子連れ番長も異世界から来るそうですよ?   作:レール

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1週間ぶりです‼︎
いや〜、1週間って予想以上に長いですねぇ。
こんなゆっくり更新でいいのか悩む今日このごろ。

それではどうぞ‼︎


自分達のコミュニティ

蛇神と遊んで気分がいい十六夜に黒ウサギは尋ねる。

 

「と、ところで十六夜さん。蛇神様を倒されたことですし、ギフトを戴いておきませんか?十六夜さん達はご本人を倒されましたから、きっとすごいものを戴けますよ♪」

 

「あん?」

 

黒ウサギは小躍りでもしそうな足取りで大蛇に近寄ろうとするが、十六夜が不機嫌な顔で黒ウサギの前に立ち塞がった。

 

「な、なんですか十六夜さん。怖い顔をされてますが、何か気に障りましたか?」

 

「・・・別にぃ。勝者が敗者から得るのはギフトゲームとして真っ当なんだろうからそこに不服はねぇがーーーお前、何か決定的な事をずっと隠しているよな?」

 

 

 

 

 

 

十六夜の指摘に黒ウサギはそれでも何かを隠そうとしたが、十六夜の“どうして俺達を呼び出す必要があったのか”、“話さないのなら他のコミュニティに行くぜ”という言葉を聞いて話し始めた。

 

自分達には名乗るべき名がない“ノーネーム”だということ。

 

テリトリーを示し、尚且つ誇りでもある“旗印”もないこと。

 

さらには中核を成す仲間は一人も残っておらず、黒ウサギとリーダーというジン以外はゲームに参加できない子供ばかりが百人以上ということ。

 

それら全てを箱庭を襲う最大の天災ーーー“魔王”と呼ばれる、ギフトゲームを断ることができない特権階級“主催者権限”(ホストマスター)を利用する存在に奪われたこと。

 

それらを取り戻してコミュニティを再建するために強大な力を持つプレイヤー・・・つまり十六夜達に力を貸して欲しいこと。

 

黒ウサギの告白に十六夜は気の無い声で返したので、黒ウサギは泣きそうな顔で返事を待った。

しばらく黙り込んだ後に十六夜が、

 

「いいな、それ」

 

「ーーー・・・は?」

 

「HA?じゃねぇよ。協力するって言ったんだ。もっと喜べ黒ウサギ」

 

「え・・・あ、あれれ?今の流れってそんな流れでございました?」

 

「そんな流れだったぜ。それとも俺がいらねぇのか?失礼なことを言うと本気で余所行くぞ」

 

「だ、駄目です駄目です‼︎ 十六夜さんは私達に必要です‼︎」

 

「素直でよろしい。それで、男鹿はどうするんだ?」

 

今まで黙っていた男鹿に話を振る。

黒ウサギも真剣な表情で男鹿を見るが、

 

「えーと・・・話終わった?」

 

「えぇぇぇぇ⁉︎ 聞いていなかったのですか⁉︎ 黒ウサギにとってとても大事なお話でしたのに⁉︎」

 

「魔王っていう素敵ネーミングな奴と戦うけどどうだ?って話だ」

 

「あぁ、別にいいぞ」

 

「軽っ‼︎ 説明も軽ければ返事も軽すぎますよ‼︎ 黒ウサギの深刻な雰囲気のお話は何だったのですか⁉︎」

 

黒ウサギの深刻な雰囲気など木っ端微塵に粉砕されたのだった。

 

「別に魔王なんて珍しくもねぇし」

 

ベル坊のことを考えながら言う男鹿。

実際には男鹿の背中にいる魔王とは根本的に違うのだが、黒ウサギの話で聞いたーーー聞いていたかどうかはともかくーーーだけでは男鹿に違いなど分かる筈もない。

しかし、そんな男鹿の発言に十六夜が食いついた。

 

「へぇ?男鹿のいた世界には悪魔の王でもいたのか?」

 

「いたって言うか今、お前の目の前にいるぞ?」

 

「ニョ?」

 

そう言ってベル坊を指差す。

 

「えぇ⁉︎ ベル坊さんは悪魔なのですか⁉︎」

 

「おう。オレ達の世界の大魔王の息子でな。本当は確か・・・ウンタラカンタラベルウンタラって名前だ」

 

