子連れ番長も異世界から来るそうですよ?   作:レール

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最近は忙しくてタグ通りの投稿になってきている作者です。
第一巻のエピローグとなるので少し短めとなります。

それではどうぞ‼︎


目標へ向けて

ギフトゲーム終了後にルイオスが手に入れた悪魔の事を問い質したのだが、悪魔を貸した人間がいるというだけで他の事はルイオス自身にも分からないらしく、疑問を残したまま今回の幕を下ろした。

 

何はともあれ、“ペルセウス”に勝利してレティシアの所有権が“ノーネーム”移り、ヒルダ達が“ノーネーム”に入り、石化したレティシアの石化を解いた途端、

 

「「「じゃあこれからよろしく、メイドさん」」」

 

十六夜、飛鳥、耀が口を揃えて言った。

 

「え?」

 

「え?」

 

「・・・え?」

 

「え?じゃないわよ。貴方達はくっ付いてきただけで、頑張ったのって私達だけじゃない」

 

「うん。私なんて力いっぱい殴られて石になったし」

 

「つーかルイオスを焚きつけたのは俺だろ。切っ掛けを作ったヒルダと最後に決めた男鹿とで所有権は等分でもう話は付いた‼︎」

 

「何言っちゃってんでございますかこの人達⁉︎」

 

「そうだよ‼︎ せめて一割だけでもいいから俺にも所有権をくれ‼︎」

 

黒ウサギのツッコミが追いつかない。というか古市は願望丸出しである。

しかし当のレティシアはというと、

 

「んっ・・・ふ、む。そうだな。今回の件で、私は皆に恩義を感じている。君達が家政婦をしろというのなら、喜んでやろうじゃないか」

 

「レ、レティシア様⁉︎」

 

意外にも乗り気であったので黒ウサギは焦る。

先輩であり“箱庭の騎士”であるレティシアをメイドにするなど恐れ多いにも程がある。

 

「いや、俺は別にメイドなんていらないんだが」

 

逆に男鹿はあまり乗り気ではなかった。

聖石矢魔学園では女子に親し気に接されただけでも戸惑っていたのに、メイドなんてどう対応すればいいのか分かるはずもないだろう。

 

「だったら男鹿の分を「貴之君、“黙りなさい”」

 

しつこく所有権をねだる古市に飛鳥がため息混じりで命令する。

ガチン、と古市の口が“威光”によって閉じられた。

 

「良いではないか。王たる者、家政婦の一人や二人は当たり前だぞ?」

 

「だ、そうだぞ男鹿。最終的にはお前が一番活躍したんだから大人しくもらっとけ」

 

と言うヒルダと十六夜に押し切られる形で男鹿にも所有権が入るのだった。

 

 

 

 

 

 

それから三日後の夜。

“ノーネーム”一同は水樹の貯水池付近で男鹿達の歓迎会を行っていた。

 

「どうして屋外の歓迎会なのかしら?」

 

「うん。私も思った」

 

「黒ウサギなりに精一杯のサプライズってところじゃねぇか?」

 

三人はコミュニティの惨状を知っているので贅沢な歓迎会をしてくれる黒ウサギ達に苦笑して話し合っている。

その近くで男鹿達も話していた。

 

「お前ら白夜叉にギフト鑑定してもらってねぇのか?」

 

「そりゃそうだよ。ギフトゲームをしてる状況じゃなかったし、そのギフトカードって高いんだろ?」

 

「それに我々は自分達の力を理解しているからな。鑑定する必要もあるまい」

 

「まぁ俺も蠅王紋(ゼブルスペル)だけだったしな」

 

それよりも、と古市が切り出す。

 

「俺、何も言わずに出てきたから一回家に帰りたいんすけど。ここにはまたアランドロンで来れるでしょうし」

 

「それは無理だな」

 

古市の意見をヒルダはバッサリと切り捨てる。

 

「ここに来た時に説明しただろう。“安全を確保するために時間がかかった”と。ここに来るにはただ次元を跳躍すればいいというわけではなかったからな。アランドロンの魔力では元の世界に行くには少な過ぎるのだ。物を転送する程度ならともかく、人を転送するならば大悪魔級の魔力が二、三人分は必要だろう」

 

