出てくる。

 

(……ってなると、やっぱりこれしかないよね)

 

 できることならインテレオンで防ぎたかったけど、こうなっては仕方がない。実はもう一つだけ、このコオリッポを倒す方法は用意している。そのためにも……

 

「ごめんインテレオン……もう少しだけ付き合って!!」

「……レオッ!!」

 

 満身創痍で今にも倒れそうなこの子に、あと少しだけがんばってもらわないといけない。

 

 ボクの呼びかけに答えてくれるインテレオンに感謝しながら前を見据える。

 

(大丈夫。あの技を当ててくれるだけでいい。あとインテレオンに臨むのはそれだけ……だから、それまで頑張って!!)

 

「まだ、何かあるみたいだねぇ……コオリッポ!何かさせる前につぶすよ!!」

「インテレオン!!避けて!!」

 

 もう直撃を貰うわけにはいかない。かといってコオリッポを倒すためにはどうやったって邪魔なものがある。それをどうにかするためにもインテレオンで殴る必要がある。

 

(高速で動くコオリッポの隙をついて、相手に攻撃を当てる。それがどれだけ難しいか。けど、インテレオンなら!)

 

 地面を高速で滑るコオリッポ。その動きをインテレオンが体を青く光らせながら見つめる。

 

「げきりゅう……これなら!!インテレオン、『アクアブレイク』!!」

 

 げきりゅうによって攻撃力の上がったアクアブレイクでコオリッポの攻撃をいなしていく。素の攻撃力ならそらせることすら難しかったそれを、何とか別のベクトルへ向けることで壁やつららにぶつかることを狙っていく。しかし、相手も簡単にはぶつからない。

 

「ヒレを使いな!!」

「ルポッ!」

 

 コオリッポが器用にヒレを引っかけてつららを起点に回転。逸らされたルートを再びインテレオンへ。

 

「こっちもつららを使って避けて!!」

 

 対してつららに尻尾をからませて体を動かすことによってトリッキーによけていくインテレオン。二度、三度と奇想天外な動きをすることでコオリッポの狙いを逸らしながら、一番地面への刺さりが甘いつららの下へ駆けつける。

 

 つららの後ろに隠れるように移動したインテレオン。このままいけばコオリッポは今度こそつららにぶつかることになる。

 

「つららで防ごうってかい?つららごと貫きな!!」

 

 しかし、今のコオリッポならメロンさんの言う通り、つららを貫いて攻撃するなんてわけないだろう。げきりゅうで強化されているとはいえ、満身創痍なインテレオンがこの動きをすれば、変なことをする前に無理やり落とそうと突っ込んでくるはずだ。さっきヒレで軌道修正していたのは、単純につららにぶつかるだけになっちゃうからだしね。

 

 実際予想通りの動きをしてくれたコオリッポ。

 

 つららの奥に隠れるインテレオンを仕留めるべく、いつも以上に出力を上げたコオリッポのたきのぼりが襲い掛かってくる。

 

「『アクアブレイク』!!」

 

 たきのぼりが来るのを確認してこちらはアクアブレイク。目の前のつららに攻撃を行い、壊されるにしてもただで壊されないようにコオリッポ側にうちだして少しでも衝撃が向こう側に傾くようにする。地面への刺さりが甘かったつららは、インテレオンの攻撃で簡単に抜けてコオリッポの方へ飛んでいく。自分の方へ飛んできたことによってたきのぼりで壊すことはできたものの、たきのぼりの勢いが少しだけ抑えられる。それでもインテレオンを倒す威力は十分に残っていて。

 

「インテレオン!!」

「氷で受けてめてカウンターで当ててやりな!!」

 

 つららにぶつかったことによってほんの少し勢いが弱くなったその瞬間に攻撃を当てようと近づいたインテレオンをしっかりと視認したコオリッポが、再び頭のアイスフェイスで攻撃を受け止めてからのカウンターをしてこようと構えた。このままいけばさっきと同じくインテレオンが後ろに弾かれて、今度こそ戦闘不能になる。けど、相手がわざと攻撃を受ける判断をしてくれているからこそ、今度はこの技が通ってくれる。

