今回は三チームの決着をどう終わらせるかで非常に悩みました。納得がいかない方もいるかもしれませんが、それはご容赦下さい。
それではどうぞ‼︎
即席で共闘することとなった男鹿達は戦いの流れをレヴィアタンに渡さないため、まずは遠距離から手数を稼げるレティシアが“龍影”を幾筋にも展開させて先手を打つ。
「レティシア‼︎ そいつの身体スゲェ硬ぇぞ、気ぃ付けろ‼︎」
「承知した‼︎ そもそもレヴィアタン殿は手加減していて勝てる相手ではないからな‼︎」
レティシアは“龍影”に魔力を込めることで斬撃性を打撃性に属性変換する術を身につけていたが、今回はそのような小細工なしに“龍影”の強化として魔力を注ぎ込んだ。それにより斬撃性は鋭さを増し、加えて速度はさらに加速する。
「まさに影の弾幕だな。だが俺には効かねぇ」
レヴィアタンは迫り来る“龍影”を腕で弾き、足で踏み潰し、四肢の全てを使って迎撃していく。やはりレティシアの本気であってもレヴィアタンに真正面から決定打を与えることは難しいようだ。
「やはりか」
そしてレティシアも自らの攻撃がレヴィアタンには効かないことを認めて攻撃を止める。しかしその言葉とは裏腹に口角は吊り上っていた。
「確かに硬いみたいだけど、私には関係ないわ」
レヴィアタンの左背後。いつの間にか回り込んでいた葵が“断在”を構えて忍び寄っていた。レティシアの“龍影”に紛れて密かに移動していたのである。
次元すら斬り裂くと言われる“断在”ならばレヴィアタンであっても斬れるはずだ。葵は戦闘力を削ぐために容赦なく四肢の腱へと狙いを定めて“断在”を振るう。まずは左腕の腱だ。
「硬さは関係なくても速さは関係あるだろう?」
しかしレティシアが注意を引きつけて躱すことの難しいタイミングで放たれた斬撃は、レヴィアタンが指で“断在”の側面を掴むことによって防いでしまった。
「なっ⁉︎」
これには葵も驚かざるを得ない。慢心していたわけではないが、葵の剣速は人間の中でも達人の域に達している。躱すのが難しいタイミングであっても躱される可能性は考慮していたものの、まさか刃の側面を剣速に合わせて掴まれるとは思っていなかったのだ。
そんな葵の動揺を突くように、左脚を軸にその場で回転する右回し蹴りを左後方に向けて放つ。
「オラァァ‼︎」
レヴィアタンが蹴りを放つために右脚で地面を蹴るための力を込めた一瞬。その間に肉薄した男鹿が同じく右回し蹴りを魔力を高めて繰り出し、レヴィアタンの右回し蹴りを相殺する。
だが相殺ということは、
「男鹿‼︎」
東条の呼び掛けで男鹿はその場から跳び退き、入れ替わるように踏み込んだ東条がアッパーを食らわせようと顎を狙う。
それに対してレヴィアタンは頭突きで東条の拳を迎撃した。
「ウオォォォォ‼︎」
男鹿の時と同じように拮抗するかに思われたが、東条はさらに押し込むように拳を振り上げてレヴィアタンの上体を仰け反らさせた。
ただしレヴィアタンには仰け反らされた勢いのまま連続でバク転をされて距離を離される。
「しまっ⁉︎」
その際に葵の手から掴まれたままだった“断在”が奪い取られてしまう。“断在”を取り返すために追い縋ろうとも考えたが、一人で突っ込んでも返り討ちに合うだけだと判断して様子を見ることにした。
「本当にどんな怪力だ、お前?こんな
首を鳴らしながらのレヴィアタンの独白に、彼の異様な攻撃力の秘密を理解したレティシアと葵。男鹿と東条は言わずもがなである。
エネルギーとは簡単に言えば物体の重さと速さの積である。肉体の超重量と人間大の身体から繰り出される速さ、そこに加えて超硬の皮膚が合わされば破壊力は計り知れないものとなる。
