─繋ぐ絆─
「魔道武神流……そして武神流秘奥義…」
「ウム…これはお前にも初めて話す事じゃが……」
そう言ってブロキーナは、先ずは自身が魔道武神流を身につけるに至った経緯を語り出した。
「始めに魔道武神流についてじゃが…これはロカ殿を魔界から救い出す時、もし魔界の輩と戦うハメになった場合を見越してワシとブロキーナ殿で身につけた戦闘の形じゃ……」
「マトリフおじさんと?」
「ウム、あれはロカ殿が魔界に旅立った直後の事じゃった……ワシ等はアバン殿を中心にホルキア大陸のある地に集まった」
「ホルキア大陸ですか?」
「そこにはかつてヨミカイン遺跡と呼ばれた世界中のあらゆる魔導書が収められた場所があってのう…」
「ヨミカイン遺跡……」
「ウム、しかし残念ながらそのヨミカイン遺跡はそこに収められていた多くの書物と共にかつての魔王ハドラーの側近であったガンガディアという男の手で深く沈められてしまったそうじゃ……」
「ハドラーがまだ魔王だった頃に……そのガンガディアというのはモンスターですか?」
ここでマァムはそのガンガディアが人の身でありながら魔に堕ちた者である可能性も考えて訊ねた。そう、かつてのヒュンケルのように。
「マトリフ殿によるとデストロールというトロル族のモンスターらしいが、いわゆる亜種、突然変異で生まれた者らしく、中でもガンガディアのその性質は粗暴なトロル族の中にあって珍しい知謀を兼ね備えていたというなかなかの強敵だったようじゃよ」
「もしかしてマトリフおじさんが倒したんですか?」
知謀という部分にどこかマトリフとの相性を感じた。
「ホッホ♪よくわかったのう、その通りじゃ♪地底魔城での最終決戦の場で一対一の勝負に挑み、見事にマトリフ殿がガンガディアを打ち倒した」
ブロキーナはそう言って明るく笑顔で語った。
「流石おじさんね、世界一の大魔道士と言われるだけあるわ!」
「ホホ♪そうじゃな」
「でも、そのヨミカイン遺跡はもうないのにどうしてアバン先生やおじさん、それに老師も?」
その問いにブロキーナはどこか感慨深く頷くと口を開く。
「それはのう……レイラ殿からアバン殿に宛てた一通の手紙の中に認められておったのじゃ…かつての勇者アバンパーティー全員が初めて集まったのがそのヨミカイン遺跡……そしてロカ殿とマトリフ殿が初めて出逢った場所もヨミカイン遺跡じゃったからのう……レイラ殿はそこに皆を集めて……」
「もしかして父さんのことを……」
「ロカ殿をみすみす魔界に行かせてしまったことを涙ながらに必死にワシ等に頭を下げてのう……もっと早くワシ等に相談していれば……とな……しかしアバン殿は優しくレイラ殿に告げた……女児達やマァムに掛けられた呪いによる命のタイムリミットも短く、またロカ殿が女児達を救う為に解呪の実を口にして魔界に赴かなくてはならなかった時間を考えれば、相談を持ち掛ける暇など無いことは容易に想像がつく……故にレイラ殿に涙を拭うことを求め、同時にロカ殿の救出は皆の悲願であると言うてな……ワシとマトリフ殿もその言葉に深く頷き誓いを交わしたのじゃ…」
マァムはその光景を想像し、その瞳を熱く潤わせた。
父であるロカは自分や多くの女児の為にその命を賭けた。
母であるレイラはそんな父ロカの為に涙を零し時に耐え、これまで自分を大切に育ててくれた。
そして、アバン、マトリフ、ブロキーナ……かつて父と母と共に死線をくぐり抜けた彼等は、そんな自分たち家族の幸福をまるで自分のことのように大切に思ってくれている……
自分たち家族にまた再び笑顔を齎すために尽力してくれている。
そんな深い愛情にマァムは涙を零していた。
「マァム……」
「老師……ありがとうございます……父さん、母さん、そして私にまでこんなにこんなに温かく……」
「ホホ♪みんな仲間……いや、共に死線を超えた存在というのは……家族のような絆が生まれるモノじゃ……」
「老師……」
ブロキーナはそう優しく頷くと再び語り出した。
「そしてじゃ……ワシ等はロカ殿を魔界から救い出す手立てを探り始めたのじゃが……それがなかなか難しくてのう……ヨミカイン遺跡が現存しておれば魔界に行く手立てやロカ殿の呪いを解く方法も見つけたられたかも知れないが……」
「そうでしたか……」
「しかしそこで手をこまねいているワケにもいかんのでな……先刻も告げたとおりワシとマトリフ殿はもし魔界に行くことが出来た場合にその魔界の強力なモンスターに対抗する手段を考えた……そこで編み出したのが……」
「大魔道士のマトリフおじさんと武術の神様と言われたブロキーナ老師が共に編み出したそれが……"魔道武神流″!!!」
「その通りじゃ……ワシとマトリフ殿は新たな戦いの型を、アバン殿とレイラ殿は魔界や解呪の情報を集めることを目的として動き出したのじゃ……まぁ最もマトリフ殿はワシとの特訓をしながらアバン殿と情報集めもしとったからかなり忙しくしていたがのう……」
