【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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96話

「行きな!!ラプラス!!」

「ラァァ」

 

 メロンさんが高らかに投げたハイパーボールから出てきたのは、メロンさんの最後の一匹、のりものポケモンのラプラスだ。アマルルガのような長い首と鰭足、それに、カメックスなどに比べて、特徴的な突起がちょくちょく生えている甲羅を持つポケモン。心優しい気質と人間の言葉を理解できる高い知能を持ち、人間を背中に乗せながら海を泳ぐことを好む特徴がある。その性格と上手く付き合うことによって、ライドポケモンとして人の生活に関わっている地方もある、そんなポケモンだ。ここまで戦ってきたヒヒダルマやコオリッポといったポケモンに比べると、攻めと言うよりかは守りの方が得意なイメージのポケモンで、ラプラス自身の強さとしてみれば、攻めも守りもどちらもできる器用なポケモンではあるんだけど、とにかく体力が多い。そのため、生半可な攻撃では簡単に受け止めてしまうタフネスさを誇っている。

 

 どちらかと言うと、モスノウと戦った時のような長期戦待ったナシの試合展開が予想される。

 

「あたしの切り札、かわいいかわいいラプラスだよ。最後の一匹……けど、一欠片だとしてもあたしの自慢の氷なんだ。覚悟しなよ?」

「ルアアアア!!」

 

 まるで歌うような叫び声をあげるラプラス。その声の美しさに一瞬聞き惚れそうになって、すぐに首を振って意識をしっかりと持つ。

 

「ブラッキー、行ける?」

「ブラ!!……ッ!?」

「ブラッキー!?」

「……ブラァッ!!」

 

 ボクの言葉に対して、若干のふらつきを見せながら答えてくれたブラッキー。パッと見は大丈夫そうに見えていたんだけど、やっぱりはらだいこ状態のコオリッポとの激突は少なくないダメージを蓄積させられたらしい。

 

(イカサマはやっぱりリスキーだったみたいだね……この状態でラプラス相手にどこまでくらいついていけるか……)

 

 一時的にはらだいこ状態と同じ攻撃力を手に入れたとはいえ、相手も同じ威力でぶつけ合っていたのだから、ダメージがこちらにも残るのは当然と言えば当然の結果だ。

 

(ブラッキーには回復技があることがまだ救いではあるけど……そう簡単に許してくれるかな……?)

 

 もし回復技が通るのであれば、耐久力という面ではブラッキーの方が優秀だ。いくら攻めもできるとはいえ、ラプラスの攻撃であれば、流れに乗ればブラッキーで耐えきるなんてことも可能だろう。

 

「このまま頼むよ!」

「コオリッポからのダメージが残っている間に仕留めるよ。ラプラス!『うたかたのアリア』!!」

 

 メロンさんの指示と同時に現れる水のバルーン。バブルこうせんなんかの比じゃない大きさと量がブラッキーに向かって飛んできた。

 

「ブラッキー、『あくのはどう』!!」

 

 対するブラッキーは、黒色の波動をまき散らして、少しでも威力を落とそうと抵抗する。耐久力ではこちらが上だけど、火力面では間違いなくラプラスの方が上だ。そのため、普通に打ち合えば必ずこちらが力負けしてしまう。だから工夫に工夫を加えないといけない。

 

「続いて『でんこうせっか』!!」

 

 あくのはどうでうたかたのアリアの弾幕に対して穴を作り、その隙間を通り抜けるようにでんこうせっかで駆け抜ける。

 

「『れいとうビーム』」

「『あくのはどう』!!」

 

 その進撃を止めるべく放たれるれいとうビームを、再びあくのはどうで迎撃する。れいとうビームの軌道を逸らして、その隙にさらに前進したブラッキーがラプラスの懐へ。

 

「『イカサマ』!!」

 

 憶えている技が特殊寄りのせいで勘違いされがちだけど、実は物理面も特殊面もあまり変わらない出力で戦うことが出来るラプラスの力を借りて攻撃をするブラッキー。

 相手の動きを利用して攻撃を叩き込もうと構えるブラッキーに対して、ラプラスも反撃の一手を繰り出す。

 

「『10まんボルト』」

「ッ!?」

 

 直接攻撃をしようとした瞬間放たれる強力な電撃に、間近まで接近していたブラッキーが感電して弾かれる。

 

「ブラッキー!!」

「ブ……ラ……ッ!!」

 

 思わぬ反撃に想像以上にダメージを受けてしまい、たたらを踏むブラッキー。

 