逆にレヴィアタンの言う通り、東条はその圧縮された超重量の身体を殴り飛ばせるほどの力を発揮しているということだ。疑問に思うのも頷けるというものである。
「さてと、まずは……」
レヴィアタンは左手に持った“断在”を見てから辺りを見渡し、遠くに見える巨木の頂上付近へと狙いを定めて投げた。“断在”は見事なまでの直線を描いて真っ直ぐ飛んでいき、巨木に刀身の根元まで埋もれてしまう。
「わざわざ壊すなんてことはしねぇから、後で回収してくれ」
「回収できるなら、ってことですか?」
「あぁ、俺を倒せたらな。倒せなくても退場する時にベルフェゴールが戻してくれるから安心しろ」
“断在”は確実にレヴィアタンへとダメージを与えられる武器だっただけに手痛い損失だ。とはいえ葵にはまだレヴィアタンに通じる可能性のある作戦があった。
「男鹿、ちょっと耳を貸しなさい」
「あ?何で?」
「いいから‼︎」
葵はレヴィアタンから飛び退いて近くにいた男鹿と話をする。もちろん警戒を怠らないようにレヴィアタンからは目を離さず、口元を読まれないように手で口元を隠している。
「お、作戦会議か?早めにしてくれよ」
「……随分と余裕だな。自分で言うのもなんだが、我々を侮っていると足元を掬われるぞ?」
二人が話し合っている間に攻撃を仕掛けてこないレヴィアタンへ、時間を稼ぐという意味も含めてレティシアは話し掛けた。
レヴィアタンは急ぐ気もないらしくレティシアの問い掛けに応える。
「侮ってるつもりはないさ。主催者が躍起になって参加者を潰したんじゃ、観客は興醒めだろう?個人で程度の差はあるだろうが、策を練ってくるなら正面から迎え撃つ。祭りなんだから参加者に華を持たせるのも主催者の役割だよ。ま、そのチャンスを掴み取れるかどうかは
これまでの会話からレヴィアタンの気質は男鹿や東条に近しいものであると考えられるが、主催者として考えつつも参加者として楽しむ姿はどちらかと言えば十六夜に近いかもしれない。
「ーーー分かった?」
「おう。まぁやってみっか」
作戦の伝達は終わったようで、葵が確認を取ってそれを男鹿が了承している。短時間で説明が終わり、男鹿が一回で理解しているところを見るに然程難しい作戦ではないようだ。
レヴィアタンが見守っていたのはそこまでだった。
「それじゃあ今度はこっちから行くぜ‼︎」
今まで受け身だったレヴィアタンが攻めに出る。最初の標的は自分を殴り飛ばして最も近くにいた東条だ。
「上等だ‼︎」
東条も負けじと飛び出してレヴィアタンと拳を交えようとする。その動きを見た瞬間に葵は神薙を、レティシアは“龍影”をレヴィアタンへ向けて放った。
レヴィアタンの言っていたことが本当ならば、走行中のトラックとの衝突エネルギーが拳という一点に集中して放たれるということだ。だが今から駆け出しても二人の激突には間に合わないため、少しでも動きを逸らそうと咄嗟に行った遠距離攻撃である。
「効かねぇなぁ‼︎」
レヴィアタンはそれらを腕の一振りで薙ぎ払い、援護した二人の攻撃も虚しく止まることなく東条まで到達した。東条は腕を交差させて拳を防ぐが、衝撃を殺せずに地面を削るように後退る。
「へぇ、吹き飛ばねぇのか」
感想を漏らしながらも手を緩めないレヴィアタン。再び開いた東条との距離を詰め寄って反対の拳を叩き込もうとする。
「無視してんじゃねぇ‼︎」
その横合いからレヴィアタンの拳を弾くようにして男鹿が殴り掛かった。その口にはスキットルのような水筒が咥えられており、既に
そんな男鹿を潰すようにレヴィアタンは打撃を繰り出すが、男鹿は上手く決定打を捌いて殴り返していた。
「なるほど、凌げる程度には強化したわけだ‼︎」
