山田は屈辱の限りを受けていた
減給はそこまで問題ではない
生活は苦しくなるが貯金を崩せば大丈夫だ
山田にとって苦しい事それは
生徒達からの冷たい視線、同僚達からの侮蔑の視線
学校内では汚物として扱われていた
そして、心の支えであった自らのラジオ放送…
そのラジオのリスナーすら減り
新しく増えたリスナーは変態ばかりであった
しかし、山田はそこで腐らなかった
イメージアップをするために
校内はもちろん、学校周辺での奉仕作業を行った
ゴミ拾いや除草作業、清掃活動、施設の修理等…
朝日が昇ると同時に作業を開始して
放課後は暗くなって手元が見えなくなるまで行った
授業も今まで以上に分かりやすく教えるために
深夜遅くまで教科書や参考書を読み込んだ
土日や祝日も関係なく行い
いや、むしろ授業がない分だけ一層打ち込んだ
なぜそこまでするのか?
なぜそこまでできるのか?
理由は1つ
自分より下に落ちた
警察に捕まり引き摺られていく情けない姿を見て
山田は己の心の中にほの暗い愉悦があることに気付いた
もう、これで、これから、ずっと…俺のが上だ
山田の顔に張り付けられた笑みには
昔は無かった黒いモノが混じっていた…
「食らうがいい!!三式ゴールデン★ボール★クラッシャーmk.2.01改スペシャルスプリングエディションオリジナルカラーバージョンV4!!」
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
「イ゛ャエエエェェェェェェェエエエェェェ!!」
やぁ!良い子の皆も悪い子の皆もこんにちは!!
理由もなく山田を痛めつける男
昼休みはトンデモナイ奴に…
いや、むしろ色々とブットンダ奴に襲われてな!
肝心のパワーローダー先生に“御挨拶”ができなかったのだ
私は無事だったのだがパワーローダー先生が
ちょっと掘削されてしまってな…
男のよしみで保健室に連れて行ったりしてたら
昼休みが終わってしまったのだ
アレは肉体的には兎も角、
精神的にしばらく休まないと無理だろうな…
え?そんなモノを山田にかましたのかって?
べつにいーじゃん、だって山田だし
さて、気を取り直して放課後だし
生活指導室のワンちゃん先生の所にでも行こうかね…
では!本編スタート!!
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生活指導室にてハウンドドッグは…
いや教師やヒーローとしてではなく
1人の人間
原因は今朝の職員室での一件である
善き同僚であり、仕事帰りによく飲みに行っていた
あのブラドキングがあんな趣味を持っていたなんて…
しかも…どことなく自分に似ている男優だったのだ
もしや…とか、おそらく…の次元ではなく
間違いなく自分の事を…
思えばブラドキングは酔うと泣き上戸だったが
やたらと絡むというか…
ボディタッチが多くなっていた気がしてきた
つまりそういうことだろう…
チャイムがなったのをいいことに
その場から逃げ出したが明日からいったいどんな顔で…
ノックの音で犬井は我に返った
返事をせねば、
しかし、もしブラドキングだったら?
犬井は少し間を空けて返事をした
「…どうぞ」
「失礼する」
現れたのはダンボール箱を積んだ台車を押す
普段ならばなぜ学校指定の制服を来ていないのかと
小一時間は説教するところだが
今は生活指導のハウンドドッグ先生ではなく
悩める犬井 猟の状態だ
とてもそんな元気は無い…
「…どうした?何か用か?」
「ええ、先生にお渡ししたいモノが…」
そう言って変態は瓶を取り出した
その瓶を見た瞬間、犬井は怒りが溢れてきた
見間違いでなければ酒の瓶だ
未成年が、それも学校に酒だと!?
しかし、しかしだ…もしかすると
空き瓶を再利用している等の可能性もあるのだ
よって唸り声を押さえ込んで
最後まで生徒の言葉を聞くことにした
「先生がお酒好きで毎日晩酌していると聞きましてね」
なるほど、確かに晩酌は好きで毎日している
「う゛う゛…それで?」
「私の“個性”は“変質者”…物を変質させる能力
それで食品には変質可能か試していましてね…
その一環で水を変質させたのですが
私は未成年ですからね…先生に味を見てもらおうと」
なるほど、“個性”の応用力をつける一環か
ならば叱れまい…怒りは納まりつつあった
「しかし…なぜ酒なんだ?」
「アルコールに変質可能ならば
そこからさらに応用が出来ますからね
飲料としてはもちろんですが
消毒や洗浄用、燃料と…被災地等で使えるかとね」
なるほど、実によく考えられている…
教師として“個性”強化に協力するのもいい…だが、
「学校で酒は飲んだら駄目だろう…」
「いえいえ、先生!コチラは“元”は水ですから!」
そう言うと
犬井はその瓶に貼られたラベルを見て目を見開いた
『森◯蔵 楽酔喜酒』(600ml/10万円以上)
「そうか、そうだな、“元”は水だしな
教師として生徒に協力せんとな!!」
尻尾が揺れそうになるのを必死で堪える
「ああ、あとこの箱の中身、全部そうですね」
犬井が箱を覗くと…
『15年熟成 柏◯』(720ml/5万円/年間販売5本のみ)
『サン◯リー 白州25年』(700ml/50万円)
『ザ・マッ◯ランNo.6』(700ml/63万円)
他にも有名所…それも名前は知っていても
とても飲めないようなボトルがゴロゴロしていた
そして、犬井はダンボールの底にある桐箱に気付いた
間違っても落とさぬよう慎重に取り出し蓋を開ける
「犬とお呼びください閣下!!」
「ハウンドドッグ先生!?」
※山田 ひざしの設定
やたら長い前書きで
理由も意味もなく餌食になった
奉仕作業を行っているが生徒や同僚からは
”刑務作業”と称されていることを知らない
※ハウンドドッグの設定
本名 犬井 猟
悩んでいたら変態が現れた
きび団子ではなく酒につられた
嫌なことは飲んで忘れるべ
※色丞 狂理の設定
今朝は巻き込んでしまったのでお詫びも兼ねて
“生徒の個性伸ばし”という方便で
自作の酒を渡したらいきなり忠誠を誓われた
確かに本物と変わらないが元は学校の水道水なので
ココまで反応されて逆にびっくりした
※ブラドキングの設定
完全に誤解された被害者
他の同僚に相談しようとしたら
大体の人に逃げられた
唯一、山田が“薄いゴム”を箱で渡してきて
『がんばれよ』と言われたのでカッとなって殴った
※ダンボール箱の中身の設定
色丞の“個性”により変質した“元水道水”
成分的にも味的にも本物とほぼ同じ
ただし飲むと変態化していく
非常に依存性が高い
そして症状を自覚できない