(特殊寄りの戦い方なのに、近接されたら10まんボルトを纏って攻撃と防御を同時に行っているんだ)

 

 直近二匹のポケモンがとにかく火力でごり押すタイプのポケモンだったため、ここにきて攻守ともに万能という堅実なポケモンを相手にするというのはなかなか対応力を求められる。

 

(相手が堅実ならこっちも堅実に……幸い一撃の破壊力があるわけじゃないから焦る必要はないよね)

 

「ブラッキー、『つきのひかり』!!」

「ブラッ!!」

 

 今が夜であることをいいことに、つきのひかりにて自身の体力を回復していく。月から降りそそぐ優しい光が、ゆっくりとブラッキーを包み込み……

 

「その悠長が仇となるのさ。ラプラス、『ぜったいれいど』」

「なっ!?」

 

 つきのひかりで回復を優先していたため、動きがなかったブラッキーを絶氷が包み込む。

 

「ブラッキー!!」

 

 ボクが名前を呼ぶと同時に起きる氷の破裂音。耳をつんざく甲高い音とともに、ブラッキーがボクの近くまで吹き飛ばされて……

 

「ブ……ラ……」

 

 

「ブラッキー、戦闘不能!!ラプラスの勝ち!!」

 

 

 一撃必殺。

 

 例えどれほど体力が残っていたとしても、一撃のもと相手を戦闘不能に追いやるこおりタイプ最強の技にてブラッキーが落とされる。

 

「……ありがとう、ブラッキー。ごめんね」

 

 ブラッキーをボールに戻しながら目の前のポケモンに目を向ける。

 

(堅実だなんてとんでもない。このラプラス、少しでも隙を見せたらぜったいれいどで確実にしとめてくる気だ!!)

 

 ブラッキーとラプラスの長期戦を予想していたのに思いっきり裏切られてしまった。けど、ラプラスの使ってくる技を4つみられたのは大きい。これであのラプラスの大まかな戦い方は知ることが出来た。けど、同時に気を付けることも思い浮かんできた。

 

(これはもう、インテレオンは戦えそうにないかな……)

 

 得意技のねらいうちは半減されるため、きあいだめで急所確定の技としてもあの硬いラプラスを突破できるとは思えないし、そもそもあのラプラスの特性がシェルアーマーならどんな技も急所に当たらないため、目も当てられないことになる。同じ理由でアクアブレイクも効かないとなると、戦える技がとんぼがえりのみというなんとも頼りない状態になってしまう。

 

 実質お互い最後の一匹同士の戦い。

 

 ボクの手持ちで最後を飾るのはやっぱりこの子だ。

 

「行くよ!エルレイド!!」

「エルッ!!」

 

 場に現れるのは緑色の刃を構える1匹の騎士。肘の刃を真っ直ぐ伸ばして戦闘態勢に入ったエルレイドは、目の前のラプラスに対して拳を構えてしっかりと構える。

 

「あらら、最後はその子かい」

 

 ちょっと残念そうな声を上げながら答えるメロンさんに、エルレイドが少しだけ不満そうな顔をする。おそらくメロンさん的にはボクのヨノワールを引きずりだしたかったんだろうけど、エルレイドの時点でそれが無くなったので、最近ジムリーダーの間で競走になっていたらしい、誰がボクの切り札を引き出すか問題が、少なくとも自分の番で決着とはならなかったことに少なくない不満を抱いていたという感じだろう。もちろんそんなことをされてエルレイドが面白いと思うわけなんてない。こんな表情をするのも仕方ないだろ。だから……

 

「見返すよ。エルレイド!!」

「エル!!」

「気分を害したのなら悪かったが……それはそれとして、それだけの意思があるんならあたしに見せてみな!ラプラス!!」

「ラァッ!!」

 

 お互いが声を上げながらポケモンを一度ボールに戻し、ダイマックスバンドから赤い光を送る。その光を吸収したモンスターボールとハイパーボールはその体積をぐんぐん大きくしていき、両手でないと抱えられないくらいの大きさに膨らんだ。

 

 

「君に託す!!エルレイド!!ダイマックス!!」

「さあラプラス、キョダイマックスなさい!!あたりをすべて凍てつかせるのよ!!」

 

 

 その巨大なボールをメロンさんと同時に投げ、お互いの切り札を同時に切る。

 

 

「エルッ!!」

「ラアァァッ!!」

 

 

 ボールから現れるのはダイマックスしたエルレイドと、ただダイマックスした時とは姿の違うキョダイマックスラプラス。

 

