その男、ジムチャレンジをしないトレーナー(仮題)(凍結)   作:珊瑚宮出身イマジン

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続きが見たいと言われましたので、メインの方が難産なのもあって書きました。それと短編にしていた設定を連載に変えました。更新速度が遅めなことには変わりはないですが。

お気に入りどころか投票までしていただいて本当にありがとうございます!_|\○_
息抜きくらいにしか考えていなかったものですが、ちょっと頑張ってみようかなと思います!


2話:キバナの努力

「……なぜキバナさんがここに?」

 

カレーを食べようとしていた僕のところにアポなしで突然現れて、同席してカレーを食べ始めるわ相棒のジュラルドンとフライゴンを出して僕のカレーを食べさせたり僕のポケモン達と遊ばせるわで目的が全くわからないのだ。

…まあ、カレーは大量に作ってたからそこは問題ないのだが。

 

「よう、相変わらず暗い奴だなぁおい!いい加減爽やかな服でも買っとけよぉ?なんなら俺様が見てやろうか?」

 

「…余計なお世話です。あと、肩痛い。」

 

僕を見るなり第一声が毎回これだ。確かに僕はフード付きのパーカーで頭を隠しているけれど、それだけで暗いと判断されるのもちょっとどうかと思う…。あと肩をバンバン叩くのはやめてほしい。地味に痛い。

僕のポケモン達だけでなく、最近になってやっとダンデさんや家族達と話す時はフードを取るようにできてきたけど、それでも他の人に対してだとまだ抵抗がある。所謂人見知り、というやつかもしれない。

そもそも、彼は明日ダンデさんとのエキシビションマッチがあると記憶している。

彼らにとっては本命の大会とは別であまり重要ではないとはいえ、一応は大きな試合が明日に控えているはずだ。

カレーとポケモン達を背景に自撮り写真を撮ってSNSに投稿、と文字通り好き放題やっているキバナさんに話しかけれないでいたが、やはり聞かなければ何も始まらないと思い僕は話を切り出した。

 

「…なぜ、ここに来たんです?」

 

「んー?あー、なんかお前がここにいる気がしてな。」

 

「……!」

 

えっ何その理由は…と少し思考が止まってしまったが、慌てて我に返る。この一見勿体ぶっているような言い方は、必ず何かあるのだ。今までの経験からなんとなくわかるようになってきた。そう察しつつ少し身構えていたら、

 

「実はな、何度も悪いんだがお前にジュラルドンとの特訓に付き合ってほしいんだ。」

 

「……またですか。」

 

特訓?また?もう何度目だろうこのお願い…と思わず身構えていた身体から緊張が解けて座り込んでしまったが、彼の目は本気だ。

彼がダンデさんに勝ちたいという一心でこれまでどんな努力をしてきたのか、僕は全てではないが見てきたつもりだ。

その彼がこうして頼みに来ている。ならば、微力ながらもそれに応えねばならないだろう。……何度も頼まれるたびにこの考えに至っている気がするが、もう気にするのは諦めた方が良さそうだ。

そうして僕はすぐ立ち上がり、キバナさんに向き合う。

 

「…エキシビションだろうが勝ちたい、と?」

 

「当然だ、俺様を誰だと思ってやがる。あいつのライバルだぞ。エキシビションだろうがなんだろうが、俺は全力でぶつかり叩きのめすまで!」

 

「…はぁ。わかりました、ちょっと待ってくださいね」

 

いつものようにドラゴンの構えやポーズをしながらそう言う彼には失礼だろうけど、もはや何度も聞き過ぎて飽きてしまったそのセリフを聞き流しながら、僕は昔ソニアさんからもらった預かりボックスを出していつものようにキバナさんとの特訓用のファイアローを出そうとした瞬間、キバナさんから静止が入った。

 

「……なんですか?」

 

「いや、今回はお前のオンバーンと戦ってみたいなと思ってな。」

 

「!…何か理由が?」

 

少し離れたところでポケボールをつついていた僕のオンバーンが、名前を呼ばれたことでビクッと体を飛び上がりかけたのをなんとか抑えつつこちらを見てきた。

…そんな変なものを見る目を向けないでくれ、悲しくなってくる。

今理由を聞いてるところなんだからもう少し待ってくれ。

 

