闇夜を駆ける白い影
地を駆け、ビルの間を跳び、
一般人はおろかヒーローだっとしても
上位のヒーローでもなければ視界に納めることは
できないであろう神速
いや、神速程度ではない
”目で追えない速度”を越えた速さの極み
━━縮地
仙人が使うとされる仙術の名を冠するその速さは
“目に映らない速度”である
実際に“目に映らない速度”とはどの程度ものか?
最速のスポーツとされるバドミントン
そのスマッシュは時速500キロ近い
…が、それも反応できる速度である
一説によると“目に映らない速度”とは
最低マッハ2.4…秒速にして約800メートル
近い速度だとライフル弾があるだろうか
音速を超えた弾丸は当たった後に銃声が響くという
視神経の伝達速度は脳に届くまで0.1秒
夜も遅く通行人はほとんどいないが
偶然居合わせた者は
バシリバシリと空気が破裂し、音の壁が破られた音を
もっとも辺りを見渡したところで
音源はすでに地平の彼方なのだが
問題をあげるとすれば
そのスピードで移動をしているのが
ヒーローでもましてや敵でもなく
ついでに人間でもないことである
━━口田
口田 甲司が飼育しているウサギである
歳は2歳と少し(人間から30歳前後)
オスである
もとより彼は普通のウサギより賢かった
エレベーターの用途、構造を理解して使うくらいには
だが、口田が中学生の時に事件は起きた
原因は“某ネズミ”である
口田が一目惚れした白いモフモフである
そして、口田は変わった
それを誰よりも近くで見てきたのが結である
ゆえに焦った
このまま主人である口田と
なんとなく付き合ってなんとなく結婚までいける
…そう、思っていたのだが
どこぞの高笑いするネズミに座を奪われようとしている
結は頑張った
ひたすら頑張った
学習を続け人の言語を理解し、
身体を鍛え、女子力も磨いた
食事にも気を使いオーガニックを中心にし
サプリメント等も服用するようになった
しかし哀しかな
所詮はウサギはウサギであった
努力は報われず夢は夢のままだった
そんな彼にもとある転機が訪れる
言わずもがな、あの“変態”である
彼は彼に“個性”を与えた
与えてしまった
若干スペックが高いものの単なるウサギであるため
“容量”の大きな“個性”は与えられなかった
ちょっとした“個性”
あると便利くらいの“個性”
その“個性”の名は“限界突破”
仰々しい名前の割に実はありふれた“個性”である
たとえば普通より少し眠気に耐えれるだとか
たとえば普通より少し多く物を食べれるだとか
そんな些細な“限界”を“突破”するだけの“個性”
しかし、どんな“個性”でも使い方しだいだ
結は普通より少し眠気に耐えて
勉学や身体を鍛える時間を作った
普通より少し多く物を食べて栄養を取るようになった
普通より少し成長の限界を突破した
普通より少し“個性”の限界を突破した
普通より少し限界を突破した“個性”で
眠気を抑え、より時間を効率的に使用した
食事をより多く食べ身体を成長させ
身体の成長速度の限界を突破し
肉体的スペックが上がったことで
“個性”の容量も上がり更に鍛え限界を突破した
限界を突破したことで更に身体を鍛えそれより…
結は限界を繰り返し突破し続けた
結果、身長182センチ体重113キロ
筋肉モリモリマッチョマンの変態になっていた
誤字や誤植ではない
もう一度、明言しよう
結果、身長182センチ体重113キロ
筋肉モリモリマッチョマンの変態になっていた
イメージするならば
全盛期のアー○ルド・シュ●ルツェネッガーに
ウサギの頭を無理矢理くっ付けたような具合だ
身体の方はも一応はウサギなので
柔らかな白い柔毛に包まれているが
小顔効果のあるマッサージを続けた結果、
頭部は普通のウサギ、
身体は白タイツのマッチョのように見えてしまう
端的に言って化物である
ファンシーでキュートなウサちゃんフェイスに
ゴリゴリマッチョな筋肉の鎧に包まれた肉体
シュルレアリスムの申し子の如く、
理性による理解をかなぐり捨てた容姿である
まだ脳無のほうが可愛げがある
実に精神を汚染する容姿だ
この際、結の正体はどうでもいい