「ハッ、“ノ
お互いに本気ではなかったとはいえ、圧倒的膂力を誇る十六夜と衝突して引き分けた男鹿の力量は本物だ。それはレヴィアタンが相手でも通じないということはない。
しかしそれはあくまで戦闘の中で身につけてきた我流の付け焼き刃。基本的に打撃戦を行ってきた男鹿には合っていないのも確かである。
そこへすぐさま東条も加わり、二人掛かりでレヴィアタンとの乱打戦に持ち込んだ。一見すると女性陣と合流する前と同じだが、男鹿と東条が協力関係にある今、一方的にやられて二人とも吹き飛ばされるということはない。
「……ッ‼︎」
「クッ……‼︎」
が、それでも対等とは言えず、腕を掴まれては振り回されて地面に叩きつけられたり、捌き切れずに攻撃を食らったりしている。鉄壁の皮膚に任せて防御も回避も基本的にしないレヴィアタンとでは攻防の手数に差があるのだ。
「ーーーでは、隙を見てなんとかお願いします‼︎」
「心得た。そちらもタイミングを見誤るなよ」
三人で乱打戦を繰り広げている中、それらを葵もただ眺めていたわけではない。レティシアの側に近寄って例の作戦を簡潔に説明していた。最悪の場合は男鹿と葵の二人で行える作戦だが、他の協力があるのとないのとでは成功確率は段違いだからである。
説明を終えた葵は乱打戦に割り込むべく契約悪魔であるシーサリオンーーーコマちゃんに心の中で語り掛け、自身の肉体へと宿らせることで男鹿に続いて暗黒武闘を発動した。
「行くわよ」
身体に魔力を纏い、手元に残るもう一振りの刀へと魔力を通す。レティシアの“龍影”すら弾くレヴィアタン相手に普通の刀では魔力を込めたところで斬れないだろうが、刀としてではなく魔力強化した打撃武器としては使える。それも男鹿や東条と比べれば弱いので、ヒットアンドアウェイで二人のサポートに徹するつもりだ。
「っと、速ぇな‼︎」
乱打戦に接近してきた葵に気付いたレヴィアタンは二振り目の刀も掴もうとしたのだが、葵は紙一重で剣筋をずらし的確に打撃を与えて即座に離脱した。そして出来た少しの隙を狙って男鹿と東条が踏み込み更なる乱打戦を展開する。
「だが……」
連携でレヴィアタンと渡り合っていた三人だが、疲労速度は確実に三人の方が上であった。このまま均衡を保つのも限界に近付いている。
そしてその時が訪れた。
「捉えた……‼︎」
今まで合間合間に振るわれる葵の刀を掴もうとしていたレヴィアタンだったが、急激な速さの変化に慣れ始めた瞬間、奪取ではなく破壊に切り換えた。しかも剣筋を逸らして拳の衝撃を逃がされないよう、挟み込むようにして両拳を叩きつける。
結果、葵の刀は魔力を通して強化していたにも関わらず半ばから砕け散った。
「……ッ⁉︎」
刀を破壊されてバランスを崩したところでレヴィアタンの蹴りが突き刺さる。反射的に後方へ跳んだ彼女だったが、ダメージを逃がしきれなかったのか仰向けに倒れてすぐには起き上がれなかった。
「葵殿‼︎」
レティシアは蹴り飛ばされた葵へと声を掛けて安否を確かめる。“龍影”では細かいコントロールが難しく槍で乱打戦に割り込むのはかえって邪魔になると判断して作戦を実行する隙を窺っていたのだが、もし葵が脱落してしまえば作戦そのものが成り立たなくなってしまう。
心配するレティシアの声を聞いた葵はなんとか上体を起こした。
「げほっ……だ、大丈夫です。まだ、やれます」
口元に垂れる血を拭い、ふらつきながら立ち上がる葵を見て一先ず安心する。だが長引けば不利にしかならないのは目に見えていた。
「二人とも、退けッ‼︎」
一気に仕掛けるべく、レティシアは今も乱打戦を繰り広げている男鹿と東条に対して声を張り上げた。レヴィアタンがその声に反応した瞬間、その隙に言われた二人は跳躍して離脱する。
