ヒロインとの1ページSS   作:やなや

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ハートの贈り物/あなたの好きな長さ

☆ハートの贈り物

 休日の昼下がり、いつものメンツでトランプのいろいろなゲームを楽しんでいた。

 ただ、少し前から七海の顔が暗いのが気になる。原因は確実に、ゲームのたびにボコボコに惨敗していることだろう。七海はポーカーフェイスとか下手だから仕方ないが。

 なんとかして勝たせてやりたいが、今のゲームはババ抜きだ。運要素が強いこのゲームで手助けは難しい。俺のカードを七海が引く位置にいるから、最悪の場合には、ババは俺の手札として死守してみせる。……七海が既にババを掴んでいないことを祈って。

 さて、七海がカードを引かれ、続いて俺から引いていく。ダイヤのA。そして厳しい表情。残念ながらペアは生まれなかったようだ。

 今度は俺が隣の恭平から引く。と、これは。

 俺は最小限の動きで、みんなが俺たちに注目していないことを確認した後に小さく、

「七海」

 と呼びかけ、一枚のカードを少しだけ上にずらす。

 七海は小首をかしげると、次の番で素直にそのカードを引き抜いた。

「……!」

 俺から贈ったカードを見ると、七海は頬をうっすら紅く染めた。ちょっと手助けしたくらいでそんなに怒らなくてもいいと思う。

「……バカ」

 七海はそう言ってみんなが不審に思う前に、二枚の赤いカードを場に捨てた。

 

 

 

 

 

☆あなたの好きな長さ

 七海の機嫌が妙に悪い。

 何か怒らせるようなことをした覚えはないが、外出から帰ってきたら俺のことをじっと見つめ、すぐに顔を伏せて立ち去ってしまった。

 外出先で何かあったのだろうか。

 向こうから言ってこない分には、こちらから下手に口出しできないのだが。

 ソファで横になってそう考えているうちに、どうやらうたた寝してしまったようで。

 気が付いたら、目の前に七海の頭が見える。ソファに背を預けて座っているようだ。

 俺は目を閉じたまま、そんな七海の頭を——ポン、と。優しくなでる。そしてそのまま七海の髪をすいていく、……途中でいきなり抵抗が消えた。

 普段と違う感覚を不思議に思い、二度三度と髪をすく。しかしどうしても途中で感触が途切れてしまう。そのことに慌てて目を開けて確認をする。

「七海、お前髪切ったのか」

「……気づくの遅いよ、バカ。少しだけど女の子が切ったことくらい気づいてよね」

 七海はそういうと、少し短くなった髪を手で持ち上げて問いかけてくる。

「どう? 似合う?」

「……似合っていると思う。……でも、前のもっと長い方が良かった」

「そっか。……じゃあ、しばらくは髪を切らないでおこうかな」

 結局、元の長さまで伸ばした後、七海が髪を短くしたのを俺が見ることはなかった。




☆ハートの贈り物
これは3月30日に RIDDLE JOKER 発売3周年記念に投稿したSSになります。
みんなでトランプしてるけど七海ちゃんがなかなか勝てなかったよ、てお話。
実は投稿日の前日くらいまでなに書くか全然決まらなくて結構焦ってた思い出。
とりあえず七海をメインで書きたくて……トランプやらせるか……と。
これ、想定道理に伝わるかな、伝わるといいな、なんてかなりお祈りしながら投稿しました。
一連の流れを七海ちゃん目線で見ると、暁君からカード指定されるわけですよ。それを引いてみたらあの赤いマークがあるわけですよ。しかもAだからでっかいのが。(トランプの柄なんてたくさんあるでしょうが、ここではAのはでっかくプリントされてます!)
暁君からいきなり大きなハートマーク渡されたらそりゃ赤くもなるよね、て。

☆あなたの好きな長さ
私の変化になんで気づいてくれないの! てお話。
このお話は我ながらシチュエーションとしてはものすごく気に入っていて、最高に楽しく書き上げた一品。
半面、まだまだ自分の筆力が足りないと思い知らされた一品でもあります。
レベルが上がったら書き直してみたいランキング断トツNo.1。
七海ちゃんの変化に気づけなかった暁君。気づいてほしいけど、「違うところわかる?」というほど強気にも出られなかった七海ちゃん。
それでも気づいてほしかったから寝ている暁君の目線の高さに自分の頭が来るようにして待ち構えると。
暁君は暁君で「七海元気ないな」って頭ポン、ってやるわけですよ。
まあ実際、物心ついてからなった兄妹として普段からそこまでのスキンシップをしていたかは少々疑問ですが、ここはゴリ押させていただく所存。
で、そのまま髪をスッと梳いていく過程で髪の長さの違和感に気づくと。
それで気づくとはさてはお前普段から妹の髪触り慣れてるな? と。
ここを書けて私はとても満足。
世の兄妹事情なんて知りませんが兄妹関係が大好きな私はそれくらいの甘い兄妹関係を望みます。

長々と失礼しました。
こういう解説系は本来蛇足かもしれませんが、それもこれもやなやの筆力が足りないせい。
お読みくださる皆様に多大なる感謝を示しながら精進させていただきます。

それはそれとして、先日ふとTwitterのいいねRT数を見比べてみたんですよ。
なんと……。
七海ちゃんトップ3に入ってなかった!
これは由々しき事態だなと。七海ちゃん推しとして看過できないぞと。
これからもやなやの趣味100%の七海ちゃんを投稿していきますのでぜひ応援してくださいね!
もちろん他のキャラも。(小声)
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