─終極暴発呪文─
「なるほど、確かにお前の師匠はなかなかのモノだな……」
「ん?」
「これだけの…しかもそのどれもがかなり高等な部類に入る魔導書の数々……」
キュレはポップの自室に案内されると積み上げられた沢山の魔導書の中から一冊を手に取りそのページを捲りながら言った。
「ああ、確かにどれも歯応えがかなりあったぜ……」
「歯応え?これを全て読んだのか?」
「まぁ…そりゃあ……それが師匠の寄越した課題だったしよ……」
「ほう……見掛けによらずお前も大したモノだな」
「そ、そりゃどうも……へへ♪」
「だが、最後の一冊で……挫折か?フフ♪」
「う!うるせぇな!こんなに分厚いんだぞ!ホラ!!」
ポップは声を上げると最後の一冊である魔導書をキュレの目の前に差し出した。
「見せてみろ……」
そう言ってキュレはその魔導書を受け取るとそれを開く。
「″マダンテ″……確かにこれは紛れもなくマダンテの書だな……しかしお前の師匠がかなりの人物とは言え、人間がこの魔導書を手に入れることが出来た事が信じられんな……」
「え?そんなにスゲェ本なのか?分厚いだけじゃなくて?」
「手に入れた過程が気になるくらいな……いずれお前の師とも話がしたいな……」
「ふ〜ん……師匠がどこでそんなスゲェ本を手に入れたかなんて考えもしなかったな……ま、謎の多いジジイであることは確かだな……うんうん」
「そうか……ま、なんにせよその師匠の期待に応えられる様に……」
「う……っ!?」
そう言いながらキュレはマダンテの書を閉じるとポップの胸にそれをグッと押し付けながら渡す。
「しっかりと読み込んでおくのだな……!」
「へいへい……わっかりやしたよ〜」
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その空間には、何者も寄せ付けない荘厳な雰囲気と聖なる力で護られた神聖な空気が静かに存在していた。
『ほう……数百年……いや、数千年振りかのう……』
『お主も気付いたか……』
『無論だ……あの鳴動……忘れるものか……』
『フフ……生みの親だからなお主は……』
『だがアナタも感じているのでは?もう一つの鳴動の予感を……』
『まぁ…な……最もここまで来られるかは……』
『フフ……確かに……難儀なこと……』
そこは深い深い海底の神殿。
数千年もの時を何者にもその存在を知られぬ地に於いて、人と魔と竜が生まれる前より存在している。
しかし、ほんの僅かな者達だけがこの存在を知る。
天界の神。
魔界の創造者。
始まりの竜。
そして……
人の身でありながら最も神に近い領域にあると言われている……
大賢師。
『月の満ち欠けを読み』
『太陽の恵みに愛され』
『闇の静けさを纏い』
『光の嘶きに一閃の輝きを穿つ』
『彼のもの』
『彼のもの』
『光と闇に』
『光と闇に』
『選ばれし者なり』
『選ばれし者なり』
数千年…世界が生まれた頃から遺る最古の伝承。
そしてこの海の底に眠る一冊の魔導書が淡緑の光を灯し始めた。
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「お?なんだいもう良いのか?」
二階のポップの部屋から一人降りてきたキュレにジャンクが声を掛ける。
「ああ、アナタの息子の勉強の邪魔をしちゃ悪いからな……それじゃ私はそろそろ行くよ」
「もう帰るのか?なんだかすまねぇな……ウチのヤツがいれば茶の一杯でも出せるんだが、今ちょっと外に出てるんだわ……」
「いや、気にしないでくれ……そうそうもしロンのヤツが顔を見せたらコイツの礼を言っていてくれないか……相当助かるってな……」
「ああ、わかったぜ!」
「じゃあ、また……!?」
と、キュレはジャンクに挨拶をして店を出ようとしたその時、店のカウンター横に立て掛けてある剣に気付いた。
「アレはもしかしたら……」
「ん?ああ…そうだロンのヤツが置いて行ったモンさ……居眠りしながら作りやがったんだとよ!」
ジャンクは苦笑しながらキュレに告げると、彼女はその剣を手にして鞘から抜いた。
