子連れ番長も異世界から来るそうですよ?   作:レール

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すみません、少し遅れました‼︎

いよいよ戦闘開始です。長かったこの章も予定では残りあと数話、最後まで盛り上げていきたいなぁ。

それではどうぞ‼︎


“乱地乱戦の宴”・最終決戦【前編】

ベルゼブブのギフトが展開されるにつれて雨風が強まる中、彼に相対するのは十六夜・古市・レヴィの三人である。

 

「なぁ、戦う前に一つ聞いておきたいんだが」

 

「どうしました?」

 

戦闘前の緊張感に包まれながら十六夜はベルゼブブへと話し掛けた。とはいえ緊張感に包まれているだけで本人は微塵も緊張など感じていない。

 

「ギフトゲーム中に課せられてる制限ってのはどれくらいなんだ?」

 

「……おい逆廻、変なこと考えてないだろうな?」

 

十六夜の言葉を聞いた古市は嫌な予感がして止めに入ったのだが、

 

「変なことなんて考えてねぇよ。レヴィ風に言うならエンターテイメントだ」

 

「やっぱり逆廻君とは気が合いそう♪面白いことは大歓迎だよ‼︎」

 

十六夜とレヴィの楽しそうな表情を見て無理だと諦めた。十六夜一人でも抑えられないというのに、そこにレヴィが加わってしまえば尚更だ。

そんな三人の様子を見ながらベルゼブブも十六夜の質問に答える。

 

「質問の答えとしては三つです。霊格とギフト、霊格のみ、ギフトのみの順に制限レベルが下がり、最後は制限なしとなります。まぁ我々が下層でのギフトゲームに参加する時は、基本的に霊格とギフトの制限になりますが」

 

()()()()、ということは今回は外せるって考えていいんだよな?」

 

十六夜は第四予選を決める時にマモンが言っていたことを思い出す。

“勝ち残った参加者の戦闘力は中層寄り”ということは、対応する罪源の魔王も下層レベルではなく中層レベルにならなくては対処できないはずだ。

 

「確かに霊格とギフトの制限のうちギフトの制限を解除することはできますが、お勧めはしませんよ?今回参加した中ではアスモデウスさんが最もギフトの制限を外すのに適しているのですが、私とレヴィアタンさんのギフトは制限を外すのに向いていませんから」

 

海岸地帯で戦っていたアスモデウスが基本的に使用するギフトは他者の模倣。たとえギフトの制限を外したとしても模倣する存在を選ぶことで相手の力量に合わせたゲームメイクが可能な、主催者としても興行に向いたギフトである。

そんな彼女に比べて森林地帯で戦っていたレヴィアタンは、ギフトを制限どころか使用すらしていなかった。生来からの鉄壁の皮膚に格闘術と併せてギフトを使用すれば、魔力増幅法を使っていなかったとはいえ男鹿・レティシア・東条・葵の四人を相手に蹂躙できると豪語している。

そして分かっているベルゼブブのギフトは天候を支配して嵐を巻き起こすというものだが、規模が大きい分だけ匙加減が難しいのだろうか。あまり制限を外すことに乗り気ではない。

しかし十六夜は全くと言っていいほど諦めていなかった。

 

「つまり、制限を外さざるを得ないほどあんたを追い込めばいいってわけだ」

 

「それを望むならばそうするのが一番でしょうね。主催者としても参加者としても、ただ負けるわけにはいきませんから」

 

言い終わると同時にベルゼブブは暴風を纏い、臨戦態勢を取る。

 

「さて、お喋りはこの辺にしておきましょうか。貴方達も待ち望んでいたのでしょう?罪源の魔王(我々)と戦うことを」

 

「そうだな。それに会場で観客も待っていることだろうし、ちゃっちゃと始めるとするか」

 

十六夜は暴風を纏ったベルゼブブへと向けて拳を構え、その横で古市とレヴィも魔力を高めて身体をいつでも動かせるようにする。

お互いに戦闘準備を整え、すぐさま両者は戦闘を開始した。

 

 

 

 

 

 

