ヒロインとの1ページSS   作:やなや

19 / 46
眠れない夜は、キミと/寒空おしかけメッセージ/エイプリルフール

☆眠れない夜は、キミと

「ごめんね、寝てた?」

「いや、大丈夫です」

 まだ起きてた、と言わないあたりやっぱり寝ていたのだろう。当然だ、今日も遅かったし明日も早い。

 なかなか寝付けなくって彼に電話したのは〝魔が差した〟というところだろうか。

 寝付けない理由はきっと「不安」だろう。今日は私らしくもないミスを何度もした。その度に彼に助けてもらって事なきを得たけど、メンタルが妙に弱っているのを感じる。

 店で助けてもらって、また彼に甘えてるなんて年上の大人としてはすごく情けない。そう考えると自分自身が空虚に感じて、布団の中で身を丸めてもどこか冷たく感じる。

「今からそっち行きましょうか?」

「ううん、平気。そこまではいい」

 何が平気なものか。こんな時間に電話なんかかけて覇気なく話していれば昂晴が心配するのはわかっているのに。わかっていてそれでも甘える狡猾さに自分が嫌いになる。

 「涼音さん」

 彼が私を呼ぶ。これ以上迷惑をかける前に切らないと。

 「愛してます、涼音さん」

 寝ぼけて、いつもより照れも駆け引きもないその言葉で私の身体に熱が灯る。

 ああ、もうばか。嬉しくてさっきよりも眠れなくなっちゃった。

 

 

 

 

 

☆寒空おしかけメッセージ

「あ、もしもし?」

「うんお疲れー。今からキミん家行くから」

「は、なに。嫌なの? 私が来るの」

「うん、よろしい。お酒とかおつまみとかいろいろ買ってきたけど、何か欲しいものはあった?」

「それも買ってあるよ。よかったよかった」

「キミの好みだって、私はばっちり把握してるからねー」

「え? いいよわざわざ。寒いんだから部屋で待ってなって。荷物だってそんなに多くはないし」

「もー本当、キミは私のこと大好きなんだなー」

「私? 聞かなくてもわかってるでしょ、言わせないでよ」

「あーもう、はいはい」

「私もちゃんと、キミのことが大好きだよ」

「言わせておいて照れてるんじゃないよ。こっちまで恥ずかしくなってくるじゃんか」

「もう部屋出たの? 忠犬か、キミは」

「こんな彼女想いの恋人を持てて、私は幸せ者だね」

「はいはい、もう近くまで来てるからね。慌てない慌てなーい」

「あ、見えた見えた。おーい!」

 

 

 

 

 

☆エイプリルフール

 お店がお休みの今日、私は昂晴を部屋に招いて二人でのんびりと過ごしていた。

「ねー、昂晴」

「なんです?」

 何気ない呼びかけに、彼が返事をする。——今から爆弾を打ち込まれるとも知らずに。

「あのね、……できた、みたい」

「…………………………は?」

「だから、……できたみたいなの」

 私はお腹を押さえながら静かに繰り返す。

 そして昂晴は、

「…………っ、絶対に幸せにします。二人とも俺が、絶対に……」

 大粒の涙を流しながらそう言ってくれた。

 嬉しい。彼が泣いてくれたことが。幸せにすると言ってくれたことが。

 ……だから今、とても申し訳ない。

「あの、昂晴。……あれ」

 私は指さして言う。壁にかけてあるカレンダーを。

 四月一日。本日はエイプリルフールなり。

 「ご、ごめんね? 本当は、まだできてないです」

 昂晴は拗ねてしまったけど、いつか来るその日を私は待ち遠しく思った。




☆眠れない夜は、キミと
いつも頼りになって強気な彼女が電話口で弱気になっているのも可愛いよね、てお話。
もうなんかやなやの中で涼音さんの乙女化が止まらない。
もしかしたら涼音さんここまで乙女しない、という考えの方もいるかもしれませんが、やなやが読みたいから許して。いつかそんなあなたにも「乙女涼音さん良い」と言わせてみせる。

☆寒空おしかけメッセージ
仕事終わりに彼の家におしかけちゃうお話。
わかりにくいかもしれないけど、全部涼音さんの発言です。
多分3行目くらいまで読んでもらえれば察してもらえると思ってる。
行間はそれぞれ想像して楽しんでね。
話はちょっと変わりますが、基本やなやはカプ厨です。
でも、今回はあえて人名を入れてません。昂晴と呼ばせてません。
……あとはわかるよね?

☆エイプリルフール
エイプリルフールネタです。
Twitterの方には当日投稿しました。(そっちにもいいねしてくれるとやなやのモチベーションが爆上がりします)
今回は涼音さんがドッキリしかけたら想像以上にヒットしちゃった、てお話。
この時の昂晴の発言には何の偽りもない。本当にその時が来ても同じこと言ってほしい。
やりすぎた!と思って敬語になっちゃう涼音さんもちょい推しポイントです。


今回3本掲載にしたのは単純に投稿に必要な最低文字数に達しなかったからです。
加筆してもいいんですけど、1ページSSを称している以上、誤字脱字以外の訂正は避けたかったため。

本日投稿の前日に、「ヒロインとの裏話」の方で初の涼音さん投稿してます。そっちも是非読んでほしいな。甘々です。

あと、なぜか涼音さんの話の閲覧数が七海ちゃんの話の閲覧最高数を超えました。
ありがとう!なぜだ!
いや、本当にどの話読んでもらっても嬉しいんですけど、一応最推しは七海ちゃん。
でもやなやも人間だから反応いい方の話を書きたくもなるかもしれない。
いやみんな可愛いから誰書いても楽しいんだけどね
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。