テンプラと自虐する男の㊙手記   作:Mak

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テンプラの秘密: 実は……、光の巨人モノが大好き。なおこの世界には存在しない。


書き散らし “キャロットマン。……マン?”

人生とは常に勉強の連続である。

世界は日々進歩し、気を抜けばあっという間に時代に取り残されてしまう。

趣味、流行の類であれば致命的にはならないが、こと仕事に関しては自信の立身出世、成果と社会に多大な影響を与えかねない。

 

それは俺の仕事、トラックマンとて変わりはない。

成長目まぐるしいウマ娘たちとそれを支えるトレーナー陣の時に堅実で時に奇抜なトレーニング方法がどのように影響を及ぼすのか、情報収集もさることながらそれがどのような影響を及ぼすのか予想し、読者にそれを誤解無く伝えるためには常に勉強の毎日である。

 

特に天才と呼ばれる人種のトレーナーは時に常人には理解しにくいトレーニング方法を編み出したりし、それを知識不足の記者が歪曲して広く伝わってしまったことによりけが人が増えたという業界教訓も存在するので正しい知識のアップデートは取材以上に大事な仕事である。

 

とはいえ、それはいわゆる時計班と予想班と呼ばれる記者たちの仕事だ。

俺みたいに日常生活系を取材するタイプはあまり関係ないように思えるがそうではない。

 

ウマ娘たちも一度ターフを離れれば一介の女子中学生や高校生たちである。

だれでも趣味の一つや二つは持っており、それがゲームだったり漫画だったりとサブカルチャーとは皆無な娘は殆ど居ないと思われる。

 

故に俺も、彼女たちとの会話の引き出しを増やすべく少女漫画や流行のドラマは可能な限りチェックしたりしている。

話しやすい、話の通じる記者であり続けるのにもそれなりの苦労があるのだ。

 

しかしそれでも抜けというのは出てしまう。

時間が有限であり、趣味趣向が十人十色である以上仕方がないのだが時には想定外の趣味を持つウマ娘がいる場合もある。

 

それはビコーペガサスと取材の際、彼女が特撮ヒーロー好きであり、特にキャロットマンが好きだと言われた時だった。

 

今時特撮ヒーロー好きに男子も女子もウマ娘も関係ないというのは理解しているし否定するつもりは無い。

しかし個人的な身の回りで女の子が特撮ヒーロー好きというのは経験になく、男子でも割りと一旦は卒業する時期に、しかも大衆紙とは言えメディアにそれを堂々という女の子の存在はかなり貴重なのではないかと思う。

ウマ娘の口から特撮ヒーローの名前が出たのを聞いたもの初めてだし(プリ〇ュアぽい作品が好きだと公言した子は知っているけど)。

 

それはともかく、実を言うとこっちの世界の特撮ヒーローはあまり興味がなく、精々作品名と演者ぐらいは調べておくぐらいに留まっている。

なので彼女への取材の際にはあまり詳しくないと言うこと先に言っておき、聞き手に専念しつつ前世で培った俺なりのヒーロー像を要所要所で出しつつ彼女も満足いくようなインタビューを引き出すことには成功した。

 

「おじさん資質あるよ! 絶対キャロットマン観てね! すっごく気に入ると思うから!」

 

とは彼女のインタビュー後の感想だ。

久方ぶり盛り上がった楽しい取材だったと思う。

悲しきかな、当方がキャロットマン並びにその他特撮ヒーローの知識がもう少しあればもっと盛り上がれたのにと後悔を覚える程だった。

 

と言うわけで、今後活躍をするかもしれない彼女や、もしかしたら他にも隠れファンがいるかもしれないのでこちらの世界の特撮ヒーロー事情を勉強しようと思った次第だ。

 

 

 

 

 

総括すると、この世界の特撮もウマ娘という人間よりも力が強い存在が身近にあることにかなりの影響を与えているように思える。

 

作品によってマチマチだが、(ヴィラン)役の怪人たちは勿論下っ端の怪人ですらウマ娘以上の腕力を持つ設定が多い。

なので街の蹂躙シーンとかテレビの30分番組とは思えぬほどに派手だ。

 

具体的に述べると車レベルの重量物が派手に転がり回るのだ。

尻尾が見当たらないこととキャストロールの名前を見るに恐らくヒトのスーツアクターだと思われるがそいつが軽く蹴り上げるだけで車が面白いように宙に浮きあがる描写があったりする。

