☆仕返し
連休を利用して、お店のみんなで河原にバーベキューに来た日のこと。
メインのバーベキューを終え、昂晴が機材の片づけを買って出てくれた。
「片付けありがと昂晴。お肉もおいしかった。ずいぶんと手際が良かったね」
「満足してもらえてよかったです。練習しておいた甲斐がありましたよ」
「練習? したの?」
「はい、前に宏人たちと。リア充になった時の予行演習だー、って」
「成果を発揮できて何よりだ。それで? キミ、食べてる間もずっと焼き係だったけど、今も片づけを買って出ちゃってよかったの? あっちでみんなと遊ばなくて」
「いいんですよ。俺は希たちが笑っているのを見るのも好きですから」
「へー、可愛い女の子たちの可愛いところを見るのが大好きだと」
「もちろん、一番好きなのはあなたが笑っている姿ですよ、涼音さん」
片づけを終えた彼はそう言いながら、冷たい苺を私の口に押し込んでくる。
「みんなを呼んで、デザートでも食べましょう。冷やしといたからおいしいでしょ?」
全く。私以外の女なんて知らないくせに。どこでこんなことを覚えてきたのか。
顔が熱くてたまらない。
こんなところをみんなには絶対に見られたくない。
だから。みんなを呼ぼうとしている昂晴の襟を掴み、こちらに引き寄せる。
「——チュッ。……本当、おいしい。ねっ、今度は二人きりで出かけようね」
これでみんなを呼べるまい。
私は彼の顔を見て時間稼ぎが成功したことを確信した。
☆戦場の給水タイム
学校やら外せない用事やらで本日の喫茶ステラ、絶賛人手不足中。
俺や涼音さんのキッチン担当もこんな時にはフロア業務に駆り出される。
そしてなぜかそんな日に限って——。
——いちゃいちゃイチャイチャいちゃイチャイチャいちゃ……。
店内のあらゆる席でカップルがいちゃついてやがる。
店内の体感温度は爆速上昇中。
「くそぉ、人のいちゃつきがこんなにストレスになるとは。普段からフロアやってる希たち、ハート強すぎだろ……」
「耐えろ、耐えるんだ昂晴。私たちにできることは増援が来るまでせっせと爆弾(料理)を作って、せっせと敵軍(お客様)に放り込むことだけなんだから……」
そう言い残して涼音さんは作り立てのパンケーキ片手に出陣していく。
ご武運を。
さて、俺もしっかり自分の仕事を全うしなくては。
フライパンを温めつつ、材料の準備をする——と。
涼音さんがズンズンと勢いよく戻ってきた。案外元気そう?
「——昂晴」
名を呼ばれたかと思えば、次の瞬間にはグイッとネクタイを掴まれ引き寄せられた。
「んっ、んん……、ぷはぁ」
重ねるだけよりも深いキスだった。
突発的犯行の犯人は反省も後悔もない表情で言う。
「ふぅ、満足。こうも暑い日には水分補給しなきゃやってられないよね?」
☆仕返し
顔をそんなに染めたまま他の子を呼べないよね? てお話。
ゴールデンウィークネタで投稿したものです。
昂晴が何気なくやった行為で真っ赤に染まる涼音さんは絶対に可愛い。
ちなみに涼音さんが言った「みんな」の中で昂晴が希のことを名指ししているのはちょっとしたこだわりポイントです。
恋人である涼音さんは特別枠だとして、それでも幼馴染は他の子よりも大切に扱っちゃう感じが出るといいと思っています。
年下幼馴染なんて、乱暴に言ってしまえば義妹枠と同じポジションです。大好きです。
希で書いたことがないのは涼音さんがいるせいと、ネタが思いつかないのと、思いついたネタは大体七海ちゃんに吸われるせいです。
ちなみにちなみに、本来このSSは昂晴視点で書いて書き上げたのですが、「私以外の女なんて知らないくせに」の一言を言わせたいがために涼音さん視点に書き直しました。
☆戦場の給水タイム
やってられっかこっちもいちゃついたるわい! てお話。
いやもう実際ね、店内でいちゃついてるの見せつけられる店員さんてどういう気持ちなんですかね。無ですかね。
なんか記憶に自信がないのですが、確かキスの日だか何だかに投稿したものです。
背の低い子にネクタイ引っ張られてキスされるのって夢ですよねロマンですよね憧れですよね。
まあまあ言う人によってはネクタイはリードの意味らしいですから、よく知らん偉い人に握られるより可愛い子に握ってもらいたいというわけでして。
涼音さん可愛い。