テンプラと自虐する男の㊙手記   作:Mak

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テンプラの秘密: 実は……、踊れない。


書き散らし “ウマ娘の振付師”

トレセン学園には未成年のウマ娘たちは居ても成人したウマ娘は居ないと言われることがあるがそれは事実ではない。

とは言え、そういう風に言われても仕方がないほどに、それも不自然なくらい成人したウマ娘がいないというのは事実である。

 

トレセン学園は中高一貫校ということもあるが全校生徒2000人という超マンモス校だ。

当然それに対応できるだけの教員、警備員や用務員など運営に携わる大人の人数もかなりの規模となるわけだが運営側(生徒会の除く)に属するウマ娘の数は僅か数名という極端な少なさとなっている。

これはけして運営側が意図的に減らしたり人数調整をした結果などではなく、現状ウマ娘の志望者が純粋に少ないのだと言う。

 

その現象を象徴的に表すのがウマ娘のトレーナー志望者の内訳だ。

 

一般的にトレーナーという職業は華やかという認識であり、ウマ娘の膂力を充てにした前時代的な職業が淘汰された現代においてウマ娘と直接、その優れた身体能力を発揮できる数少ない職場ということも相まってか毎年トレーナー育成専門学校は定員以上の入学希望者が集まるほど人気のある職業と言えるだろう。

まぁ、それでもトレセン学園は万年トレーナー不足という状態らしく、その要因はそもそもの資格取得の難易度(東大合格レベルらしい)、更にトレセン学園側のふるい落としが厳しすぎると言われ、毎年URAも交えたレベルの緩和が議題に上がるが未だその解決の糸口が見えていないという状態だ。

 

そして、その内訳だが男性の方が少し割合が多いが女性希望者も多くほぼ均等と言う塩梅だが不思議なことにウマ娘の希望者はほぼおらず、合格者が出ればニュースになるレベルで珍しい。

スポーツの指導者というのはその競技の元経験者がするのが一般的なはずである。

野球は野球、サッカーはサッカー、水泳なら水泳と、その競技に知識と経験で精通している者が担当するのが理想であり、野球からソフトボールなどはともかく、野球経験者がサッカーを指導することはあまりにもナンセンスだ。

 

ヒトのトレーナーの中にはかつてトラック、マラソンなどの陸上競技の経験者が居る場合もあるかもしれないが、そもそもの肉体構造、スピード、競技場の環境が全くもってことなるウマ娘たちのレースに活かせる要素は少ないように思える。

あるとすればレース前の心得といった精神的なサポートぐらいだろうがそれが陸上競技未経験者との絶対的なアドバンテージに成り得るかは甚だ疑問だ。

 

それならば元レース経験者のウマ娘の方が心技体すべての経験を元に大いに指導出来そうなのだが、どういう訳かトレーナーはヒトの方が良いという非科学的なオカルトめいた先人たちの経験則からなる風潮が尊ばれている傾向にある。

 

しかし案外この風潮はバカにならず、指導された側のウマ娘もそう言う覚えがあるのか、どんなにレースに熱心だったウマ娘も引退後の道に指導者を目指すことは非常に稀だ。

 

さて、現状トレーナーは圧倒的多数でヒトが担当しているわけだが、その代わりとして人がどうしても担当できない部分を成人したウマ娘が独占している仕事もある。

その一つがウイニングライブで披露されるダンスを指導する振付師たちだ。

 

今日のウイニングライブそのものは日本に限らず世界中でも行われているが中央(トゥインクル)シリーズは特にそのレベルとクオリティーが高いと言われている。

これは貴族が開催していたレースが母体となった欧州のシリーズとは異なり、日本は早い段階から大衆娯楽の一つとなった側面から運営側も早期からファンサービスを充実させてきたのが理由とされている。

それが応援してくれたファンに対する歌と踊りの披露といった自主的な催しが体系化され現代のライブへと進化していったのだ。

 

