その男、ジムチャレンジをしないトレーナー(仮題)(凍結)   作:珊瑚宮出身イマジン

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メインに書いている小説とは別で、息抜きをしたいと少し考えたのでこれを書いてみました。読者の皆様から好評のようでしたら続けるかもしれません。



1話:ジムチャレンジより、僕はポケモン達とスローライフを過ごしていたいです。

カンカン、バサッカンカンカン。

 

テントを広げて、杭を叩く音が周りに響く。

すぐ近くの草原では、僕の大好きなポケモン達がいつものようにポケボールを蹴ったり、追いかけっこや途中で採集したきのみでお手玉なんてのをやったりして遊んでいる。

 

「ふわぁ〜ぁ……至福の時だぁ…」

 

そんなポケモン達を横目に、手で口元を隠しもせずに大きくあくびをしながらそんな独り言を言いつつ、僕はテントの設営に勤しむ。

今日は珍しく休みの日だ。ダンデさんは何やらサプライズをしたいと準備をしているようだし、普通なら手伝うはずの僕もこうして離れている。

 

「本当にいいのか?エーデル。ジムチャレンジに挑戦しなくて。

君ほどの実力者なら、俺が推薦状を書くことも吝かではないが。」

 

「何度も言ってるじゃないですかダンデさん。僕はそんなのに興味ないですって。

貴方に拾われて家族として迎えてくれた恩は確かにありますし今も感謝しています。けど、それでも僕はやろうと思いません。あ、でもダンデさんが困ってることがあるのなら、その時は全力で手伝いますよ!」

 

「…そうか。君は一度決めたことは梃子でも曲げない人だからね…本当に口惜しいけれど、わかったよ。困った時ってのは今はないけど、そのうち来ることがあったら連絡するぜ!」

 

「それと、君のことだからないとは思うが…気をつけてな。」

 

「…えぇ。では、行ってきます。」

 

1年ほど前、ダンデさんに言われたことだ。

あれから時々だがダンデさんのもとに行き仕事の手伝いをするようにはなったけど、それでもずっとこの考えは変わってないし、なんなら僕の手持ちポケモンの強さを知っているのにも関わらず「気をつけてな」と言葉をかけてくれたのは、きっと家族として心配してくれている故にだろう。

その気持ちはとても嬉しいが、やはりどうしてもジムチャレンジをしようとは思わない。

 

ジムチャレンジとは、このガラル地方で年に一回行われている所謂ビッグイベントだ。

テレビ中継も行われ、スタジアムに沢山の観客が訪れるその中で各街にいるジムリーダーと呼ばれる人を合計8人倒し、ジムバッジを集めてチャンピオンであるダンデさんに挑戦するといったものだ。

 

僕を拾ってくれたダンデさんその人がチャンピオン。聞いた当時は、大いに驚いてその場で倒れてしまいホップやお義母さんに迷惑をかけてしまったが、今思えば納得できることだった。

 

なにせポケモン勝負が異常なほど強い。

まるで先読みされてるのかと錯覚してしまうくらいに的確な指示。

所持しているポケモン達の練度の高さ。

バランスの整っているとても良いチーム編成。

ダンデさん本人のポケモン勝負、ひいてはポケモンに対しての情熱の凄さ。真っ直ぐな姿勢。

どれも他の誰よりも強いものだ。

それでいて方向音痴というお茶目な要素!

ダンデさんが迷うたびに、相棒のリザードンが呆れたような表情を浮かべていたのを未だに覚えているくらいだ。

もはや色んな意味で無敵だろう。

 

…まぁ、方向音痴が酷すぎてかつて一緒にジムチャレンジをしていたという今は博士の助手をしているらしいソニアさんがぷんすこという効果音が出そうな感じで怒っていたが。

 

……と、そんなことを考えながらテント設営を終えると、服の袖の部分をクイクイっと引っ張られる感覚がした。

何かと思い振り返ると、そこにはいつの間にかポケじゃらしを持ちながら遊ぼうとでも言いそうな程に輝かせた目でこちらを見てくる僕の一番の相棒、エルレイドがいた。

その後ろではポケボールを抱えてじっとこちらを見てくるサマヨールが、プルプルと体を震わせて鼻水を垂らしながらも、なお笑顔を見せながらエルレイドの持つポケじゃらしとこちらを交互に見ているパッチルドンと、相変わらずの無表情でお話をする態勢に入るオンバーンがいた。

 

「おお?みんな遊びたいのか!