「おじさんも最近はバーンが倒れて魔の影響が無くなったから身体の調子も良いって言っていたけど…やっぱりそれだけじゃなく昔から無茶をするタイプだったのね……」
「そこはレイラ殿も心配していたが……今はカイア殿が傍にいてくれているからマトリフ殿も、もうさほど無茶はせんじゃろう……」
「ええ、それなら安心ですね」
「それにもう立派な大魔道士の後継者もおるからな……ホホ♪」
「後継者……そっか…ポップ……」
ブロキーナもマァムもあの最終決戦でポップがバーンのカイザーフェニックスを破った勇姿を頭に浮かべていた。
「さて、では"魔道武神流″誕生のきっかけはこんなトコじゃろう……次に″魔道武神流″の詳細を述べていこうかのう」
「はい、お願いします!」
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昼下がりの午後……
スティーヌのランチを食べ終えたポップはふと思い付き、午後の魔導書の読了の前に自宅の裏の森にあるロン・ベルクの小屋に向かった。
「ロン・ベルクの野郎ならあの″マダンテ″って呪文のことなんだか知ってるだろ……ま、あの分厚い魔導書読むより誰かに訊いた方がを早いってな♪ヒヒ♪」
ポップは流石に最後の一冊のあの分厚い魔導書に怯んだのか、ロン・ベルクを頼った。
「ん?あれ?やけに静かだな……」
ロン・ベルクの小屋に到着するといつもならノヴァが武器作りの修行に勤しんでいる時間帯であったが、今日はそんな雰囲気も感じられない。
コンコン!
「おーいロン・ベルク居るか〜?ノヴァ〜」
しかし、扉を叩いても小屋の中から返事はない。
「もしかしてまたどっか行ってるのか?そういやぁロン・ベルクのヤツいつもどっか行っちまうってノヴァも言ってたな〜しかもそのノヴァまで居ないとはこりゃ日が悪かったかな…」
「小僧……貴様は何者だ……」
「……っ!!?」
自分の背中に投げ掛けられた突然の声に驚いたポップが後ろを振り返ると、そこには女の魔族が佇んでいた。
「な、なんだ……っ!?おめぇは!?女の魔族!?」
その女魔族は油断のならない鋭い視線でポップを睨みつけていた。
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「″魔道武神流″とは一言で言えば連携技と捉えて良い」
「連携技」
「ウム、そしてその可能性は1+1は3にも4にもなる力を秘めておるのが連携技というモノじゃ」
「それぞれの力量と技量によって可能性が広がるということですね」
「ホホ♪さすがに飲み込みが早いのうマァム、その通りじゃ」
「それではその連携技を極めて一つの形としたモノが魔道武神流″」
「ウム、じゃが誰でも彼でも修行を積めば習得できるというモノでもない……これに関しては互いの相性がかなり重要な要素となる。極端な話、喩え互いがそれぞれ武術や魔法の才覚があったとしてもその相手と連携技を極めるには互いのクセや思考、また力の性質や出力、更にタイミングなど様々な要素を理解し更にその上で一つの技に昇華していかなければ真に連携技を極めるとは言えん……」
「確かにとても難しい印象です……きっと頭で考えるよりずっと……」
「そうじゃな、しかしマトリフ殿とワシはそれを成し遂げた……ならばこれを互いの愛弟子に授けようと考えるのはある意味当然といえば当然……むしろ授けるべきして授ける、大切な継承なのじゃ」
「はい…」
「マトリフ殿もきっとこのことを見越してポップ君を弟子として認めたのじゃろう……彼の魔法の才覚を見抜いたのはアバン殿ではあったのだろうがマトリフ殿もアバン殿のその先見の明に頷かれていたことじゃろう……何よりあのメドローアを授けたことが何よりの証拠じゃ」
「マトリフおじさんはそこまでポップのこと……」
「マトリフ殿だけじゃないよ♪ワシもお前に閃華裂光拳を授けても良いと思ったのは、いつか話したように相手の痛みを知る事の出来るお前じゃから授けたという事もあるが……ワシとていつかこの″魔道武神流″をお前に託す時を見越していたのは確かじゃ…」
「老師……ありがとうございます!」
「ホホ♪こちらこそじゃよマァム……よくぞここまで強く成長してくれた……感謝するよ♪無論、そんなお前を生み育ててくれたロカ殿とレイラ殿にものう……」
ブロキーナのその言葉に、マァムは優しく微笑を浮かべると深く頷き、師ブロキーナの想いと父ロカ、母レイラの想いを熱く感じ″魔道武神流″を必ず極めることを誓った。
仲間や家族、そして師から弟子へその絆と未来への希望の話しとなりました。
連携技というキーワードはドラクエ11からの引用ですが、色々な技や魔法を合体させて面白くしていこうと思います!
ポップとマァムは個人的にはなかなか相性は良いと思っていて、戦いにおいて互いの信頼を深め合ってきた彼等の新たな力を生み出したいと思います。また、同時にそこからお互いの気持ちの描写も課題となりますが、なんとか書き手も彼らと一緒に頑張りたいと思います!