☆ザクザクザクザクザクザクザクザク……
ああ、なんかやけに悶々とする。
原因はわかっているのだ。
時期に関係なく厨房は暑いが、この季節はなおさらそうだ。
いつもは生真面目にネクタイまできちんと絞めている昂晴がだれるのも仕方ない。
休憩時間だからネクタイを緩め、首元をパタパタ扇ぐのも仕方ない。
その汗ばんだ肉感やにおいにつられて私が変な気分になるのも仕方ないことなのだ。
調理に集中する自分と、欲望渦巻く自分が、ぐるぐると私の中でせめぎあう。
「……昂晴。……昂晴。……昂晴」
折衷案(になっているか微妙だが)として、彼の名前を呼びながら調理を進める。
もはや体に染みついた仕事は煩悩まみれの状態でも問題なく完遂される。
さて、次のオーダーは……。
これなら、材料はまとめて用意しちゃった方が手っ取り早いかな。
「……昂晴。……昂晴。……昂晴昂晴昂晴昂晴昂晴昂晴昂晴昂晴昂晴昂晴…………」
そんな彼女を静かに見守る休憩上がりの二人の姿があった。
「にひひ。どうですか高嶺さん? 最愛の彼女が自分の名前を呼びながらムラムラしている様子は。なかなかにクルものがありますか?」
「……いや。俺の名前を呼びながら一心不乱にウインナーを刻んでるのは素直に怖い」
☆ネコネコウインク
酒が入っているせいで幻覚を見ているのかもしれない。いやきっと幻覚に違いない。
だって目の前になぜか猫ミミ猫シッポの涼音さんがニャーンとポーズをとって俺のことを誘惑してくるのだから。いや可愛い! 可愛すぎるな!
ミミもシッポもピコピコ動いて体が小柄なこともあって本当に子猫のようだ。
そのうえ、
「にゃーん。ご主人様~。構ってほしーにゃーん♡」
なんて台詞自体はテキトーだが猫のように鳴く姿がまたあざと可愛い。
ぐっ、とつい顔がにやけそうになるのを必死に堪える。
いや別に勝負をしているわけではないが挑まれてストレートに負けを認めるのも男が廃るというもの。何より俺の反応を引き出そうと涼音さんがもっといろいろしてくれるかも、という下心が俺の表情筋を支える。
そんな俺の鉄仮面を見た涼音さんの頬が、むー……と少し膨れる。
かと思えばコテンと小首を傾げ、勢いそのままに左目をパチリとウインクを披露する。
その弾丸は次はどんなあざといポーズを決めるのか、と構えていた俺の防壁をフェイントのように潜り抜けてグサリと突き刺さった。
「……ふふ、凝った格好をしなくても案外簡単に落とせるものだね?」
俺の陥落した表情を見て猫ミミ涼音さんは満足そうに勝利を宣言する。
それはだって、元々素のあなたに落とされてるんだから当たり前の話なんですよ。
☆ザクザクザクザクザクザクザクザク……
悶々悶々が止まらない、てお話。
こう……名前を呼びながら一心不乱に何かしてる様子っていいですよね。
ちなみにこの光景を他の3人が見ていたら、
「昂晴君浮気でもしたの?」
「うわ先輩サイッテー」
「死ねばいいのに」
的な会話が繰り広げられます。
☆ネコネコウインク
「にゃーん構ってにゃーん」てお話。
今回のお話には元絵がありまして、ぱるぺんぺさんの猫涼音さんを元にさせていただいてます。
涼音さんってだけで可愛いのにさらに猫×ウインクとかもう最高じゃあありませんか!
まじ可愛い!