初期の頃はウマ娘が自主的にやっていたということもあり(言い方は悪いがお遊戯レベル、とはいえそれはそれで初々しいと人気であり、今でもG1常連によるシニア級ウマ娘による洗練された高度なライブよりメイクデビューしたばかりのウマ娘たちのライブが好きな層もいる)さほどレベルの高くなかったライブも正式な催しへと昇格し、目の肥えたファンたちがよりクオリティーの高いライブを求めるファンの声に答える形で上がり続けていったのは自然の流れと言えるだろう。

 

そういったクオリティー向上の一つが振付師という職業であり、現在のトレセン学園における数少ないウマ娘専任の職業だ。

この仕事もトレーナー同様にヒトでも可能なように思えるが、ある理由によりウマ娘の方が適任とされている。

 

その理由は耳や尻尾を用いた細かな感情表現の指導がヒトでは出来なかったからだと言われている。

一度振付師の仕事を取材させて貰ったことがあるが、ヒトのダンス練習ではまず聞くことの無い、

 

「そこで耳を寝かせて! 切なさをアピールしなさい!」

 

「ターンする際には手先だけでなく尻尾のその先まで意識するように!」

 

……と、こんな指導が頻繁に飛び交うのだ。

 

手足の動作や顔の表情までならヒトでも出来そうだが流石にヒトには無い部位の指導は困難だろうし、その辺は同じウマ娘ならではの指導と言えるかもしれない。

 

一見細かすぎて効果があるのかと思われるかもしれないが、実際に先ほどの指導を受けたウマ娘のその前後では素人目に見てもより切なげに、ターンも美しく見えたのでその効果は絶大的だとはっきり言える。

ウマ娘たちの耳や尻尾は彼女たちの感情が正直に出てしまう部位だと言われているが、もしかしたらその逆に耳や尻尾にそれに呼応する行動をとらせることにより彼女たちの心にも作用するのかもしれない。

何にせよ良く出来た指導方法だと感心してしまう。

 

振付師とは呼ばれているが彼女たちのメインの仕事はライブ用のダンス振り付けではない。

基本的には学園常勤のダンス教師というのが正式な肩書でトレセン学園に雇われている。

 

どんなに優秀なウマ娘も最初から踊れるわけでもなければ勝利したレースに対応したダンス(しかも成績に応じてパートが変わるので)全てを覚えておけるわけではなく、レース後の限られた時間内でその振付を覚えなければならないわけだが、そのためには普段からダンスの練習の他に振付を付けてもらう訓練も必要になるのだ。

 

そのためトレセン学園の、特に新入生たちのカリキュラムにはコーチによる選抜レースに向けての基礎固めのほかにダンスの基礎もみっちり固められ、それを担当するのは振付師と呼ばれるウマ娘先生たちなのだ。

もっとも、最近は小学校でも授業の一環としてダンスを教えるらしいので新入生の大体がダンスの基本を学んでおり、基礎練習はそこそこに、早い段階でウイニングライブ用のダンスを教えたりなどして彼女たちのモチベーションをあげることをしたりしているんだそうだ。

こうやって中央のウイニングライブのクオリティーの高さは彼女たちの日頃の活躍により維持されてきていると言っていい。

 

個人的にはこの一件から見てもウマ娘だからこそ出来る指導法はあると思うので、何時か葦毛のウマ娘は走らないと云った風潮を覆すような、ウマ娘トレーナーが指導したウマ娘がG1レースを勝利する日が現れるのではと期待している。

 

しかし最初は物珍しかったが最近は仕事の都合や慣れによってライブをしっかり見る機会が減って来たなと思う。今まで借りたことがないけど、レンタルビデオ店や配信サービスサイトとかでライブシーンをゆっくりと堪能してみるのもいいかもしれない。

 

 




駿大祭の舞講師からの着想です。
多分あの人もウマ娘なんじゃないかな?っと思ってます。

次のネタは何がいいですかね?
今のところ暖めているのが、
ポロ、不祥事、フィリーズとか牝馬を現す言葉の存在、マスタング族というアメリカに住むウマ娘たちなど等です。

良ければご感想、評価などをお願い致します。

次はどのような話が読みたいですか?宜しければご意見ください

  • ウマ娘世界におけるポロの扱い
  • URA幹部によるセクハラ発言
  • フィリーズなど牝馬を表す単語
  • マスタング族について
  • テンプラがそう名乗った訳
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