 

「『とんぼがえり』!」

「!?」

 

 コオリッポの頭の氷を殴って素早くボクの下へ帰って来るインテレオン。すぐさま懐からインテレオンのボールを取り出してリターンレーザーを当て、インテレオンをボールへ戻し、続けて3体目のポケモンが入ったボールを投げた。

 

 一方でメロンさんは、とんぼがえりによって交代して出てくる、ボクの次のポケモンにたきのぼりをすぐに当てるために構えていた。インテレオンに当たるはずだったその技は、今も発動を維持しており、そのままボクのポケモンが出てくる場所に向かってコオリッポが猛ダッシュしている。インテレオンの攻撃によってアイスフェイスが砕かれてしまっているが、そんなこと関係なしに突っ込んでくるあたり、無理やり倒しに来ているのだろう。

 

 都合がいい。

 

 これならこの子が一番輝ける。

 

「今しかない!!ブラッキー!!」

 

 コオリッポの前に現れたのはブラッキー。はらだいこをしてくるコオリッポに対して、ボクが考えた最後の対応策。

 

「ブラッキー……まさか!?コオリッポ、さが━━」

「逃がさない!!『イカサマ』!!」

 

 ブラッキーで何をするのか気づいたメロンさんが慌てて撤退指示を出すものの、すでに攻撃モーションに移っているため自分の動きを止められないコオリッポに向かって、相手の攻撃力を借りて殴るイカサマが突き刺さる。

 

 はらだいこによってあげられた力をそのまままるパクリした攻撃は、コオリッポのたきのぼりと激しくぶつかって衝撃音をまき散らす。爆風によって周りのつらら全てを吹き飛ばし、激しい風圧が収まった場所の中心では、倒れているコオリッポと、そこそこのダメージを負いながらも、4つ足でしっかりと地に足をつけたブラッキーの姿。

 

 

「コオリッポ、戦闘不能!!ブラッキーの勝ち!!」

 

 

「……『とんぼがえり』でアイスフェイスを破壊して『イカサマ』……最初からこれが狙いだったのかい?」

「インテレオンで勝てたら一番楽だなとは思っていたので、最終手段ですけどね」

 

 はらだいこの力を利用できるイカサマで倒すことは最初に思いついていた。だけど、今ブラッキーが無傷ではないことからわかる通り無償突破はできないと思っていたし、相打ちや、打ち負ける可能性だってあったのであまりしたくはなかったというのが本音。今回はうまくいったからとりあえずよかったけどね。

 

 これで3人撃破。

 

「最後の1人まで追い詰めた……」

「結構本気なんだけど、それでも追いつめられる……チャレンジャーにここまでぞくぞくさせられたのはいつ以来かしらね」

 

 コオリッポを戻しながら嬉しそうに呟くメロンさん。その手には最後の一匹が入っているハイパーボール。

 

「ここで終わってしまうのが惜しいくらいだ……だから、せめて……最後まで楽しませておくれよ?」

「勿論です!」

 

 そのボールが投げられる。

 

 いよいよ、このジムバトルも佳境へと向かっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アイスフェイス

なかなかに厄介な特性。
初見で戦った時、物理主体のパーティだったので、ミミッキュの上位互換!?と驚いたのが記憶に新しいです。
あられで復活するのも入れたいと無理やり入れ込んだらコオリッポの技構成がとんでもないことになっているのは内緒です()

イカサマ

強いですよね。
ゴースト統一で潜っている身としては、いつもA0厳選をしなければいけない理由になってますね。
ヤミラミとか使っているときはお世話になっているんですけどね……
とんぼがえりからの連携は書きやすいです。




アニポケのドラセナさんがイメージ通りの方でした。
チルタリスもオンバーンもよかったですね。
欲を言えばドラミドロを使っている彼女が見たかったです。
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