軽い言葉で戦闘の開始を告げた十六夜。その軽さとは裏腹に初手は力任せの突貫ーーー極寒地帯の雪同様、泥濘(ぬかるみ)が足を絡め取って第三宇宙速度を出せない中でも尋常外の速度で突っ込んだ。

真正面から突撃してきた十六夜に対し、ベルゼブブは特大の鎌鼬を放って迎え撃つ。

 

「ハッ‼︎」

 

十六夜の速度に対応できるベルゼブブも流石だが、人体など容易く斬り裂ける威力を内包した鎌鼬を十六夜は拳一つで打ち砕いた。その勢いを殺さずに暴風の壁すら突き破った十六夜はベルゼブブ本人へと拳を放つ。

 

「大した速度と破壊力ですね。今の私が真正面からぶつかるのは分が悪いかもしれません」

 

ベルゼブブは突き出された十六夜の腕を側面から弾き、弾くのに使った腕の肘でそのまま十六夜の顎をかち上げた。

今のベルゼブブは、常人からすれば別だが決して十六夜より速いわけでも力が強いわけでもない。しかし全身駆動速度では負けていても腕や足といった局所的駆動速度で追いつき、圧倒的な戦闘経験で手に入れた技術を駆使して十六夜の突っ込む勢いを利用したカウンターを入れたのだ。

“火龍誕生祭”での十六夜と男鹿の戦いに様相は似ている。あの時と違うところは、分が悪いというだけでやろうと思えば真正面からでも戦えるであろうベルゼブブの戦闘力である。

顎をかち上げられ、一瞬だけ無防備となった十六夜へそのまま追撃しようとするベルゼブブだったが、

 

「させないよ‼︎」

 

レヴィが十六夜の後ろから水の槍を飛ばして追撃を阻止した。嵐による雨風が強いということは空気中の水分も多いということであり、それは水の三態を操ることができるレヴィにも適した戦闘フィールドでもあるということだ。

すかさず暴風壁を再展開されて水の槍は吹き飛ばされるが、その暴風によって十六夜も吹き飛ばされることとなり追撃はなんとか免れた。

吹き飛ばされた十六夜は空中で姿勢を整えて難なく着地する。

 

「助かったぜ、レヴィ。やっぱ正面突破を許すほど甘くはないか」

 

「どういたしまして。でも、暴風壁(あれ)がある限り遠距離攻撃では隙も作れそうにないねぇ」

 

十六夜が暴風壁を蹴散らして近接戦闘を行っている間ならともかく、少しでも間が空くと暴風壁が再展開されて生半可な遠距離攻撃は通用しなくなってしまう。レヴィの戦闘スタイルは近接戦闘の嗜みもあるが基本的に中・遠距離主体の攻撃であり、彼女が最も効率的に戦うには暴風壁を展開されないようにする必要があった。

 

「おい古市。もう温存なんて考えずにティッシュ使ってお前も近接戦闘に加われ」

 

「まぁそうなるよな……」

 

古市も仕方なく残り少ない魔界のティッシュを取り出すことにする。

古市は幾度となく“ベヘモット三十四柱師団”の悪魔と簡易契約することで、拙いながらも彼らの戦闘技術を再現させてきた。しかしそんな付け焼き刃が通じるような相手ではないと一度の攻防で古市にも理解させられたのだ。戦うには戦闘技術を身につけた柱師団の悪魔を呼び出すしかない。

 

「じゃ、早くしろよ‼︎」

 

「できるだけ強い人引いてね‼︎」

 

古市がティッシュを取り出している間、今度は十六夜だけでなくレヴィも一緒にベルゼブブへと突っ込んでいく。古市が簡易契約するまでの時間稼ぎだ。

 

「残り少ないんだから頼むぞ。せめて柱爵以上‼︎」

 

はっきり言って罪源の魔王が相手では簡易契約しても柱将では心許ない。ここは古市の運を信じて神頼みである。

古市は両鼻にティッシュを詰め、現れる柱師団の悪魔を待つ。

 

 

 

「ん〜、これが簡易契約かぁ。ついに俺も呼び出されちゃったっぽいね」

 

 

 

