ヒロインとの1ページSS   作:やなや

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わたしにとっての/アツアツ鍋パーティー

☆わたしにとっての

 とある雨の日。二つ傘がゆっくりと並び歩く。

 お互いの傘の分だけいつもより少しだけ遠くなるのが少し寂しい。

 

「買い物一緒してくれて助かったよ。週末は買うもの多いからちょっと大変なんだよね。特に雨が降ると、傘を差す分余計に」

「……あー、悪いな。いつも家事とか任せきりで。その……何か思うこととかあるか?」

「いいよ別に。今さらなに? わたしそんなに嫌々そうにやってるように見える?」

「そういうことじゃないけど……。ほら、一応俺が兄なわけだし、妹に対して〝いい〟兄をやれてるのか、って。そんな風に思って——」

 

 ——ブォォオオオ、バッシャア! と。

 わたしたちの横を一台の車が通り過ぎた。水しぶきを盛大に跳ね上げる形で。

 

「……荷物、大丈夫? 濡れてない?」

「……妹よ、少しはずぶ濡れの兄の心配もして欲しい」

 

 髪から服から水を滴らせるお兄ちゃんがボソッとつぶやくその言葉に、

 

「……フ、フフフ! こんな漫画みたいにびしょびしょになること本当にあるんだね」

 

 思わず笑いがこみ上げる。だってわたしは少したりとも濡れていないのだ。横を歩くお兄ちゃんに守られる形で。今回は偶然かもしれないけどいつだってわたしを守ってくれる。だからきっとそんなお兄ちゃんにはこう言ってあげていいだろう。

 

「〝いい〟お兄ちゃんは知らないけど、お兄ちゃんは〝最高〟のお兄ちゃんだよ!」

 

 

 

 

 

☆アツアツ鍋パーティー

 日が短くなり、めっきり寒くなってきた今日この頃。我が家の本日の夕食は妹特製、熱々のお鍋である。日中の寒さを乗り切った体を、内側から温めてくれる具材をこたつに入って食べる幸せ。最高に冬を満喫できるメニューだ。だというのに……。

 

「……やっぱり厳しいな。だいぶマシになってきたが、まだうまく箸を持てない」

 

 俺は学校の体育の授業で利き手を突き指してしまったのだ。おかげで室長には「手が使えないなら今夜の任務は他の者にやらせる。お前はさっさと帰って、そのたるんだ精神を切り替えてこい」なんて言われてしまうし。ちなみに室長は急な人員調整のため今も働いている。本当に申し訳ない。

 

「七海、フォーク取ってくれるか? それなら食べられると思うんだが」

「んー。それよりちょっとやってみたいことがあるんだけど」

 

 そういうと七海はとことこと俺の後ろに回り、ぴったりと張り付く。そして俺を間にしたまま鍋に箸を伸ばし、器用に豆腐をつかみ取る。いわゆる、〝二人羽織〟の姿勢だ。

 

「お兄ちゃん動かないでね。えっと、この辺かな……。はい、あーん」

「はい……って、フォークさえくれれば自分でできるから!」

 

 子ども扱いされているようで気恥ずかしいし、背中に感じる柔らかさに嫌に緊張する。

 

「いいからいいから。ほらあーん……っあ!」

「——ぅあっつ⁉ やるならせめてちゃんと口の中に入れてくれ!」

 

 と言いつつ、その後も好きなようにやらせた俺は、やはり七海に甘いのかもしれない。




☆わたしにとっての
 わたしのお兄ちゃんは最高のお兄ちゃん、てお話。
 11月23日いいにーさんの日のお話。
 おにーちゃんは道を歩けば車道側だし、荷物は重い方持つし、歩くスピードも長年の経験から妹の速度にジャストで合わせられるように訓練されてるきっとそう。

☆アツアツ鍋パーティー
 ——ぅあっつ⁉ てお話。
 たまにはこんな甘い……もとい熱いお話でも。
 これは私事ですが、後ろから抱き着かれるシチュが好きです。
 だから今回も「あーん」するにしても正面から出よくない? というのも思いましたけど我欲を優先させて次第でございます。



 いよいよもってストックがないので来週はわからない。
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