新章 ダイの大冒険 第一部 ポップ   作:平月

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解呪の洞窟

 

 ─大魔道士と拳聖─

 

 

 ドオォォォーーン!!

 

「ホホ……どうやら来たようじゃな……よっこらしょ……」

 ブロキーナは腰を上げると、表の様子を見に向かう。

「悪ぃなブロキーナ!遅くなっちまったか?」

 ルーラでブロキーナの山頂の家に降り立ったマトリフは月を見上げながら言う。

「なぁに、丁度良いくらいじゃよ……マァムとレイラ殿はどんな様子じゃ?」

 ブロキーナはマトリフが事前にネイル村にマァムを送り届ける事も知っていた為、マァム達の事を気に掛けていた。

「フッ………今頃、親子水入らずで色々話し込んでいるだろうよ……まぁ、俺もちと焚き付けてきたしな……」

「そうか……マァムも強くなったからのう……きっとレイラ殿の想いもロカ殿の想いもしっかり受け止める事が出来るじゃろうて……」

「ああ……」

 しみじみとブロキーナがそう口にすると、マトリフも微笑を浮かべて頷いた。

「さてと、俺達は俺達の仕事をしようぜ!」

「うむ、とりあえず先日ロモス城に行ってシナナ殿には話したのじゃが、実はあのポルトスの町跡に聳えるピラァの近くでロン・ベルク殿と出くわしてのう……」

「魔界の名工か……」

「どうやら彼もあのピラァには何か不穏なモノを感じとるようだよ、それにあの解呪の洞窟にも……魔族の自分にしかわからない様な物騒なモノを感じると言っておった……」

「ほう……魔族も警戒する場所だったってか?にしては、俺達もロカのヤツも無事に戻れたよな?」

「ワシ等はのう……しかし……」

「ああ…そうか、ロカの場合は無事とは言えねぇか……ま、でもとりあえず行ってみようぜ……何度入っても何もなかった場所だが、今度こそもしあの実があれば、きっと何か掴めるハズだ……」

「うむ……ただ、持病のお尻の穴ズキズキ病が心配じゃがな……」

「………ただの痔だろ?それ」

 そうして、マトリフとブロキーナは解呪の洞窟に向かった。

 

 一方、レイラからロカと自分を始めとする当時の女児達が苛まれた呪いの事実を訊かされたマァムは、もう一つ気掛かりな事を訊ねた。

「母さん、もう一つ気になってることがあるんだけど……」

「なぁに?」

「さっきおじさんが言っていた、ポップにその……父さんや私達が掛けられた呪いを解いて貰うって話……」

 レイラは少し目を伏せたが、直ぐにマァムに向き直って答えた。

「ロカが地上を去ってから、私達は諦める事無く彼を魔界から地上に連れ戻す手掛かりを求めたわ……そんなある日、マトリフが言ったの……自分と同じか或いはそれ以上の魔法の才がある存在がいれば……って……」

「おじさんが、そんな事を?」

「ええ、でも私はその時にアバン様の事を言ってるのだと思って訊いたのだけど、そういう事じゃないって……」

「え……?」

「マトリフはきっと自分の身体に限界が来ている事に気付いていたのね……だから、もし自分が生きている間にロカを救う事が出来なかった時の事を考えて、きっと自分の役割を引き継いでくれる存在が欲しかったのだと思うわ……」

「そこまで、父さんの事……」

「マトリフもロカとは深い絆で繋がってるから……マトリフと最初に出逢ったのだって、私やアバン様じゃなくてロカだったしね……」

「え?そうなの?」

「放っとけなかったって……さっき言っていたでしょ?ロカの事……」

「ああ……フフ……そうね、ポップの事もね……」

「ええ……でも、ポップ君には申し訳ない気持ちもあるわね……ロカの事で彼に重荷を背負わせることにならないかしら……」

 レイラはマトリフやアバンがポップに何を期待しているのか、それとなく理解してはいたが、それが余計にポップに対する申し訳なさを深くした。

「そうね……でも、私はずっとポップと一緒に魔王軍と戦って来だけど、彼の成長には本当に驚かされたわ……勿論、マトリフおじさんが修行をつけてくれていたのは大きいと思うけど彼には元々凄い力があったんだなぁって……」

「あの自分にも人にも厳しいマトリフが見込んだ彼だものね……」

「うん……」

 マァムはポップの事を考えると暖かい気持ちになる。初めは本当に臆病で自分の事しか考えてないような最低なヤツだとあんなに強く思っていたのに……そう、本当に魔王軍との戦いで彼は人としても男としても大きな成長を遂げた。

「ねぇマァム?」

「なぁに母さん?」

「ポップ君の良いところってどんなところかしら?」

「えっ……!?な、何よ急に!?」

 マァムはレイラの問い掛けに頬を染めながら言う。

「ポップ君のこと、見てきたのでしょ?」

「う、うん……そうね……まぁ初めは本当にガッカリする事が多かったけど……でも、なんだかんだ言って優しいのよね彼は……スケベだったり情けないところもあったけど、私やダイ……皆がピンチの時は必ず大きな力になってくれた……そして、その度に強くなって……だから、彼がツラい時には今度は私が力になりたいと思うわ……あ……」

 マァムはそう言いながら思わず自分の言葉に顔を赤くする。

「そう……大切にしてね彼の事……」

「う、うん……」

 レイラは自分の娘が一人の男性を深く想える様になったことを心から嬉しく感じていた。

 かつて自分自身もロカに同じ様な想いを抱いたその時を思い出しながら……

 

「さぁ~て……着いたな……」

 マトリフとブロキーナは満月の明かりの元、怪しく口を広げる解呪の洞窟に辿り着いた。

「ホホ!怪しさ満天じゃな♪」

「よぉっし!久々だから何が出てくるか解らねぇが……世界一の大魔道士様と武術の神様が今度こそおめぇの秘密を暴いてやるぜ!!」

 そうして、マトリフとブロキーナは解呪の洞窟へ実に14年の時を越えて足を踏み入れた。

 友とその帰りを待ちわびる大切な人達の為に……

 

 




 マトリフがマァムとネイル村に来た理由の一つとして、ブロキーナの元に赴き、二人で解呪の洞窟に向かうという目的がありました。目的は解呪の実を手に入れてロカの救出の足掛かりにするという事ですが、アバンと共に分析すればイケるのではないかと考えているようです。ただ、今回アバンは同行できないので、果たしてどうなるか?という今後の展開もお楽しみにして下さい(^^)v色々あります(笑)

 
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