─復興支援━
「おー!スゴイじゃないか!!?もうこんなに復興がすすんでるとはっ!!?」
独断でクロコダインやヒュンケル達と離れてカールの復興状況をいち早く調査?しに来たチウと獣王遊撃隊のメンバーは、思っていた以上にその復興作業が進んでいるカールの状況をみて驚いていた。
と、そこへ……
「ハッハッハッ!!あったりまえだろうがっ!!ロモスからはるばる俺たちだって来てるんだからなっ!!」
その一際大きな声にチウが振り返るとそこにはロモスから復興支援隊の一員として参加していたゴメスとラーバの姿があった。
彼等はロモス武術大会の参加者であり、その後も対魔王軍との戦いにおいて様々な尽力を尽していた。
「おおっ!なんだぁキミたちも来ていたのかぁ!!」
「まぁな、ロモス王からの依頼ってのもあったんだが……」
「我々も以前よりこのサババの港やカールの被害状況をみていて何か力にならなくてはと考えていたところ、この復興支援隊の話しをきいて参加させてもらったのさ!」
「そうかそうか……うん、うん!キミたちなかなか素晴らしいじゃないか!友人としてボクも鼻が高いよ〜」
言いながらチウは何故か胸を張っている……
「ゆ、友人……ま、まぁ敢えて否定はしねぇけどよ……」
「それよりいいのかい?アバン殿と一緒に行かなくて」
ラーバがそうチウに訊くと彼は更に胸を張って答えた。
「クロコダインさん達よりいち早く現場をみて復興の情報収集もしておけば、役に立てるハズだからな!はっはっはー!」
「な、なるほど……そうかもな……」
そうしてチウと獣王遊撃隊は早速、復興作業に勤しもうと作業場に足を踏みれようとしたところ……
「……んっ!?」
チウはふと何かに気付いたように後ろを振り返る。
「あん?どうした?」
「え?あ、いや……なんか誰かに呼ばれたような……」
「誰か?遊撃隊のメンバーかい?俺たちは聴こえなかったが……」
「いや、きっと気の所為だな!うん!さぁ!作業に取り掛かろう!!獣王遊撃隊行くぞー!!」
「うぉぉぉーーーーーーーーーん!!」
遊撃隊のメンバーが隊長の声に応えるとチウの指示通りそれぞれ得意分野を活かして復興作業に勤しんでいった。
(「なんなのよ!ここはっ!?」)
その声の主は長い眠りから目覚めると、怪しげな雰囲気が漂う空間を見廻しながら声を荒げた。
その手足には魔法力で作られた錠が嵌められている。
(「なんてことなのっ……!!この私がこんなところにどうして……っ!?」)
その声はまだ幼さの残る少女のようだ。
(「どうやらこの空間では魔法が封じられるようね……」)
手足の錠を忌々しい思いで睨みつけながら少女はそれでも冷静に自分のいる空間を観察している。
と、よく見ると更にそこには魔法力で作られた格子が目に入り、どこかの牢に入れられていることもわかった。
(「鉄格子ならぬ魔法の格子……なるほどこれが私の魔法力を封じているのね……」)
少女は見た目の幼さに反して自分の置かれた環境を冷静に判断出来る目を持っていた。
(「この手の魔力には覚えがあるけど……おそらく暗黒魔力ね……それにしてもこの私を誰だと思ってるのよ……っ!!こんなセンスも欠片もないトコに閉じ込めてっ!!犯人見つけたらギッタギタにしてやるんだからっ!!!」)
そう言って少女は感情をむき出しに豹変すると怒りを露わにした。
(「ふん…っ!でもこんな牢なんて簡単に抜け出してやるんだから……ふふふ♪」)
不敵な笑みを浮かべる少女は、その小さな左手の指に輝く指に念を込め始めた。
「こちらが皆さんの宿舎になります!」
アバンはヒュンケルやクロコダインを含むパプニカの復興支援隊をそれぞれの宿舎に案内していた。
「おおっ!立派な建物じゃないか!?」
「復興途中の国とは思えないっ!!」
復興支援隊のメンバーからは口々に驚きの声が上がるが、確かにその宿舎は未だ復興途中の国の建物とは思えない程しっかりとした作りだった。
「復興作業の合間にベンガーナやロモスの皆さんからもお力をお借りしまして、後はまぁ私がチョチョイと……あ、でも!作りは申し分ありませんのでどうぞご安心下さい!ささっ!皆さんどうぞどうぞ!」
そう言ってアバンは皆を宿舎に通した。