レティシアは離脱するのを確認する前から“龍影”を伸ばし、レヴィアタンへと影を殺到させていた。
「そう何度も同じ手が通じるか」
レヴィアタンは脚を高く持ち上げ、踵落としの容量で“龍影”を踏み砕く。砕かれた“龍影”が陽に溶けるようにして消えていく中、それらを貫くように長柄の槍が空気を裂いてレヴィアタンへ投擲された。
「影だろうが槍だろうが同じーーー」
と軽く呆れていたレヴィアタンが言葉を止め、正面から殴り返そうと構えていた拳を槍ではなく頭上へ向けて突き上げる。
「かはっ……‼︎」
その拳は槍を投擲したはずのレティシアの腹部へ捻じ込まれていた。飛来してきた槍は逆の手で叩き落としている。
レティシアは“龍影”でレヴィアタンの視覚から姿を眩ませ、槍に意識を集中させてから黒い翼を展開。魔力を込めて出せる最高速度の飛翔で頭上からの強襲を敢行したのだ。
「不意を突くいい攻めだったが、陽動もなしじゃ届かないぜ」
レヴィアタンは拳を突き上げた状態で苦痛に表情を歪めているレティシアへ言い放つ。彼女の苦悶の表情は無理もない。葵と違い、後方に跳んでダメージを逃すどころか突っ込んで行ったのだ。吸血鬼としての頑丈な肉体があるとはいえ息をするのも苦しいだろう。
「……つ……ぞ……」
そんな状態で何かを呟くレティシアに訝し気な表情を向けるレヴィアタン。
何を言っているのか聞き返そうと思った次の瞬間、レティシアの手が彼の腕をガッシリと掴んだ。
「ーーー
直後、再びレティシアから影が迸る。
だがその動きはレヴィアタンへ向けられておらず、自分ごとレヴィアタンを包み込むようにして視界を黒く染め上げていく。
「動きを止めようってんなら温い‼︎」
レヴィアタンは影の中で強引に腕を振り回し、拳にしがみ付くレティシアを容易く振り払った。それに伴い身体の周りを囲っていた影の拘束も解ける。
その事に小さな違和感を抱く。
(この程度で“捕まえた”と言えるのか?……まさかーーー)
「じじい直伝ーーー」
考える間も無く彼の視界が晴れた時、目に飛び込んできたのは腰だめに拳を構えて目の前に立っている男鹿だった。
「心月流無刀ーーー」
それだけではない。振り返る暇がないので視覚での確認はできないが、聴覚に響いてきた葵の声が背後にいることを教えてくれた。
そして二人に対してレヴィアタンが反応する前に男鹿と葵は動き出す。
「「ーーー撫子!!!」」
男鹿は正面から鳩尾に、葵はその真反対から背中に撫子……戦国時代には“鎧通し”と呼ばれた技を放った。
“鎧通し”。甲冑を着て戦う戦場下で“鎧の上から相手の心臓を止める”ことを目的に編み出された、衝撃を一点に集中して貫通させる古武術の技である。
「グゥッ……‼︎」
二人の放った撫子は、これまで余裕の表情を欠片も崩さなかったレヴィアタンの表情を歪ませた。
それもただの撫子ではない。彼の頑強さを考えれば衝撃を貫通させるだけでは決定打になり得ない可能性が高いと踏んだ葵は、衝撃を貫通させるのではなく双方からぶつけて体内で爆発させるという荒技を選択した。たとえ鉄壁の皮膚を持つレヴィアタンであろうとも生物である以上は内臓まで硬いはずがない。
「「東条‼︎」」
奇しくも言葉が重なった男鹿と葵は、数歩分だけ後退して距離を空ける。東条が全力で駆け込み渾身の一撃を食らわせやすくするためだ。
「言われなくても分かってらぁ‼︎」
二人が距離を空けた直後に東条がレヴィアタンへ肉薄する。呼ばれる前から自分の役割を本能で理解して駆け出していたのだ。
「オラァッ‼︎」
