このザリガニは7発目です。
麗日 お茶子の朝は早い
午前3時半、それが彼女の起床する時間である
なぜ、そのような早すぎる時間帯に起きるのか?
━━単に金がないからである
起床後、身支度を調え
誤字ではない
早朝4時半から7時半までの3時間
彼女はバイトをしている
「おはようございます!」
「あら、お茶子ちゃんおはよう!今日もお願いね!」
事務員のオバちゃんに挨拶をしてタイムカードを押す
作業着のビニールエプロンとゴム手袋を着けて現場へ…
━━A.F.O.クレイフィッシュサービス
そこが彼女のアルバイト先だ
主な作業内容は水槽の掃除やザリガニへの餌やり、
成長した個体の仕分けや箱詰めである
「あ!この子、ハサミ片方ないっ!
コレは加工の方に回さんと…」
スーパーや魚屋、市場、料理店などに卸す生体は
見栄えが大事である
ハサミはもちろん、触角などが折れていても
不良品となってしまうので注意が必要だ
加工食品として練り物やフレークにする方は
多少の傷は問題ない
全部、潰して加工してしまうからだ
なので生体として出せない個体はこちらへ回すのだ
「お疲れさまでしたー!また夕方お願いしまーす!」
彼女は学校が終わった後にもシフトを入れていた
時給がそれなりによくとも朝の3時間だけでは
とても生活が出来ないからだ
「うっわぁ生臭い……手ェ洗って…あ!時間ヤバ!?」
シフトが終わり次第、急いで学校へ向かう
電車?バス?いいえそんな高級品は使えません
公共の移動手段というのは総じて富裕層向けだからです
彼女の時給は1240円
バスが片道で250円掛かるのだ
つまりバスを使えば12分間分の労働が無に帰す
それは彼女が許せることではなかった
走る、走る…
ひたすら学校を目指して走る
その間も彼女に死角はない
走りながらも空き缶を拾い集める
ボランティアでのゴミ拾い?
バカを言ってはいけない
空き缶も集めれば1キロ辺り170円程で売れるのだ
空き缶を拾う動作にも無駄がない
右手で拾い上げ、潰して
その間、左手で野草を摘む
タンポポ、ツクシ、ホトケノザ、ナズナ、ギシギシ…
春の通学路は食べ物でいっぱいだ
特にタンポポは良い
花も葉も生で食べられるし、
根を乾燥させて煎ればコーヒーもどきになる
そうしているうちに学校に着くわけだが
彼女の戦いは終わらない
むしろここからが本番ともいえる
学校の敷地内を徘徊している清掃ロボ…
彼女の天敵ともいえる存在だ
なぜ清掃ロボが彼女の天敵なのか?
それは彼女が必死で集めた
この清掃ロボはプログラムに従い“ゴミ”と判断して
回収、廃棄してしまうのだ
そこに慈悲も迷いもない
ひどい時には
自分のロッカーに納めるまでは油断できないのだ
昼休みは昔から彼女の至福の時間である
小中学校の時も給食によって
1日で唯一まともな食事をお腹いっぱい食べれるからだ
高校の学食は有料だが
変な名前で呼ばれることも多いが
奢ってくれるならもう、“ウラ●カ おち●こ”でもいい
そう思い始めていた
たまに
食べ掛けのオールマイトフィギュアを渡してくるが
アレはよくない
一度、試しに食べたが人類にソフビは早すぎたようだ
そして学校が終わると
まっすぐ職場へと向かい夕方からのシフトに入る
未成年のため夜10時までしか働けないが
朝と合わせれば7時間は働けるのだ
彼女の生活…いや、生命を保つ為に必要な仕事である
そして夜11時近くに家に帰ると
これが彼女の1日である
そんな生活が終わりに
※A.F.O.クレイフィッシュサービスの設定
食用ザリガニの養殖販売業者である
なぜか食用とは別に“強い”ザリガニの選別も仕事である
短時間高時給で学生と主婦に人気のアルバイト先
※清掃ロボの設定
麗日の天敵
袋いっぱいに詰まった空き缶や野草を強奪してくる
たまに根津校長も捕まったりしている
※緑のモジャモジャの設定
さすがに同情してオールマイトフィギュアをあげた
迷惑がられている
しょせんはクソナード