「フ……なる程な……居眠りしながらか……まぁ確かにアイツにしてみればそうかもな……」
「流石にアンタも目利きだな……」
「これでもアイツと同門だからな……じゃあまた来るよジャンク……ありがとう」
「おう!じゃあな……」
そう言ってキュレはジャンクの店を後にした。
と、その時ふと二階のポップの部屋を見上げる。
(「あの年であれ程の魔導書を……ロン……あなたが人間なんかに力を貸す理由がなんとなくわかったわ……」)
「ちぇっ…!結局教えてくれなかったなぁ〜ま、楽すんなってことか〜ヤレヤレ……」
キュレに正論を突き付けられ不貞腐れていたポップだったが、ブツブツ言いながらもマダンテの書を改めて開いた。
「え〜っと……マダンテの書ってタイトルなのはわかったから……次のページからだな……」
そうしてポップは翻訳用の魔導書を使ってマダンテの書を読み解いていく。
「ん~~っと……目次か?これは……神に見捨てられし王朝……?ん?神に見捨てられし王朝?」
古代文字と魔族の文字で記されているマダンテの書の目次、その最初の項にはポップでなくても首を傾げるような内容が書かれていた。
「まぁここが一番はじめのくだりならここから読むしかねぇよな……」
『神に見捨てられし王朝』
人と魔と竜の世界が生まれ更に長い長い時を経てそれぞれが文明を持ち始めた頃。
かつて一つの王朝が三世界を支配していた。
空に城を浮かべ竜にその住まいを与え。
地上に城を築き人にその住まいを与え。
地の底に城を築き魔にその住まいを与えた。
竜も人も魔も……その王朝の支配に長い年月を生かされ。
竜も人も魔もそこになんら不満をみなかった。
しかし更なる時は流れる中で竜の中から一つ。
人の中から一つ。
そして魔の中からも一つ。
その現状に疑問を持つ知恵者が現れた。
その疑問とは……
我らの命は王朝の庇護の下にあるのなら……
その王朝が滅びたらどうなる?
我らの命を護れるのか?
我らの命を護れる王朝は
永遠なのか……?
王朝はその疑問に怒りを覚えた。
王朝を支配する王はその知恵者を捉え
先ずは尋問する。
何故そのような疑問を抱く。
竜の知恵者はこたえる。
『我ら竜には人よりも魔よりも強い力がある』
人の知恵者はこたえる。
『我ら人には竜よりも魔よりも強い心がある』
魔の知恵者はこたえる。
『我ら魔には竜よりも人よりも強い魔力がある』
王朝を統べる王はその知恵者が醜くみえた。
自らを優れしと奢るその姿はおおよそ知恵者のそれではないと断罪した。
王は神の王朝の名において竜、人、魔、それぞれの知恵者の首を竜、人、魔の衆人環視の目の前で刎ねた。
王朝が生まれてから初めてその世界は血に染まり。
その恐怖は瞬く間に世界中に広がった。
竜の民も人の民も魔の民も王朝を恐れた。
敬う畏れから嫌悪の恐れに変わったのだ。
そして王朝は恐れ慄く竜、人、魔を力で捻じ伏せた。
多くの血が流れ、多くの嘆きが生まれ、多くの怒りが世界を燃やした。
竜、人、魔はそれぞれがその知恵と力を合わして恐怖の対象となった王朝に攻め入った。
それは……一瞬のことだった。
竜が火を吹き。
人が剣を奮い。
魔が魔力を放つその時……
一つの白い閃光が世界を包んだ。
次の瞬間……
世界は形を変えていた。
王朝に攻め入った殆どの竜、人、魔が悉く……
滅び去ったのだ。
残ったのはほんの一握りにも満たない僅かな命のみ……
それが……
終極暴発呪文マダンテの始まりなのだ……
終極暴発呪文マダンテ。
イカつい名前ですね〜(笑)我ながら……(^_^;)
そもそも終極という言葉はないので造語ですが究極破壊呪文デステマと対を成す大呪文なので、なかなかこの言葉選びにも苦慮しましたが結局自分で作っちゃいましたね(笑)
まぁとにかく文字通りすべてを終わらす程の究極の暴発呪文ということで、暴発というところは実際のゲームのドラクエで表現されていた魔法力が暴発したという部分を引用しました。
ゲームでも物凄いですからね……クロスマダンテとか……ヤバいでしょアレは……(^_^;)