☆体操服
「さ、暁君!」
二時間目の休憩時間が始まってすぐに慌てた様子で七海が俺の教室を訪ねてきた。あまりに慌てた様子に何事かと思いこちらから聞く。
「どうしたんだ?少し落ち着けよ」
「落ち着いてられないよ!早くしないと休み時間が終わっちゃう!暁君、体操服貸して!」
はぁ?と呆れると七海はまくしたてるように
「下は持ってきてたからジャージだけでいいから。この時期に半袖は寒いよー」
確かに最近はよく冷える。特に今日は一面曇り空なので余計に肌寒く感じるだろう。
「それなら他のクラスの女子に頼めよ。それに一時間目が体育だったからそこまでではないにしても汗かいてるぞ?」
「他の子にいきなりこんなお願いできないよ。それにお兄ちゃんのならわたしは大丈夫だから!借りてくね」
そういうなり俺のジャージを引っ掴んで走り去ってしまった。
本当にもう、お互いいい年なんだから気を付けてほしい。普段はシスコンきもいとか言ってるくせに慌てているからってそんなことを教室で大声で言うなんて。
俺は後ろでニヤニヤしている三司さんや恭平を睨みつけてから机に突っ伏したのだった。
☆体操服2
少し大きめのジャージがずり落ちないように紐をしっかりと結ぶ。袖を折って動きやすいように調節する。まだぶかつくけど許容範囲。
「あ、七海ちゃん間に合ったんだ。よかった」
「うんギリギリセーフ。体育の先生怒るとちょっと怖いから本当よかったよ」
わたしに気づいた千咲ちゃんと柔軟体操を始めると、冷たい風が吹きつける。
「ひゃー、すっごく寒い。七海ちゃん、ジャージ借りてきて正解だよ。凍えちゃうよ!…そういえばずいぶん時間かかってたけど誰に借りてきたの?」
え、それは…と言いよどむと千咲ちゃんはニヤニヤと笑みを浮かべて、
「わかった!お兄さんの所まで行ってたんだ!そこまでいかなくても隣のクラスの子に借りればよかったのにー」
わかっている。その通りなのだ。その方が確実に早かった。でも焦ったわたしはなぜだか暁君に頼ることしか考えられなかったのだ…。なんてブラコンみたいなこと絶対に言えない。暁君にもちょっとごまかした。
「いひひ、七海ちゃん授業始まる前から体ポカポカしてきたね。お兄さんのジャージがあったかいのかなー?」
「う、千咲ちゃんあんまり意地悪言わないで」
そう言い返しながらも本当にいつものジャージよりも暖かい気がして今日の授業は寒さなんて感じることはなかった。あと、少し暁君のにおいがした。
☆体操服
兄妹で貸し借りってかなりのあこがれがあります。
同じ学校に兄妹がいるだけで学校が楽しくなりそう。…想像ですが。
とりあえず「お兄ちゃん、ジャージ貸して!」のお話。
焦ってぱにくって普段なら照れそうなことを大声で言ってほしい。
仲のいい兄妹は最高ですね。
ちなみにまだ付き合ってない想定で書いたけど、よく考えたら夏頃に橘花学園に転入して割かしすぐに付き合ってるはずだからどこ時空の話なのかな?状態。
きっと付き合う直前に冷え込む時期があったんだよそういうことにしときましょう。
周りからニヤニヤされて照れてるのをみてニヤニヤしたい。
☆体操服2
1ページSSとか言ってるくせに続き物ってどうなのよ、というのは置いときまして。(どうせたぶんきっとまたやるし)
無事ジャージをお兄ちゃんから借りられた後のお話。
全編と合わせて対になるように書きました。
暁視点と七海視点。シスコンとブラコンの単語をそれぞれに。
暁のジャージ生きてる七海ちゃんってそれだけで萌える気がする。
彼シャツならぬ彼ジャージ。いいね!