現れたのは銀色の長髪に能面のような笑みを浮かべる男……サラマンダーだ。彼の魔力は精神に作用する炎であり、記臆を消し去ったり特定のリズムで見せることで催眠状態にすることができる柱爵の一人である。

確かに古市の望んだ通り柱爵を呼び出せたのだが、

 

「えっと……サラマンダーさん、でしたっけ?」

 

「うん、そうだけど?」

 

「……付かぬ事をお訊きしますが、あそこに飛び込めますか?」

 

古市が指差す先には、十六夜が縦横無尽に攻撃を仕掛ける中でレヴィが幾つもの水の槍による援護射撃を行い、それを格闘術と暴風によって退け反撃するベルゼブブがいた。

 

「う〜ん、無理だね。ほら、俺って頭脳労働派だからさ。あれが用事なら帰っちゃっていいかな?」

 

そう、彼の炎は精神に作用するものであって物理的な炎としての役割を果たさない。何より男鹿と東条に油断していたとはいえ不意打ちの一撃で叩きのめされた過去がある。本人も言っている通り肉弾戦は専門外なのだろう。

 

「……はい。ありがとうございました〜……」

 

サラマンダーの要望に、静かに鼻からティッシュを抜く古市であった。

 

「クソッ、ティッシュも文字数も無駄使いしちまった‼︎ 次こそは……ってもう一枚しかねぇ⁉︎」

 

元の世界から使い始めて、今まで何度もお世話になった魔界のティッシュが遂に切れてしまった。残る一枚、次も戦えないか実力の足りない柱師団の誰かを呼び出してしまったら終わりだ。

 

「えぇい、もうなるようになれ……‼︎」

 

最後の一枚だが、躊躇したからといって呼び出せる柱師団の確率が変動するわけでもない。古市は最後のティッシュを両鼻に突っ込んだ。

 

 

 

「ーーーまた俺を呼び出したのか、小僧」

 

 

 

最後の一枚で現れたのは傷跡が刻まれた顔に赤髪と筋肉質で大柄な男……“ベヘモット三十四柱師団”の二代目団長、“狂竜”・ジャバウォックであった。

 

 

 

 

 

 

「っ‼︎ 来たぁ‼︎ 古市君ナイス引き運‼︎」

 

レヴィは興奮気味に叫ぶと、()()()()魔力を引き出していく。

通常の悪魔契約では、悪魔は魔界以外で本来の魔力を発揮する触媒として契約者を選び、契約者は悪魔から魔力を引き出し自らの力として使う。

しかし、古市は複数の悪魔ーーーこの場合はレヴィとジャバウォックーーーと契約・簡易契約状態にあり、複数人から魔力を引き出せるのだ。まぁ魔力を引き出せるからといって使いこなせなければ意味はないのだが、単純に魔力量が増えて二人分使えることとなる。

そしてこれが一番の利点なのだが、複数の悪魔による魔力が古市の身体を介することで、互いに魔力のやり取りをすることができる。つまり、魔力量の多い悪魔が集まれば集まるほど戦闘に使用できる魔力が増大していくということだ。

 

「逆廻君、下がって‼︎」

 

これまでの水の槍に倍する量を、倍する速度で打ち出すことで十六夜が後退する隙を作り出す。

しかし、暴風壁を打ち消していた十六夜が後退したため暴風壁を再展開することで全ての水の槍は吹き飛ばされて霧散し、

 

 

 

次の瞬間、ベルゼブブの周りが大爆発を引き起こした。

 

 

 

「……お前、えげつねぇ技使いやがるな」

 

水魔の空爆(アクア・フレア)。魔力をごっそりと持っていかれるから連続しては使えないんだけどね」

 

レヴィはベルゼブブの周囲にある水を一瞬で気化させることによって、水の体積を一〇〇〇倍以上に増やして水蒸気爆発を引き起こしたのだ。今も水蒸気による白煙が立ち昇っており、ベルゼブブがどうなったかは分からない。

 

「でも、多分やれてねぇぞ」

 

しかし十六夜は自惚れでもなんでもなく、自身の速度に着いてきて打撃をいなせるベルゼブブが無抵抗に水蒸気爆発の直撃を受けたとは思えなかった。

 

