新章 ダイの大冒険 第一部 ポップ   作:平月

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賢者のダンス指南

 

 

 

 

  ─エルフの英雄─

 

 

「そう、そうよ、はい!イチ、ニ、イチ、ニ!」

「お、おお……」

 ヒュンケルは夕食後にエイミに声を掛けられ、何故かダンスの指南を受けていた。

「うん、やっぱりスジがいいわね♪さすがよヒュンケル!」

「そ、そうか?しかし、なんでダンスなんか俺がしなくてはならないんだ?」

 ヒュンケルは慣れない事をさせられ、戸惑いが拭えない様子だ。

「絶対に姫様が明日はダンス大会を開かれるから、ヒュンケルがもし指名されても恥を掻かないようにしてあげてるのよ?」

 レオナ主宰で開かれる明日のアバンのいわゆるフェアウェルパーティーと復興決起会で、レオナが必ずダンス大会を開くと踏んで、ダンス未経験のヒュンケルに指南していた。

「しかし、指名されたら断れば済む話しだろう?」

「甘いわよヒュンケル!姫様がワインで酔ってからがダンス大会の始まりなのよ!酔った姫様には誰も逆らえないんだから!」

 エイミは過去に何度も酔ったレオナにエライ目に遭わされていた事を切々とヒュンケルに説いた。その際にレオナに意見しようものなら、しつこく絡みまくられ大変な思いをするのだ。

「パーティー自体はとても楽しいんだけど、姫様が飲み過ぎなければね~だから、私達も色々大変なのよ」

「そうか……俺は酒は飲まないからな……姫がそんな風になるとは以外だった……そういえば前にパプニカで小さな宴会をした時も酔っていたのを見掛けたな……」

「ああ、あの時ね……でも、今回はあの時の規模のパーティーじゃないからきっと姫様はしゃぐわよ」

 エイミは苦笑しながら言うが、世の中が平和になった証でもあることを思うとレオナや皆が明日はきっと心から楽しめる会になれば良いと思っていた。そして当然、今目の前にいる愛しい人にとっても……

「明日は良い会になるといいな……」

「ええ、そうね……ねぇところでヒュンケル、昼間にアバン様から伺ったのだけど……」

「ん?どうした?」

「エルフの住処を探してるの?」

「ああ、この身体を元の戦える状態に戻すことは、ダイの探索に向かう為にも必要だからな……」

「そう……でも、確かにそうね……ダイ君の捜索と言ってもどんなところまで探すのかも解らないし万全な状態で臨みたいという気持ちはよくわかるわ……それに、きっと貴方はそうすると思っていたし……」

「……エイミ?」

 エイミは立ち上がると一冊の本をヒュンケルに手渡した。

「これは?」

「さっきマトリフさんが貴方に渡してくれって……アバン様から貴方の事を聞いてマトリフさんが持っていたエルフについての伝承が集められた本を渡してくれたの」

「そいつは有難い、すまないエイミ……」

 ヒュンケルは心からそう思って、エイミに謝辞を示すと早速その本を開いた。すると、中にはエルフについての多くの伝承が記されていた。

「私よりも、アバン様やマトリフさんに御礼を言って……あ、それとマトリフさんからの伝言だけどその伝承はあくまで言い伝えだから、真偽の程は確かではないけど、全てがそうとは言い切れないって……」

「マトリフ殿がそう言うのなら、有力な情報を得られる可能性はあるだろうな……」

 ヒュンケルはそう言うと、真剣にその本を閲覧し始めた。エイミはそのヒュンケルの横顔を見ていると、自分が彼の役に立てた事に喜びを感じた。

「それじゃあ、私はそろそろ行くわね」

「ああ……本当にありがとうエイミ、恩に着る……」

「私は貴方の役に立てればそれでいいのよ、貴方の身体が完全に回復するように私も祈っているわ……」

「一刻も早くダイを見付け出さなければいけないしな……」

「そうね……姫様の為にも……それじゃあ、おやすみなさい……」

「ああ……また明日……」

 エイミはこのヒュンケルの言葉が胸に染みた。また明日……そう、また明日も彼の顔を見れる……彼の側にいれる……それだけで、今は幸せだった。いつか、彼を振り向かせたいという思いよりも、このささやかな幸せを大切にしたいという想いを胸に深く丁寧に納めた。

 

 ヒュンケルはエイミ伝てでマトリフから受け取ったエルフの本を再び開いていた。すると、その中の一説にエルフの戦士という文言を見咎めた。

「ほう、エルフの世界にもやはり戦える者がいるようだな……」

 詳しく読んでいくと、剣や槍術に長けたエルフもいるらしく、更に魔法を己の武器に纏わせて繰り出す技も得意としているようだった。

「成る程……魔法を武器に纏わせるか……ダイが俺との戦いで使っていた魔法剣の様なものか……」

 ヒュンケルはかつて、魔王軍の不死騎団長として、ダイと対峙した事があったが、ダイはその際にライデインをその武器に纏って放ったライデインストラッシュでヒュンケルに敗北を味わわせた。

「だが、俺には魔法は使えんからな……ん?これは……」

 そうして、ダイとの戦いを少し思い出しながら読み進めていくと、そこにはエルフの世界の英雄と呼ばれている、ある戦士の事が書かれていた。

「光のエルフの王フレイル……かつて神が光のエルフに与えた国を治めていた王にして、エルフ最強の剣士と詠われた英雄。神の一族の血を引いていた彼はレーヴァテインという炎を纏った剣を使いこなした戦士であった。……レーヴァテイン……か……」

 かつてラーハルトから託された鎧の魔槍は、彼が甦ったことにより、本来の持ち主の元に戻った。その為、今のヒュンケルには自身の装備を持ち合わせていなかった。戦いは終わり、バーンパレスでもその持ち合わせた力の全てを使い切り、戦いに明け暮れる道はようやく終えたかと思っていたが、生来の戦士であるのか、ヒュンケルはレーヴァテインという名の剣に不思議と惹かれていた。

 




 ヒュンケルの道筋も少しずつ書いています。今回は少し、エイミとの濃い?時間を前半に展開しつつ、後半のエルフ関連に繋げました。エイミ、エルフ、ちょっと似てる?というのは置いといて……(^^; ただ、エイミはヒュンケルの為に生きているという姿も少しずつ出していきたいと思います。彼女も重要なキャラですので。
で、最後に出てきましたヒュンケルの武器。仮に復活してもラーハルトの鎧の魔槍を使うワケにもいかないし、そしたらまた、ロン・ベルクさんにお願い?と思いきや彼はもう武器は作れないし……ノヴァじゃさすがにまだ無理だろう……まぁファンタジーなので、ムリヤリご都合展開でも良いかもしれませんが、やはり違う展開を考えている中で、レーヴァテインという剣を思い付きました。これがどう関わるのか?まだ先の話ではありますが、ちゃんと書いていこうと思います。
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