東条の右ストレートはレヴィアタンの頰を完璧に捉え、超重量の身体を殴り飛ばした。殴り飛ばされた彼は、受け身も取らずに背中から落ちて軽く地面を陥没させる。
「倒した……わけ、じゃないわよね?」
動かないレヴィアタンを見て葵は確認するように声を上げる。幾ら強力な攻撃であっても、罪源の魔王を一撃で再起不能にできるとは思っていなかった。
「痛ってぇ……ペッ。血反吐吐くなんて何時以来だ?」
葵の考え通り、ゆっくりとだが確かな動きで起き上がるレヴィアタン。確かに一撃で倒せるとは思っていなかったが、それでも一撃で倒せなかったのは痛い。同じ手が二度も通じるような相手ではないからだ。
「……よし、合格だ‼︎ 四人とも、お疲れさん‼︎」
次の手を考えつつ身構えていた葵だが、そんな気の抜ける言葉を掛けられて呆気に取られる。男鹿と東条も似たようなものだが、そんな中でも冷静を保っているレティシアが彼に問い掛ける。
「今のが自身に課していた敗北条件なのか?」
「あぁ。俺に明確なダメージを与えたんだ、十分だろう?」
レヴィアタンならば、仮に星を揺るがす一撃を持つ十六夜が相手であろうと不意を突かれなければ対処してみせるだろう。そんな彼の隙を作り出し、見事に一撃を入れたのだ。第三者の視点から見ても及第点は超えている。
それを聞いた葵は身体の緊張を解くが、当然納得していない者達がいた。
「ざけんなコラ、とっとと続きやんぞ。てめぇギフトも使ってねぇじゃねぇか」
「俺もようやく
男鹿も東条も、人生の大半を喧嘩に生きてきたような人種だ。それに東条は予選を通して強者との戦いを中途半端に終わらされている。最後まで戦いたいと言うのも不思議ではなかった。
「強気なのは好きだが、俺の戦闘系ギフトは手加減が難しいんだ。使えば今のお前達では戦闘ではなく一方的な蹂躙になる。それに、これ以上やると
意味深に言うレヴィアタンだが、もちろん本人達は理解している。戦闘の中で男鹿は右脚、東条は右拳の骨にヒビが入っていた。彼の言う通り、これ以上続けるならばヒビでは済まないだろう。
「ま、戦いたければ俺が消えた後に二人でやりな」
「あ、てめっ」
ゲームの負けを認めたレヴィアタンがその場から姿を消す。悔しそうにしている二人だが、消えてしまったものは仕方がない。
レヴィアタンの去り際の言葉を思い出して互いに顔を見合わせる。“この際もうてめぇでもいいなぁ”とでも言いたげな風にガンを飛ばす二人をそれぞれのパートナーが止めに入った。
「東条。貴方その右手が使えなくなったら喧嘩どころか仕事もしばらくできなくなるじゃない。今ならきっと簡単に治るわよ?」
「辰巳。骨にヒビが入った程度ならまだ戦えるが、英虎殿とそのまま戦えば間違いなく使い物にならなくなるぞ。それでもいいのか?」
正論をぶつけられた二人は不服そうにしながらもガンを飛ばすのを止める。それに戦いが中途半端に終わってしまったからこそ、戦いを維持するモチベーションも落ちてしまったと言えるだろう。
「という事で私達はリタイアしますけど、レティシアさん達はどうするんですか?」
「私は治療道具を持ってきている。応急処置に魔力強化すればまだ問題なく戦えるだろう」
男鹿はまだ続けるというので東条もごねたが、葵はなんとか東条を宥めすかして会場へと転送されていった。
森林地帯での戦い。勝者、男鹿辰巳・レティシア=ドラクレアチーム&邦枝葵・東条英虎チーム(その後、邦枝葵・東条英虎チームはリタイア)。
無事に三つ目の戦場も終わりを迎えました。残るは湿地帯と勝者達の戦いのみとなります。
色々と気になる葵・東条のギフトの説明がなされていませんが、それはまたの機会となることでしょう。