ヒロインとの1ページSS   作:やなや

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優先順位/hit a kiss

☆優先順位

「お兄ちゃん何読んでるの?」

「んー?」

 わたしの質問に、顔も上げずに寝ころんだまま本の表紙だけを見せてくる。父娘が砂浜で遊んでいるその漫画は、わたしもずっと楽しみにしていた最新刊。おのれ先に読むとは。

「おーにーいーちゃーんー?」

「あー、後でなー」

 なによりも許せないのは、妹がこうして構ってあげているのにろくに反応しないことだ。たまの休日にゆっくりしたいのはわかるが妹に対する態度がなってない。

 それならば、と。

 仰向けで本を掲げて読んでいる、その腕の中にずぼっ! とダイブする。

 体勢を整えると……想像以上に近い距離。それはそうだ。今、格好的には抱きしめられているんだから。自分でやっといて、あわあわと自分で慌ててくる。近い近い、本当に近い。

 ……それなのに暁君は、

「七海、読めない。邪魔だ」

全く意識していないどころか、この状況でも漫画を優先しようとしてる。許せぬ。

「せっかくのお休みなんだから、お買い物いこうよー。おーねーがーいー、お兄ちゃーん!」

 今日は絶対に一緒に出掛けてやる。可愛い服に着替えてアピールして、妹は女の子なんだぞと知らしめてやる!

 

 

 

 

 

☆hit a kiss

 本日は球技大会。そして、俺の参加種目は野球だ。

 青空が晴れ渡るように天気に恵まれ、絶好の運動日和……なのだが。

 昨夜、というか今朝方まで任務をこなしていた俺には、絶好のお昼寝日和と相成った。

 今も試合を見ているのか、瞼の裏側を見ているのか、正直わからない。

「暁ー? そろそろ暁の打順だよ。いい加減に起きないと三司さんたちが後で怖いよ」

 恭平の忠告には痛み入るが、暖かな日差しと心地いい喧騒が眠気を引き立てる。

 でもいい加減にそろそろ起きないとな……なんて決意したその時、

「おーにーいーちゃーんー」

「うお⁉」

 背後から聞きなれた声と、柔らかい感触に襲われた。

「眠たいのはわかるけど、せっかくの行事なんだからちゃんとしなきゃだめだよ?」

「それはそうなんだがな。眠気のせいでいまいちやる気が出ないというか……」

「それなら……」

 七海はそういうと顔を俺の耳元に近づけ、もう少しで唇が触れるほどに接近する。

「もし、お兄ちゃんがホームラン打って、お兄ちゃんのチームが勝ったら、……キス、してあげる。かっこいいところ、見せてよね」

 耳にかかる七海の息遣いとその言葉に、俺の脳は急速に活性化する。

 俺は自身のアストラル能力すらフルに発揮し、ボールにバットを叩きつけるのだった。




☆優先順位
ちょっとお兄ちゃん、わたしより漫画を優先するとは何事か! てお話。
こんな感じで「構って構って」ってくる妹はきっとかわいい(確信)。
ちなみに暁が読んでいる漫画は明確にモデルがあって「よつばと!」15巻です。
書いた時が発売直後だったんですよね。最高でした。

☆hit a kiss
妹のご褒美でお兄ちゃん頑張っちゃうよ、てお話。
キスしてくれるなんて言われたらそりゃもう張り切っちゃうよねあたりまえだよね。
実はTwitter投稿時三日連続投稿していて、全部後ろから抱き着かれてます。
だってそのシチュエーションが好きなんですもの。
タイトルの「hit a kiss」ですがダブルミーニングのつもりです。
「hit」で単純に「打つ」という意味と「命中する」という意味を掛けてます。
正直英語苦手なので文法があっているのかはちょっと不安……。
まあそれは置いておいて、「キスに命中」のタイトルから打球の行方はお察しですよね。
いやー、シスコンを舐めてはいけない。
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