ヒロインとの1ページSS   作:やなや

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バレバレの贈り物/願いと答え

☆バレバレの贈り物

 クリスマス。恋人たちの逢瀬の日。そんな日にワタシたちは待ち合わせをしていた。

「お待たせ柊史くん。待った?」

「いいや、オレも今来たところだよ。行こうか」

 冬の中でも特に寒い今日、ワタシだって待ち合わせの時間よりも先に着いたのに、柊史くんは当たり前のようにそう返してくる。それに応じようとして……あ、いや。

「ちょっと待って。先に……ハイこれ。メリークリスマス」

「ありがとう。じゃあオレからも……紬、メリークリスマス」

 ワタシが手に持っていた包装を柊史くんに手渡すと、お返しに柊史くんからも一回り小さい包装が手渡された。お互いに、もらったばかりのそれを丁寧に開ける。それぞれの中身、柊史くんはマフラーを、ワタシは手袋を確かめて、大事に胸に抱えた。

「そうだ柊史くん。そのマフラー、ワタシが巻いてあげるよ。ちょっと貸してね」

 若干強引に柊史くんの首に抱き着くようにして巻き始めと、柊史くんは照れながらも、ワタシが巻きやすいように少し屈んでくれた。……うん。良かった、よく似合ってる。今日の気候には不釣り合いに首元だけ開いていた柊史くん。ワタシの贈ったマフラーはその恰好を埋めるようにぴったり収まった。

 ……まあ、あれだけ露骨にプレゼント候補を探ってたら柊史くんにもバレちゃうよね。

「あったかい。大切にするよ。紬も、その手袋着けてみてくれないか?」

 ワタシは冬の風ですっかり冷たくなった手に、その大事な手袋を付けていった。

 

 

 

 

 

☆願いと答え

 色とりどりに輝く装飾が、冷たい冬の空に映える。季節の風物詩とも言える幻想的な風景が人々を魅了し離さない。オレと紬も、目の前の景色に呑まれていた。けど。

 あまり見惚れてもいられないな。さすがにこの人ごみの中だと紬とはぐれかねない。そんな思いで紬の様子を見ると、両手を胸の前で合わせて食い入るようにイルミネーションを見ていた。……いや、時折視線を下ろして、新しい手袋を見て嬉しげに微笑む。

 オレが贈った手袋を喜ぶのを見て、オレは安心するとともに——嫉妬していた。

 まさか自分が贈った手袋に嫉妬する日が来るとは……。紬の白い手を包んでいるのが、オレの手でないことが我慢できない。幸いこの人の量だ。きっと「はぐれたらいけないから」と紬に言えば、それだけでスマートに手を繋げるだろう。

 でも、それは嫌だと思った。紬と手を繋ぐのに言い訳なんてしたくなかった。

「紬」

 一言そう呼びかけるだけで、紬はこちらを向いてくれる。次の言葉を待って、紬はキョトンとしている。寒さで頬が赤く染まる中でのその表情がとても愛おしい。

「紬。手、繋いでくれませんか?」

 付き合いたての頃のように恭しく。オレはそっと手を差し出す。紬はその仕種に少し驚いて、でもすぐにオレの目をまっすぐに見つめながら「仕方ないなぁ」と笑う。

「絶対に拒むわけないって、知ってるくせに」

 オレたちはしっかりと互いの手を握り合い、同じ景色を一緒に眺めるのだった。




☆バレバレの贈り物
メリークリスマス! てお話。
 今回は2本連続のクリスマス回です。
 本当はマフラーを巻いてあげる部分を一番丁寧に書きたかったんですが、ほかに書きたいところを考えるとそうもいかなかったので割とすんなり流しました。
 最後のあたり、少し表現がわかりづらかったかなと思いますが、ちょっとおしゃれ感を出したかった。納得のいく表現はまだまだ難しい……。

☆願いと答え
 絶対に拒まない、てお話。
 続いてのクリスマス回。
 この季節になると住宅街でイルミネーションを飾るご家庭が増えてきますよね。
 それを見ながら歩いているときに、隣で一緒に見たいなと思ったヒロインは紬でした。
 ところで私のオタクの原点は「灼眼のシャナ」なのですが、その最終決戦の詰めの詰めでシャナが「絶対に拒まない。だから今すぐ私と行くって言いなさい!」って言うのがすごく好きなのでどこかで使いたかったんです。
 だから今回はとても満足。
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