☆傘の中の幸せ
梅雨の季節に入り、気が滅入る日が増えた。
そんなときでも唯一の楽しみがある。
それは相合傘。七海と一つの傘の中で肩を並べて歩くささやかな幸せ。
しかし、それに慣れてしまうとどうしてもさらに欲深くなってしまう。
「七海、ちょっとこっち向いて」
「え、なに? お兄ちゃ——」
「——チュッ」
こちらを見上げた七海に不意打ちのキスをした。
口を離すと、目を見開き頬を真っ赤に染めた七海が文句を言ってくる。
「ちょ……と、ここ外だよ⁉ 何してるの!」
「大丈夫だって。雨で視界は悪いし、そもそも少し傘を下げれば絶対に見られない」
そして、声を荒げる七海にもう一度、唇を重ねる。
「ほらな? 大丈夫だろ」
「そういう問題じゃ……もういい!」
七海はぷいっと頬を膨らませて先に歩き出してしまう。
とはいえ、二人でひとつの傘を使っているし、その傘は俺が持っているので離れはしないのだが。
「……ねえ、暁君」
隣に並んだ俺を七海が呼ぶ。その声に振り向くと——チュッ、と。
「ふふ。驚いた? やられっぱなしじゃいられないからね。お返し!」
☆忍者七海
わたしは情報局特別班所属の諜報員だ。
コードネームはレヴィ9。
本来はサポート役だったとしても、ターゲットの尾行くらい造作もない。
今は真昼間でしかも学院内だから人目が多く、特班の制服は迂闊に使えない。
それでも気配を消し、物陰に隠れることで気づかれることなく目標を観察することができるのだ。
そう、まさしく現代の忍者のように!
お兄ちゃんは今、周防先輩と一緒に歩いている。残念ながら会話までは聞こえない。
む、前方から来た女子生徒と喋りだしたぞ。
偶然すれ違っただけのようだけど、ずいぶん楽しそうに喋ってる様子。
あの女子生徒、見覚えがあるな……。
確かお兄ちゃんのクラスメイトの子だ。
女子生徒も周防先輩もお兄ちゃんも全員笑っている。
というかあの子、お兄ちゃんとずいぶん距離近くない? しかもお兄ちゃんを見る目がちょっと違う気がするんだけど。
ただの友達に向けるような目の輝きじゃないよね?
……要チェックだ。あとでリストにまとめてしっかり覚えておかないと。
もうしばらくの間談笑してからお兄ちゃんたちはようやく解散し、また歩き始めた。
やっぱり、お兄ちゃんの周りはしっかり注意しないといけない。
尾行は継続だ!
「ねえ暁。後ろのあれ、七海ちゃんさっきからなにしてるの?」
「俺にもさっぱりわからん。でもまあ、可愛いからしばらく放っておこうと思う」
☆傘の中の幸せ
相合傘の中の二人だけの空間っていいよね! てお話。
この話で初めて七海ちゃんのTwitter投稿いいね数50行きました!
超嬉しかったです!
そして今なお、七海ちゃんの中で一番のいいね数を維持しております。
やはり相合傘は正義……。
これ書いてて「不意打ち」って単語が好きなんだと自分で気づきました。
七海ちゃんが不意打ちされて焦るところと、お返し! て多分笑いかけるところが個人的にツボです。
☆忍者七海
ポンコツ忍者かわいい、てお話。
このお話が生まれた経緯としてはですね、
まず千恋万華の某忍者さんのSSを気まぐれにTwitter投稿しまして
→結構な反応をいただけまして
→「忍者さん人気すげぇな」
→「……あれ? これもしかして七海ちゃんの最高値抜かれんじゃね?(上の話が七海ちゃん最高値)」
→「これ七海ちゃん抜かれたら七海ちゃんに忍者コスでもさせるかw」
→抜かれた
→「コスはちょっと文じゃ無理だけどお話書きます……」
という流れで生まれました。
いや良いんですけどね。忍者さんで高評価もらえたのも純粋にうれしいし。
でも七海ちゃんの可愛さを伝えきれていないのが悔しい……。
ってわけでこれからも七海ちゃんの可愛さを叫び続けます!
ps
千恋万華の忍者さんSSは今のところこっちに投稿する気はないのでよかったらTwitter投稿(@11yanaya)の6月3日の「忍者のイタズラ」を読んでください!