僕のH☆EROアカデミア   作:紫煙隊

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その眼鏡、ジェット

 

「君!しっかりしろ!もう大丈夫だからな!」

 

「担架を早く!頭を打ってるから慎重に!」

 

 

救急車へと運ばれて行く轟

あまりにも重症だったためにリカバリーガールによる

“治癒”が不可能だった

試合中の事故自体はこれまでの試合でもあった

なにせ“個性”同士のぶつかり合いだ

怪我は付き物である

 

だが、

 

 

「冷めたタコ焼きも、うま…」

 

相手をクラスメイトを傷付け、

死の淵に追い込んだ張本人は知ったこっちゃないと

差し入れのタコ焼きを頬張っていた

 

 

「君は!!クラスメイトを傷付け

 あんな目にあわせて何も思わないのか!?」

 

 

その態度に飯田は激昂した

口には出していないが他のクラスメイト達も

怒り、信じられないモノを見る目で麗日を見ていた

 

 

「飯田君…君、食べることに困ったことないでしょ」

 

「いったいなにを…今は君の行動に対しての話をだな」

 

「この世の真理…教えてあげる

 ”弱肉強食”この世でたった1つの真理

 勝った方が全てを得て、負けた方は全てを失う」

 

 

そう語る麗日の目は据わっていた

ヒーローを夢見る少女の目ではない

命のやり取りをしてきた兵士の目であった

 

 

「なら、ならば!!僕は君に勝ち!!

 君に考えを改めてもらう!そして轟君への謝罪もだ!」

 

「ええよ、勝った方が正しいんやから」

 

 

お互いに勝ち残れば決勝で戦うことになる

しかし、だ

その前に戦う対戦相手…準決勝の相手は

常闇 踏陰、色丞 狂理

どちらも一筋縄ではいかない相手である

 

 

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改めて整えられたステージに両雄が立つ

準決勝 常闇 踏陰 VS 飯田 天哉

 

 

「麗日との会話は聞かせてもらった

 しかし、みすみす勝ちを譲るつもりはない」

 

 

いまだに大人モードの常闇は揺るがない

肉体も“個性”も成長し、

如何なる作用か精神も成長したのか落ち着いている

それに対し飯田は

 

 

「すまない、常闇君」

 

 

飯田は誠心誠意謝罪をしていた

腰を直角に曲げ頭を下げていた

突然の謝罪に常闇はいぶかしむ

 

 

「本来なら僕が僕だけの力で挑むべき試合だ

 しかし、僕にも譲れない物がある

 …本当は使いたくはなかったが

 君に勝つためには形振り構っていられないようだ」

 

 

そう言って飯田は懐からボトルを取り出した

そして、ボトルのキャップを開けながら

会話を続ける

 

 

「麗日さんは色丞君から借りたコミックの影響を受け

 戦闘方法を見つめ直して今のスタイルに落ち着いた

 性格的には誉められたものではないが

 確実に強化はされているだろう…

 そして、それは僕もなんだ」

 

 

飯田が奇行を始めた

常闇は飯田のその話と奇行に目を細める

 

「ふふ、コミックなど読んだことはなかったが…

 あれはあれで勉強になるものだ

 自分には出来ないような発想が詰まっているよ」

 

 

飯田は体勢を変えた

クラウチングスタートのような前屈姿勢ではない

もっと地面に水平になった姿勢…

 

 

「過去と比べて現代陸上における開始姿勢は変化している

 空気抵抗を受けず、より力を効率的に使うためにね」

 

 

走る、もしくは歩くという行動は

足を上下に動かしながら振り子状に動かすことで移動する

単に足を上下させるだけでは移動出来ないが

その上下運動は地面を蹴り

足の振り子運動の推進力として利用される

ならば前屈み、角度をつけたらどうなるか

地面を蹴り反射した力は斜め前方に向き身体を押し進め

瞬間的な速度を上げるだろう

 

飯田はそれをさらに昇華させていた

 

 

「いくぞ常闇君!!

 僕もコミックで読んだ“ところてんの彼”のように!!」

 

 

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常闇 踏陰は自分の目を疑っていた

原因は対戦相手の飯田 天哉である

試合前の麗日との会話は聞いている

そして、飯田が怒るのも理解している

ステージ上でのいきなりの謝罪には驚いたが

真面目で律儀な飯田のことだ

ある意味で平常運転ではある

 

しかし

しかし、だ

真面目な顔をして真面目な話をしならがら

ペ●ローションを懐から取り出し、

全身に塗りたくる奇行に頭を痛め目を疑った

 

 

いったい、こいつは何をしているんだ

 

 

●ペローションを塗り終わった飯田は

地面にうつ伏せになりエンジンを吹かし始めた

気のせいか飯田の全身がプルプルと震えている

 

……

…………

………………

気にしないようにしていたが

本当に気にしないように

気付かないふりをしていたのだが

 

飯田の背後に“水色の怪物”が見える

その怪物は四角形の四肢を持ち

妙にいい声(CV 園部 啓○)で此方に語りかけてくる

まるで海●王の船の副船長のような声だ

なのに妙に腹が立つ

 

これは幻覚、幻聴だと自分に言い聞かせる

怪物は“ぬ”が大量に書かれたハンカチを取り出し

ヒラヒラと振り煽りに煽ってくる

ストレスで頭の血管が切れそうだ

飯田は相変わらず真面目な顔をしているが

それがより一層腹立たしい

 

飯田の準備が終わったようだ

どのような行動を取るのか予想がつかないが

飯田の“個性”を活かすならば速度特化だろうか

 

 

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「秘技!!ところてんジェッ

 

常闇は飯田の言葉を聞ききることが出来なかった

ズドン、というコンクリートが撃ち抜かれた音

それが前後から聞こえ、

瞬きをしていたわけでもないのに

目の前に居たハズの飯田が消えていた

あまりの速さに目で追えなかったのだ

 

 

そして、飯田は常闇の遥か後方

観客席の壁に頭から突っ込んで気絶していた

 

 

 

『飯田君、戦闘不能及び場外!!

 準決勝第1試合は常闇君の勝利よ!!』

 

 

「…解せぬ」





※麗日 お茶子の設定

“うららか”というよりも
“したたか”である
体育祭編では食べてばっかの気がする
強日さん


※常闇 踏陰の設定

真面目な話を聞いていたら
いつの間にか壁に突き刺さっていた…相手の方が
戦うどころか一歩を動かず勝利
納得はしていない


※飯田 天哉の設定

色丞から借りたコミックの影響を受けた
現代に甦った原人の方ではなく
賞味期限切れのところてんをチョイスした
使用するにはローションが必要


※水色の怪物の設定

言わずと知れた“ぬ”の人…人?
ライチ味
B組の鎌切の天敵
中の人は某海●王の船の副船長と同じ
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