─熱い涙と愛しき手─
「ん………うん………」
アバン達が去った後、暫くしてマァムは目を覚ました。
「あ………やだ、私寝ちゃってたの?あ………」
ふと見るとマァムはポップの手を握っていたことに気付いた。
「ポップ………良かった、よく眠ってるわ………」
(トクン………)
「えっ?」
マァムの中で何かが………鳴る。
体温が高まるのがわかる。
やがて、それに比例して鼓動は早鐘の様に響く。
(この感覚は前にあった?)
気持ちと頭が一致していない。
頭の中は不思議と冷静にある事を思い出していた。
(あの時、ヒュンケルを想うエイミさんの気持ちを知って………私………)
バーンとの最後の決戦前。エイミはヒュンケルの鎧の魔槍を手に自身のヒュンケルに対する想いを皆の前で告げた。そして、マァムに了解を求めて………あの時にマァムの中で生まれた感情は胸の鼓動と共に彼女の中で渦巻いた。自分以外にヒュンケルを理解しようとする存在がいたことに対する困惑なのか?それ故のエイミに対する嫉妬なのか?
それとも、他に何かしらの感情が働いていたのか?あの時の感情はマァムにはわからなかった。
(そうだ、だから私はあの時に………)
マァムはそんな自分の心の内がわからなくなり、ポップを求めた。ポップに頼った。彼なら、この感情の答えを教えてくれるのではないか、と………ポップの気持ちを知らずに彼に残酷に甘えてしまったのだ。
マァムの体温は熱くなる。鼓動も鳴り止む気配はない。ポップの手を握る手は特に熱く感じた。
「ごめんなさい………ポップ………私はたくさん、たくさん、あなたを傷付けてた………あなたの気持ちに気付いていれば………私は………」
熱いものが頬を伝う。止めどなく溢れる。マァムは泣いた。しゃくり上げながらマァムはポップの手を握り、泣いた。
そして、アバンから昨日言われた言葉を思い出していた。
(「いいんですよ、一生懸命やれば、自分から逃げなければ。時に失敗したと思っても必ず意味のある事に出来ます。もし、その仮定で誰かを傷付けてしまったり、もしくわ自分自身が傷付いてしまっても、相手があるのなら心から頭を下げて謝り、自分自身なら思いっ切り涙を流すのです」)
今のマァムはアバンから送られたその言葉の通りだった。
そして、また前を向く。マァムは少しずつ流れる涙を抑えながら決意する。
「幸せを……掴む為に………」
その熱い手で、ポップの手を優しく握った。
マァムの中で少しずつポップの存在の意味が変わっていく……
あの時、あのバーンとの決戦前に彼の口から真っ直ぐ伝えられた自分への気持ち……その時にマァムはポップに共に生き抜いて未来を掴む事をそして、その時にはポップを一人の男性として見ていくという可能性を示した。
無論、ヒュンケルに対する想いも未だマァムの中で決着はついてはいない。しかし、今この時のマァムの中には目の前のポップしかなかった。ポップの無事を祈り、彼の想いをただ、大切にしたかった。
マァムの現時点をここらで明確にしておきました。ヒュンケルとマァムが結ばれる可能性も少し残しつつ、でも今はポップ。というまぁ原作でもみられたどっちなん!?という形を少し継承しつつ、ポップとの仲を縮める線の張り始めです。ここから、どうなるのか?ですね。ヒュンケルもカッコいいしなぁ~好きなんだよなぁ~勿論ポップもカッコいいし面白いし~、どうなることやら……www(^^;