 キョダイマックスしたラプラスは、元々長かった首がさらに長くなっており、背中の甲羅も巨大化。まるで豪華客船のように見えるそれは、のりものポケモンの二つ名をより強調した姿になっており、パッと見ただけでも5000人は乗ったところでびくともしないだろうと予想できる。また、ラプラスの周りには楽譜を想起させるような五線譜のリングがあり、その五線譜の上に音符のような氷の結晶がちりばめられていた。

 

(綺麗……)

 

 思わず見とれてしまいそうになるものの、ラプラスの周りのリングがラプラスの周りにあるつららの破片やら、モスノウのふぶきによって積もった雪やらを弾き飛ばしているのが目に入った。どうやら見た目に寄らず、あの五線譜もしっかりと攻撃力はあるらしい。接近して攻撃するときは注意が必要だろう。

 

 お互い同時にダイマックスしたことにより、会場のボルテージは最高潮へ。つんざぐ歓声を聞きながら、ボクはさらに意識を集中させる。

 

(さあ、ここが最後の山場だよ!!)

 

「ラプラスの得意技が、あんたを氷点下の世界へ誘うわ」

「エルレイド!来るよ!!」

 

 メロンさんの言葉からラプラスの大技が来ることを感じ取り、エルレイドに構えを取らせる。

 

 

「ラプラス!『キョダイセンリツ』!!」

 

 

「ラアアァァァッ!!!」

 

 

 ラプラスがメロンさんの指示を受けたと同時に天に向かって声を上げるラプラス。現れるのは天より降りそそぐ巨大な氷塊。まるで隕石のようにも見えるその塊がエルレイドめがけて一直線に落下してくるその姿は、みているだけで恐怖心を駆り立てられてしまう。

 

 

「エルレイド!『ダイナックル』!!」

 

 

「エルッ!!」

 

 

 対するエルレイドは両手にオレンジ色に光をみなぎらせながら、落ちてくる氷の隕石に向かって果敢に構える。

 

 

「エエェェェェェ、ルゥッ!!」

 

 

 緑色の腕を握り締め、落ちてくる氷塊に拳を叩きつけるエルレイド。氷が削れていく激しい音を奏でながら、何度も何度も氷に向かって拳を叩きつけるエルレイドの姿は、キョダイセンリツに向かってダイマックス版のインファイトを打っているようで、地球を隕石から守る正義の味方のように映った。

 

 

「エルレイドッ!!頑張れ!!」

 

 

「エルッ!!」

 

 

 ボクの声に応えたエルレイドがさらに力を込めて殴り続ける。ダイナックルとダイアシッドは、他のダイマックス技と比べると威力が低い代わりに、自分の攻撃面を強化することが出来る。ダイアシッドは特攻を、ダイナックルは攻撃をそれぞれ強化することができ、キョダイセンリツを殴り続けているエルレイドも現在進行形で攻撃が強化されている。そのおかげもあってか、ラプラスが打ってきたキョダイセンリツにも少しずつだけど罅が入り始めていた。

 

「いける!!」

 

 ダイナックルの最初の威力がそんなに高くないため、マクワさんがやったメテオビームによる力業のごり押しができるかどうか怪しかったけど、蓋を開けてみたら、エルレイドの力が思った以上に通じるみたいで安心した。これなら、このままキョダイセンリツを貫きつつ攻撃を上げて、ラプラスへ攻撃を当てることもできそうだ。

 

「……そのままでいいのかい?」

「……え?」

 

 想像以上に順調だと思った瞬間にかけられるメロンさんの言葉。どういう意味か分からず、一瞬思考が止まってしまうボクを見て、薄く微笑みながらメロンさんが上に向けて指を差す。

 

「さぁ、()()()()()()()()()()()?」

「二個目……ッ!?」

 

 メロンさんの言葉を復唱しながら視線を上に向けると、今エルレイドが受け止めているキョダイセンリツよりも、2()()()()()()()()()()()()と思われる氷塊が落ちてくる。

 

「な、なにあれ……ッ!?」

 

 

「エルッ!?」

 

 

 今頑張ってエルレイドが壊そうとしているキョダイセンリツごと押しつぶさんと落ちてくる2個目のキョダイセンリツ。なんで1回目と2回目のでここまで差があるのがさっぱり理解できない。確かにダイマックス技は元となった技次第で威力が変わるけど、ここまであからさまに変わるものはないはずだ。

 