その後、宿舎内部の説明を終えパプニカの復興支援隊は旅の疲れを癒やす為、暫しの休息をとった。
「アバン…街の様子を少し見ておきたいのだが……」
するとヒュンケルがアバンにそう告げる。
「おや?身体を休めなくて大丈夫ですか?」
「ああ、問題ない……それよりも早く復興現場の状況を知っておきたくてな」
「アナタらしいですねヒュンケル……わかりました、ではご案内しましょうか」
「アバン殿、俺も同行したいのだが…チウたちがいつの間にか見当たらなくてな………」
「おや?そういえば~そしたらチウ君たちを探しながら作業現場に行ってみましょう!」
「おお、そうですか?ではお供しましょう!」
そうしてヒュンケルとクロコダインはアバンと共に復興作業の現場に向かった。
「ヒュンケルは一度、魔王軍が侵攻した直後のカールの現状をみていたのでしたね?」
「ああ、魔王軍の鬼岩城が動いた跡を探っていた際にな……」
「その時にホルキンスという我がカールの騎士を弔って頂けたのですよね?」
「……っ!?ああ……確かにそうだが……彼はあのバランと剣技で良い勝負をしていたと、その場にいた彼の弟に聞いたよ……」
「そうでしたか……いかにも彼は私も彼の親の代から存じ上げている優秀な騎士でした……また大切な友人の一人でもありました……改めてヒュンケル……彼の弔いを心より感謝します……」
「いや……俺はただ通りすがっただけで……」
「それでも私同様……いえ、私以上に感謝している人がいますよ……」
「え……?」
ヒュンケルはアバンが視線を向けた先を見ると、そこにはかつてヒュンケルに兄であるホルキンスの弔いを頼んだ弟がいた。
「彼はアナタに兄であるホルキンスを弔って貰ったあとしばらくは一人でこのカールの復興作業をしていたと私も後にフローラ様に伺いましてね」
「一人で?何故ですアバン殿……」
「あの超竜軍団にやられた傷跡は並大抵のものじゃなかったからな……俺も一度はこの目で破壊し尽くされたカールを目の当たりにしたが、生き残りを探すのはかなり難しい状況だったはずだ……」
「なるほど……だから一人で……」
「それに彼にとっては亡き兄のそばをスグに離れる気持ちにはなれなかったのでしょう……しかしそれからしばらくして、フローラ様に再開し彼は大きな負傷もしていたのもあって魔王軍との戦いとは別にこのカールの地を守る役目を今日まで仰せつかっていたのです」
「アバン……彼と話をしても構わないだろうか?」
と、ここでヒュンケルはアバンを窺う。
「ええ、顔見知りでもあるでしょうし是非!」
そうしてヒュンケルは一人ホルキンスの弟が復興作業に勤しんでいる現場に向かった。
「アバン殿……ヒュンケルから聞いたのですがヤツをこの復興の現場に推したのはアバン殿だったとか?」
「ええ、まぁ……そうですね……しかし私だけでなくヒュンケルの魔王軍でのイメージを払拭しようと考えてくれたレオナ姫、そしてそのレオナの意向に賛同して頂いたフローラ様……お二人のお力添えもあります」
「そうでしたか……確かにヒュンケルはずっと自身の過去の行いを愚直に猛省し、それどころか一生かけても償い切れないかも知れないと……時々そんな風に漏らしていたこともありました」
「ええ、それは私も感じておりました……しかしだからこそヒュンケルにはもっともっと人の中に入り込んで頂きたいのです」
「人の中に……?」
「人の中で彼は人を知り……その中にこそ幸福があるということを私は彼に知ってほしいのです」
「なるほど……」
「戦いの中に身を投じ誓いを立てて生きて来た彼ではありましたが、こうして戦い以外の事でも力を発揮して欲しいと私は思います」
そうしてアバンは復興作業現場で働くホルキンスの弟とヒュンケルを見つめながら言った。
アバンは常に感じている、魔王ハドラーを打倒した後も彼は世界中を旅して人々の暖かい笑顔にたくさん触れて来た。そしてそこには自分たちが守るべき大切な命も幸福も間違いなく存在しているのだと……
復興支援のお話しです。
アバンの故郷であるカールで、ヒュンケル達は復興と後に関わってくるある重要なエピソードをここでは展開していこうと思います。
また、チウにとっても今回はとても大切なエピソードをよういしておりますので、乞うご期待です(^o^)v