 

その道のプロに聞くとワイヤーなどの操演とかはウマ娘十数人で勢いよく引いてあのようなシーンが撮れるのだとか。

車レベルの重量物の吊り上げ下げを重機も使わず数人程度のコストで出来るのだからウマ娘の馬力には驚かされる。

 

そして肝心のヒーロー側だが、これらは各作品によって作風や事情がかなり違うため代表例を2つほどに絞りたいと思う。

 

まずはこちらの世界にもある戦隊モノに近いシリーズについてだ。

基本フォーマットは似通っておりカラフルなヒーローたちがチームワークを駆使して戦うところまでは基本同じだ。

 

違いは必ず一人はウマ娘枠と言うモノが存在し、男性3:女性1:ウマ娘1と言った割合がほぼお決まりのパターンだ。

 

過去には男性と女性比率が4:1または3:2、もしくはウマ娘が2という割合もあったが時代が経るにつれてどちらかを除け者にするのは如何という風潮になり現代に到るとのことらしい。

 

前世でお世話になったパワー〇ンジャーみたいだなというのが個人的な感想だ。

因みにウマ娘は何故か黄色役が多いらしい。

 

 

 

 

 

キャロットマンは戦隊モノとは対を成すソロによるヒーローシリーズであり、最大の特徴は変身後(つまりスーツアクター)をウマ娘が担当しているという画期的な作品として人気だ。

というのも、ヒーローたちのスーツや着ぐるみの中はとても暑く、ベテランのアクターですらも参ってしまうほどに過酷な仕事であり、ヒトよりも体温が高く熱がこもり易い体質のウマ娘では最悪の場合命の危険性にも関わってしまう恐れがあるため特撮の現場におけるウマ娘の役割りは長らく補助というのがほぼ当たり前であった。

 

前述した戦隊モノでもウマ娘が変身こそはするが変身後はヒトのアクターによる吹替であり、設定資料集によると尻尾と耳は特殊な力で収納されたりするメタ的な理由付けがなされ、シルエットだけではどっちがウマ娘なのかは分からないようになっている。

 

キャロットマンはそう言った実情を打破する目論見もありアクターも含めウマ娘らしいヒーローを作ろうというコンセプトで生み出された斬新なヒーローなのだ。

 

スーツもウマ娘ならではの身体的特徴である耳がすっぽり入るような形状とっており、尻尾もちゃんと出るような造りとなっている。

内部も全体に細いパイプが張り巡らされその中を冷却水が循環することによってウマ娘の体を冷やすと言ってハイテクな仕様となっている。

 

そのためスーツの製作費が物凄く高価であり(また重量もかなり重いらしい)、そう言った事情のため量産が難しく、キャロットマンは単体ヒーローとして誕生し、アクターがウマ娘になったことによるパワフルな映像表現が生み出されていくのだ。

 

CGに頼らない生身による大ジャンプや補助なしの敵怪人の投げ飛ばしやウマ娘特有の足の速さを活かしたリアルスピーディーな戦闘描写は目の肥えたファンたちにも新風を吹き込む存在として受け入れられた。

 

また、プレミアムステージショーのみに限定されるが劇中で使用されたスーツと同じアクターによるテレビと遜色ない生アクションシーンが見られるのも他のヒーローとの大きな差でありセールスポイントになっているのだとか。

 

ストーリーもその映像美に負けないかなり重厚な話であり、近年稀にみる設定の重さや性差人種差に真正面から向き合うといった意味でもかなりの話題作だ。

 

なにせキャロット「マン」なのだ。 キャロット「ウーマン」では無いのだ。

どう見てもウマ娘だろうと思えるが視聴済みの劇中の範囲では本人もマンと名乗っているためか一般市民も敵組織も正体を男と思っているらしい。

声も変身役のウマ娘が演じる声は割と中性的な声であり、変身中はかなり低い声で演じ分けているため男性に聞こえなくもなかったりする。

 

製作陣はどういった意図でマンにしたのか、その辺を楽しみにしつつ今から5話を観ようと思う‥‥

 

 






いつも作品を読んでいただき、感謝します。
前話は想像以上に反響が悪かったので期待してくれてた方々には申し訳なかったなという気持ちです。

これからも本作を宜しくお願い致します。

主人公がテンプラを名乗った訳を知りたいですか?

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