「うん、私もそう思うよ。久しぶりに使ったけど全盛期と比べたら威力は全然不十分だったしねぇ。それでもまぁギフトの制限くらいは外せたんじゃないかな?古市君も強い悪魔を呼び出せたみたいだし、本番はここからだよ」

 

レヴィ自身も十六夜の意見に同意しており、会話をしながらも戦闘姿勢を崩してはいない。

 

「ーーーいやはや、まさかいきなり爆発するとは思いませんでした。確かに貴方方が相手ならギフトを解放してもよさそうですね」

 

そして二人の予想通り、白煙の中からベルゼブブの声が聞こえてきた。

さらに白煙が晴れて現れた姿はボロボロだったが、その素振りにダメージから来る動作の違和感などは見られない。よく見れば露出している肌は擦過傷程度の傷しか付いていないのが分かる。

 

「あれぇ?もうちょい爆傷とか熱傷みたいな傷があってもいいと思ったんだけど……何したの?」

 

「それはーーー」

 

レヴィの疑問に答えようとベルゼブブが話し始めた瞬間、古市ーーーではなく古市の身体に憑依したジャバウォックが突っ込んでいた。その手には荒々しくも圧縮された魔力が纏われている。

即座に反応したベルゼブブだが、十六夜に対して行っていた逸らす打撃ではなく迎え撃つ拳を放っていた。

 

 

 

轟ッ‼︎ とジャバウォックの拳から魔力による漆黒の奔流が迸り、

 

バチバチッ‼︎ とベルゼブブの拳から紫電の閃きが駆け抜ける。

 

 

 

両者から放たれた力は互いに反発し合う。それでも両者とも引かずに反発するエネルギーを力尽くで抑え込み、二人は拳を突き合わせた状態で静止した。

 

「ほう……」

 

「すみませんが、話している途中ですので後にしてもらえますか?それともこのままーーー」

 

ベルゼブブの言葉を無視してジャバウォックは一歩踏み込み、突き合わせていた拳とは逆の拳をさらに打ち込む。

今度は弾くでも迎え撃つでもなく、ジャバウォックの拳を掌で受け止めたベルゼブブ。予選で見た古市とは桁の違う強さを前に、今の力量を測るためだ。

 

(これは想像以上……十六夜()と比べるならば全体的に下ですが、それを補って戦闘慣れしていますね)

 

「確か此処は箱庭とか言ったか。期待以上に楽しめそうだ‼︎」

 

こうしてベルゼブブが分析している間にもジャバウォックの猛攻は続いていた。洗練されているとは言えないが、行動一つ一つの繋ぎ目にも隙の少ない動きである。

 

「……結局ベルゼブブさんは何をしたんだろう?」

 

レヴィの疑問に答える前にジャバウォックが割り込んでしまったため、彼女の疑問は未だに解消していなかった。

 

「ま、雷が使えるみてぇだし膨張した水の体積を雷で焼き尽くしたってところじゃねぇか?」

 

十六夜はジャバウォックが奇襲した時の紫電を思い浮かべる。どうやらベルゼブブは嵐を操るだけでなく、直接身体から嵐の要素を発することもできるようだ。迎え撃った姿などは男鹿のゼブルブラストとかなり酷似していた。

 

「しかしベルゼブブの戦闘は受けの姿勢が強いな」

 

十六夜が最初に突っ込んだ時もそうだったが、自分からは動かずに迎え撃つ形が多い。今は様子見も兼ねているのかジャバウォックが押しているように見えるが、単独で戦わせ続ければ必ず大きな反撃に合うだろう。

 

「そろそろベルゼブブも攻勢に出るだろ。その前に俺達も行くぞ」

 

「りょうか〜い」

 

今度は二人で並走してベルゼブブへと走り出す。一回目・二回目のように十六夜が高速で突っ込まないのは、近接戦闘中の古市(inジャバウォック)の邪魔にならないようにするためだ。下手をすればベルゼブブに十六夜の攻撃を逸らされて古市へとぶつけられる可能性もある。

