☆口実、雨
今日も仕事が終わり、涼音さんと二人並んで帰る夜道のこと。
何気ないワンシーンでも、愛する人の隣を歩けるだけで幸せなものである。
……それが小雨をそれぞれの傘で防ぎながらの、蒸し暑くじめじめとした帰り道でも。
「雨雨降れ降れもっと降れ~、どぅ~せ降るならちゃんと降れ~」
「なんですかその歌。童謡? のアレンジですか。」
「だって毎日毎日嫌になっちゃうよ。洗濯物は乾かないし、いちいち傘持って出るか迷うのが面倒なんだもん。降るなら降る、降らないならちゃんと晴れてほしい」
「まあわかりますけど。……傘、出るときに降ってなかったら持たなくていいですよ」
「は? なに、私に濡れて帰れと」
「そうじゃなくて。どうせ一緒に帰るんです。傘持ってなかったら俺のに入ってくださいよ。肩並べて帰りましょう」
「ふーん、それはいいね。……ところで、持ってたらダメなの?」
「へ?」
「だから、傘持ってたらキミのには入れてくれないの?」
「まさか。いつでもどうぞ」
俺が傾けるようにして差し出した傘に、自分の傘を閉じた涼音さんが飛び込んでくる。
そしてそのまま肩を並べるを通り越してくっつける様にして歩き出す。
「こうして帰れるなら、毎日雨でもいいかもね」
☆キミの隣
私がお風呂に入っていると「ただいま」という声が玄関から聞こえてきた。
その声を聞いた私は手早くお風呂を済ませる。
最近忙しくしているようでなかなか一緒の時間を過ごせていなかった。
だから今日こそは! そう思っていたのに。
せっかく帰ってきたキミはすでにソファの上で撃沈していた。
お風呂にも入らず、布団にもいかず、何より私の顔も見ないで力尽きるなんて。
…………はぁ。もう仕方ない。
ちょっとひねくれていて、それでも頑張り屋さんのキミが大好きだから。
だから頑張るキミを否定なんてできやしない。
「まったく、全然かまってもらえなくて私は寂しいんだぞ。わかってるの?」
私の力ではキミを布団までは運べないから、そっとブランケットをかけてあげる。
それでも全く起きる気配のないキミの額に私の一方的な愛情をチュッと押し付けた。
「お疲れ様。大好きだよ、おやすみ」
夢の中にまでお邪魔しようとなんて考えない。しっかりとキミの意思で抱きしめてほしいから。だから私は一人、大人しく寝室に……行こうとした足を止めて振り返る。
二人掛けのソファの真ん中に陣取るキミが目に映った。
……眠ってる間くらい隣にいてもいいよね?
私はブランケットを静かに持ち上げ、一人分には狭いスペースを確保する。
⭐︎口実、雨
相合傘は正義、てお話。
いや正義でしょ。
あんなイチャコラするためだけのシチュなかなかない。
それはそうと「雨雨降れ降れもっと降れ~、どぅ~せ降るならちゃんと降れ~」は梅雨の時期に割とマジで思ってました。
降るならちゃんと降って、その分ちゃんと晴れてほしい
降るな、ってんじゃないのよ。降るならまとめて降れと言っているんだ。
雨ネタは好きです。
⭐︎キミの隣
キミの隣にいたいよ、てお話。
ずっと頑張ってると疲れちゃう。だから休息は必要。
自分のことを大切にしてくれる人はきっといるから、その人に存分に甘えるのがよかろうですな。
寝てる額にチュってするのが好きです。
追記
タイトル表記間違えてました。
「頑張るキミへ」→「キミの隣」に修正します。
もともと「頑張るキミへ」で書いてたところ、投稿時に「キミの隣」に修正してこっちに投稿するときに治し忘れてました。
やっちまったぜ☆