このショタナードは16発目です。
10年も前のことだろうか?
その患者と初めて出会ったのは…
“個性”の診断の為に母親に連れられて来たその患者は
今時珍しく“無個性”だった
“個性”が平均より遅れて発現したり、
特定の条件でしか発動出来ない“個性”だったりして
“無個性”だと思われていたケースもある
足の小指の関節を見る簡易検査であっても
関節が多くて“個性”がある場合や
逆に関節が少なくとも“無個性”の場合もある
簡易検査の結果を患者に伝えると
患者は酷くショックを受けたようだった
確かに”人と違うこと、その人の特性”が
本来“個性”と言う言葉が持つ意味だが
“異能”としての“個性”がないという“個性”は
今や差別の対象とまでなっている
周りの皆が持っているモノを自分だけが持っていない
幼いこの患者にはショックを受けるには充分だろう
母親の話ではヒーローに憧れていて
ヒーローに成りたがっていたそうだ
患者は泣き、すがり付き
『絶対に“個性”はある!ちゃんとしらべてよ!!』
そう叫んだ
母親に確認すると精密検査を依頼された
もしかしたら…
そんな希望もあったのだろう
血液を採取し遠心分離機に掛けて“個性因子”を調べる
より詳しい“個性”の情報を調べる為の方法である
“無個性”だと思われていたが
後々“個性”持ちだと判明するのはこの検査で
“個性因子”を確認するからである
結果は“個性因子”無し
僅かな希望にすがろうとした親子に対して
確実な絶望を告知することとなった
それから数年が経った頃
あの患者が再び母親に連れられて病院に訪れた
病院である以上、怪我や病気で訪れることもあるだろう
だが、その患者は…
その患者の母親は息子に“個性”が発現したと言う
耳を疑った
始めに思いあたったのは
“無個性”であるショックで精神的に病んでしまい
“個性”があると思い込んでしまっているケース
そして、次に思いあたったのは
“先生”や“あの方の弟の系譜”の関係者、
もしくはそれに似た“個性”…
“個性を与える個性”が新たに発現していた可能性
詳しく調べる必要がある…そう儂は判断した
「では息子さんに“個性”が発現したと
思われることがなにかありましたか?」
「ええ、出久…この子はオールマイトが
大好きなんですけど…」
そう言って母親がポーチから
オールマイトのフィギュアを取り出し
患者…出久君に手渡し…
「お母さん!食べていいの!?」
「ええ、今日のおやつよ」
耳がおかしくなったと思ったわい
ソフビ性のフィギュアじゃぞ?
それを“おやつ”などと…
そう思っていた時期が儂にもありました
前歯によりソフビが噛み千切られた音と
奥歯で咀嚼され歯とソフビが擦れる音が検査室に響く
出久君の手には上半身を失くしたフィギュアが…
なんじゃこれ?
「こんな具合にフィギュアを食べるようになりまして」
「そうですか…」
頭が痛い
『食べるようになりまして』じゃないだろう!
そもそも子供にフィギュアを食べさせるな!
「あ!あとですね…出久、手ぇ出して」
「はーい」
母親が出久君の腕にオールマイトのシールを貼り…
んん!?…シールを貼ったはず?
シールは何処に行った?
「こんな風にオールマイト系のグッズで
シールくらいの大きさなら皮膚からでも
食べるようになりまして…」
「そうですか…」
お母さん!皮膚から食べるってなんですか!?
妙に平常心ですけど日常的に
食べさせているんですかァ!?
思わず心の中でキャラ崩壊させて叫んでしもうた
「では、“個性因子”を調べる為に採血を…」
「あ!すいません、この子
物理的に怪我しなくなったので
多分、針が通らないかと…」
物理的に怪我をしなくなった?
フィギュアを食べれることなんぞより
そっちの方が“個性”の可能性高いじゃろが!?
アレか?
フィギュアを食べれる
なんて考えとるんか!?
「えと、なら頬の内側から細胞を摂取して…」
「あ!すいません、この子
口の中に物を入れると反射的に咀嚼するので
多分、先生の指が無くなるかと…」
怖っ!?
言われんかったらそのまま
綿棒持って口に手を入れるとこじゃった!!
というか、お母さん!!
後出しの情報の方が全部重要じゃろが!!
「そうですな…ならば
出久君、ヨダレを少しもらえるかな?」
「………」ニコッ
「……?」ニ、ニコッ
出久君が微笑み掛けてきたので
こちらも目線を合わせて微笑み掛ける
しかし、口元は笑っているのに
目元は笑っていないような…
ピチャッ
「こら!出久!先生にツバかけちゃダメでしょ!!」
「ハハハ、大丈夫ですよお母さん
これで一応、唾液も摂取出来ましたし…
君、コレを遠心掛けといて」
こんガキャァ、ツバ吐きつけおったわ!!
“物理無効”なんて“レア個性”もっとるし
絶対に脳無の原料にしたる!
絶対じゃ!!
「…すいません、先生
以前、“無個性”と診断されたのを
だいぶ根にもってまして…」
「いやいや、仕事柄なれてますからね!
出久君も前はすまんかったのぅ」
「…………カァ━━━ペッ!」ピチャッ
野郎、溜め込んでから吐きやがった
というか儂、
あの時の診断と判断間違ってなくね?
「先生、分析終わりました」
「はいよ、ありがとうね
では“個性因子”検査の結……なんじゃと!?
“個性因子”0じゃて!?あり得ん!?
君、この検査結果は正確か!?」
思わずナースに向けて叫んでしもうた
それほどの衝撃じゃったよ
しかし、驚愕するのはまだ早かった
“個性因子”は確かに0
じゃが“個性因子α”が60000!?
“個性因子α”は名前こそ“個性因子”とついているが
“個性因子”とは別物…“個性因子”だった物じゃ
本来なら加齢と共にα化していき
能力の低下等の症状が出るもの…
じゃがそれはほとんど高齢者の症状、
数値も平均1500前後のハズ…
1つの“個性”が持つ“個性因子”がα化したら
その程度の数値になる…
だとしたらこの少年は
40以上の“個性”を持っていて全て使えなくなっている
ということになる
そもそも、“個性因子”無しで“異能”を使っていた?
コレはもしや…“個性特異点”…
ピチャッ
違うな、ただのクソガキじゃな
※柄木 球大の設定
クソナードもといクソガキ…じゃなかった
患者からツバをかけられた
一歩間違えたら手首から先が無くなっていた人
あれ?悪くなくね?むしろ被害者じゃね?
※緑谷 引子の設定
息子の奇行にドン引きしていたが
そういうものかと慣れた
“おやつ”にフィギュアを与えるママン
数年後には“食事”でフィギュアを与えるようになる
※緑谷 出久の設定
まだブツブツしていないがクソである
数ヶ月後にはクソガキからクソナードに進化する
皮膚からも吸収可能なことが今回判明した
かなり根に持つタイプ
※個性因子αの設定
本作のオリジナル設定
通常なら“個性”が弱まった高齢者で1500程度
“個性”を譲渡した後のオールマイトだと
“個性”×7で10500程度になる
色丞により“個性”を取っ替え引っ替えしていた為、
この数値になったという裏設定
多分もう出てこない設定