「言い出しといてこんなことを言うのは申し訳ないんだが、同じ相手だとなんだかワンパターンになると思ってな。それと、単純にドラゴン使いとして前から気になっていてな?良い機会だしこれの後にちょっくらそいつの進化前を捕獲に行こうかと思っているんだ。あいつに勝てるかの模索と、ドラゴン使い(笑)なんて言われないようにしなきゃだしな。」

 

「でも、うちのオンバーンはダンデさんのリザードンとは戦い方がまるで違いますけど」

 

「そこから見えるものもある、ってことさ。それに、ダンデを一番近くで見てきたお前のポケモンならもっと何かを掴めると思ってな。」

 

なるほど…要するに新しい発見をしてみたいってことか。ちょっと無理矢理感あるけど、戦力強化にもなるし良さそうではあるのかな。

というかSNSとやらではそんなことを言われているのかキバナさん…まあ、手持ちがどちらかというと天候を上手く利用したものだしそう思われるのは仕方ないかもしれないが、それにしたって(笑)ってなんだ(笑)って……

それに僕と同じポケモンを使っていたら、僕の手持ちを理解しているダンデさんに読まれるのではないだろうか…と思ったが、キバナさんとてそれはわかっているはずだし何かあるのだろうと思って、僕はあえて黙っておくことにした。そうしてオンバーンを呼んで大まかに説明をしていると「それとな、もう一つあるんだ」とキバナさんが話を続けてきた。それに揃って頭に疑問符を浮かべる僕とオンバーン。

 

「?」

 

「できればなんだが、俺の手持ち編成の見直しを手伝ってくれないか?」

 

「え゛っ……ん゛んっ。あの、それは色々とまずいのでは…?大丈夫なんですか?」

 

「お前だからこそいいんだよ。なんせお前は、ジムチャレンジに参加しないトレーナーなんだからな。」

 

突然のキバナさんからのとんでも協力を頼まれて、思わず声が裏返ってしまった僕。

慌てて咳払いでなんとか誤魔化して大丈夫なのかと聞いたが、それをキバナさんはあっさりと正論で答えていった。

確かに僕はあれに関わらないしジムチャレンジャーとはほぼ関わらないから外部にも漏れることはないだろうけど、それでも僕なんかがいいのかという不安はあった。

ましてや編成の見直しを手伝うなど、場合によってはキバナさんの戦い方をごっそり変えてしまうこともある。自分がそんなことに関わっていいのだろうか……。

そう考え答えれずに口籠っていると、キバナさんが僕の頭をポンッと手を置きながら遠くを見つつ口を開いた。

 

「気にすんな、お前と俺の仲じゃねぇか。不満を言うやつなんざ、俺が黙らせてやるぜ。」

 

……彼は天然なのだろうか。言ってくれた内容自体はとてもありがたいのだが、言い方のせいで誰かいたらとんでもない誤解を招きそうになっていたのだということをわかって欲しい。

とりあえず周りを見渡したが、今この場に僕達の他に誰もいなくて本当に助かった。気を付けるように言うべきかと思ったが、以前そうした際に「あん?意味は伝わってるだろ?ならそれでいいじゃねーか。」と返されたことがあった。

違うそうじゃないと僕は言おうとしたが、ずっとこの調子なので根負けして諦めたのだ。

今更だったか…と自分に小さく言い聞かせて、僕はオンバーンを前に出す。

 

「じゃ、始めますよ。こちらは準備できてますので、いつでもどうぞ」

 

「おう!そんなら遠慮なくかましてやるぜ!」

 

そうキバナさんが答え、それに合わせるかのようにいつの間にか目の前に現れたジュラルドンもやる気満々、という風に口を大きく開けて吠え出した。

 

「いくぜジュラルドン!ストーンエッジ!」

 

「オンバーン!よく見て躱してからりゅうのはどう!」

 

その日、数時間ほど僕のオンバーンとキバナさんのジュラルドンの戦う音がワイルドエリア中に響くと同時に、僕の生き甲斐でもあったスローライフは音を立てて崩れ去って行った。

 

 

「(……あれ?普通のポケモンバトルになってないか?)」

 

気づいた時にはもう遅かった。




違和感がある、とかそういったことがあれば教えてください。見かけ次第直していこうと思います。

・オンバーン♂ 
とくせい:すりぬけ

わざ:りゅうのはどう
   ぼうふう
   かえんほうしゃ
   ちょうおんぱ

おくびょうな性格。
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