Fate/CurseRound ―呪怨天蓋事変―   作:ビーサイド・D・アンビシャス

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FGOと呪術のパワーバランスで、先週は試行錯誤して、し過ぎて投稿できませんでした。
申し訳ありません。


第26話 師弟決着

 フェルグスと東堂。

 テレビの向こうで結ばれた、英霊と人間の師弟関係の成就を目にした藤丸は、

 

「……なにを見せられてるんだ、わたしは」

 頬をひくつかせ、ドン引いていた。

 

 むさい男の余りに濃い性癖の告白は、幾ら変人なサーヴァントに囲まれてきた藤丸でも笑顔で受け付けることは出来なかった。だって藤丸も一応、乙女だから。 

 

 けれど一秒と経たない内に、その引き攣った頬を抱きしめていたぬいぐるみに叩かれた。

 

「いっったぁぁぁぁあーーーー⁉」

「おっ、初ビンタ。やるねぇ、悠仁はボッコボコだったのに」

 

 パァンと炸裂した頬を抑える藤丸。その横で抱きしめていた呪骸のぬいぐるみは『キャッキャッ』と手を叩いていた。

 

 今回の特訓呪骸は拳ではなく、ビンタタイプ。ひりひり赤くなった頬を擦りながら、藤丸はぬいぐるみを抱っこして、テレビに視線を戻す。

 

「今、カラドボルグと東堂……さん、入れ替わった?」

「葵の術式だよ」

 

 隣で観戦している五条が解説を加えてくれた。

 

 東堂葵の術式【不義遊戯】。

 相手と自分の位置を入れ替える術式。発動条件は、手を叩くこと。

 入れ替えの範囲は自分以外も可能なため、集団戦でも個人戦でも有効。

 

「さて、問題。不義遊戯の術式対象の条件とは何でしょう?」

「えぇと……」

 

 藤丸は目を細めて、旧型テレビに映る東堂とフェルグスの殴り合いを見つめる。

 東堂が繰り出した黒閃の回し蹴りは確かにフェルグスの口を歪ませ、体躯を吹き飛ばした。しかし、フェルグスはすぐに態勢を立て直し、再び仁王立ちで手招きする。

 

 歓喜の表情で東堂は飛び掛かり――――後ろ手で何かを真上に放り投げたのを、藤丸は見逃さなかった。

 

 東堂の右肘撃にフェルグスは前腕で受けようとした瞬間、東堂の姿が掻き消える。

 

 フェルグスは眉を困惑に吊り上げ――――ドズンッ‼ と、背中に突き刺さる肘撃に顔を歪めた。最初の拳打よりもキレのあるエルボーに、フェルグスがたたらを踏む。

 黒閃を経て、東堂の潜在能力が120%引き上げられた影響だ。

 

 しかし、藤丸が重視したのは、上昇した攻撃の威力では無い。

 

「……呪力とか魔力つまり何かの力が籠った人や物?」

「おっ正解~。正しくは『一定以上の呪力』があれば生物無機物問わず入れ替えできる。よく分かったね」

「最初の時点で、生き物に限らないのは分かるから」

 

 この特異点での呪術において、呪力を物に籠めることは珍しくない。それがこっちの呪術を分析した玉藻の前や紫式部の見解らしい。

 

 それを聞いていたからこそ藤丸は、東堂が呪力を籠めた石ころを、フェルグスの真後ろに放り投げて、位置の入れ替えを行ったことを見破れた。

 

 仕組みを理解したからこそ、藤丸は、とある疑問を浮かべた。

 

(なんで東堂さんはフェルグスの位置を替えないんだろう?)

 

 そう思っていたら、すぐに師弟の殴り合いに変化が訪れる。

 

 ――入れ替え先を予測して放ったフェルグスの剛拳が、東堂のわき腹にめり込んだ。

 

 ガードした腕ごと押し込み、フェルグスは剛腕をぶん回す。

 サッカーボールのように吹き飛ぶ東堂。口端から溢れる血潮。しかし口端の歪みは直らず東堂は白目を向いたまま……パンッ! と手を叩く。

 

 位置の入れ替えが起こり、彼方まで飛ばされかけた東堂の身体はフェルグスの眼前に移動。ゴギン! とフェルグスの鼻面に膝蹴りがぶち込まれる。

 

『――――見事だ、少年。だが』

 

 テレビの向こうで、フェルグスは破顔していた。

 ケルトの戦士と戦り合ってる時のような高揚を浮かべている彼を見て、藤丸は微笑む。

 愉しそうだなぁ、と。

 

『もう、眠れ』

 

 バンッ! とフェルグスが両の手の平を叩きつけ、五指を組み合わせる。二つの剛拳が一振りの鉄槌に変貌し――――浮かび上がっていた東堂を打ち沈めた。

 

 ステージに亀裂が迸る。剛打の風圧が破塵を巻き上げる。その台風の如き拳圧の中心で、東堂はうつ伏せのまま、ピクリと起き上がらない。

 

 三撃目にして、一級術師は最優のサーヴァントの前に沈んだ。

 元よりフェルグスが本気で放った、最初の一撃。

 

 あれで東堂葵の意識は既に刈り取られていた。空っぽの東堂を動かしていたのは…………感動に即した戦意と、師の前で無様を見せまいとする弟子の意地だけだった。

 

 ぢん! と鼻血を噴き出させ、フェルグスは親指で赤く濡れた鼻下を粗雑に拭う。

 

『俺の位置を入れ替えれば、二撃目はいなせただろうに。あくまで入れ替えは自分だけに留めたな』

 

 藤丸の疑問を、知らない内にフェルグスは応えていた。

 

 東堂が術式を行使したタイミングは、次の攻撃の布石と自分が吹き飛ばされた時。

 

 次の攻撃のために入れ替えを行ったのは、真っ向から殴りかかっては歴戦の戦士たるフェルグスに一撃も入れられないからだろう。そして自分が吹き飛ばされた時に入れ替えを行った理由は……少しでも拳の応酬を続けるため。

 

『久方ぶりに拳で語らう楽しさを味わえた。感謝するぞ、少年』

 

 フェルグスもまたこの良き出会いに、歯を見せて豪快に笑った。

 

 

 呪術高専・カルデア交流試合 

 第一試合 東堂葵 VS フェルグス・マック・ロイ。

 勝者――フェルグス・マック・ロイ。

 




呪術廻戦にある程度合わせて行かないと、物語が作れないので、実際のFGOの設定を表現できない部分もありますが、その部分も試行錯誤しながら、後々表現していくつもりです。

見守っていただけるとありがたいです。引き続き頑張りますので、よろしくお願いします。
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