☆そしてミノムシへ
妹だとか恋人だとかの贔屓目を抜きにしても、暁君はかっこいいと思う。
整った顔立ち、引き締まって筋肉質な体、不愛想ながらも接するうちに伝わる優しさ。
そりゃあ、おモテになりますとも。そもそも本人が気づいていなかっただけで、中学時代や転入前にだって、明らかに暁君に好意を向けている女の子はいた。
今だって、昼休みに校庭で周防先輩や他の友達とサッカーをしている姿を見て、頬を染める女子生徒を見つけた。
その視線の先が暁君だという証拠はないけれど、おそらく正しい。だって、暁君にボールが渡る度に瞳を輝かせているのだから。
「わたしも同じタイミングで、同じ表情してるからなぁ……」
予鈴が鳴る前に一応の決着がついたようで、試合が終了する。選手たちの様子から暁君たちのチームが勝ったことがわかる。
遠目で見守る中、さっきの女子生徒がその輪の中に入っていく。彼女は暁君たちと同じクラスのようで、楽しそうに談笑を始めた。……というか、距離が近いな? 暁君は特に意識していないみたいだけど、女子生徒は明らかに暁君にアピールしている。
クラスの団欒を邪魔しには行かないが、それでも胸にもやもやとしたものを感じる。
「お兄ちゃんの恋人はわたしなんだから! 絶対に付け入るスキなんて与えない!」
そんな決心の下、すぐにでも二人の愛を確認しようと思う。
具体的には今晩お風呂上りに、暁君の部屋へ押しかけてやるんだから!
☆インプリンティング
「暁くーん。おはよー?」
「んんむ……あと……五分……すぅぅ」
そんな毎朝の定番を今日もまた繰り返す。
はいはい、と返事を返してから途中だった朝ご飯の支度に戻る。
毎日の繰り返しの中で見つけた好みの味付け。
あなたの毎日をわたしが作っている。
『インプリンティング(刷り込み)』
孵ったばかりの雛は初めて目にしたものを親鳥だと思い込むそうな。
それならお兄ちゃんは、毎朝一番最初に会って、手料理を一緒に食べ、同じ屋根の下暮らすわたしを、いったい何と捉えるのか。
……多分、普通に『妹』と捉えるんだろうな。
まあ文句はない。それ以上のことを望んでもいない。
ただ願わくば今のこの関係が、時間が、毎日が。ずっと、ずっと続けばいいのにな。
いつの日か訪れるそのときのことなんて考えない。
わたしは胸に秘めたこの感情に蓋をしながら『妹』になる。
……わたしが『妹』を刷り込んでいるのは果たして誰にだろう?
お兄ちゃんに?
それとも……。
☆そしてミノムシへ
お兄ちゃんはわたしのなんだから! てお話。
一週間連続七海ちゃん投稿チャレンジ第5弾。
学年が違うからこその距離感に嫉妬してほしい。
授業中に教室窓越しに体育とかではしゃぐ校庭の暁を見つめてほしい。
廊下でふとすれ違ったときに手を小さく振ってほしい。
お兄ちゃん大好きが周りに駄々洩れであってほしい。
え、世の兄妹たちはこんな学校生活を送っていたってまじですか。
家は楽園、学校も天国とかまじうらやま。
とりあえずおしかけサプライズしようとして窓開かなくてミノムシになってる七海ちゃんはきっとかわいいです。
☆インプリンティング
〝妹〟って誰に言い聞かせてるの? てお話。
一週間連続七海ちゃん投稿チャレンジ第7弾。
え? 6はどこいったって? 6と8が続き物だから来週載せるよ。
ついでに言うと一週間連続投稿とか言いつつ、最終日は3本投稿してるから全部で9本あるよ。
なんか悲しげなお話になった理由がよくわからない。
でもたまにはこんなお話も好き。
自分が書いたから当然ですが、自分の好みの書き方になってます。
特に今回は『ただ願わくば今のこの関係が~』の部分が好き。超好き。