─ゴライアス─
「そりゃぁぁぁ!!!」
ドガァァァーーーン!!!
ブロキーナの強烈な爆裂脚が決まり、ようやく魔物の群れを一掃した。
「ホッホッ!なんとか片付いたかのう」
「ああ、それにしても俺達ここまでかなりの数のモンスターを倒してきてるな、メタルスライムのバケモノみてぇなでっかいのもいくらか倒してるが、この年で俺達のレベルかなり上がってんじゃねぇか……」
マトリフは鼻水と汗を滴しながらボヤいている。
「確かにここに来るまでの経験値は半端ないのう……」
『うむ、見事な戦い振りだ!地上にこれ程の使い手がいるとは全く驚きだ』
謎の声の主が、マトリフとブロキーナを絶賛する。
「けっ!高みの見物かよ!こっちは持ってきた祈りの指輪も、もうねぇし魔法の聖水だって残り一本だってのによ~」
「ワシも特やくそう一個だけじゃ♪」
ブツブツ言っているマトリフを見ながらブロキーナはニカッとおどけた笑顔をみせる。
『案ずるな、封印の間はもうすぐそこだ。銀色の扉が目印になっているからすぐにわかる筈だ』
そうして、マトリフとブロキーナは更に進んでいく。すると、ようやく謎の声の主が言っていた銀色の扉が見えてきた。
「ここか~やれやれ長い道程だったぜ……」
「こりゃあ、さっきのデスペアドアよりも硬い金属で出来とるのう、しかも鍵が掛かっておるようじゃよ?」
ブロキーナはそう言いながら、目の前の銀色の扉をコンコンと叩いてみせる。
『よし、ではマトリフ殿、その扉の青い宝玉があるだろう?そこに手を翳してみてくれ』
「あん?ああ、コイツか……?」
マトリフが言われた通りに扉の中央付近に嵌め込まれている青い宝玉に手を翳すと、マトリフの掌から自然と魔法力がその青い宝玉に吸い込まれていく。
「うおぉぉぉーー!!!?な、なんだぁこりゃあぁぁぁ!!!?魔法力が吸い込まれるぞ!!!!」
「マトリフ殿っ!!!?」
「て、てめぇぇぇーー!!!!やっぱり騙しやがったなぁ!!!?」
マトリフは翳した手を青い宝玉から何故か離すことが出来ずに魔法力がどんどん吸い込まれていった。
『扉の鍵が開くまでだ』
「なぁんだとぉぉぉーー!!!?」
ガチャン!!!
その瞬間銀色の扉から何かが外れる音がしたかと思うと、扉が自然と開いていく。
「お!?お!?おおぉーー!!」
「なんとっ!!!?」
そして、開いた扉の向こうには光輝く魔法陣があった。
『マトリフ殿、ブロキーナ殿、あの魔法陣で回復を!』
マトリフ達がその魔法陣の中に足を踏み入れると、体力と魔法力が一瞬にして全快した。
「おほほほーーー!!こりゃ最高だ♪」
「うむ、これでまだまだイケるぞい♪」
マトリフもブロキーナも上機嫌で魔法陣の力を全身に浴びている。
『ここまでよく来てくれた、改めて礼を言わせてくれマトリフ殿、ブロキーナ殿』
「なぁんだよ急に畏まりやがって」
「ホホ、まぁ久しぶりに良い汗を掻かせて貰ったよ♪」
『そうか、だが私の封印を解くのはこれからだ……あの赤い扉を見てくれ』
マトリフとブロキーナは魔法陣の奥に赤い扉を見付けた。
「また魔法力を吸い込まれんじゃねぇのか?」
マトリフは先の銀の扉の一件で警戒して訊ねる。
『先程はすまなかったな、あの扉はある程度大きな魔法力がないと開かない仕掛けでな、先に伝えておいても良かったのだが、お主なら問題ないと思って特に伝えんかった』
ズルッ……!