「単純に1回目が本気じゃないってだけさ。さあ、ラプラスの本気の『キョダイセンリツ』に押しつぶされな!」

 

 

「ラアアァァァッ!!」

 

 

「エルレイド!!」

 

 

「エ……ル……ッ!!」

 

 

 一気に重量が何倍にも膨れ上がったキョダイセンリツ。その重さがダイレクトにエルレイドにのしかかっていき、せっかくダイナックルで攻撃が上がっているのにその上から押しつぶしてくる。エルレイドと2個目のキョダイセンリツの間に挟まれている1つ目のキョダイセンリツは既にボロボロになっており、たった今ボクたちの目の前で崩れ去って、氷の礫となって辺りに飛び散った。しかし、それは2つ目のキョダイセンリツがやってくることを意味しており……

 

「エ、エルレイド!!もう一回『ダイナックル』!!」

 

 

「エルッ!!」

 

 

 先ほどのダイナックルによって攻撃が上がったため、より強くオレンジ色に光り始めたダイナックルがうなりを上げる。しかしエルレイドの上昇分よりもはるかに強くなっているキョダイセンリツが、エルレイドを押しつぶさんと落ちてきた。

 

 再びぶつかり合う氷塊とエルレイドの拳。しかし、先ほどと違って明らかにエルレイドが押されている状況へと向かっていく。必死に何回も殴っていくものの、罅すら入らないキョダイセンリツに、ついにエルレイドが押しつぶされる。

 

「エルレイドッ!!」

 

 キョダイセンリツが地面につくと同時に広がっていく氷の風と結晶。そしてラプラスの周りに広がるオーロラのカーテン。

 

 ラプラスを包むように広がっていくそのオーロラは、ボクのよく知っているあの技が発動した時と同じ現象だった。

 

「オーロラベール……」

「キョダイマックスラプラスが使う『キョダイセンリツ』の追加効果。攻撃した後『オーロラベール』を展開することが出来るのさ。これであんたから受ける攻撃は半減する」

 

 オーロラベールの効果は、メロンさんが言っている通り受けるダメージを半減するもの。それも、リフレクターやひかりのかべと違い、物理、特殊、どちらか片方ではなく、この技ひとつでどっちも防ぐことが出来る。しかも……

 

「あのラプラス……絶対にあれを持ってる……」

「さあ、何のことかい?」

 

 微笑みながら言うメロンさんを見て確信するボク。オーロラベールもリフレクターやひかりのかべと同じく、ひかりのねんどの効果を受けることが出来る。そうすれば当然このオーロラがラプラスを守り続ける時間も伸びるわけで。

 

 

「エ……ル……ッ!!」

 

 

「エルレイド!」

 

 氷が砕けたことによって巻き起こった風が晴れ、ダイマックスエルレイドの姿がようやく確認できたことに安心感を憶える。しかし、その体はダメージが色濃く表れており、少なくないダメージを受けていることが一目でわかる。一方で、当然ながらラプラスにはいまだにダメージはなく、全く怪我の見受けられないピンピンした姿で優雅に吠えていた。

 

「これなら次の技でとどめかもしれないね……ラプラス、もう一発『キョダイセンリツ』だよ」

 

 メロンさんの言葉と同時に放たれる3度目の氷塊。

 

 2回目と同じそのサイズに、若干の絶望を感じさせてくる。

 

 例え攻撃が上がっているとはいえ、このサイズの氷を打ち砕くのは無理がある。かといって、今のエルレイドには変化技を入れていないためダイウォールを行うことが出来ない。

 

(どうすれば……)

 

 カタカタ。

 

「……え?」

 

 どうすればいいのか悩んでいた時に聞こえてくる何かが動く音。その音につられて、視線を下に向ければボクの腰から2つボールが消えていた。そして何よりも驚いたのが、そのことを自覚した瞬間、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「えっ!?」

「なっ!?」

 

 そのいきなりの出来事に、この場にいる全員から驚きの感情が浮かび上がる。

 

 バトルフィールドから消えたダイマックスエルレイドの代わりに勝手にフィールドに現れたのは、まだこのバトルにおいて戦闘不能になっていない、ボクの手持ちで2番目に出てきたポケモン。

 

「インテレオン!?」

「レオ」

「なんで出てきて……」

「レオ……」

 

 ボクの言葉に、指を立てて微笑むインテレオン。その動作ですべてを理解してしまう。

 

「エルレイドの代わりに……技を受ける気なの……?」

 

