☆ずっと親友
狭い空間の中、七海ちゃんが不安気な表情で私のことを見つめてくる。
「七海ちゃんはこうゆうの初めて?」
「初めてではないけど……でもあまり経験はないかな」
「そんなに緊張しなくて平気だってば。大丈夫だよ、リラックスして。ほら笑って?」
『いっくよ~。3・2・1・パシャ!』
プリクラの機械音声がタイミングを告げ、写真が撮られる。
その後もポーズや表情を指定されて、パシャリパシャリ。
「さて、写真撮り終わったし盛るよ! 七海ちゃん!」
「盛る……それなら、うん。可愛くしようね、千咲ちゃん!」
さっきよりも自信のある表情でスイスイとパネルを操作していく七海ちゃん。
む、普通にうまいな。プリクラに慣れてないだけで女子力自体はすごく高いもんね。
そんなこんなで完成した、いくつかのプリント紙。
その中で一番気に入った写真。シンプルに文字とハートマークだけを添えたもの。
手のひらに簡単に収まってしまうその中に、大きく書かれた『ずっと親友』の言葉。
それが心の底から嬉しい。写真に写る二人の笑顔が〝ずっと〟を信じさせてくれる。
「ねえ、七海ちゃん。プリ帳とか、アルバムでもいいからお揃いの買わない?」
高校に入ってできたこの大切な親友との思い出はこれからもたくさん増えていく。
だから、まずは最初の一冊目に早くこの思い出を飾りたくなった。
☆秘密のツーショット
目が覚めた時、お兄ちゃんの顔が目の前にあった。
それはまあ昨夜一緒に寝たからなんだけど。んー、お兄ちゃんの腕枕さいっこう。
この寝顔をこの距離で見られるのはわたしだけの特権だという事実が嬉しい。
そーだ。せっかくだから……。
わたしはなるべく体を動かさないようにして、ごそごそと。……あ、あった。
スマホを取り出して構える。おっと、お兄ちゃん寝癖ついてる。直し直しと、よし。
「お兄ちゃーん、はいチーズ」
今をときめく乙女の女子力を侮ることなかれ。寝そべった姿勢でもばっちり撮れる。
……本当は千咲ちゃん直伝の自撮り術あってこそだけど。
お兄ちゃんはまだ眠っているから、当然カメラ目線なんてしていない。
目を閉じたまま、わたしの方を向いているだけ。そしてわたしは渾身のスマイル。
無防備なお兄ちゃんと、お兄ちゃんを独占しているわたしのツーショット。
わたしも寝起きだし、写りがいいとはとても言えない。
だから、この写真は誰にも見せないわたしだけの宝物にしよう。
……でもいつかお兄ちゃんにだけは見せてあげてもいいかも。
見せたらどんな反応するのかな。怒るかな。恥ずかしがるかな。どっちでも楽しそう。
今日は起きたら何しようかな。……なんでもいいや。今はそれよりも。
愛しい人の暖かさに包まれながら、わたしは再び目を閉じるのだった。
☆ずっと親友
私たちずっと親友だよね、てお話。
今回はなぜか発生した千咲ちゃん連投の一部です。
Twitterの方には千咲ちゃんメインで書いたお話とかもあるのでそっちも読んでいただければ嬉しいです。
最初の数行はちょっと妖しいに雰囲気になっちゃいました。
プリクラとかむかーしに何回か撮ったことはあるんですが遠すぎてもはや記憶がない……。
それはそうとヒロイン目線って難しいですね。
普段が基本主人公目線なのでたまにやるとよく詰まります。
☆秘密のツーショット
お兄ちゃんはいチーズ、てお話。
実は最初は千咲ちゃんで書き上げたんですが、ずっと「これ七海ちゃんで書けるよね?」と思いながらやってました。
なので仕上げた後で七海ちゃんに生まれ変わりました。
ぶっちゃけると、私は妹キャラはすごい好きですが、兄キャラ単体にそこまで思い入れはないのです。
だからお兄ちゃんの腕枕の感触は割かしどうでもいいんですが、七海ちゃん含め妹の抱き心地は絶対に最高だと確信しております。
どんな安眠グッズよりもきっと高性能。