ヒロインとの1ページSS   作:やなや

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おはよう朝のラブコール/帰り道は手を繋いで

☆おはよう朝のラブコール

「もしもし? おはよう」

「もしかして、今起きたところ? 着信音で起こしちゃったかな、ごめんね」

「ううん、なにも約束してないよ。寝坊じゃないから大丈夫」

「えーとね。朝、起きてみたらいいお天気だったから……。一緒にお出かけしたいなーって。……ダメ?」

「本当? やった!」

「行きたいところ……というか、したいことがあって」

「せっかくいい天気だからね、外でお弁当食べたいな。お花見しようよ。この前ちょうどね、アカギがお花見によさそうで人があまりいない穴場を見つけたんだって」

「ああ、アカギはね、いい天気だからって早くにどこか遊びに行っちゃった。だから、……二人きり、だよ?」

「場所は大丈夫。ちゃんと聞いてあるから」

「うん、じゃあお弁当用意していくね。あでも、今から準備するからちょっと遅くなっちゃうかも……」

「そうだね、うん。13時にいつもの場所で」

「……ワタシも楽しみにしてるよ」

「うん、じゃあまたあとでね。ばいばい」

「よーし、張り切って準備するぞ!」

 

 

 

 

 

☆帰り道は手を繋いで

 多くの人が駅の狭い通路を交差する。黒いビジネスバッグを右手に持ち、その流れの一部になると、「ああ、自分も遂に社会の歯車の一つになったんだ」と実感する。

 社会人となり、初めて一週間ぶっ通しで勤め切って大いに疲れた。おまけに今日は新人の癖に残業までして、もしやブラックか? と不安になる。

 一刻も早く帰りたいけど、飯の支度をするのも面倒だし、何か買って帰ろうか——。

「——だーれだ?」

 背中に柔らかい感触を感じるのと同時に、唐突に視界が暗くなる。

 驚いて振り返ると……そこにいたのは——天使だった。

「天使とか大げさな……。お仕事、お疲れ様」

 そういうと紬はにこりと笑って、手に持っていた買い物袋を見せてくる。

「ご飯まだだよね? 作ってあげるから一緒に食べよ?」

「それはありがたいし喜んで。でも紬も仕事上がりだよね、疲れてない?」

「ワタシだって疲れてはいるよ。でも、だから一緒に食べたいの」

「……そういえば、オレ帰りの時間とか伝えてないよね? もしかしてずっと待っててくれたのか? 悪い、荷物持つよ」

「いいよ。そうしたら両手塞がっちゃうでしょ。ほら左手はこっち」

 紬がすっかり冷えてしまった手で、オレの左手を握り歩き始める。

「こうしてると疲れなんて忘れちゃうね。ねえ、明日のお休みはどうしようか?」

 冷たいはずの手からは不思議と温かさが流れ込んできて、疲れなんて消えてしまった。




☆おはよう朝のラブコール
ねえ、デートしようよ! てお話。
電話ネタの一つです。
いい天気だからあなたとお出かけしたくなったの。なんて可愛い彼女からモーニングコール受けたら飛び起きますよね。
夢から覚めたばかりなのにまるで夢心地で準備すると思います。
若干話は変わりますが、耳元から好きな子の声がするとか、電話ってやばくないですか。

☆帰り道は手を繋いで
お疲れ様、会いたかったから来ちゃった、てお話。
この話は、マジで、伸びた。
いやもう本当に驚いた。
未だもこの話の反応だけ段違いです。
本当にうれしかったです。ありがとうございます。

この話は四月の2週目くらいの金曜日に書いたものですね。
きっと仕事終わりに可愛い彼女に会えたら疲れなんて吹っ飛ぶだろうなーって考えながら。
あと、今回の話は後ろから襲わせてます。
後ろから襲われちゃうシチュエーションが大好きなのです。
荷物持つと両手塞がって、手を繋いで帰れないでしょ? っていうのがすごくお気に入りポイントであります。
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