街中で不審な音が響き、
全身が筋肉で武装されたウサギ顔のマッチョが
現れては破裂音と共に消えるような状況なのだ
ヒーローが出動しないわけがなく
結の狙い通りに“彼女”も出動した
そして、結の元に一番に駆け付けたのは、やはり
その区域でもっとも速いヒーロー…
つまりはミルコであった
対峙する2人いや、1人と1羽
種族の限界を“限界突破”したウサギ
先に動いたのはミルコだった
先手必勝、言葉を交わすこともなく
鋭い蹴りが結を襲う
しかしながら結は生まれつきのウサギである
ウサギの再現でしかない“個性”に対して
遅れをとることはなかった
脚撃の応酬
一撃一撃が必殺となる攻撃を
交わし流し、あるいは相殺しあった
どれ程の時間が経過しただろうか
濃密過ぎる戦闘は時間の感覚を狂わせる
刹那の間の攻防であったのは間違いないし、
長い時間を掛けた頭脳戦でもあったし、
行き当たりばったりのギャンブルの要素とてあった
口を開き、言葉を発したのもまたミルコであった
「決めた!お前、私の旦那になれ!!」
結は混乱した
人間並…いや、人間でも上位クラスの頭脳をもつ彼でも
感覚派の行動、言動、思考展開は理解できなかった
それでも返す言葉は決まっていた
「
人間界のマナーではこういう時にはこの台詞だと
結はすでに学習していた……ネットで
「なら無理矢理連れて帰る!」
ミルコはミルコで学習していた
ヒーロー業は過酷だが人気の職業だ
しかし、モテるのだが結婚、お付き合いは難しい
下手な交際はヒーローとしてスキャンダルになる
特にアイドル的な側面をもっている場合はだ
合コンなど行けるものではないし
婚カツアプリなど使用できない
それにスケジュールの都合上、
まとまったプライベートの時間の確保も難しい
端的に言って、“行き遅れ”となる女性ヒーローは多い
ミルコは昔からソレを見てきた
まだ26歳…もう26歳…
明日も今日と同じようにヒーロー活動をするだろう
簡単に予想できる
明後日も明々後日も一週間後も…
今年も来年も…今までと変わらないままに
そして気がついたら三十路となり四十路となり、
五十路と……そのうちに婚カツをやめて
終カツをするようになるのではないか
“兎”だけに”烏兎匆匆”ってか?
ソレはイヤだ
だからミルコは獲物を逃がさない
戦闘力で言えば今までで最高クラス
パワー、瞬発力、継戦能力…どれも素晴らしい
容姿も
脂肪の少ないバッキバキのボディに滑らかな毛皮
なにより自分と同じ“兎”系の“個性”!!
━━━結果として結は敗北した
邪魔者を排除しようとしたのだが
ミルコが途中から名状し難いオーラを纏った為、
逃げ出したのだ
ウサギの脚力は本来、逃走用の使われるので
正しい使い方なのだろう
“兎の登り坂”と言うように駆け抜けた
━━━結果としてミルコは敗北した
突如現れた運命の相手を娶るべく努力はしたが
何故か急に怯えられて逃走された
せめて連絡先を交換するべきだったと後悔した
”株を守りて兎を待つ”つもりはないが
進歩とは言い難いものである
“脱兎の如く”
正確には”始めは処女の如く後は脱兎の如し”と言う
孫子の兵法の1つだが
まさか孫子も”処女が脱兎の如く追ってくる”など
思いもしなかっただろう
※口田 甲司の設定
なんか最近、結が大きくなった気が…
成長期かな?
ご飯もいっぱい食べてるし
運動もよくするから大丈夫かな?
※口田 結の設定
“個性”社会が生んだ悲しい化物
デイトレードで資金を稼ぎ、高卒認定を受け、
大学の編入試験に合格後、飛び級し現在大学3年生
全てはご主人様のために
※高笑いするネズミの設定
同じように“個性”をもった動物
彼女との差は“ハイスペック”なのか
“ハイスペック(物理)”なのかの差だろう
あとは筋肉量だとか身長かしら?
※ミルコの設定
将来を不安に思う26歳
まだ大丈夫、まだ大丈夫と思っていたら
あっという間に歳をとりそうで恐怖
結をロックオンした
※闇夜を駆ける白い影の設定
●ッチャマンではない
科○忍法●の鳥とかしない
その正体は筋肉モリモリマッチョマンの変態
ウサギゆえに声帯が無いため喋れない