そういうわけで今回は単身突撃しなかったのだが、それが功を奏した。……十六夜ではなくレヴィにとって、だが。

十六夜は突然足を止めると、並走していたレヴィを有無を言わせず抱き寄せる。わけも分からず急なことに呆然とする、という彼女の反応よりも早く十六夜は拳を突き上げ、

 

 

 

雷鳴の轟きに加え、衝撃波を伴って落ちてきた雷と十六夜の拳が激突して雷を霧散させた。

 

 

 

「……なるほど、ギフトの解放に非推奨的になるわけだ。下層で雷に対応できる奴なんて限られてるだろうからな」

 

十六夜は突き上げた拳を下ろしながら一人納得していた。

雷の速度は、環境によって変化するものの一五〇〜二〇〇km/秒。この数値を分かりやすく例えるならば、十六夜の出せる第三宇宙速度の約十倍である。常人には反応することすら難しい速度だ。

 

「……えっと。助けてくれたことには感謝してるんだけど、そろそろ離してもらえると嬉しいかな?」

 

と、十六夜が納得しているところに抱き寄せられたままのレヴィが声を掛けた。困ったように苦笑いを浮かべており、頬には薄く赤みが差している。

 

「ん?あぁ、悪い悪い」

 

そんなレヴィの羞恥など十六夜は知る由もなく、サッと抱き寄せていた腕を離した。十六夜はあくまで冷静に現状の把握に取り掛かる。

 

「しかし、これはベルゼブブ()レヴィ()で相性が悪いな」

 

「……はぁ、今回はここまでだね」

 

十六夜はあえて口に出さなかったが、レヴィはこの状況でできる最善の手が何かを理解していた。

古市は今、ジャバウォックを身体に憑依させて二人分の魔力で身体機能を強化している。それによってベルゼブブと単身戦えるまでになっているのだが、雷を多用されてレヴィが倒されれば一気に使用できる魔力量が減ってしまう。

しかしそれを防ぐのは実は簡単で、レヴィが実体化を解いて攻撃される機会をなくせばいいのだ。

 

「いいのか?わざわざ古市と契約してまで本戦に乱入したってのに」

 

十六夜もそれが分かっているため、レヴィの呟きの意味をすんなりと理解できた。

十六夜がそれを口に出さなかったのは、ギフトゲーム本戦で戦うのをレヴィが楽しんでいたからだ。もし十六夜とレヴィの立場が逆だった場合、ここで消えるのは断固拒否する自信が彼にはあった。

 

「契約は誰でもいいわけじゃないよ。古市君は素質的にもいいと思って契約したんだから。……それに私は負けるのも好きじゃないの。だから後は任せるね‼︎」

 

そう言って実体化を解いたレヴィ。少し急ぎ気味にも感じられるが、こうしている今も二人の戦闘は続いているのだ。どうせ消えるのなら早く消えて十六夜を参戦させた方が有利という彼女の配慮である。

十六夜がレヴィの消えた横から視線を前へと向けた時、今度は前方から雷が迫ってきた。

それを先ほどと同様に拳で打ち消したのだが、身体から直接生成したためかは分からないものの威力も速度もさっきの雷より劣っているように十六夜は感じた。

そう思って戦っている二人へ改めて目を向けたが、その二人は距離を置いていて戦っていなかった。加えて互いを見ておらず、十六夜とは逆の方向に向いている。

十六夜はさらに視線を前方へと向け、二人が見ているものを確認して自然と笑みを浮かべていた。

 

「よう、お前らも来たのか」

 

そこにいたのは、赤ん坊を背負い学生服を着た短い黒髪の男と深紅のレザージャケットに奇形のスカートを穿いた美麗な金髪の女性ーーーベル坊、男鹿、レティシアの三人であった。

十六夜の言葉に男鹿は明確な意思を持って告げる。

 

「派手にやってんな。俺達も混ぜろよ」




古市君、さらに強化設定をぶち込みました‼︎
実際のところ、柱師団のみんなと契約した原作古市の強さはどれくらいで、複数契約特有の強みのようなものはないのか気になります。

なんか、色々と書いているうちに戦闘力の調整が崩れている気がする……。

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