テンプラと自虐する男の㊙手記   作:Mak

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テンプラの秘密: 実は……、割と依怙贔屓。




書き散らし “感謝祭とサポーター”

11月と言えば感謝祭である。

だが残念ながらここ日本ではそのようなイベントはない。

というより、完全にアメリカ国内専用のイベントであり今日までのメディアを通じてアメリカナイズという名の文化侵略を推し進めてきたあの国にしては珍しく世界共通化が成されていないガラパゴスなイベントと言えるかもしれない。

 

が、流石に11月になった途端にクリスマスムードを醸し出すのかいかがなものか……。

流石にツリーを飾るツワモノはいないだろうが、少なくとも最寄りのスーパーでは既にクリスマスソングが流れ、某フライドチキンの大佐は既にサンタクロースの恰好をしている始末。

いくらなんでも早すぎるだろうというのは日本に暮らすアメリカ人あるあるの一つだ。

それほどまでに感謝祭とはアメリカ出身者にとって大事なイベントなのだ。

 

具体的に何をするのかというと帰省だ。

11月末までの最後の一週間、この時期はどこもかしこも休日となり日本で言うところのお盆や年末よろしく地元へ帰省し、親族が一堂に会する習慣があるのだ。

 

だが日本にレース留学しに来ているアメリカ出身のウマ娘はそういう訳には行かない。

特に秋から年末にかけては多くの重賞レースが開催される大事な時期だ。

 

彼女たちはレースに出場し勝つために覚悟して来日しているため、重要なレース期間中に故郷へ帰るような者はまずいない。

 

だが長年の習慣というのは厄介なもので、この時期になるとホームシックに陥るなど調子を崩す子が現れることもある。

 

なので、せめて故郷の味だけでも食べさせてあげようと在日アメリカ人の有志によるサンクスギビングディナーパーティが毎年11月の末に開かれ陰ながら彼女たちの精神的なサポートなどが行われたりするのだ。

 

ちなみにだがトレセン学園にはアメリカのみならずヨーロッパやその他国と地域からの留学生も来ており、その国の数だけこういったサポーターが存在する。

ウマ娘のレースはこういった多くの人の善意によって成り立っているのだ。

 

さて、感謝祭では普段食べない特別な料理が用意される。

メインはやはりなんと言ってもターキー、つまり七面鳥だ。

感謝祭が別名ターキーディと呼ばれるほど切外すことのできない重大な要素でありこれを食べずにして年は越せないというと言うアメリカ人は多い。

なにせカニカマみたいに菜食主義者向けに豆腐や麩で出来た代替え品まであるぐらいだ。

その情熱の程がうかがい知れる。

 

とはいえ、実を言うと七面鳥は毎年一回ぐらいは強烈に食べたくなるが普段から食べたいと思えるほど格別に美味しい訳ではない。

ローカロリーで高蛋白質とアスリート向けな食材ではあるのだが実はチキンに比べて味はかなり淡泊だ。

健康上の理由でもない限り七面鳥を普段から食べる人はかなり稀で、実際七面鳥の需要は11月と12月に集中している。

 

なぜ感謝祭に七面鳥を食べるのかというと、これはアメリカの建国される前、新大陸と呼ばれていた時代にヨーロッパから入植してきた人々が不慣れな土壌と気候により持ち込んだ動植物が十分に育たず、食糧難に陥ったさい、チキンの代わりに野生の七面鳥を食べたことに由来するらしい。

そのほかにもその土地や気候風土にあった食物の栽培方法などを先住民族に教わり、やがて安定するようになったあと、彼らを招待し様々なご馳走で感謝の気持ちを現したという故事に倣ったというのが現代の感謝祭に繋がると言うのが一般的だ。

 

まぁ、由来は諸説あり実際にはそんな歴史的な事実は無く、政治家がでっち上げたおとぎ話という話もあるのだがそれは割愛しよう。

 

なにせ忙しいのだ。

これから他のアメリカ人サポーターの皆と大量のターキーの仕込みをしなくてはならないからだ。

 

実を言うと俺もアメリカから留学に来ているウマ娘のサポーターの一人だったりする。

前世がアメリカ人ということで別世界だろうとアメリカからわざわざ日本に留学しに来た勇気あるウマ娘たちを応援したいという気持ちもあるが、ターキーを食べたいという気持ちも2割ぐらいあったりなかったりする。

 

だって日本で七面鳥の丸鳥買うと高いんだもん。

しかもデカいし一人ではとても消化しきれないのでこういった催しでもない限り食べることは無いだろう。

 

しかしいつ見ても圧巻な光景だ。

七面鳥というのはチキンに比べかなりサイズが大きいので1羽で10人分ぐらいは賄えるサイズで売られているモノもある。

そんなサイズの七面鳥が10羽以上会場のキッチンに集合しているのだ。

それでもパーティ終了時刻までには骨しか残らないのだから恐れ入る。

 

大変な作業だが、これで秋の重賞レースを頑張ってくれるのなら明後日くるであろう筋肉痛なんぞ安い代償だろう。

 

……シャッター押せる筋力だけは残したいな。

 





多分エルコンドルパサーやタイキシャトルあたりはターキーを食べられないことにフラストレーションが溜まる気がします。

ちなみ作者は年末帰省した際に実家で家族と食べてます。

実を言うと本当はアメリカ先住民とウマ娘の関係性、現実に存在する野生馬(厳密には違うけど)マスタングについても書くつもりだったのですが、ごっちゃになるのでこのような形になりました。

とりあえず……ターキー食べたいです。

主人公がテンプラを名乗った訳を知りたいですか?

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