「雑っ⁉︎ 長いのは何となく分かりますが名前ぐらい覚えましょうよ⁉︎」

 

未だに名前を覚えられていない男鹿である。

 

「ダァーー‼︎」

 

「ベル坊ーー⁉︎」

 

いつまでも名前を覚えない男鹿にベル坊は泣いて飛び出してしまった。

そんな中、十六夜は冷静にベル坊のことを考察している。

 

「悪魔の王に、ベル坊って名前・・・まさか“蝿の王”ベルゼブブか?」

 

「あ?あぁ、なんかそんな感じだ」

 

「・・・ってベルゼブブですか⁉︎ 悪魔の中の悪魔、箱庭でも上層の魔王の一人ではないですか⁉︎」

 

どうやら箱庭にも似たような存在がいるらしい。

十六夜はヤハハと笑いながら予想外の存在に喜び、黒ウサギはリアクションのし過ぎで疲れ、男鹿は飛び出していったベル坊を捕まえ、蛇神に水樹の苗をもらってから箱庭へと向かったのだった。

 

 

 

「いや、食いもんくれよ・・・」

 

 

 

 

 

 

「な、なんであの短時間に“フォレス・ガロ”のリーダーと接触してしかも喧嘩を売る状況になったのですか⁉︎」「しかもゲームの日取りは明日⁉︎」「それも敵のテリトリー内で戦うなんて‼︎」「準備している時間もお金もありません‼︎」「一体どういう心算(つもり)があってのことです‼︎」「聞いているのですか三人とも!!!」

 

「「「ムシャクシャしてやった。今は反省しています」」」

 

「黙らっしゃい!!!」

 

これは世界の果て組と箱庭組が合流したときの会話である。

 

軽く箱庭組の経緯を説明すると、

箱庭に入って“六本傷”のカフェで談笑する。

この付近一帯を支配する“フォレス・ガロ”のリーダー、ガルド=ガスパーが出てくる。

ジン達のコミュニティの状況を説明し、飛鳥達を勧誘する。

あっさりと断ってから、何故魔王でもないガルドこの付近一帯を支配できたのかを飛鳥のギフトで強制的に聞き出す。

子供を人質に取って脅してギフトゲームに参加させていたこと、しかし子供はもう殺していることが判明する。

ガルドをズタボロにしたい飛鳥からギフトゲームを提案する。

ギフトゲームの賞品内容はこちらが勝てば“罪を認めて裁きを受け、コミュニティを解散する”、負ければ“罪を黙認する”というものである。

合流して、お腹が空いた男鹿が軽い食事をしながらそれぞれに起こったことを報告する。←今ここ。

 

「はぁ〜・・・。仕方がない人達です。まぁいいデス。腹立たしいのは黒ウサギも同じですし。“フォレス・ガロ”程度なら十六夜さんか辰巳さんがいれば楽勝でしょう」

 

神格持ちをも容易く倒した二人ならばガルドを相手にする程度、どちらか一人だけでも役不足だろうと思い、今回はあっさりと納得する黒ウサギ。

 

「何言ってんだよ。俺達は参加しねぇよ?」

 

「当たり前よ。貴方達なんて参加させないわ」

 

そんな黒ウサギを他所に十六夜と飛鳥はそれぞれにそんなことを言うので、黒ウサギは慌てて二人に食ってかかる。

 

「だ、駄目ですよ‼︎ 御二人はコミュニティの仲間なんですからちゃんと協力しないと」

 

「そういうことじゃねぇよ。この喧嘩はコイツらが売った。そして奴らが買った。なのに俺達が手を出すのは無粋だって言ってるんだよ」

 

「あら、分かっているじゃない」

 

「・・・ああもう、好きにしてください」

 

丸一日振り回され続けて疲弊し、もうどうにでもなれと呟いて諦める黒ウサギだった。




今日はここまで‼︎
ついに箱庭へと入りました‼︎
明日はついに“あの方”が登場‼︎
まぁまた説明回になってしまうんですが。

あ、それと一話目の十六夜の説明なんですが、“金髪ヤンキーっぽい少年”を“金髪にヘッドホンの少年”に変更しました。
このまま進めていくとヘッドホンがアンダーウッド編でいきなり出てくることになりそうなので。

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