ここに来る時は魔界の魔力と大魔王の力を利用して転送したらしいのだが、そこまでしないと誤差を少なくして正確に箱庭へと転送することが出来なかったそうだ。箱庭からの転送もまた然りである。

 

「だったら手紙だけでも・・・」

 

「心配するな。ここに来る時に美咲殿に貴様の家への置き手紙を頼んでおいた」

 

日本語の読み書きが出来ないヒルダは男鹿の姉である美咲に置き手紙を書いてもらったようだ。

 

「“アランドロンと旅行に行く”、ということにしているから安心しろ」

 

「ちょっと待って‼︎ それって“二人っきりで”って誤解されるよね⁉︎ 変な疑惑があるんだから別の意味で家族に心配されるよ‼︎」

 

古市の心配は杞憂に終わることを祈るしかないのだった。

 

 

 

そんな風に話していると、黒ウサギが注目を促す。

 

「それでは本日のメインイベントです‼︎ 箱庭の天幕に注目して下さい‼︎」

 

黒ウサギの言葉にコミュニティの全員が空を見上げる。

その数秒後に一筋の流れ星が見えた。

 

「・・・あっ」

 

コミュニティの誰かが声を上げたのを切っ掛けとするようにポツポツと流れ星が増えていき、次第にそれらは流星群へとなっていった。

 

「この流星群を起こしたのは他でもありません。我々の新たな同士達がこの流星群の切っ掛けを作ったのです」

 

「「「「「は?」」」」」

 

男鹿達が驚きの声を上げる中で黒ウサギは構わずに続ける。

 

「箱庭の世界は天動説のように、全てのルールが箱庭の都市を中心に回っております。敗北した“ペルセウス”は“サウザンドアイズ”を追放され、あの星々からも旗を降ろすことになりました」

 

黒ウサギの説明を聞いていた全員が驚愕して絶句した。

 

「ーーー・・・なっ、まさか星空から星座を無くすというの・・・⁉︎」

 

「マジでか⁉︎ 箱庭ってもうなんでもありじゃねぇか‼︎」

 

各々が驚きの感情を表している間に、そこにあったはずのペルセウス座は流星群と共に消滅していった。

 

「ふっふーん。驚きました?」

 

黒ウサギがピョンと跳んで十六夜と男鹿の元に来る。

 

「やられた、とは思ってる。色々と馬鹿げたものを見てきたが、まだこれだけのものがあるとはな。おかげ様で個人的な目標もできたところだ」

 

コミュニティの目標ではなく、十六夜個人の目標に黒ウサギは興味を示す。

 

「“あそこ”に俺達の旗を飾る。・・・どうだ?面白そうだろ?」

 

黒ウサギはその言葉に呆気に取られるが、それに男鹿は言葉を返す。

 

「そんなもん意識してやる必要あんのか?魔王をぶっ飛ばし続けて最強を目指せば勝手についてくるんじゃね?」

 

「ヤハハハハ‼︎ そうだな、単純だが男鹿の言う通りだ‼︎ けど明確な目標があった方が分かりやすくてやる気が出るだろ?」

 

十六夜の目標に対する男鹿の考えは、違うようでいて結果は全くと言っていいほど同じ場所を目標として目指していた。

二人の大きな目標に黒ウサギは弾けるような笑い声を上げる。

 

「それは・・・とてもロマンが御座います」

 

その道のりはまだまだ厳しいだろう。

だがこの仲間達となら大丈夫と思わせることができる目標だった。

 

 

 

 

 

 

どことも知れない場所で、四人の男女が話し合っていた。

 

「チャンスは一ヶ月後。それまで各自で準備してね」

 

「マスターはせっかちねぇ。もう少しゆっくりでもいいんじゃない?」

 

「いや、そこにはお前のご執心の奴も来るんだろ?念は入れた方がいい」

 

斑模様のワンピースの少女と布面積の少ない白装束の女性、黒軍服の男が言葉を発して最後の一人に目を向ける。

 

 

 

「俺はなんでもいいですよ。本気の男鹿とやれるなら」




第一巻ついに終了しました‼︎
しかし、構想はできているのに投稿する時間が少なくなっていて歯痒いです・・・。

お気に入り数が安定して500越えして嬉しい限りです‼︎
これからも精進していきますので応援よろしく‼︎

それではまた来週‼︎

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