☆バレンタイン
チョコを刻んで湯せんし、それやこれやを混ぜ合わせて型に流し込む。あとは焼き上がりを待つ間にクリームを作り上げ、その他もろもろの用意をして、と。
今年は休日にこの日を迎えたので準備にはたっぷりと時間を使える。そしてわたしの優位を存分に使おう。
ケーキ丸一個はちょっと大きすぎるかもだけど、わたしも食べるしお父さんもいるから問題ないだろう。味についても長年の研究成果を存分に発揮できている…はず。
アラームがスポンジが焼きあがったことを知らせてくる。あとはしっかり冷めるのを待ってから。
包装はしないから直接お気に入りの大皿に乗せて。ラッピングで飾らない分ケーキ本体の見栄えを意識して。
絶対に食べてもらえるという安心感と、一緒に暮らしているからこそ持ち運びを意識しない大きくて繊細なお菓子で挑める、それが妹である私の特権。
別に今すぐ心を伝えたいわけでもないし、そもそもわたしはこの気持ちにまだ名前を付けないままでいようと思っている。
それでも、せっかくの好機にアピールしない手はない。わたしは妹なんだから、自分を大事にしてくれているお兄ちゃんにチョコをあげることくらいなんてことないわけで。
玄関が開く音がして、二人の話し声が聞こえてくる。 いざ!
「おかえりなさい。お兄ちゃん、お父さん。ハッピーバレンタイン‼」
☆お返し
まさか自分がお返しに真面目に悩む時が来るなんて思いもしなかった。
例年は時期になるとデパ地下に行って彩り豊かに並んでいる中から好きそうなものを選んで渡すくらいだった。
どうせ何を渡しても喜んでくれる、くらいの感謝や愛情はあっても込める気持ちはもらったものとは比べようのない代物。なんの参考にもならない。
人に聞いても「気持ちが大切だ」といわれるだけ。気持ちの伝え方こそ知りたいのに。
女の子と意識するようになって、その飾らない笑顔は自分だけのものだと感じるのは、この綺麗な女性は自分のなのだと誇示したいのは優越感に浸っているだけだろうか。
恋人になってから初めてのこの日。食べて笑ってお終いではなく、何か形に残るものを選びたいと思うのは女々しいだろうか。
お返しで「好き」を伝えるときキャンディを選ぶのが「長く続くから」なら、永遠に残り続けるものを贈りたいと考えるのは欲張りだろうか。
控えめなラッピングを施された箱の中、彼女の瞳と同じ色をしたネックレス。
どうせ何を渡しても喜んでくれる、ならばこの気持ちを形にしたい。伝えたい。
彼女の部屋の前に立ち、ノックをする。すぐに返事があり扉が開いた。
俺はどんな顔をしているだろうか。彼女はどんな反応をしてくれるだろうか。
「ハッピーホワイトデー。これは俺からの気持ちだ」
☆バレンタイン
実は初投稿時の目標の一つが一週間連続投稿でこのお話は締めくくりの七日目の作品です。
無事一週間七海ちゃんのSSを投稿出来て達成感味わえました。
七海ちゃんがバレンタインにチョコケーキを作るお話。
年齢としては中2,3年生を想定してます。
自分の恋心には気づいているがまだ踏ん切りはついてない時期。それはそれとして、可愛い妹アピールはいいよねって感じです。
絶対おいしいから食べてみたい。
☆お返し
こちらは暁から七海ちゃんへのホワイトデーのお話。
タイミングとしては付き合い始めて初になるので暁高2、七海ちゃん高1で橘花学園転入後です。
なので上のバレンタインへのお返しではないですね。
「妹」へではなく「恋人」への初のお返しです。
七海に対しての独占欲を感じてもらえれば幸いです。
ちなみに贈り物がネックレスなのは「いつでもどこでも身につけておいてほしい」という思いからです。
学校とか任務とかで引っかかる指輪系は残念ながら外し、服の中に隠せばずっと身につけていられるネックレスを暁君は選びました!
超絶「七海は俺の女」モードです。
せっかくなのでホワイトデーにということでこのお話はTwitterとの同日投稿になりました。