「あ、あのなぁ~まぁ別に開いたから良いけどよ……案外ものぐさなヤツだな……」
マトリフは声の主の言葉に思わずズッコケながらボヤく。
「では、そろそろ行くかの……」
「おっし!!」
そして二人は赤い扉を開いて奥まで続く回廊を歩いていく。すると、拓けたドーム状の空間に出たところに今度は巨大な扉があるのを見付けた。
「今度は随分とでっけぇ扉が……」
「マトリフ殿……」
ブロキーナは何かを感じたのか扉の向こうを警戒する。
「ああ、確かにすげぇのが二体いやがるな……」
マトリフも扉の向こうの異様な気配に気付くと魔法力を高める。
『マトリフ殿、ブロキーナ殿、準備は良いか?』
「ああ、準備万端よ!」
「うむ、いつでも来いじゃよ……」
ブロキーナはかかってこいと言わんばかりに手招きをしながら、闘気を高める。
『よし……来るぞ!!』
ゴゴゴゴゴゴ………
ゆっくりとその巨大な扉が開かれ、中から異様な呼吸を繰り返す大きな兜を被った一つ目四本腕の巨人のモンスターと小柄ではあるが、魔族と思われる不気味な雰囲気の男が現れた。
「フゥ~ハァ~フゥ~ハァ~だぁぁぁれぇぇぇだぁぁぁ…………」
「人間……?」
「ホホホ……こりゃあ、またとんでもないのが、いたモノじゃなぁ…」
「ああ、今までのモンスター共がカワイイくらいだぜ……」
ブロキーナもマトリフも目の前に現れたその二体の魔物から醸し出されている強大な黒い闘気に異様な緊張感を感じていた。
「うぉぉまぁぁえーらぁぁー!!だぁぁれぇぇだぁぁーー!!!」
巨体のモンスターがとてつもない声量で話し始めた為にマトリフもブロキーナも慌てて耳を塞いだ。
「ゴライアスお前はしゃべるな…」
「はぁぁぁい~~」
ゴライアスと呼ばれたその巨体モンスターはもう一人の魔族の男の言葉に大人しく従う。
「へぇ~随分としつけがいいじゃねぇか?」
マトリフが不適に笑うと魔族の男は落ち着いた口調で告げる。
「こいつはゴライアス。そして私はリーデアという者だ。貴様等は見たところ人間の様だが……?」
「ああ、その通りだぜ……」
「何故ここに?」
「何故だろうな?」
リーデアと名乗る男はマトリフに睨みを利かせながらも、冷静に振る舞う。
「惚けているのか、ふざけているのか知らんが、ここに人間が来たのは初めての事だ……言い換えれば、おおよそ人間が足を踏み入れて良い場所ではない……まさか道に迷ったなどと言うつまらん理由でもあるまい?」
リーデアはそう言って、その身体全体から底知れない禍々しい闘気を高めている。
「まぁな……しかし、お前さん程のヤツならとっくに解ってんだろ?」
「ホホ、ワシ等がこの封印の間に来た時点でのう……」
マトリフとブロキーナもリーデアに応える様にそれぞれ魔法力と闘気を高める。
「フフ……そうだな、ムダな事を訊いた……しかし、ならば我々がそう易々とお前達の目的を果たさせないという事も当然の如く理解しているだろうな?」
「フゥ~ハァ~フゥ~ハァ~やるのぉ?コイツらやっていいのぉぉぉ~?」
ゴライアスもその巨体全身に強力な力を漲らせて戦闘態勢に入る。
「ああ、ゴライアス……たっぷりと遊んでやれ……飽きるまでな」
「グオォァァァァァーーー!!!」
「うぉぉっ!!!?」
「なんつー雄叫びじゃ!!!?」
ゴライアスのあまりの雄叫びにマトリフもブロキーナも思わず怯んでいる。すると、その隙を突いてゴライアスの丸太よりも遥かに太い四本の腕が襲い掛かって来た。
ズガガガァァァーーーン!!!
ゴライアスの爆裂拳がマトリフ達がいた床一面を粉々に破壊する。
「ふぅ~ギリギリセーフ!!」
「今のはまともに喰らったらヤバかったのう……」
しかし、マトリフもブロキーナも寸でのところでゴライアスの攻撃をかわしていた。
「ほう?なかなか良い動きだ……しかし武闘家の方はともかく魔法使いの方は何故あれ程の速さを………そうか!?ピオリム!」
「ホホ…マトリフ殿助かったわい」
「でもピオリム掛けてあんなギリギリだぜ……あの野郎デカイくせにスピードもありやがる……」
マトリフはゴライアスが雄叫びを上げて突進してくる一瞬前に自分とブロキーナにピオリムの呪文を掛けて素早さを上げていた。
「グオォァァァァァー!!なんでぇぇぇ!!なんでぇぇぇ!!当たらないのぉぉぉーー!!!」
「落ち着けゴライアス、ヤツ等はピオリムを掛けてかわしたのだ、お前は更にスピードを上げればいい……全能力60%まで上げろ!」
「グオォァァァァァーーー!!!はぁぁぁぁーーーい!!!!」
ゴライアスは気合いを込めて全身に力を溜め込む、すると更に闘気が膨れ上がる。
「なっ!!?ウソだろ……」
マトリフはゴライアスの纏う闘気に思わず青褪めた。
「ガアァァァァァーーーー!!!」
ゴライアスの雄叫びが更に辺りに響き渡る。そして、その巨体からは押し潰されそうな程のとてつもない暗黒闘気がマトリフとブロキーナの周りの空気を支配していく。
かつてない魔界の強敵との戦いが始まったのだ。
出てくる魔物も更に強敵になります。ゴライアスはドラクエXⅠに登場するレアモンスターです。プレイされた方ならご存知でしょう。まぁまぁ強いです。リーデアに関してはオリジナルですが、設定としては魔界の武闘家ですね。ゴライアスもそうですが、リーデアも呪文や魔法よりかは闘気で戦うタイプです。その強さは解りやすく言えば、バーンの幹部には余裕でなれます。ハドラー親衛騎団にはまぁ余裕で勝てます。超魔生物ハドラーと互角くらいですね。因みにミストバーンはそもそもバーンなので敵いませんがバーンの身体から離れたミストなら勝てます。つまり、かなり強いです。