ヒロインとの1ページSS   作:やなや

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早起きの理由/家出

☆早起きの理由

 動きやすい格好に身を包んだ七海がやたらと張り切って伸びをしている。

「珍しく朝から待ってると思ったらどうしたんだ? 一緒に走るだなんて」

 今朝、日課のランニングに向かうと寮の下で七海が俺のことを待っていたのだ。

「別にー。わたしも裏方とはいえ体力つけておくに越したことはないし、朝から会えるんだからもっと喜んでよ」

「そりゃ嬉しいことは嬉しいが、早起きして朝から走って一日もつのか?」

「なにもお兄ちゃんのペースで走るわけじゃないよ。気にしないでおいてっちゃっていいからね。あ、でもランニングコースは最初に教えてほしいかな」

 そう言ってスタートだけは知っている俺のランニングコースを先に進み始めた。

「最近、クラスはどうだ? 友達と仲良くやれているのか?」

 俺はすぐに追いつき横に並んで訪ねる。

「なに? 急に。わたしたちが転入して結構経つよ? 今更だよ」

「ほら、俺たち付き合い始めただろ。兄妹でなんて、とか周りにいわれてないかなって」

「あはは、心配しすぎだよ。大丈夫。それにわたしには千咲ちゃんもいるからね。絶対に味方でいてくれると信じられる、大切な親友だよ」

 そう笑う七海にその言葉が嘘ではないことを確信して安心する。それはそうと……。

「その大切な親友に聞いたんだけど、最近七海が体重計に乗って落ち込んでるって……」

「……たった今、大切な親友に大切な話ができたよ」

 

 

 

 

 

☆家出

「総員、探せ! 何としても見つけ出せ! 一刻も早く保護するんだ!」

 普段からは考えられないほど冷静さを失っている室長が叫ぶ。まあその気持ちがわからないでもない。室長の焦り具合とは裏腹に端末から聞こえる特班の面々の返事は「う~す」や「へ~い」などというやる気が微塵も感じられないものだったからだ。

 かく言う俺もやる気はない。捜索範囲になっている自宅付近をテキトーに歩きながら目標を捜索していた。

 なんとなくこっちかな? という方に進むと、いた。体育座りをして顔をうずめるように縮こまっている。

 足音に気づき小さな影が顔をあげる。やってきたのが俺だわかると一瞬微笑んだ後、プイっとそっぽを向いてしまった。

「みんな探してるぞ。帰ろう」

「知ってるよ、私の端末にも筒抜けだから。それにみんな探してる‘‘ふり”でしょ」

 だよな、と俺は笑う。いくら組織の長の命令とはいえ親子喧嘩による家出娘の捜索なんて真面目にやるほどみんな暇じゃない。

「対象、保護しました。室長は無視して解散してください。ご迷惑おかけしました」

 と親父以外の端末にメッセージを送る。そして七海の手を引き言う。

「さ、帰ろう。コンビニで何か好きなもの奢ってやるよ」

 端末からは「七海ちゃ~ん、ごめんよ~」と情けない父親の声が流れてきていた。




☆早起きの理由
もう朝っぱらからイチャイチャしててほしいなー、てだけのお話。
千咲ちゃんからも七海ちゃんの情報はきっと筒抜けなんだろうなー、と
親友の前でも気が抜けませんね。
何気に七海ちゃんに言わせた「会えるんだからもっと喜んでよ」の言葉、すごく気に入ってます。
まさかわたしに会えたのに嬉しくないわけないよね? という愛され自覚と自信の表れは良い。

☆家出
誰しも家出したくなる経験ってあるよね、てお話。
実際にやるかとか、どの程度出ていくかは人に寄るけど。
私は親と喧嘩して財布も持たずに家を飛び出し、夕暮れになってお腹が減ったので普通に帰った覚えがありますね。我ながらしょぼい……。
想定としては七海ちゃん中学二年、暁君中学三年生くらいですかね。
喧嘩の原因は知らないけど年頃の娘を持つと、父親は大変なんですよ。きっとたぶんおそらく知らんけど。
そんな中一番最初に発見するのはさすが兄の面目躍如ですね。
七海ちゃんも暁君に見つけてもらいやすい場所とかに隠れてたらとても良いです。
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