ってまた僕のバッグから勝手に持ち出したなぁ?このこの!」

 

そう言いつつ、僕はエルレイドの頬に指を当てて軽く弄るようにクルクルと回した。

それに対して、エルレイドはくすぐったそうに体を動かしつつ嬉しそうな表情を浮かべていた。

少ししてから僕は手を離して、ふぅ、と軽く息を吐いてから言葉を続けた。

 

「全く…しょうがないやつだな。っし、とりあえず遊ぼ〜!!」

 

そうして、僕の言葉と共にポケモン達は遊び出す。

僕達は、今日もワイルドエリアでキャンプというのんびりとした生活を送っていた。

 

 

◆◇ ◆◇ ◆◇

 

 

あれから数時間…昼過ぎほどまで遊び尽くし、僕を含めたポケモン達皆も疲れてお腹が減ったところで、僕はお決まりのカレー作りに入る。

 

「さて、お腹減ってきたしカレー作りますか!」

 

僕のそんな独り言で言った言葉に反応して、先程まで地べたに大の字のように両手両足を広げて寝そべっていたポケモン達が瞬時に起き上がり、僕の設置していた鍋の周りに集まった。全員カレーが楽しみなのか、既に鍋と僕に視線が釘付けになっていた。

 

「こうも見られると少しやりづらい気もするんだが…まあいいか。とりあえず何にしようかな…と」

 

癖みたいなもので視線を少し気にしてしまったが、今視線を向けているのは自分のポケモン達なのであまり気にしないでいられる。そこは感謝するべきところなのかもしれないな…。

 

と少し考えつつ、バッグからカレーを作るのに必要な食材ときのみを取り出す。

まずは食材。今回はレトルトバーグを使用しよう。……ギャグじゃないぞ。

こういう時のためにとたくさん買っておいたからか、皆の分どころかおかわりもできそうだ。

 

そして、次はきのみを用意する。

この時に選ぶきのみでだいたいの味が決まるのだが、今回はからいのを食べたい気分なのでマトマのみを10個使うことにした。きのみを使う個数などでも味を細かく決めることができるのらしいだが、僕はそこまで考えるのは苦手だ。普通の料理ならちゃんと考えるのだが、なぜかカレーの時だけは考えたくない。どうしてだろう……

そんなことを考えていると手が止まってしまったので、慌ててあらかじめルーを溶かしていた鍋の中に材料を全て入れる。

 

そうしたら、次は火起こしだ。

最初の頃は片手にだけ団扇を持ち、腕が疲れるまで扇いでもう片方の腕に交代して扇いで…というのを繰り返していたが、それだと非効率な気がしてきたので今回は両手で団扇を使って扇ぐことにした。

少し大変とはいえ、火が程良い大きさになるのが早くなるため得はあるのだ。

 

そうして火起こしを終えて米を炊くと、最後はカレーの掻き混ぜだ。ちょうどいいテンポと力加減で掻き混ぜるのが美味くなる秘訣…というのを、以前ソニアさんから教わったことがある。そうするとはっきりとした湯気が出てくるのでそれが成功の証、なんだとか。

これができるようになるまでしごかれたことを少し思い出す。あれはあまりいい気がしなかった…

 

少し思い出に耽りつつ掻き混ぜていると、完成したのかいい湯気と匂いがしてくる。

僕の相棒達も皆待ちきれなさそうな顔をしている。

 

「なんだ?もう待ちきれないのか?別に焦らなくてもカレーは逃げねぇぞ。もうちょい待っててな」

 

そう声をかけつつ、僕は完成したカレーと炊けた米を出して皿に盛り付けていく。

だが、ここで少し難点が出た。盛り付けたカレーを運ぶ人手が足りないのだ。

待っててなと言った矢先で少し気が引けるが、これは手伝ってもらう他なかった。

 

「悪ぃ、エルレイドー。ちょっと運ぶの手伝ってくれー。」

 

なので、エルレイドに手伝ってもらうよう声をかけた。

すると、エルレイドは笑顔で快諾してくれて盛り付けた端から持って行ってくれた。

こういう時ほんとに助かるんだよな僕の相棒は…感謝してもし切れないとは、まさにこのことを言うのだろう。

 

そうしてる間にも盛り付けが終わり、ポケモン達に配ってからいただきますの挨拶をしようと席に付いた時、誰かが近づいてくる足音がした。

 

ダンデさんがホップと幼馴染の元へポケモンを渡しに行くのは、確か明日だったはずだ。

新しいトレーナー誕生の瞬間を見とけって言われて、僕も行く予定ではある。

だから今日は誰も来ない、はず……なのだが。

 

「ここにいたか、久々に会った気がするぜエーデル!俺様のこと覚えてるか?」

 

……どうしてキバナさんがここに?




とりあえずここまでですね。
ポケモンの小説でこういったのをあまり見かけなかったのでついつい書いてしまいました。誰かのお気に召したのであれば幸いです。
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