 本来エルレイドが受けるはずだった氷塊が、ここまでのバトルによって瀕死間近のインテレオンに向かって落ちていく。当然ながらあんな技を受けてしまえば、インテレオンは戦闘不能になってしまうだろう。

 

「レオッ!!」

 

 けど、自分が受けることによってエルレイドがまだ戦えると判断したインテレオンが、自分から捨て石になること選んでくれた。

 

「……ありがとう……絶対に勝つから!!」

「……レオ」

 

 こちらに向かって微笑みを残すインテレオン。その顔を最後に、氷塊で視界を埋め尽くされる。

 

「インテレオン!!」

 

 落ちた氷が砕け、視界が晴れた先には、地面に倒れ、力尽きていたインテレオンの姿。

 

 

「イ、インテレオン戦闘不能!!ラプラスの勝ち!!」

 

 

 まさかポケモン側が自分の意思で勝手に交換したことに驚いた審判が、慌てて勝利宣言を残す。その言葉を聞きながしながらインテレオンを戻すボク。

 

「……エルレイド!!」

「……エル」

 

 バトルフィールドに再び姿を現すエルレイド。その表情は顔をうつむかせているため確認できない。

 

 ボクと向き合うように立っているエルレイドが、ゆっくりとボクに向かって歩いてくる。

 

「エル……!」

「……インテレオンのボールが欲しいの?」

「エル!」

 

 視線でインテレオンが入っているボールを欲しいというエルレイド。そんな彼に、インテレオンが眠ったボールをそっと渡す。すると、そのボールをエルレイドが胸にあてた。

 

「エル……」

 

 まるで黙祷をするかのようにそっと呟きながら目を閉じるエルレイド。

 

 ほんのちょっとだけ流れる静かな時間。その時間を邪魔するものはどこにもおらず、3回のダイマックス技によって元の姿に戻ったラプラスも何もせずに見守ってくれていた。

 

 時間にして数秒。けど、何分にも感じたその時間。

 

 その空気を打ち破ったのは当然エルレイド。

 

 満足したのか、ボクにボールを返してくれたエルレイドの表情はとてもすっきりしており、同時に何か強い意志を感じた。

 

「……エル!!」

「……うん!!インテレオンのためにも、絶対に勝つよ!!」

「エルッ!!!」

 

 シャキンと、刃を研ぐような音とともに伸びるエルレイドの肘の刃。それは、インテレオンの遺志を受け継いでより強く、鋭く、長く伸びていた。

 

「……驚いたよ。まさかポケモンが自分から交換をして、あまつさえ盾になりに来るなんてね……」

「ボクもです。こんなにも、この子がボクたちの勝ちを祈ってくれているなんて思わなかったです」

「エル……」

 

 ボールの中で気を失っているであろうインテレオンのことを思いながら、そっとボールをひと撫でする。ジメレオンから進化して、いつもクールな態度であり続けたボクの自慢の仲間の熱い一面を知ることが出来て、どうしても嬉しいという感情が込み上げてくる。

 

 それと同時に、絶対勝たなくてはという使命感も。

 

 それはボクなんかよりも、今目の前で、インテレオンに全てを託されたエルレイドが1番強く思っているはずだ。

 

 1度ボールに戻ったことによって、ダイナックルによる攻撃上昇はなくなってしまった。

 

 一方で、ラプラスにはオーロラベールが展開されており、ブラッキーと合わせてもほとんどダメージを与えることができなかったため、ラプラスの体力はほぼMAX。

 

 お互いを比べて、場の状況も体力も、何もかもが不利な状況。

 

 だけど、そんなことなんてどうでもいい。

 

 今のボクたちには、それ以上に負けられない理由がある。だから……

 

「絶対に、勝ちに行くよ……エルレイド!!」

「……エルッ!」

 

 拳を握りしめ、再び対面する。

 

 思いを背負った、絶対に負けたくない、そんな最終ラウンドが幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




キョダイセンリツ

完全に某忍者のあれですね。
氷塊が落ちてくるシーンを見て、この描写がどうしても頭から離れませんでした。

ラプラス

種族値を見ると、意外と攻撃と特殊の数値一緒なんですよね。
憶える技が特殊の方が強いので大体特殊寄りですが……
また、キョダイマックスの説明は公式だったりします。
本当に5000人が乗り込んでも平気みたいで、なおかつかなり乗り心地がいいみたいですよ。乗ってみたいですね。

インテレオン

エルレイドへ伝わる意志。




メロンさんが強すぎてやばいです。
これでまだ本気面子じゃないって本当に言ってます?()
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